先日アンケートで1位となった、サクラが主役のオリジナル回です。
この日、
「ツバサったら...あの手はどう見てもパーだったじゃない...」
サクラはチョキの自分の右手を見てそう呟く。
すると
「ば~ぶ~」
「?」
ふと声が聞こえた方を見ると、川上からゆりかごが流れていた。中には赤ちゃんが笑いながらこちらを見ていた。
「...まさかね」
サクラは何かの見間違いと思い、立ち去ろうとすると
「だ~~」
「ちょっと待って~!!!」
再び聞こえた声に見間違いじゃないと気付き、サクラは流されていくゆりかごを追いかけた。これがサクラにとって長い一日の始まりだった。
「「「苦ぇ...」」」
三人はいつものごとく苦い顔をしたが、
「美味しいね~...でも僕は前に飲ませてくれた方が好みかな」
ロキだけは美味しいと言った。
「ふむふむ...なるほど~」
ツバサはその感想を聞き、自分の研究ノートにロキの好みをメモした。
「じゃあ僕は行くよ。仕事前にツバサのコーヒーを飲めるなんて、ついてたね~」
そう言ってロキは仕事に向かうのだった。
「はぁ~~」
「あら、ルーシィどうしたの?」
カウンターテーブルで落ち込んだ様子でいるルーシィにミラが声をかけた。
「同じ日に結成して、似たような依頼をこなしてるはずなのに...何であたし達とトライスクワッドってこうも違うの~~」
ルーシィの悩みは自分たちのチームとトライスクワッドとの仕事での出来の違いだった。
「たしかに、どっちにも
「そうなんですよ...ナツ達ったらこの間もやり過ぎちゃって...あ~こんな事ならあの時あたしもタイガ達と組んでたらぁ~」
するとルーシィはタイガとツバサに向かって手を合わせて頼み込む。
「お願い!今からでもあたしもそっちのチームに」
「「断る」」
「即答!!?」
ルーシィの異動願いはすぐに却下された。
そこへ
「みみみ、皆!大変!!!」
ずぶ濡れのサクラが走ってやって来た。その手には先程川に流れていたゆにかごがあった。
「あ~~」
その中で笑っている赤ちゃんを見たマカオとワカバは
「!?...生んだのか?」
「違ぇーだろ!生まされたんだよ」
「どっちも違うわーーー!!!」
二人に怒鳴ったサクラはその子が川を流れてきたことを皆に説明した。ちなみに体と服はナツの炎で乾かした。
「川から流れてきたの?」
「おいおい...どこの昔話だよ...」
ルーシィとグレイがそう言うと
「その前に、確かめなきゃならない事があるわ...お父さんは誰?」
「ミラさ~~ん!!?」
ミラの発言にサクラは大声でツッコんだ。
そしてツバサがサクラに詰め寄り
「ねえねえ...誰なの?誰ツ?誰イ?誰フマン?誰ザック?」
「ちょ、ちょっとツバサ...」
面白そうに聞いてくるツバサにサクラは戸惑う。すると今度はタイガが
「誰サス?誰トガン?それとも誰ザか?」
ガン!!!
エルザがタイガを思いっきり殴った。おそらく誰ザというのが自分だと思ったからだろう。彼女に殴られたタイガは、大きなたんこぶができた頭をおさえてうずくまる。
「おい、何で今の中に私が入っている?」
「別にお前のことだなんて言ってないだろ?...ス
ガン!!!
再び殴られ、たんこぶが二段になったタイガはその場にうつ伏せに倒れ、動かなくなった。
「あ!?分かった!!誰ーシィとの子供だ!!!」
「あんた!もういいから!!!」
ハッピーの発言に今度はルーシィがツッコんだ。
「でも本当にどこの子かしら?」
ミラが疑問に思うと
「ここに来るまでに、街の人にも聞いてみたんだけど、誰も知らないって...だから皆にもこの子の親を探すのを手伝ってもらおうと思って」
「任せろ!!燃えてきたーーー!!!」
ナツが大声を出すと、その声に赤ちゃんがビクッと驚き今にも泣きそうな顔になる。
「!?...う~~~」
「ちょっと!驚いちゃったじゃない!!あ~ごめんね~、よしよし~~」
ルーシィが赤ちゃんをあやそうとゆりかごから抱き上げるが
「ん~~~」
機嫌が直らず、ルーシィの顔を手で押しのけまたぐずりだす。
「ここは任せなって」
今度はワカバがあやそうと抱き上げる。皆忘れているかもしれないが、ワカバには妻と娘がおり子供の扱いには自信があった。かくいうこの小説の作者も先日原作漫画を読み返した際、そういう設定があったことを思いだし、ここで出しておくことにしたのだ。そもそもマカオの息子のロメオはちょくちょく出てるから覚えているが、ワカバに関しては顔だけ登場した妻と全く登場しない娘のことを覚えている読者はそういないだろう。
「っておい!なんかオレに関する説明長くねーか?」
「や~や~や~」
ワカバがナレーションに対してツッコんでいると、抱き上げた赤ちゃんに顔を何度も蹴られた。
「もう...ワカバはタバコ臭いんだから...ごめんね~臭かったね~」
サクラがワカバから赤ちゃんを奪い、自分の腕で抱いていると
「う...きゃはは~」
サクラが抱いた途端に赤ちゃんは笑顔になり、サクラに向かって手を伸ばす。
「あらあら、どうやらサクラに懐いたようね。まるでお母さんと娘みたい」
「サクラの腕は抱かれ心地最高だもんね~」
赤ちゃんを一瞬で笑顔にしたサクラにミラは感心し、ツバサはいつも抱き上げられているサクラの腕に納得した。ちなみに赤ちゃんに懐かれず、泣かれてしまったルーシィとワカバは隅っこで体育座りして落ち込んでいた。
落ち込んだ二人を見たグレイとタイガは
「タイガ...先にあの二人を治してやれよ」
「心の傷は治せねえよ...」
こうして
ナツとルーシィとハッピーが住宅街をさがしているが、手がかりは何も掴めなかった。
「見つかんねえなー」
「街の人たちが知らないんじゃ、やっぱり他所の子かな?」
「そうなると...他の街を探した方がいいかしら?」
「!?...オ、オレは列車乗らねーぞ!!!」
するとそんな三人に話しかける女性がいた。
「ル、ルーシィお嬢様!?」
「?...あ!?あなたは」
その頃、トライスクワッドの三人はサクラが赤ちゃんを見つけた川原に座っていた。こちらも手がかりは何も掴めていなかった。ちなみに例の赤ちゃんはサクラの持つゆりかごの中ですやすやと眠っている。
「どこにもいないね~」
「
「何だよそのユリって?」
サクラはゆりかごをタイガに向けて傾ける。
「この子の名前。呼び名があった方がいいでしょ」
サクラはいつの間にか赤ちゃんにユリという名前を付けていた。川上からゆりかごに乗って流れてきたからユリと名付けたのだろう。
するとツバサはサクラとタイガ、そしてユリを見て微笑んだ。
「フフ...なんかそうしてると、まるで親子みたいだねぇ。タイガがお父さんでぇ、サクラがお母さんでぇ、ユリちゃんが娘!」
それを聞いたサクラは顔を赤くして
「ちょ!...何言ってんのよツバサ!!あたしとタイガは別にそんなんじゃ」
するとタイガが
「それより、どうするんだ?」
「何が?」
「もしもユリの親が見つからなかったら、サクラが育てるのか?」
「...それは」
サクラは不安になる。このまま親が見つからなかったら、ユリをどうするべきなのか。孤児院に入れるのが良いのだろうか、自分で育てるにしてもしっかり育てられるのだろうか。しかしそんな不安もすぐに軽くなる。
「大丈夫だよ」
ツバサがサクラの手を握る。
「サクラには、ボクもタイガもいるんだから」
「...うん!」
そしてタイガが立ち上がり
「もう少し休んだら、また探してみるか...ユリの親も探してるかもしれないし」
「「うん!」」
「そういえば、ボクはユリちゃんからしたら何かな?おばさん?それともお姉さん?」
「何の話だよ...」
「だってボクは、タイガの妹で娘だもん!もちろんサクラの妹で娘でもあるけど」
「妹か娘かどっちかにしろよ...」
「フフフ...それじゃ二人とも、行こっか」
サクラも立ち上がり、捜索再開しようとしたその時
「あ!いた!...お~い!!」
ハッピーが三人の所に飛んできた。
「ぱ~~!ま~~!」
「この子を保護してくれてありがとうございます」
「本当に、なんとお礼を言っていいのか...ルーシィお嬢様」
「あたしは別に何もしてないわよ。お礼ならその子を見つけたサクラに言ってあげて」
「そうでしたか...サクラさん、ありがとうございます」
「そんな...けど、ご両親が見つかって良かったです」
そう、この夫婦はユリの両親であり、ルーシィの家の使用人でもあった。先日娘が生まれ、マグノリアの近くを旅行していたが、馬車を休ませている時にユリの入っていたゆりかごが鳥に攫われたというのだ。おそらくその鳥がどこかの川にゆりかごを落とし、それをサクラが見つけたのだ。
ツバサはユリに別れを告げるため、
「元気でね、ユリちゃん」
「あ~~~」
「ユリ?」
母親は娘が知らない名前で呼ばれたことに疑問を持つ。
「あ!あたし達はそう呼んでいたんです」
「ユリ...とても良い名前ですね」
「実は、僕達の両親や使用人仲間からも名前の候補はいくつか貰っていて...どんな名前にするか迷っていたんです」
「でも、あなたが付けてくれた名前なら、この子も喜んでくれると思います」
こうして赤ちゃんの一先ずの呼び名だったユリは、この子の正式な名前として命名された。
「ほらユリ、サクラお姉ちゃんに挨拶して」
「う?」
「またね...ユリ」
サクラはユリの小さな手を握り、別れの挨拶を交わす。その目にはうっすら涙が浮かんでいた。
すると
「うぅ...え~~~ん」
ユリは突然、大声で泣き出した。
それを見た母親は
「あらあら...この子、あなたのことが大好きになったみたいね」
その言葉にサクラは心が温かくなってきた。今日川で偶然出会い、半日程過ごしただけの自分をこんなに好いてくれたことを嬉しく思った。
「あの...たまに、会いに行っても良いですか?」
サクラのその言葉に夫婦は
「「勿論」」
二つ返事でOKしたのだった。
ユリと両親は最後にサクラ達にもう一度感謝を述べ、マグノリアを去って行った。
それを見送るルーシィにツバサが言葉をかける。
「良かったねルーシィ」
「本当ね、両親が見つかって良かった」
「それもだけどさぁ...」
「?」
「これで、お父さんに会いに行く口実ができたね」
「え!?」
「あたしはただ、ユリちゃんに会いに来ただけなんだから!勘違いしないでよね!」
「ちょっと!ツバサ!!」
そして二人より前の方で見送っていたサクラとタイガは
「さぁ...俺達も帰ろうぜ、サク...ラ!!?」
「ぶえええ~~~ん」
サクラは目から涙を滝のように流しており、タイガはその様子に驚く。
「お...おい、サクラ?」
「べ...別に泣いてないもん!見んな!寄るな!あっち行けバカ!!」
サクラは今だ滝の涙を流しながら、タイガに向かって腕を振っていた。
「おい!何か俺が泣かしてるみたいじゃねーか」
こうしてサクラにとって長い一日が終わった。
教えて!!ハッピー先生
ハッピー先生「あい!またも質問コーナーです」
「ペンネーム『一児の母』さんからの質問」
Q:少し前の話になるのですが、ルーシィとミコのデート回でトライスクワッドの三人はみんな料理が得意とのことでしたが、三人の得意料理は何なんですか?
「あい!ズバリお答えします」
「ツバサは和洋中あらゆる料理が得意ですが、特に魚料理が得意です。とても不味い羽魚も美味しく調理出来るほどです」
「サクラは和食が得意です。包丁の使い方がとても上手で、その腕前はリンゴの皮むきの際、途切れずに全部むけるほど」
「タイガは意外にもお菓子作りが得意で、スイーツ好きのサクラやエルザから高評価を貰うほどです。最近は太りにくいお菓子の研究をしてるそうです」
「というわけで、今日の授業はここまで、起立!礼!あい!!」