マグノリアの街の中をタイガがフラつきながら歩いている。
「お!!タイガ君!!」
「?」
街の人に声をかけられ、タイガは立ち止まる。
「さっきのは何だい?...空に何かが浮かんだと思ったら、突然爆発して」
「え!?...あれは、その~...」
神鳴殿の事など言えるわけもなく、タイガはなんとか言い訳を考える。
「あれは...花火の研究です」
「研究?」
「ほら...ファンタジアの演出も毎年同じじゃつまらないでしょ?...だから、来年から最後に出す花火はどんなのにしようかって、皆で考えてたんです」
「そうだったのか」
「いや~、それじゃ来年を楽しみにしないとね~」
「ところでタイガ君、他の子達に伝えくれんか?」
「?」
「ケンカもほどほどにね。じゃあね」
そう言って住人達は笑いながら去って行った。おそらく先程のバトル・オブ・フェアリーテイルの同士討ちもいつものケンカと思ったのだろう。
「何だろ...この罪悪感...」
再びタイガは教会に向かって歩き出すと、遠くの方で走る少女を見つける。
「レビィ?...」
レビィの走って行く方向も、タイガの行く方と同じカルディア大聖堂だった。
~カルディア大聖堂~
ラクサスと戦っていたナツは次第に追い詰められていくが、そこに加勢に来たガジルと共闘し連続で攻撃を当てていた。
「火竜の...」
「鉄竜の...」
「「
ゴオォォン
2人の
「「!!」」
「二人合わせてこの程度か?...
2人の
「なんもダメージ受けてねえのか!?」
「バカな!!!いくらコイツが強ぇからって...竜迎撃用の魔法をこれだけくらって...ありえねえ!!!」
そんなガジルの疑問にラクサスは答える。
「そいつは簡単な事さ...ジジィがうるせえから、ずっと隠してきたんだがな...特別に見せてやろう」
そう言うとラクサスの八重歯が鋭くなり、腕には鱗のような模様が浮かぶ。そして彼から溢れる魔力にナツとガジルは覚えがあった。
「ま...まさか...」
「ウソだろ?」
ラクサスはナツやタイガのような動作を行う
「雷竜の...」
「おまえも
「咆哮!!!」
ラクサスの口から雷を纏った魔力が放たれ、ナツとガジルは避けきれずにもろに食らってしまう。
「ぐああああっ!!!」
「ああああ」
2人は体が痺れて動けずにいた。
「あ...うあ...」
「くうう...」
「まだ、生きてんのかよ」
「うう...」
「いい加減くたばれよ」
「か...体が麻痺して...」
「おまえらも、タイガも、エルザも、ミストガンも、ジジィも、ギルドの奴らも、マグノリアの住人も...全て消え去れぇぇっ!!!」
ラクサスの体から凄まじい魔力が溢れ、ナツ達は震え上がる。
「な...なんだ...このバカげた魔力は...」
「この感じ...じっちゃんやタイガの...」
ラクサスが発動しようとしているのは、術者が敵と認識したもの全てが標的となる超絶審判魔法...
「
「タイガの未完成なものとは違うぞ...オレのは視界に入らなくても攻撃できる...」
「よせ...ラクサス」
ナツはラクサスを止めようとするが、体がうまく動かず這いずることしか出来ない。
「反則だろ!!!"敵と認識した者全て"が攻撃対象なんてよぉ...」
「うおおおおお」
「ラクサス!!!」
「おおおお!!!」
ラクサスが今にも
「やめてーーーラクサス!!!」
「レビィ!!!」
「バカが...何しに来た......」
「マスターが...あんたのおじいちゃんが......危篤なの!!!」
レビィのその言葉にラクサスとナツは驚きの表情になる。
「だからお願いっ!!!もうやめてっ!!!マスターに会ってあげてぇっ!!!」
「き...危篤?じっちゃんが......死ぬ...?」
「ラクサスぅ!!!」
だがラクサスは
「丁度いいじゃねえか...これでこのオレがマスターになれる可能性が再び浮上した訳だ」
彼の言葉にレビィは涙を流し
「ヤロウ...」
「......」
ガジルとナツは怒りを浮かべる。
「ふははははっ!!!消えろ
「そんな...」
レビィは悲しみに顔を手で覆い
「おまえは...何でそんなに...」
ナツはラクサスを睨むが、その時がついに来てしまう。
「
その瞬間、ラクサスを中心に強烈な光がマグノリアの街全体に広がった。
煙が晴れるとそこにラクサスが立っていた。
「はぁ...はぁ...オレは...ジジィを超えた...」
だが、さらに煙が晴れると
「ゲホッゲホッ」
「ゴホッゴホッ」
「!」
ナツとガジルが咳き込んでいた。
「ケホッケホッ」
「!!」
レビィも無傷のようだ。
「そ...そんなバカな...」
ラクサスは三人が無事なことに驚く。
「なぜだ!!?なぜ誰もやられてねえ!!!」
「おまえ...無事か」
「うん...私は平気、ナツは?」
「......」
「大丈夫そうだ」
「どうなってやがる!!!あれだけの魔力をくらって平気な訳ねえだろ!!!」
そこに一人の男がフラつきながらやって来た。
「ギルドのメンバーも、町の人も皆無事だ」
「フリード!!?」
やって来たのはミラと戦い、ボロボロになったフリードだった。
「誰一人としてやられてはいない」
「そんなハズはねえっ!!!
更にそこにもう一人
「確かに完璧だ...俺が使うものよりもな」
「タイガ!!?」
フリードが続ける
「それがおまえの"心"だ...ラクサス...おまえがマスターから受け継いでいるものは力や魔力だけじゃない、仲間を思うその心」
さらにタイガが
「
タイガの言葉にレビィがあることに気づく。
「心の内側を魔法に見抜かれた...」
「魔法にウソはつけないな、ラクサス...これが、お前の"本音"って事だ」
タイガに心を見抜かれたことにラクサスは動揺する。
「違う!!!オレの邪魔をする奴は全て敵だ!!!敵なんだ!!!」
「もうやめるんだラクサス...マスターの所に行ってやれ」
フリードにそう言われたラクサスは
「ジジィなんかどうなってもいいんだよ!!!オレはオレだっ!!!ジジィの孫じゃねえ!!!ラクサスだああぁぁーーーっ!!!」
「みんな知ってる...思い上がるなバカヤロウ...じっちゃんの孫がそんなに偉ぇのか、そんなに違うのか」
ナツが立ち上がる。
「血の繋がりごときで吼えてんじゃねえ!!!ギルドこそが、オレたちの家族だろうが!!!」
「てめえに何がわかる...」
「何でもわかってなきゃ、仲間じゃねえのか...知らねえから互いに手を伸ばすんだろぉ!!!ラクサス!!!」
「だまれぇぇぇぇっ!!!ナツゥゥゥ!!!」
四人が見守る中、ナツとラクサスはそれぞれ拳に炎と雷を纏い飛び出す。
「うおおおおおっ!!!」
「らあああああっ!!!」
「オレの前から消えろーーー!!!」
「おまえはオレが止める!!!ギルドは死んでも渡さねえ!!!オレたちの帰る場所だから!!!」
「「だああああああっ」」
速さは僅かにラクサスが勝り、ナツを殴り飛ばす。
「ナツ!!!」
「ぐっ」
ナツは吹き飛ばされるも、すぐに立ち上がる。
「だらぁっ!!!」
そして再びラクサスに向かっていく。
「この...死にぞこないがあっ!!!」
しかしすぐにまた倒されてしまう。
「てめえごときが、オレに勝てる訳......」
「う...ぐ...ふ...」
それでもナツは立ち上がろうとする。
「ナツ...」
その姿にレビィは涙を浮かべ、フリードは息を飲んで見守る。
「ギルドはおまえのモンじゃねえ...よ~く考えろ、ラクサス...」
「黙れぇ!!!」
ラクサスはナツが立ち上がる前に、彼を蹴り飛ばす。
「ザコがオレに説教たぁ、100年早ぇよ!!!アァ?」
するとそこへ
「はあぁぁっ!!!」
「ぐっ!!?」
ナツに気が向いていたラクサスの顔をタイガが光を纏った拳で殴った。
「たあぁっ!!!」
「ぐあっ!!?」
そしてすぐに光を纏った蹴りを腹部にくらわせる。
それを見ていたレビィとフリードは
「タイガ...」
「なぜ動ける!?...いくらタイガが強いとはいえ、神鳴殿の
タイガをよく見ると、彼の髪が普段の黒から白に変わっていた。
「白い...髪?」
レビィはその姿を見るのは初めてだが、フリードには見覚えがあった。かつてのラクサスとの勝負でも見せたその姿。
(ドラゴンフォース...そうか!?身体能力を上げて、動かない体を無理矢理)
「てめーもいい加減、くたばれー!!!」
だが、やはり本調子ではなかったために、タイガはラクサスに殴り飛ばされてしまった。
すると、ナツが再び立ち上がる。
「まだ...立つのか...」
何度倒れても立ち上がるナツの姿にフリードはぞくっとなる。
「もうやめてナツ...死んじゃう......」
「ガキがぁー......」
自分に何度も向かってくるナツに、ラクサスは怒りがこみ上げ、雷の槍を作り出す。
「跡形もなく消してやる!!!」
「よせ!!!ラクサス!!!今のナツにそんな魔法を使ったら...」
「
フリードの制止も聞かず、ラクサスは最大の攻撃をナツに向かって放った。
「うう...」
「殺す気かぁっ!!!」
「くそぉ...」
ナツはさすがに限界がきたのか、その場に膝をついてしまう。
「くそおおっ!!!」
動くことができないナツに容赦なく雷の槍が迫る。
「イヤーーー!!!」
レビィが両手で顔を覆い、叫びを上げるが、ラクサスの攻撃がナツに当たることはなかった。
「...?」
さすがに死を覚悟したナツだったが、自分に攻撃が来ないことに疑問を持ち、前を見ると。
「ぐ...ううっ......」
「...タイガ」
自分の前に立つタイガが光竜壁で攻撃を防いでいた。
だが
ピキィッ
「!?」
タイガの光の壁に亀裂が入っていく。ドラゴンフォースを発動しているとはいえ、さすがにこれまでのダメージが大きかったようだ。だが、それでも諦めないタイガはある行動に出た。
すうぅぅ
彼が大きく息を吸うと、雷の槍から光がタイガの口に吸い込まれていき、その形が少しずつ小さくなっていった。その行動の意味をフリードが理解する。
「雷の光を食べて、威力を弱めようというのか!?」
すると雷の槍は突然方向を変えた。その先には腕を鉄の棒にしたガジルがいた。
「うおおおおっ...があっ!!!」
「ガジル...」
「鉄...まさか、自ら避雷針に......」
攻撃をくらったガジルは倒れてしまう。そしてタイガも力尽きてヒザをつく。そんな二人を見たナツは
「ガジル」
「...行け」
「タイガ」
「約束通り...美味しいとこはくれてやる...」
そして倒れた二人は同時に叫ぶ。
「行け!!!ナツ!!!」
「行け!!!
二人の言葉を受けナツは再び立ち上がる。それを見たラクサスは渾身の魔法を放った直後の為、動けずにいた。
「お...おのれ...」
ナツが全身に炎を纏い飛び出す。
「火竜の...」
「おのれぇぇぇぇっ!!!」
「鉄拳!!!」
「がはっ」
ナツの渾身の拳がラクサスに当たるが彼の攻撃はまだ終わらない。
「鉤爪!!!...翼撃!!!...
ナツの連続の攻撃を見たレビィは滅竜魔法の言い伝えを思い出す。
「その魔法...竜の鱗を砕き、竜の肝を潰し、竜の魂を狩りとる...」
そしてナツが最後の一撃を放つ。
「滅竜奥義...
ナツの放った滅竜奥義についにラクサスは倒れた。その光景にフリードは言葉を失う。
(ラクサスが...負けた)
「オオオオオオ!!!」
カルディア大聖堂にナツの声が響く。バトル・オブ・フェアリーテイルここに終結。
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