「うぅう、うぅあう...もーーー!!!こんなもの絶対ぶっ千切ってやるんだからーーー!!!」
体を縛られながらも、ルーシィはじたばたしてポケットから星霊の鍵を落とした。そしてそれを拾い、星霊を呼び出そうとする。
「ひ...開...巨蟹宮...の...扉...キャンサー!!!」
しかし何も起こらなかった。
「あ...あれ?...キャンサー!!!タウロス!!!ロキ!!!出てきて!!!」
どうやらミリアーナの魔法で出したロープには魔法を封じる力があるようだ。そうしてる間にも彼女を縛るロープはさらにキツく締め上げる。
(魔法が...使えない!!?...うぅ...どんどんキツく)
そこへ
「ルーシィ!!!」
「!?...タイガ!!!」
タイガが到着した。彼は縛られたルーシィを見て
「何それ......新しい趣味?」
「違うからーー!!!」
「冗談だ...じっとしてろ、今斬ってやる」
「うん...お願い」
タイガは右手に魔力を集め、大きめの光輪斬の形にする。光の輪が大きな音をあげて回転しだすとルーシィは慌てて
「ちょっとーー!!死ぬ死ぬ!!死んじゃうからーーー!!!」
「冗談だ」
「たまにアンタが恐く見えるわ...」
タイガは改めて右手に魔力を集め、光の手刀でルーシィを縛るロープを切り裂いた。
「ありがとうタイガ」
「他の奴等を捜すぞ」
二人は分かれ、ナツ達を捜して走り出す。
「ナツー!!!グレーイ!!!サクラー!!!」
ルーシィはグレイを見つけたが、彼の胸には鉄の棒が突き刺さっており、ピクリとも動かなかった。
「グレイ...そんな...嘘でしょ!!!ねぇ!!!ちょっと!!!...どうしよ、冷たい」
するとグレイの体にヒビが入っていき
「え」
砕け散ってしまった。
「きゃあああっ!!!」
「安心してください」
「ひっ」
今度は近くの水たまりが起き上がり、人の形になっていく。
「あ...あんたは!?エレメント4の!!?」
「グレイ様はジュビアの中にいました」
「ぷはー」
起き上がった水はジュビアであった。彼女は体を水に変えることができ、自分の体にグレイを隠していたのだ。
「な...中...あは...あはは...」
ジュビアはルーシィに近すぎるぐらい顔を近づける。
「あなたではなく、ジュビアの中です」
「う...うん...そうね...」
「突然の暗闇だったからな、身代わり造って様子を見ようと思ったんだが」
グレイはそう言いながら、濡れた上着を脱ぎ始める。
「敵にバレないようにジュビアが
「余計な事しやがって!逃がしちまったじゃねーか」
「ガーン...」
ルーシィはグレイ達の近くで気絶しているサクラに気づく。
「!?...サクラ!?しっかりして!!!」
「ん...ルー...シィ......」
「すみません...ジュビアの中は一人しか入れられず、グレイ様を守るので精一杯でした」
「いいわよ...二人が無事で良かった」
「それより、ナツやエルザは?」
「ナツは今タイガが捜してる...エルザは...」
ドゴオン
「「「「!!!」」」」
突然巨大な火が燃え上がり、一つの影が跳び上がった。
「痛えーーーっ!!!」
「ナツ!!!」
跳び上がったのは頭に大きなたんこぶを作ったナツだった。そして彼の跳び上がった方からタイガが歩いてくる。
「気絶していたから、取りあえず叩き起こした」
「そ...そうなんだ...」
ナツは着地して
「普通口の中に鉛玉なんかぶち込むかよ!!?痛えだろ!!!ヘタすりゃ大ケガだぞ!!!」
「普通の人間なら完全にアウトなんだけどね...」
「あんの四角野郎ォォ......逃がすかコラアァァーーー!!!」
ナツは怒りを燃やし、外へと走り出した。
「追うぞ!!!」
「追うって言っても、どこにいるのか」
「あいつの鼻の良さは獣以上なんだよ」
こうして一同はナツの嗅覚を頼りにエルザ達を探し出した。
タイガ達は飛び出したナツについて行ったが、今は何故か小舟に乗って海の上にいた。
「ねえ?カードに閉じ込められた人達、助かったかしら?」
「軍には知らせておいたから、今頃何とかなってるはずよ」
「なら良いけど...」
「つかよぉ...どこだよ、ここはよぉ!!!」
「ジュビアたち、迷ってしまったんでしょうか?」
「ねえナツ、本当にこっちであってるの?」
「お...おお...おお...」
行き先を言ったナツは何時もの如く船に酔っていた。当然タイガも船酔いでダウンしており、サクラが介抱していた。
「オメーの鼻を頼りに来たんだぞ!!!しっかりしやがれ!!!」
「グレイ様の期待を裏切るなんて信じられません」
するとタイガが力ない声で喋り出す。
「う...大丈夫だ...エルザとハッピーの魔力は...遠くて分かりずらいが...う...ツバサは...確実に...こっちにいる...おぇ...」
そして喋り終わるとまたダウンした。
「くそっ!!!オレたちがのされてる間に、エルザとハッピーとツバサがつれてかれるなんてよ。まったく...情けねえ話だ」
「でも...エルザさんほどの魔導士がやられてしまうなんて......」
「あ?...やられてねえよ...エルザの事、知りもしねえくせに...」
ジュビアの言葉を聞き、グレイは彼女をギロっと睨む。
「ご...ごめんなさい」
「グレイ!!落ち着いて!!」
「ちっ」
サクラに言われ、グレイは座り込む。
「あいつら、エルザの昔の仲間って言ってた...あたしたちだってエルザの事、ぜんぜんわかってないよ......」
するとルーシィは船の先にある物を見つけた。
「あ...塔だ!あれが...楽園の塔!?」
~塔 内部~
その頃、連れ去られたハッピーは目を覚まし
「!!」
その部屋の様子に驚く
「ネコーーー!!!ネコだらけーーー!!!」
その部屋はソファや時計、ぬいぐるみに至るまで全てネコグッズで統一されていた。
「なんだここは!!?ナツー!!どこー!?はっ!!ツバサ!?起きてツバサ!!!」
ハッピーは自分の隣で眠っていたツバサに気付き彼女を起こした。
「ん...ん?ハッピー?」
そこへ
「みゃあ」
「「!!!」」
彼等を連れてきたミリアーナが現れる。
「元気最強?」
「......」
「元気最強?」
ミリアーナの謎の挨拶にツバサは戸惑い、ハッピーはとりあえず同じ挨拶を返す。
「みゃあー!!!しゃべるネコネコだー!!!」
[ミリア...もっとダンディになりな]
「みゃあ?」
「おまえは!!?」
続いてカクカクした男ウォーリーもやって来た。
[ネコがしゃべるんじゃねえ、しゃべるからネコなんだゼ]
「「そっかー」」
「ぜんぜん意味わかんないし!!!てかツバサも納得しないでよ!!!」
ハッピーはウォーリーに尋ねる。
「ここはどこだ!!!ナツはどうしたんだーーーっ!!?」
[ヘイキャーッツ...ボーイは今頃、アスファルトに口づけしてるゼ」
「!!!...ナツがあれくらいでやられるモンか」
「そうだよ!!それにそういう話なら、今頃アスファルトじゃなくて棺桶のフタに口づけしてる頃だよ!!!」
[キャッツガール...ソレは仲間に対して酷くないかい?]
ウォーリーがツバサの天然発言に若干引いていると、シモンが部屋に入って来た。
「ウォーリー!!!ミリアーナ!!!エルザが脱走した!!!」
「エルザ!?」
「ここにいるのか?」
「脱走ー♡なつかしいひびきー♡」
[シモン、ダンディになれよ。この塔から逃げられる訳ないゼ]
「逃げねえだろうな...ジェラールを狙ってくるぜ」
[!!!]
「来い!!!」
「みゃあ!!」
[まったく...女ってのは、いつの時代もめんどうだゼ]
三人はエルザを捜しに部屋を出た。残されたハッピーとツバサは
「一体...何が起きてるんだ...?」
一方、タイガやナツ達は塔のある島に辿り着いたが、見張りの数が多く乗り込めずにいた。
「見張りの数が多いな」
「気にする事ぁねえ!!突破だ!!」
「ダーメ!!」
それでも構わず飛び出そうとするナツをルーシィが止める。
「エルザとハッピーとツバサが捕まってる」
「ヘタな事したらエルザ達が危険になるのよ」
「しかも塔らしきものは、ずっと先の方だ。ここでバレたら分が悪いな」
グレイはそう言うと、隣で目を瞑って集中しているタイガに話しかける。
「どうだタイガ...エルザ達のいる場所は分かるか?」
「......エルザは塔の下の方で動き回ってる、何とか逃げ出したんだろ...ツバサはあの辺りだ、間違いない...ハッピーもその近くだ」
タイガは塔のある部分を指さし、そこにツバサがいると確信する。そんなタイガにルーシィが尋ねる。
「アンタ、ツバサの気配はよく分かるのね...ここに来る時も方向を的確に指示してたし」
「アイツが生まれたときからずっと一緒にいるんだ...ツバサの気配ならすぐ分かる」
「そっか...なら、絶対助けないとね!!」
「アイツなら大丈夫だ...むしろ攫ったヤツらの心配をしてやれ」
「どういう意味?」
ルーシィの疑問にタイガが答える。
「ツバサには自分の身を守れるように、護身術を叩き込んできた。魔力を武器の形にする術や拳法、狙撃に空手、柔道にジークンドー...そして極め付けに相手を殺さない程度の暗殺術を少々」
「限度ってモンがあるだろ...」
グレイはタイガとツバサの過去に若干引きながら、弱めにツッコんだ。
すると彼等の後ろの海面から水になったジュビアが出てくる。
「水中から塔の地下への抜け道を見つけました」
「マジか!!でかした」
グレイに褒められたジュビアはルーシィとサクラに詰め寄り
「褒められました!あなた達ではなくジュビアが...です」
「「はいはい」」
「水中を10分ほど進みますが、息は平気でしょうか?」
「10分くれえなんともねーよ」
「「だな」」
「10分ならギリいけるかも」
「無理に決まってんでしょ!!!」
ナツ達四人は10分ぐらいなら平気そうだが、ルーシィだけは無理だとツッコんだ。それを聞きジュビアは水球のような物を作り出した。
「では、これをかぶってください。酸素を水で閉じ込めてあるので、水中でも息ができます」
「ほぉー」
ナツは早速もらった水球をかぶった。
「オマエ、スゲーな。つーか、誰だ?」
「そういえば君、誰?」
今さらながらジュビアと初対面であるナツとタイガが尋ねた。
そして一行はジュビアの作った水球をかぶり、水中から島内へ侵入した。ちなみにルーシィのみ水着を着ている。
「便利ねコレ、マヌケだけど」
「ルーシィさんだけちょっと小さめに作ったのに、よく息が続きましたね」
「オイオイ!!!」
「ここがあの塔の地下か?」
「ああ...ちょうど真下ってとこだろ」
「エルザとハッピーとツバサがこのどこかに」
すると
「何だ貴様等はーーー!!!」
すぐに大勢の敵に見つかってしまった。
「やば」
「ここまできたら」
「やるしかないわね」
「はい!!!」
「行くぞ!!!」
まずはナツが拳を燃やし突っ込む。
「何だ貴様等はぁ...だと!?上等くれた相手も知らねえのかよ!!!」
そして近くの柱を殴り倒す。
「うわっ」「ぬあ」
「
それを皮切りに戦闘が開始される。
「開け!!!処女宮の扉!!!バルゴ!!!」
「お呼びでしょうか?姫」
「メイドだー」「水着娘は引っ込め」
敵の反応にルーシィはムカつき
「お仕置きよろしく」
「では...」
指示に従ったバルゴが兵士達を倒していった。
別の所では兵士がジュビアに向かって攻撃するが、彼女は体を水に変化させ、物理攻撃を無効化した。
「え?」「何だコイツ!!?」
「
「アイスメイク"
そしてサクラとタイガは背中合わせで立ち
「散れ...千本桜!!!」
「光輪斬!!!」
千本桜と光輪斬で、周りの敵を切り裂いていった。
自分たちを囲んでいた敵をあらかた倒し終えると、扉が開き梯子が伸びてきた。
「何か扉が開いたぞ!!!」
「上へ来いってか?」
「四角ーーー!!!」
扉の先の部屋で、ナツは大声で叫ぶ。
「大声出さないの!!」
「下であれだけハデにやったんだ。今さらこそこそしても仕方ねえだろ」
グレイはそう言いながら、テーブルに並べられている料理を食べていた。彼だけでなくタイガ、ナツ、サクラ、ジュビアの四人も食べている。
「何食べてんの!!!」
「食堂のようですので、姫もどうぞ」
「あのねぇ...てかタイガとサクラまで...」
ルーシィは比較的常識人であるはずのタイガとサクラも一緒に食べていることに呆れていた。
「大丈夫、毒は入っていないわ」
「リュミエールが言ってた...戦では何が起こるか分からない、だから食える時にはしっかり食っておけってな」
するとジュビアが話し出す。
「先程の扉ですが、魔法で遠隔操作されたものですよ」
「完全に気付かれているようです」
「じゃあ、一体何で?」
「挑発してやがんのか?」
「挑発...」
するとバルゴはいまだ水着のままのルーシィを見て
「ところで姫、食堂でそのような格好ははしたないかと」
「はしたない!?」
「お召し替えを...」
「って...ここでかい!!?」
ルーシィはバルゴによって着替えさせられる。
「おいおい...」
「グレイ様!!見ちゃダメ!!!」
グレイはその様子に顔を赤くし、ジュビアが注意していたが、ナツ達三人は気にせず食事を続けていた。
「星霊界のお召し物でございます」
「フフフ...どう?似合ってんのは分かってんのよ~」
ルーシィはバルゴが用意した、ドレスのような星霊界の服に着替えた。
「へ~結構可愛いじゃねえか」
「ホント、可愛いわよルーシィ」
「ジュビア悔しい~」
グレイやサクラ、ジュビアから感想を言われると。
「どぅえきてるぅ~」
バルゴが急に巻き舌風にそう言った。
「巻き舌風に言わないの...」
「どこでハッピーのマネなんか覚えたんだ?」
「姫...ご健闘を」
「ありがとうバルゴ」
バルゴは星霊界へと帰って行った。
「水になれるジュビアはおいといて、アンタらよく濡れたままの服着てられるわね」
「「「こうすればすぐ乾く」」」
体を燃やすナツの周りで、タイガ達三人は服を乾かしていた。
「人間乾燥機!!!」
そこへ
「いたぞー!!侵入者だー!!」
「!!!」
新手の兵士達が入ってきた。
「こりねえ奴等だな」
ナツが迎え撃とうと構えると
「ぐほぉ」「がっ」「ふぉ」
「!!!」
エルザが現れ、すべて斬り伏せた。
「エルザ!!!」
「よかった!!!無事だったんだね!!!」
「か...かっこいい」
「!!!お...おまえたちがなぜここに......」
「なぜもくそもねえんだよ!!なめられたままひっこんでたら
するとエルザはジュビアに気付き
「あの...ジュビアはその...」
「帰れ」
「!!?」
「ここはおまえたちの来る場所ではない」
「でもねエルザ...」
「ハッピーとツバサまで捕まってんだ!!!このまま戻る訳にはいかねー」
「ハッピーとツバサが?まさかミリアーナ...」
「そいつはどこだ!!!」
「!!?さ...さあな」
「よし!!!わかった!!!」
「何がわかったんだよ!!!」
エルザとの短い会話で何かを理解したナツに、グレイがツッコんだ。
「ハッピーが待ってるって事だ!!!」
そう言ってナツはどこかへと走り出していった。
「ナツさん!!!」
「オ...オイ...ナツ...」
「あのバカ!!また勝手に......」
「あたしたちも後を追いかけよっ!!!」
ルーシィ達が彼を追いかけようとすると
「ダメだ帰れ」
「!!」
エルザが剣でそれを制した。
「エルザ!!」
「ミリアーナは無類の愛猫家だ。ハッピーとツバサに危害を加えるとは思えん。三人は私が責任をもってつれ帰る。おまえたちはすぐにここを離れろ」
「ダメだよ!!!エルザも一緒じゃなきゃ!!!」
「これは私の問題だ。おまえたちを巻き込みたくない」
「もう十分巻き込まれてんだよ。あのナツを見ただろ」
「......」
「俺達だってチームメイトを攫われてんだ。トライスクワッドとしてはここで帰るわけにはいかない」
「それにエルザだって、逆の立場ならどうするの?あたしたちにそんな風に言われて大人しく帰るの?」
「......」
「エルザ...この塔は何?ジェラールって誰なの?」
「......」
グレイ、タイガ、サクラ、ルーシィにそう言われるが、エルザは何も答えない。
「言いたくないんならいいんだけどさ...あいつらエルザの昔の仲間って言ってたよね。でもあたしたちは今の仲間。どんな時でもエルザの味方なんだよ」
「か...帰れ...」
「エルザ...」
そんなエルザにグレイが
「らしくねーなエルザさんよぉ。いつもみてーに四の五の言わずついて来いって言えばいーじゃんよ。オレたちは力を貸す、おまえにだってたまには怖えと思う時があってもいいじゃねーか」
グレイにそう言われ、振り返ったエルザの左目には涙が浮かんでいた。
「すまん」
エルザは涙を拭き、語り出す。
「この戦い...勝とうが負けようが、私は表の世界から姿を消す事になる......」
「え!?」
「ど...どういうこった!!?」
「これは抗う事のできない未来、だから...だから私が存在しているうちに全てを話しておこう」
エルザは自分の過去を話し出した。
という訳で今回はここまで。
ちなみにツバサは元々体を動かすのが好きなので、タイガのスパルタにも見える特訓に対して、むしろ自分から積極的に取り組んでいました。