光の滅竜魔導士タイガ   作:kazuki01

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届け あの空に

「今からあの月を破壊する。そして皆を元に戻そう」

 

エルザの発言に村人達はざわつきだす。

「目の前で見れるのか......」

「月が壊れるのを」

「おお...」

「やっと元の姿に戻れるんだぁ」

 

 

エルザと共に村の見張り台に上がったナツは尋ねる。

「エルザ...月を壊すならあの遺跡の方がいいんじゃね?ここより高いし」

 

「十分だ。それに遺跡へは村人は近づけんからな」

 

 

その様子を見ていた仲間達は

「月を...壊すって...さすがのエルザでもそれは無理...だよな」

 

ナツとエルザ(あの二人)なら本当に出来そうで怖いな...」

 

「な...何をするつもりだろ...?」

 

「ドキドキするね」

 

「ね~」

 

「いろんな意味でね...」

 

「......」

村長は静かに見ていた。

 

 

そしていよいよ月の破壊が始まろうとしていた。

「この鎧は「巨人の鎧」投擲力(とうてきりょく)を上げる効果を持つ。そしてこの槍は闇を退けし「破邪の槍」」

 

「それをぶん投げて月を壊すのか!!!うおおっ!!!すっげ!!!」

 

((((イヤイヤ...無理だから......))))

エルザの説明にナツはワクワクし、ハッピーとツバサ以外の仲間は心の中でツッコむ。

 

 

「しかし、それだけではあそこまでは届かんだろう。だからお前の火力でブーストさせたい」

 

「?」

 

「石突きの部分を思いっきり殴るんだ。巨人の鎧の投擲力(とうてきりょく)とお前の火力を合わせて月を壊す」

 

「おし!!!わかった!!!」

 

「いくぞ!」

 

「二人とも何であんなにノリノリなんだよ...」

「まさか本当に月が壊れたりしないよね...」

 

エルザは槍を大きく振りかざす。

「ナツ!!!」

 

「おぉう!!!」

 

ドン

 

「そらぁ!!!」

「届けえええぇぇっ!!!」

 

投げた槍が月に向かって上がっていく。

 

すると

 

ピキィ

 

なんと!!紫の月にヒビが入ったのだ。

 

「「「「うそだぁーーーっ!!!」」」」

 

月に入ったヒビは徐々に広がっていき、

 

パキィィィィン

 

紫の月が消え、通常の色の月が出てきた。

 

「え!!?」

「月!!?」

「これは...」

 

「割れたのは月じゃない......空が割れた...?」

 

「どうなってんだ!!!コレぁ!!!」

 

「この島は邪気の膜で覆われていたんだ」

 

「膜?」

 

エルザは皆に説明する。

月の雫(ムーンドリップ)によって発生したガスのようなものだ。それが結晶化して空に膜をはっていたんだ。その為月は紫に見えていたという訳だ」

 

すると村人達が光に包まれ始めた。

「わぁあ」

 

「邪気の膜は破れ...この島は本来の輝きを取り戻す」

 

やがて村人達を包んでいた光が消えた

 

 

 

 

「......」「あ」「......」「あれ...」

彼等は悪魔の姿から変わらなかった。

 

「けど...元に戻らねえのか...?」

 

「そんな...」

 

「いや...これで元通りなんだ。邪気の膜は彼等の姿ではなく彼等の記憶を冒していたのだ」

エルザは通常の鎧に戻り、説明を続ける。

 

「記憶?」

 

「「夜になると悪魔になってしまう」...という間違った記憶だ」

 

「?」

 

「と言うことは...ま...まさか...」

エルザの説明にナツは理解できていないようだったが、ルーシィは何かに気付き震え出す。

 

「そういう事だ、彼等は元々悪魔だったのだ」

 

エルザのその言葉に村人達は困惑し、ルーシィは「きゃあああああっ」と悲鳴を上げた。

 

 

「ま...マジ?」

 

「う...うむ...言われてみれば...まだちょいと混乱してますが...」

 

「彼等は人間に変身する力を持っていた。その人間に変身している自分を本来の姿だと思い込んでしまったのだ。それが月の雫(ムーンドリップ)による記憶障害」

 

「でも...それじゃあリオンたちはなんで平気だったの?」

 

ルーシィの疑問にタイガはあることに気付いた。

 

「そうか...奴等は"人間"だからだ。この記憶障害は"悪魔"にだけ効果があるってことか」

 

「そういうことだ。あの遺跡に村人だけが近づけないのも彼等が悪魔だからだ。聖なる光をたくわえたあの遺跡には闇の者は近づけない」

 

 

 

「さすがだ...君たちにまかせてよかった」

そこに一人の男が現れた。

 

「魔導士さん、ありがとう」

 

「ボ...ボボ...」

 

「幽霊!!!」

「あああああっ!!!」

「船乗りのオッサンか!!?」

 

「「「......誰?」」」

 

村長が「ボボ」と呼んだ悪魔を見てルーシィとハッピーは震えだし、グレイは驚いた。ナツ達がガルナ島に来る際、船を出してくれた船乗りだが、いつの間にか船から消えており、村人達によるとボボは死んだと聞かされたからだ。

しかし事情を知らないタイガ達3人は誰なのか分からず困惑する。

 

 

「え...!!?だって...ええ!!?」

村人の一人がボボ本人と彼の墓を交互に見て驚く。

 

すると彼は笑いながら

「はははっ!胸を刺されたくれぇじゃ悪魔(オレたち)は死なねぇだろうがよ」

 

グレイはある疑問を持つ

「あ...あんた...船の上から消えたろ...」

 

「あの時は本当の事が言えなくてすまなかった」

ボボは背中に悪魔のような(ていうか悪魔そのもの)翼を出し空を飛んでいた。船から消えたのはその為だ。

 

「オレは一人だけ記憶が戻っちまって、この島を離れてたんだ。自分たちを人間だと思い込んでる村のみんなが怖くて怖くて」

 

そして村長は目に涙を浮かべ、自分も翼を出し

「ボボーーー!!!」

息子に向かって飛び上がる。

 

「やっと正気に戻ったな親父」

こうして父と子は再開を果たし、他の村人達も翼を出し喜び合ってた。

 

その様子を見たナツ達は

「ふふ...悪魔の島...か」

 

「生きてたー」「ボボが生きてたぞー」「やったーーーっ!!!」「めでたいぞーーー!!!」

 

「でもよ...みんなの顔見てっと...悪魔ってより天使みてーだな」

 

「いや...本当の天国にいる天使って実はこんなだったりしてな」

「死んでみてからのお楽しみね」

「ね~」

 

「アンタら...発想がちょっと怖いわよ...」

 

 

「今夜は宴じゃーー!!!悪魔の宴じゃーーー!!!」

 

「なんかすごい響きね、それ...」

「あい...」

 

 

 

その様子を離れた木の上から見ていたザルティの横の水晶に通信が入る。

 

「ご覧になりました?」

 

『ああ...なぜ村を元通りに?』

 

「サービス♡」

 

『やれやれ...しかし...思いのほかやるようだな...妖精の尻尾(フェアリーテイル)、オレたちの邪魔にならなければいいがな』

 

「そうね」

そしてザルティは仮面を取ると女の姿へと変わった。

その正体は魔導評議院の検証魔導士ウルティア。

そして通信の相手は同じく評議員の一人ジークレインである。

この二人は後に妖精の尻尾(フェアリーテイル)と対峙するのだが、それはまだ先の話。

 

 

 

ナツや村人達が宴をしている様子をタイガは少し離れた所に座り込んで眺めていた。

 

グレイが村の娘達に誘われ、悪魔のフリフリダンスなるものを踊り、ツバサは自分の淹れたコーヒーを村人達に振る舞っていた。その苦さに例のごとく全員が噴き出していた。

 

 

それを眺めているタイガの所にサクラがやってくる。

 

「こんな所で一人で何やってんの?」

そう言ってサクラはタイガの隣に座った。

 

「いや...ああいうのを眺めるのも楽しくてな...」

 

「そういえば、ナツ達4人はタイガの試練を合格したってことでいいの?」

 

 

 

 

 

~出発前 妖精の尻尾(フェアリーテイル)

 

ガルナ島への出発の前、ギルドの奥でタイガとマカロフは話をしていた。

 

「あの4人を試したい?」

 

「はい...「俺が依頼を引き継ぐからお前等は帰れ、そうすれば破門だけは許してやる」これに対してアイツらがどんな答えをだすのか、それによってアイツらへの処遇を決めます。もちろん、マスターからのお仕置きは別として」

 

「どういうつもりじゃ?」

 

「勝手に行ったとはいえ、S級クエスト...失敗や俺達が手伝うならともかく、破門を免れたくて投げ出すようなら今後も受ける資格は無い」

 

「じゃあ...アイツらがお前に依頼を引き継ぐと言ったら...?」

 

「その時は...ナツ、グレイ、ハッピー、ルーシィの4人は『S級魔導士昇格試験』への参加資格を永久に剥奪。受験生としてだけでなく、パートナーとしても」

 

「!!?...そこまでか!?」

 

「ギルドの掟を破ってまで受けた依頼を途中で投げ出すような魔導士は妖精の尻尾(フェアリーテイル)にはいない。そうでしょ?」

 

「...分かった...現場での判断はお前とエルザに任せる。そのかわり、全員で帰ってこい」

 

「はい!」

 

 

 

~現在 ガルナ島~

 

「そういえば、ナツ達4人はタイガの試練を合格したってことでいいの?」

 

サクラのその問いにタイガはフッと笑い

「まっ...とりあえずはってところだな」

 

 

こうしてガルナ島での仕事が終わり村人達との宴は夜更けまで続いた。

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