遺跡の地下深く、そこには巨大な魔物デリオラが氷づけになって封印されていた。
零帝の手下の一人、仮面を被った男ザルティがニヤリと笑う。
「いよいよか......」
「見つけたぞ!」
「!」
「とりあえず燃えとけぇ!!!」
そこに全身に炎を纏ったナツが突撃するが
「ほっほー、愉快な売り言葉ですなぁ」
ザルティはばっと避けた。
「しかし、なぜここがおわかりに?」
「オレは鼻がいいんだよ!ちなみにオマエは女の香水のニオイだ」
「ほっほっほっ。私はねえ......どうしてもデリオラを復活させねばなりませんのですよ」
「やめとけやめとけ、もう無理だ」
「おや?なぜに無理と?」
「グレイがアイツをぶっとばす!オレがオマエをぶっとばす!100万回な!それで終わりだ」
「そうでしょうかねえ?」
ザルティがチラッと上を見てナツも上を見る、すると紫色の細い光がデリオラに注がれていた。
「!!!ひ...光!!?え!!?誰かが上で儀式やってんのか!!?」
「おおーん、おおーん」
遺跡の屋上では零帝の手下の一人、犬のような顔の男トビーが封印を解く為の儀式、
「たった一人では
光の当たっている部分の氷がビチャッと溶け始めた。
「うおおっ!!?大変だ!!!デリオラの氷が溶けてきた!!!くそっ!!!しくじった!!!頂上にいる奴なんとかしねーと!!!」
ナツが屋上の儀式を止めるために走り出すと
「ぐおおっ!!!」
突然地面に穴が開き倒れる。
「おや?逃げる気ですかな?しかしそうはいきませんぞ」
「!!」
「私を追ってきたのはミスでしたね
「くそ...!!!」
ナツ達が話してる間にもデリオラの氷はどんどん溶けていく。
そこへ
「ああああぁ~~~」
「「??」」
洞窟の壁に開いた穴からタイガが転がりながら飛び出してきた。
「タイガ!!?」
「あれはたしか...光の勇者」
そしてタイガはナツの近くに落ちた。
「痛ってー...あの野郎...次会ったらぶん殴ってやる!」
そう言ってタイガは起き上がり
「うおぉ!!これがデリオラか!!?」
目の前のデリオラに驚いた。
「タイガ!!?何でオマエがここに?」
「ようナツ!!まぁ、その話は後で...」
「ほっほっほーっ!!!なんなら二人がかりで私の相手をしますかな?」
「んがーーっ!!!」
ナツは拳に炎を纏いザルティに殴りかかるが、ザルティはひょいと躱す。
「タイガー!!すぐに上に行って儀式を止めて来い!!!」
「!!...ああ!!!」
「よいのですかな?こんな状態で"火"の魔法など、デリオラの解氷を促進させますぞ。彼が私の相手をした方が良かったのでは?」
「火の魔法で氷が溶けたらオメェらも苦労しねーだろ?オレがオマエをぶっ倒して、タイガが頂上の奴をガツンとやった方が早えー」
「ほっほぉーう、戦場での頭の回転の速さと柔軟さには驚かされますなぁ......ただし、ソレはここにいるのが私一人ならの話」
「!!?」
その時ナツは憶えのあるニオイが来たことに気付く。
タイガはデリオラの前に立ち、その真上に開いている穴を見る。
「やっぱ...ここから行った方が手っ取り早いな」
タイガがデリオラの上に跳ぼうとしたその時
「波動!!!」
「ぐぁ!!」
衝撃波を受け落とされた。
「
「零帝様の邪魔はさせませんわよ」
やって来たのは太い眉毛が特徴の男ユウカと赤い髪の女シェリーだった。
「先にお前等からか...手負いでも容赦しないぞ」
タイガの言うとおり、二人は昨夜ナツやルーシィと戦ったため手負いの状態だった。
「人形撃
シェリーは魔法で近くの岩を操り巨大なゴーレムを作り出す。
タイガは腕に魔力を集め、光竜波の構えをとる
「光竜」
「波動!!!」
ユウカの波動により魔法をかき消された。
「!!...波動使いか...本物に会うのは初めてだな」
「オレの波動は全ての魔法を中和する...やれ!シェリー!!」
「ええ!!」
ゴーレムが拳を振り上げタイガに振り下ろされるが、タイガはそれを避ける。そして右手を引き竜の腕を模したオーラを作る。
「!...来ますわよ!!ユウカ!!」
「ああ!!波動!!!」
ユウカが波動を使うが
「竜爪撃!!!」
竜の腕は波動を突き抜けユウカを攻撃した。
「ぐはぁ!!」
「ユウカ!!!」
シェリーがその様子に驚いていると
「閃光光竜拳!!!」
タイガの拳から放たれた竜のオーラがゴーレムを砕いた。
「きゃああぁー!!!」
ゴーレムの頭の上に乗っていたシェリーが落ちる。
「な...なぜだ?波動の前では魔法は使えないはず...」
「さっきお前等に使った魔道心獣拳は魔法じゃない、拳法だ!だから波動じゃあ消えないんだよ」
「まさか...光の勇者タイガ・グラウス...ここまでとは...」
「だけど...負けるわけにはいきませんわ...零帝様への愛の為に...」
二人はそれでもまだ立ち上がった。
その時
『オオオオオオ』
「この音は!?」
振り返るとデリオラの上半身の氷が完全に溶けきっていた。
響いてきた大きな音はデリオラの吠え声だった。
~遺跡内部~
その声は遺跡の中に入っていたルーシィ達にも聞こえていた。
ちなみにサクラはルーシィの肩を借りて歩いている。
「な...何!?今の声!!?てか本当に声だった!?」
するとハッピーは
「ルーシィのお腹の音かも!!!」
「本気で言ってるとは思えないけどムカツク!!!」
そしてツバサも
「ルーシィ...後で何か作ってあげるから今は我慢してね」
「アンタはアンタで本気にしなくていいから!!!」
「今の声...例のデリオラとかいう魔物か?」
「そんな...まさか...復活しちゃった訳!!?」
ルーシィが焦り出すとハッピーが何かを見つける。
「待って!!!あの光、見覚えある!!!
すると
『オオオオオ』
「「「「「!!!」」」」」
「また...」
「ルーシィ何か食べたら?」
「あんたこそネズミに食べられちゃえば?」
「ルーシィ!!ちょっと待ってて!!すぐに何か作ってあげるから!!!」
「ツバサ...気持ちは嬉しいけど、あたしのお腹の音じゃないから...」
「デリオラの声はするが
「つまり復活はまだ完全じゃないって事ね」
エルザとサクラがそう話していると
「来い!!」
エルザは上に向かう階段へと走り出す。
「え!?デリオラは下だよ」
ルーシィが指摘するとエルザは
「儀式をたたけばまだ阻止できる!!!急げ!!!」
「急げって...こっちは人一人担いでるんですけど...」
「悪いわね...ルーシィ」
~遺跡の地下~
「復活も近い...」
「零帝様の悲願も...もうすぐ」
「のんびりしてられないな...」
タイガはそう言うと再び二人に向き合った。
「一つ聞くが...お前の波動...中和しきれない程の強い魔法を受けたらどうなる?」
タイガはそう尋ねると空気を思いっきり吸い込む。
「!!!...波動!!!」
ユウカは次に強力な一撃が来ると察知し最大の波動を発動した。
「光竜の咆哮!!!」
タイガは口から光の
やがてブレスは波動を突き抜け二人を吹き飛ばした。
「ぐあぁー!!」
「きゃあぁー!!」
「お前等もかなり強い...けど、今回は相手とタイミングが悪かったな...ケガが治ったらいつでも来い...相手してやる」
その頃、遺跡の屋上では
「おおーーーん」
エルザが儀式を行っていたトビーを切り伏せていた。
そこに少し遅れてルーシィ達もやって来た。
「やった!!!
「てか......コイツ一人でやってたんだ......」
「もう遅ぇんだよ!!!わかれよっ!!!」
トビーはキレたように叫ぶ
「!!!」
「儀式は終わったんだよ!!!」
「え?」
『オオオオオオオ』
「そ...そんな...」
デリオラを覆っていた氷が完全に溶けきったのだった。