ある日の
タイガはツバサの淹れたコーヒーを飲んであげていた。
「どう?」
「まだ少し苦いな」
するとそこにルーシィがやって来た。
「ねえ、前から聞こうと思ってたんだけど」
「何だ?」
「タイガとツバサってどうやって出会ったの?」
「どうしたんだ?急に」
「この間ミラさんから、ハッピーが生まれた時のことを聞いたんだけど、タイガ達のことも気になって」
「そっか...タイガが
「そうだな...あれは俺が光竜リュミエールと別れて少しだったか、あの頃の俺はいろんな所を旅してたんだ」
タイガは昔のことを語り出した。
~6年前~
光竜リュミエールがいなくなってから一年、タイガはフィオーレの各地を旅していた。
ある日、彼は山の中を歩いていた。
「そろそろ日が暮れるな...今日はこの辺りで野宿か」
「グァーーー!!!」
すると山頂の方から大きな鳥が一羽飛んでくるのが見えた。その足には大きな卵が掴まれていた。
「丁度良い!今日の晩飯が自分から来たか...光竜波!!!」
タイガは鳥に向かって光竜波を撃つ、しかしわずかに外れて驚いた鳥が掴んでいた卵を離してしまった。
「!?...キャーッチ!!」
タイガはそれに気付き卵が地面に落ちる前に受け止めた。
バサ!バサ!
「あ!?...おい待てーー!!今日の晩飯ーーー!!!」
しかし卵に気をとられたせいで、鳥の方は取り逃がしてしまった。
「はぁ...まぁ良いか!こんだけでかけりゃ十分か」
改めてタイガは手に入れた卵を見てみると、その卵には妙な模様が入っていた。
「ゆで卵...いや目玉焼きも良いなぁ、米もあるしどっかで別の鳥を捕まえて親子丼って手もあるなぁ」
タイガは卵をどう料理しようか考えていると、卵が動き出した。
「ええ!!?」
...ドクン...ドクン...
卵に耳をあててみると微かだが、鼓動のような音が聞こえた。
「マジかよ...」
もうすぐ生まれるとなると、さすがに気が引けたのか食べるのを止め、試しに孵してみる事に決めた。近くに丁度良い洞穴を見つけ、持っていた毛布で卵を包み、焚き火の近くに置いて孵るのを待っていた。
近くの川で釣った魚を焼きながら、タイガは卵に向かって話しかける。
「お前...何の鳥なんだ?...いや、蛇や
そして焼き上がった魚を食べてると
「!?...まさか、バードンやグエバッサーの卵じゃないよな?」
そうして卵の世話を始めてから数日後
ピキッ
卵にヒビが入りだした。
「お!!...」
やがてヒビは卵全体に広がり。
パカー
「にゃーー!!」
出てきたのは羽の生えた銀色のネコだった。
「ええーーー!!!ネコーーー!!?」
生まれたネコはしばらくタイガの周りを飛んだ後、疲れたのか少しずつ高度を下げ、タイガの腕の中に降りてきた。
自分の腕の中で休むネコを見て、タイガは親のいなかった自分を育ててくれたドラゴンとの日々を思い出していた。
「...これも何かの縁か」
その時タイガはこのネコを育てようと決めたのだった。
「お前、俺と一緒に行くか?」
「?...にゃ~!!!」
ネコもタイガを気に入ったのか返事はYESのようだ。
「じゃあ、まずはお前の名前だな」
タイガはさっきネコが翼を出して飛んでいたのを思い出し
「翼...よし!お前の名前はツバサだ!!」
「ちゅ、ば、さ...ツバサー!!!」
「よろしくな!ツバサ!!!」
「にゃーーー!!!」
タイガはツバサを「高い高ーい」のように抱え上げた。するとあることに気付く
「あ!?......お前...女の子?」
「にゃ?」
タイガの旅はツバサが加わったことで、賑やかなものとなった。まずはツバサの為に服を買ってあげ、かつて自分がリュミエールにしてもらったように、言葉や文字も教えた。
時には
「はぁ!!」
ツバサは玉状の魔力を撃ち、小さな岩を破壊した。
「だいぶ出来るようになったな」
「タイガの特訓のおかげだよ」
自分の身を守れるようにと、タイガは護身術としてツバサに魔力を使った戦闘も教えていた。
そんな旅の途中、ある町で立ち寄ったカフェでタイガは女性店主と話をしていた。
「魔導士ギルド?」
「ええ...この近くにありませんか?」
「一番近いのは、マグノリアにある
「
「うん!...!?」
タイガは店を出たが、ツバサはあるものを目にする
「マスター!オリジナルブレンド一杯」
「は~い!ただいま!!」
カフェのマスターが客の注文を受け、コーヒーを淹れる姿だった。
それを見たツバサは
(カッコイイ~~!!!)
「ツバサ~!!」
「あ!!は~い!!!」
タイガに呼ばれツバサは店を後にした。
ツバサはタイガの頭の上に乗っかる。
「ねえ、どうして魔導士ギルドをさがすの?」
「今までは指名手配の賞金首とかを捕まえて、金を稼いでたけどさすがに二人分の生活費を稼ぐのも限界があるからな...ギルドに所属して依頼をこなした方が確実に稼げる」
「そっか~」
二人はマグノリアの街にやって来た。
「着いたぞツバサ!...ツバサ?」
「zzz...zzz...」
タイガの頭に乗ったままのツバサはいつの間にか寝ていた。
「しょうがないなぁ...!?」
ツバサの口からはヨダレがだらーっと垂れていた。
「ああっ!おい!!ちょっヨダレ垂らすなぁ!!!」
そしてタイガ達はある建物にたどり着く。
「ここが
「大っきいね~」
するとツバサはあるものに気付く。
「ねえタイガ!あの子」
「ん?」
二人の目線の先には自分たちと同じように建物に入ろうとする黒い髪の少女がいた。
「ねえ!君もここに用があるの?」
「え?」
ツバサが声をかけると少女はこちらを向く。
すると
「うわーー!!!」
建物から桜髪の少年が飛んできて
ゴーーーン!!!
少女と少年の頭がぶつかり合った。
「あ...あ......」
少年は額に大きなたんこぶを作って気絶したが、少女の方は全くの無傷だった。
「上等だ!!表出ろナツ!!!...ん?」
「もう出てます...あい?」
続いて建物からオレンジのオールバックの男と、ツバサのような羽の生えたネコが出てきて気絶している少年とタイガ達に気付いた。
「ナツ!!大丈夫!!?」
「ったく、いくらギルダーツにぶっ飛ばされたからって弱すぎだろ...」
今度は銀髪の少女と上半身裸の少年が出てきた。
「あの...その子を気絶させちゃったのは...あたし...」
「「「え?」」」
「ところで、お前等は誰だ?うちのギルドに何か用か?」
そこでオールバックの男がタイガに尋ねた。
「ああ、俺とコイツは加入希望者です。そっちの子は知らないけど...あなたがここのマスターですか?」
「いや...オレじゃねえが、そういう事なら中に入りな!!」
自分に話しかけた男、ギルダーツに案内されタイガとツバサ、そして入り口であった少女は建物の中に入りギルドマスターであるマカロフと話をし、
「今日はめでたい日じゃ~!!!なんとこのギルドに三人もの新入りが入ることになった~!!!」
マカロフのその言葉に歓声が上がる。
「では、自己紹介を頼む」
「えっと...サクラ・チェリッシュです。よろしくお願いします」
タイガ達が入り口で出会った少女、サクラも同じく加入希望者だった。
「俺はタイガ・グラウス。そしてコイツは」
タイガは自分の肩に乗っていたツバサを下ろし。
「ボクはツバサ!!皆~よろしくね!!!」
「あのネコ喋った!!?」「スゲー!ハッピーのメスだ!!」「ハッピーより可愛くね!?」
すると青ネコ、ハッピーは
「......(キューーン)!!?」
「?...どうした?ハッピー」
「い...いや、なんでもないよ...」
桜髪の少年、ナツに尋ねられるも何でもないと答えたが、その様子はまさに一目惚れした少年のそれであった。
「そういえば、サクラの魔法はさっき聞いたが、お主等はどんな魔法を使うんじゃ?」
「ボクはコレ」
ツバサは羽を出し、ギルドの中を飛び回る。
「オイラと同じだ~!!」
ハッピーも羽を出しツバサと一緒に飛ぶ。
「俺は滅竜魔法だ」
「滅竜魔法!!」
滅竜魔法というワードにナツが反応し、タイガへと近づく。
「なあ!!もしかしてお前も
「!!?...あ、ああ」
「オレもだ!!!」
そう言ってナツは自分の拳に火を灯した。
「オレは炎の
「これだ...」
そう言ったタイガが小さく息を吸うとナツの拳の炎が小さくなり、ギルドの中が暗くなった。周りの光がタイガに吸われると彼の手に小さな光の玉が作られる。
「俺は光の竜...光竜リュミエールから魔法を教わった、光の
「なあタイガ!イグニールってドラゴンに会ったことねえか?オレの父ちゃんなんだ!?」
「いや...そんなドラゴンには会ったこと無いな...」
「そっか...じゃあさ」
その後もナツからのいくつもの質問攻めにあうタイガであった。
その様子を離れたところから見ていたマカロフとギルダーツは
「ナツのヤツ、随分と絡んでいくのぅ」
「よほど嬉しいんだろ...自分と同じ
~現在
「こうして、ボクとタイガ、そしてサクラは
「まさか、最初はツバサを食べる気だったなんてね......」
「いや!大きな卵を手に入れたらそりゃ食おうとするだろ...ていうかさすがの俺も生まれるとなったら食わねえよ」
するとツバサがタイガにあることを尋る。
「ねえタイガ...前から聞こうと思ってたんだけど」
「何だ?」
「もしボクが男の子だったら、なんて名前にしたの?」
「おお!!よくありそうな質問ね」
どうやらルーシィも気になるようだった。
「そうだな......羽が生えてるから、『ハネジロー』だ!!!」
「「.........」」
タイガの発言にツバサとルーシィが固まった。
「ルーシィ...ボク、女の子で良かったって心から思うよ......」
「冗談だよ!男でもたぶん『ツバサ』って名付けてたさ」
そしてタイガはツバサの頭に手を置いた。
「それにお前が女だって気付いたのは、名付けた後だぞ」
「そうだったね!!」
「ツバサって単純ね...」
「じゃあタイガ、そろそろ行こっか」
「ああ」
「どこかに行くの?」
「仕事だよ!タイガ、今日はちゃんとアイマスク持った?結構遠い所らしいよ」
「オカンかお前...大丈夫ちゃんと持ったよ」
そう言ってタイガは荷物からアイマスクを出した。
「じゃあミラ、行ってきま~す!!」
「は~い!気をつけてね」
タイガとツバサはギルドを出て出発した。
「皆へのお土産、何が良いかな~?」
「温泉地らしいから、饅頭とか良いんじゃないか?」
二人が見えなくなったところでルーシィはミラに尋ねる。
「ミラさん...そういえば二人は何の仕事に行ったんですか?」
「たしか...あ!これね、「火山の悪魔退治」」
次回から、幽鬼の支配者編がスタート。
あと、前回の「チェンジリング」の裏話をスピンオフの方に投稿しています。