光の滅竜魔導士タイガ   作:kazuki01

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一年ぐらい前から始まったこのシリーズも、いつの間にかお気に入りが100を超えていたり、評価も付けていただいたりと、皆様には感謝しています。

という訳で今回のお話です。

どうぞ


幻想曲(ファンタジア)

バトル・オブ・フェアリーテイルの騒動の翌日。マグノリアの街は二日目の収穫祭で盛り上がっていた。そんな中、町民の一部が話している。

 

ファンタジア(大パレード)は明日の夜に延期だってよ」

 

「何があったんだ?」

 

「昨日はギルドの奴等が騒がしかったからな」

 

「噂じゃマスターの容態がよくねえらしいぞ」

 

「オイオイ...まさかあのじーさん、引退しちまうんじゃ...」

 

「次のマスターはどうすんだよ」

 

「そこまではわからねえけど、普通に考えればラクサスじゃねーのか?」

 

「あの暴れん坊がマスターねえ」

 

「なんか感慨深いものがあるな」

 

「あいつがガキだった頃から知ってんもんな」

 

「うちらも歳をとったって事だ」

 

「ははは」

 

そんな町民達の話を遠くから聞いていたポーリュシカは、街の外へと帰っていった。

 

 

 

 

 

~魔導士ギルド 妖精の尻尾(フェアリーテイル)

 

「ポーリュシカさんのおかげで一命はとりとめたそうだ。安心してくれマスターは無事だ」

 

エルザの言葉に仲間たちは喜ぶ。

 

「よかったぁ、一時はどうなるかと思ったけど」

 

「あのじーさんがそう簡単にくたばる訳ねーんだ」

 

「しかしマスターもお歳だ。これ以上心労を重ねれば、またお体を悪くする。皆もその事を忘れるな」

 

だが皆には一つ心配事があった。

 

「こんな状況で本当にファンタジアやるつもりなのか!?」

 

「マスターの意向だし...こんな状況だからこそ...って考え方もあるわよ」

 

「ジュビアもファンタジア観るの楽しみです」

 

「アンタは参加する側よ」

 

「ええ!?」

 

カナの言葉にジュビアは驚く。観客として観る予定だったファンタジアにまさか自分が参加する事になったからだ。

 

「だってジュビア入ったばかりだし」

 

「ケガ人が多いからね。まともに動ける人は全員参加だって」

 

「プーン」

 

「じゃあ、あたしも!?」

 

魚やキャンディを食べてるハッピーとプルーの言葉を聞き、ルーシィも参加側だと気付き驚く。

 

「見ろよ、あんなの参加できねーだろ」

 

「!!...だね」

 

グレイが指さす方には、全身や顔面にも包帯だらけで右手はギプスで固めているナツと、同じく全身包帯だらけで松葉杖を持つガジルがベンチに座っていた。そしてその横には同じく頭に包帯を巻いているが、二人に比べると比較的に少ないタイガが壁にもたれかかって立っていた。

 

「あんなのとか言うなよ...」

 

「ふぁがふんごが、あげがあんがぐぐ」

 

「何言ってるかわかんないし」

 

口まで包帯でぐるぐる巻きになっている為、ナツの言葉はもはや言葉ですらなくルーシィは呆れる。

 

だが

 

「無理だね、参加できる訳ねーだろクズが」

 

「おがえ、がべおごおご...」

 

「それは関係ねーだろ!?鬼かおまえは!!!」

 

ガジルには何故かナツが何を言っているのか分かるようだ。するとナツは今度はタイガの方を向き。

 

「ばぎば、だぼぼうぃえふぁえおじぇ」

 

「無理だな、俺もドラゴンフォースを3分以上使っちゃって、まだ魔法は使えないし、けっこうしんどいから治療はパス...」

 

どうやらタイガにもナツが何を言いたいのか分かるようだ。滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)にしか通じない独自の言語なのだろうか?

 

「何で通じてるのかしら...」

 

ルーシィはナツの言葉を理解できるガジルとタイガに呆れる。

 

「でもまあこれで...ギルド内のごたごたも一旦片づいた訳だ」

 

エルザはギルド内を見渡す。そこには昨日のケンカがウソのように笑い合う仲間たちがいた。

 

そんな中、ギルドに一人の男がやって来る。

 

「!!」

 

それはナツ達程じゃないが包帯を巻いたラクサスだった。

 

「ラクサス!!!」

「おまえ...!!!」

 

「ジジィは?」

 

「てめぇ...どのツラさげてマスターに会いに来やがった」

「そーだそーだ!!」

 

「よさないか」

 

「!!!」

 

ラクサスを非難する仲間たちをエルザが止める。そして

 

「奥の医務室だ」

 

「オイ、エルザ!!!」

 

エルザに言われ、ラクサスはギルドの奥に進むが

 

「んぐぁーっ!!!ふぁぐあぐー!!!」

 

突然叫びだしたナツが彼の前に立つ。

 

「ナツ」

 

そしてナツはラクサスを指さし

 

「おえごえごえほいじぇおいっごふぉえおおいへお!!!」

 

彼に何かを言おうとしているが、何を言っているか分からず、ギルドのメンバーはポカーンとする。

 

「通訳よろしく」

 

ルーシィは自分の隣にいるタイガとガジルに通訳を頼む。

 

「三対一でこんなんじゃ話にならねえ。次こそはぜってー負けねえ」

「いつかもう一度勝負しろラクサス!!...だとよ」

 

「次こそは負けない...って、勝ったんでしょ?一応」

 

ルーシィの疑問にガジルは

 

「オレもアレを勝ちとは言いたくねえ。あいつはバケモンだ...ファントム戦に参加してたらと思うとゾッとするぜ...」

 

ラクサスはナツの横を通り過ぎ、医務室へ向かう。

 

ラクサス(ふぁぐぁぐ)!!!」

 

ラクサスは振り返らなかったが、スッと右手をあげてナツに無言で返事した。その様子にナツとエルザ、そしてタイガはふっと笑顔になる。

 

「さあみんな、ファンタジアの準備をするぞ」

「オイ!!いいのかよ!!ラクサスを行かせちまって」

「大丈夫よきっと」

「てかミラちゃん!!何でケガしてんだよ!?誰にやられたの!?」

「ナツ...おまえラクサスよりひでーケガってどーゆー事よ」

「んがごがー」

「こんなの何ともねーよ...だとよ」

「ナツー!!血ぃ!!血出てる!!」

 

 

 

皆の騒ぎ声は医務室にまで聞こえていた。

 

「騒がしい奴らだ」

 

ベッドに横たわっていたマカロフが起き上がる。

 

「おまえは...自分が何をしたか、わかっているのか」

 

マカロフの言葉にラクサスは応えなかった。

 

「ワシの目を見ろ」

 

そう言われ、彼はマカロフに向き合う。

 

「ギルドというのはな...仲間の集まる場所であり、仕事の仲介所であり、身寄りのねえガキにとっては家でもある。おまえのものではない...ギルドは一人一人の信頼と義によって形となり、そしてそれはいかなるものより強固で堅固な絆となってきた...おまえは義に反し仲間の命を脅かした...これは決して許される事ではない」

 

「わかってる」

 

ラクサスは自分の思いを告げる。

 

「オレは...このギルドをもっと強く...しようと...」

 

「まったく...不器用な奴じゃのぅ...もう少し肩の力を抜かんかい」

 

マカロフはベッドから下りる。

 

「そうすれば今まで見えなかったものが見えてくる。聞こえなかった言葉が聞こえてくる。人生はもっと楽しいぞ......ワシはな...おまえの成長を見るのが生きがいだった...力などいらん、賢くなくてもいい...なにより元気である...それだけで十分だった」

 

そしてマカロフはある決断を下す。

 

「ラクサス...」

 

その手は小さく震えていた

 

「おまえを破門とする」

 

「ああ...世話になったな...」

 

ラクサスは医務室を出ようとし、マカロフも彼から顔を逸らす。するとラクサスが

 

()()()...体には気をつけてな」

 

「...出てい゛げ...」

 

幼いラクサスによく言われた呼び名を聞き、口ではキツく言うもマカロフの目には涙が溢れていた。

 

 

 

 

 

その日の夕方、ある公園にラクサスと雷神衆がいた。

 

「冗談じゃないわよっ!!!何でアナタだけ破門なの!!?」

 

「オレたちだって罪は同じじゃねーのかよ!?」

「ねーのかよ」「ねーのかよ」

 

「ジジィが決めた事だ」

 

「だったら私だってやめてやるわよ!!!」

 

「オレだっておまえがいなきゃよう」

 

「めんどくせぇ奴等だな...「じゃあな」の一言も言えねーのか?」

 

そこで今まで黙っていたフリードが口を開く。

 

「何で...一人で全ての責任をとろうとする」

 

「そんなんじゃねーよ...おまえらと違ってオレにはこのギルドに何の未練もねえからな」

 

「私たちがマスターに頼んでみるわ!!」

 

「きっとタイガやナツやグレイだって反対してくれる!!!あいつら何だかんだ言っておまえのこ事...」

 

「ラクサス」

 

ラクサスはそんな彼等に背を向け去って行く。

 

「元気でな」

 

「ラクサス!!」

 

「ふざけんなよっ!!!雷神衆はどーなるんだよっ!!!」

 

「......」

 

去りゆくラクサスをエバーグリーンとビックスローは呼び止めようとするが、フリードだけはその背中を静かに見つめる。

 

「チクショー」

 

「また会えるよな...ラクサス」

 

 

 

 

 

そして収穫祭のフィナーレとなる大パレード、ファンタジアが始まる。

 

 

 

まずは先頭をタイガが歩き、光の玉でジャグリングし、それを観客に投げる。観客の子供たちがそれを手にした瞬間。

 

パチン

 

タイガが指を鳴らすと、子供たちの持っていた光の玉が花や動物の形になり、子供達は喜ぶ。そしてタイガは観客の中にある人物を見つけその子にも光の玉を投げる。

 

「!?」

 

その子は以前トライスクワッドとしての初仕事で助けた男の子コウタだ。

 

パチン

 

タイガが指を鳴らすと、コウタの手にした光の玉が妖精の尻尾(フェアリーテイル)のギルドマークの形となった。

 

「わぁ!!...ありがとう!!!」

 

コウタに礼を言われたタイガが彼に笑顔で手を振ると、その後ろから様々な台車に乗った魔導士たちが登場した。

 

 

その中の一台にルーシィ、レビィ、ビスカの三人が旗を持ってダンスを披露する。

 

「ミス・フェアリーテイルに出てた女のコたちだっ」「かわいー♡」「いいぞー」「まさに妖精だぁ!!!」

 

建物の屋根の上ではルーシィの友達の幽霊巫女のミコもファンタジアを観ていた。

 

『やるじゃない、ルーシィ♡』

 

「......」

 

観客の中にはそんなルーシィを静かに見る人物が一人いた。

 

 

次にやって来たのはビーストソウルに変身したエルフマンだ。

 

「エルフマンよ!!!」「うおおっ!!スゲェ迫力!!!」

 

するとエルフマンの乗る台車の花が開き、中からミラが現れる。

 

「ミラちゃんだーー!!」「待ってましたー」

 

ミラは変身魔法を発動するが、その姿はビーストソウルのエルフマンよりも大きなトカゲだった。

 

「!!」

 

そのまさかの変身に観客やエルフマンは驚く。

 

 

 

次に登場したのはグレイとジュビアだ。

 

「何あれ!?氷のお城!!!」「きれ~水が吹き出してる」

 

二人の乗る台車にはグレイが造った氷の城があった。さらにジュビアが水を操り、グレイがそれを凍らせて、観客から歓声が上がる。

 

その観客の中には、かつてガルナ島で出会ったグレイの兄弟子リオンとその仲間たちもいた。

 

 

 

オオオオオ

 

一際大きな歓声を受けて登場したのはエルザだった。彼女は複数の剣を同時に操り、華麗な剣舞を披露する。

 

妖精女王(ティターニア)が来たぞっ!!!」「剣が舞ってる!!」「うわぁ♡」「オレの嫁になってくれー」

 

エルザの剣舞を観る観客の中にはアカネで出会ったエルザのかつての仲間たち、そして別の場所にはミストガンが観ていた。

 

 

 

次に来たのはサクラとツバサ(人型)だ。サクラは黒を基調とした和服風の衣装を、ツバサはサクラと同じデザインだが白を基調とした衣装を着て、刀を使っての殺陣(たて)風の演舞を披露する。

 

そして二人は刀を合わせ、刃を上に向ける。サクラは氷輪丸を発動させ、天に昇る龍を模した氷像を造る。

 

その様子を観て歓声を上げる観客の中には、かつてサクラが保護した迷子赤ちゃんのユリとその両親もいる。ユリはサクラとツバサの演舞に大興奮した。

 

 

 

次はナツの出番だ。まだラクサスとの戦闘のケガが治りきっていないが、意地でも参加したようだ。ちなみに乗り物に酔うため、タイガと同様台車には乗らず歩きである。

 

「ぐはぁっ」

 

ナツは口から火を吐き、「FAIRY TAIL」の文字の形にしようとしたが、FAIRの所で止まってしまった。

 

「ナツ!!おまえ!!どーしたんだそのケガ!!!」「よ...よせって!!!ぐだぐだじゃねーか」「あはははっ」

 

 

 

自分の出番を待つマカロフの元にガジルがやってくる。

 

「マスター」

 

「ん?...おまえは参加せんのか?」

 

「ガラじゃないんでね」

 

「よう言うわ、シュビドゥバのくせに」

 

「!?」

 

笑いながら言うマカロフにガジルは顔を赤くする。

 

するとガジルはマカロフに一枚の紙を渡した。

 

「マスターイワンの...アンタの息子の居場所をつきとめた」

 

「スマンな...危険な仕事を任せて」

 

「オレが二重スパイだってのはバレてねえ...それより奴はラクサスの魔水晶(ラクリマ)を狙っている」

 

「居場所さえわかればどうとでもなる...奴の好きにはさせん」

 

 

 

そしてマカロフの出番がやってきた。

 

「マスターだ」「マスターが出てきたぞ!!」

 

マカロフは猫耳の付いた帽子を被り、コミカルなダンスを踊る。それを観た観客は爆笑する。

 

「何か妙にファンシーだ」「似合ってねえ!!」「そのコミカルな動きやめてくれ」

 

その様子を観ていたラクサスは幼い頃のことを思い出し、フッと笑い街を去ろうとしたがマカロフのある行動に気付き足を止める。

 

マカロフは右手を挙げ、親指と人差し指を立てた。タイガやナツ、ルーシィ等パレードに参加している魔導士全員が同じポーズをしていた。

 

それは幼い頃、ファンタジアに参加した際、客席にいるマカロフを見つけられなくてもいつも彼を見ているという証だ。

 

マカロフや魔導士たちが自分が考えた動作をしたことでその意図を感じ取り、ラクサスは目に涙を浮かべる。

 

「じーじ...」

 

(たとえ姿が見えなくとも...たとえ遠く離れていようと...ワシはいつでも、おまえを見てる...おまえをずっと...見守っている)

 

「ああ...ありがとな」

 

 

 

 

 

街の出口まで来たラクサスの前に一人の男が建物の壁にもたれかかっていた。

 

「...タイガ」

 

「よう」

 

その男はタイガだった。

 

「見送りならいらねえぞ」

 

「コレを渡そうと思ってな」

 

そう言ってタイガは懐から出した物をラクサスに投げ渡す。渡したのは水筒だった。

 

「ツバサの新作コーヒーだ」

 

「...どうせ苦いんだろ?」

 

ラクサスは水筒をタイガに返そうとするが

 

「あいつ...泣きながらソレ淹れてたんだ」

 

タイガのその言葉を聞きラクサスは手を止めた。

 

 

タイガは数時間前のことを思い出す。自宅のキッチンでいつものようにコーヒーを淹れていたツバサ。タイガは後ろ姿しか見ていなかったが、彼女の頬を涙が伝っていたのが一瞬見えた。

 

 

「お前が破門になったのは、お前が自分で伝えた雷神衆と、マスターとの会話を盗み聞いてた俺しか知らない」

 

「盗み聞きって...さらっとエラいこと言ってんなぁ...」

 

「お前としばらく会えなくなる事を、なんとなく感じたんだろうな...天然ボケの子猫ちゃんだけど、たまに勘が鋭い時があるからなぁ、あいつ」

 

タイガがそう言うと、ラクサスは水筒からコーヒーを一口飲んだ。

 

「フッ...相変わらずの苦さだな...まっ、眠気覚ましとして貰っといてやる」

 

ラクサスは皮肉そうにそう言うが、顔は笑っていた。

 

「ギルドを辞めるのに未練はねえと思ってたが...おまえとの最後の勝負に負けたのが唯一の心残りだな」

 

「あの勝負に関してはノーカンだろ?...ナツ達とも戦ってたし、俺もお前も本気じゃなかったし」

 

「!?」

 

タイガの言葉にラクサスは答えられなかった。彼はタイガと戦っていた時、街に被害が出ないように無意識に力を抑えていたのだ。どうしてタイガがそう思ったのか、それは彼も同じく全力で戦えなかったからだった。

 

 

 

そしていよいよ、ラクサスがマグノリアを去る時が来た。

 

「ツバサに伝えとけ...次会う時には、もっとマシなコーヒー淹れるようになっとけ...ってな」

 

「ああ、伝えとく」

 

そしてラクサスは歩き出す。

 

「じゃあな...タイガ...」

 

「またな...ラクサス...」

 

二人は別れの言葉を交わすと、相手に背を向けて街の中と外へと歩いて行った。そしてお互い相手に聞こえないぐらいの声で

 

「「俺の...友達(ダチ)...」」

 

この日、一人の魔導士が妖精の尻尾(フェアリーテイル)を去って行った。




アンケートは来週28日(金)の夜に締め切ろうと思います。

ミス・フェアリーテイルになるのは誰でしょうね~?

『ミス・フェアリーテイルコンテスト』あなたの推しは?

  • カナ
  • ジュビア
  • ミラ
  • エルザ
  • ツバサ
  • サクラ
  • レビィ
  • ビスカ
  • ルーシィ
  • エバーグリーン
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