LOVE&LUCKY
ある日のマグノリア、サクラは猫型のツバサを抱き上げて夕飯の買い物から帰っていた。
「今日のご飯は何?ツバサ」
「今日はね~、妖精ラーメンにツバサ特製餃子。タイガの好物だよ~」
「フフ、じゃあ早く帰って作ってあげないとね」
「うん」
二人がそんな会話をしていると、遠くの方であるものを見付ける。ルーシィがボロボロの格好をした男に迫られていたのだ。それを見てツバサはサクラの腕から下り、人型へと変身した。ルーシィが襲われていると思った二人は言い争っている彼女達に向かって走り出す。
「金だよ!!!恥をしのんで頼んでいるんだ!!!この私がっ!!!いいから金を渡すんだっ!!!」
「何言ってるのか...わからない」
「おまえという奴は...親の言う事が...」
「帰って!!!」
ルーシィがそう叫んだ瞬間
「「ルーシィ!!!危なーい!!!」」
「がっ!?」
サクラとツバサの飛び蹴りが男の後頭部に当たり、彼を蹴り倒した。
「サクラ!?ツバサ!?」
「大丈夫?ルーシィ」
「アンタ!!あたし達の友達に何してんのよ!!?」
ルーシィは突然現れた二人に驚くが、彼女たちの手を引きその場を離れる。
「チッ...」
サクラ達に蹴り倒された男は舌打ちをしてルーシィとは別の方向へと去って行った。ある程度歩いたところでルーシィ達三人は足を止める。
「ねえルーシィ...さっきの人は?」
サクラが尋ねるとルーシィの目には涙が浮かんでいた。
「サイテー...サイテーだよ...」
~ルーシィの部屋~
三人は
「ルーシィのお父さん!!?」
サクラは驚いた。先程ルーシィに迫っていたボロボロの男は彼女の実の父親、ジュード・ハートフィリアだったのだ。彼が言うには自身の会社が買収され、私財を全て担保にしていた為、会社も家も金も全てを失ったそうだ。ちなみにルーシィの母親の墓は別の場所に移したとのこと。
「そうだったんだ」
「おまけに娘の顔を見に来たって言ったら、次はいきなり10万貸せって言うのよ!!ホント信じらんない!!」
「......」
ルーシィの愚痴ともいえる話をサクラは黙って聞いていた。
「それでも...会いたい時に会えるだけまだマシよ...」
その言葉にルーシィはハッとなり思い出す。サクラの両親は闇ギルドに殺されたことを。
「いつでも会える...そうやって油断してると、失った時に心に大きな穴が開くの」
「サクラ...」
「お父さんとこれからどうするかは、よく考えればいい...でもこれだけは言わせて、ルーシィ...後悔だけはしないで」
「...うん」
「は~い!ご飯できたよ~。イヤな事は美味しいご飯を食べて忘れよ~」
キッチンからツバサが料理を持って出てきた。ラーメンと餃子を作る為か彼女はチャイナドレスを着ていた。
「ほら!食べよルーシィ」
「...うん!!」
三人はテーブルを囲んで座る。
「「「いただきま~す」」」
ルーシィはツバサの特製餃子を一口食べる。
「う~ん!!美味し~い!!やっぱりツバサのご飯は最高ね!!!」
「ホントにね~。一家に一匹は欲しいわ~」
「えへへ~照れちゃうな~」
三人が楽しそうに会話していると、ツバサが何かに気付く。
「?...ねえサクラ...ボク達、何か忘れてない?」
「?...何だろ?」
二人がルーシィの家で楽しく食事をしている頃、すっかり忘れられていたタイガは
ぐうぅぅ~~
「腹減ったぁ~...アイツら、どこで道草してんだ?」
腹の虫を鳴らしながら自宅のソファーに寝転んでいた。
~アカリファの街~
「うう...気持ち悪ぃ~...」
タイガ達トライスクワッドは仕事先へ向かう途中、経由地であるこの街に来ていた。タイガはアイマスクを忘れたせいで、ここまで乗ってきた列車に酔ってしまいフラフラと歩いていた。すると、ある建物の前が騒がしいことに気付く。
その建物は「商業ギルド
「人質はどうなったんだー!!」
「助けてください!あの中には主人が」
「みなさん落ち着いて!!今、近くの魔導士ギルドに応援要請を出してます」
「危ないから離れてください」
それを遠くから見ていたタイガ達はその様子からだいたいの事情を察した。
「どうやら強盗が人質とって立てこもってるっぽいわね」
「どうするタイガ?ボクらも応援に行く?」
「そうだな...!?...ちょっと待て」
タイガが二人を止めると、彼等の視線の先にはよく見知った少女がいた。その少女とはルーシィであり、建物の陰から商業ギルドの様子を伺っていた。
「お父さん...」
ルーシィがそう呟くと、彼女の足元がボコッと膨らみ
「姫」
「ひっ」
バルゴが顔を出した。どうやらルーシィが今いる所から商業ギルドまでの穴を掘っていたようだ。
「なんとか建物の中までは開通できそうです」
「ありがとうバルゴ」
「おしおきですか?」
「感謝してんのっ!!」
「しかし、中には大勢の魔導士がいます。我々だけで大丈夫でしょうか?」
「やるしかないの!!行くよ!!」
ルーシィが穴に飛び込もうとした瞬間
ガシッ
「ひぃ~~~っ!?」
「どこ行く気だ?お前」
後ろに立っていたタイガに肩を掴まれた。
「タイガ!?それに二人も!?」
ルーシィはトライスクワッドにここに来た経緯を話す。昨晩自分に会いに来た父親がこの街にいること、そして父親が務めようとしているのが今まさに闇ギルド
「そういえば、ナツ達はどうしたの?」
「うっ...それは...」
サクラの問いにルーシィは答えられなかった。
「もしかしてお前...勢いで来たな...その前に...サクラ、やってみろ」
「ええ」
タイガに言われたサクラは目を瞑って集中する。
「え?何?」
「ちょっと静かに」
ツバサに言われてルーシィは口を閉じる。そしてサクラは
「一ヶ所に集められてる気配がある...おそらく人質。その周囲を動き回っている気配が数人...
サクラは見えないはずの建物の中の様子を言い当てた。
「これって、タイガやツバサの?」
「そっ、サクラも最近できるようになったの」
「中々精度が上がったな、サクラ...よし!行くか」
タイガ達が穴に入ろうとすると、ルーシィが止める。
「もしかして...一緒に行ってくれるの?」
「?...何言ってんだ?当たり前だろ」
「こんなの、放っておけるわけないでしょ?」
「それに、ボクらの友達のお父さんが巻き込まれてるかもしれないなら、なおさらね」
「タイガ、サクラ、ツバサ...ありがとう」
こうしてルーシィとタイガ達はバルゴが掘った穴へと飛び込んだ。
一方その頃、商業ギルド内では武装した魔導士たちが人質達を縄で縛り口をテープで塞ぎ、金を奪おうとしていた。
「何でぇ、商業ギルドってくれーだから、たんまり金あると思ったのに」
「だから最初から銀行狙えぁよかったんだよ」
「黙れ!!時間がねえ、とっとと金を袋に詰めろや」
「「へい!!!」」
その場を仕切っているスキンヘッドの男が部下に作業を進めさせる。その様子はどこか焦っているようにも見えた。やがて人質達は恐怖から口を塞がれながらも声を上げる。
「うるせえっ!!!殺すぞコノヤロウ!!!」
ドォォン
リーダー格の男が天井に向かって銃を撃つと、人質の一人の少年が泣き出す。
「ア?死にてぇのか?」
少年がさらに泣くと
「死にてぇんだなコノヤロウ!!!」
「よせってアニキ」
「こっちにはヨユーがねーんだヨ!!!」
部下の制止を聞かず、リーダーが子供に向かって銃を撃った。銃弾が少年に当たろうとしたその時。
「タウロス!!!」
「MOーー!!!」
ルーシィの召喚したタウロスが斧で銃弾を弾いた。
「!!!」「なんだぁ」「牛?」「いや、星霊だ!!?」「どこから入ってきやがった...」
(オオッ)
突然現れた牛に強盗達は驚き、人質達は喜ぶ。そして次に現れたのは
「そこまでよ!!!」
ルーシィだった。彼女はバルゴが掘ったトンネルから飛び出てきた。
「何!?」「女!?」
さらに続いて、タイガ、サクラ、ツバサも穴から現れる。
「正規ギルドの魔導士か!?くそっ!!!」
ルーシィは別の鍵を構え、戦闘態勢に入る。
「おとなしくしないと痛い目みるよ!!!」
「ツバサ!!お前は人質達を」
「うん!!」
タイガ達も人質をツバサに任せ、戦闘に参加する。
「キャンサー!!!」
「今日のハサミは鋭すぎるぜ...エビー!!」
「刈れ!風死!!」
ルーシィが召喚したキャンサーが敵の髪を丸刈りにし、サクラが風死で切り裂いていく。
「サジタリウス!!!」
「まとめて仕留めるからして~もしもしー!!」
「
サジタリウスの矢とタイガの
「なぁ...!!!」
「とどめっ!!!」
(次はどんな魔法が出るんだーっ!!!)
残った男に向かってルーシィが走り出す。人質達は次にどんな魔法が出てくるかわくわくしていると
「ルーシィキィーック!!!」
「ぐぼぁ」
(ええーーーっ!!!)
まさかのただの飛び蹴りに驚いた。
こうして商業ギルドの立てこもり事件はルーシィとトライスクワッドによって解決した。
「やればできるじゃん!!あたし!!」
そこでルーシィはあることを思い出す。
「!!...お父さん!!」
周りを見渡すが、父親の姿は見当たらなかった。すると解放された人質達と表を固めていた兵士達がルーシィの周りに集まる。
「ありがとう君ーっ!!」
「助かったよーっ」
「い...いえ」
「すごいね魔法!!!」
「私たちからも礼を言わせてもらいます」
(おとうさん...どこ?...なんでいないのよっ!!?)
ルーシィは昨日サクラに言われた言葉を思い出していた。
『いつでも会える...そうやって油断してると、失った時に心に大きな穴が開くの』
(ねえっ!!!無事なの!!?)
『ルーシィ...後悔だけはしないで』
「お父さん!!!」
「ルーシィ?」
「!!...え?」
自分を呼ぶ声に振り返ると
「......」
「「「「えーーーっ!!?」」」」
そこにはルーシィの父、ジュードの姿があった。その突然の登場にルーシィ達四人は驚く。
「も...もしかして、今...街に到着...したの?」
「金が無くてね、歩いてここまで来たモンだから」
((((とりこし苦労!!!))))
(てか!!!...移動費に10万も借りようとしてた訳!!?どんだけ金銭感覚マヒしてんのよ!!!)
「何でおまえがここに...?」
「何でって......お父さんの向かったギルドが襲われたって聞いて...」
「!」
ジュードは自分の向かおうとした商業ギルドで騒ぎが起こっていたことに気付く。
「パパが心配で来てくれたのか?」
「知らないっ!!さようなら!!!」
ルーシィは怒ってその場を去ろうとする。
「そうか...ありがとな......」
「勘違いしないでね。あたし...お父さんの事、許した訳じゃないから」
「ああ、いいんだ...当然だよ。ずいぶんと長い道を歩いてきたからね。私にもいろいろ考える時間があった。昨日はすまなかったね、どうかしていた......後悔しているし、恥ずかしいよ...私はこれから変わる。お金がなくてもここにたどり着けたんだ、きっと...何でもできる」
ジュードの言葉を聞きつつも、ルーシィは足を止めない。
「このギルドはね...パパとママが出会った場所なんだ」
「!」
その言葉にルーシィはピタッと足を止める。
「私が独立を考えてる時に、丁度ママのお腹に君がいてね...二人でギルドをやめる事にしたんだけど、その時ギルドの看板が壊れてて
まさかの自分の名前の由来を知り、ルーシィは笑いながら振り返る。
「なにそれ、ノリで娘の名前決めないでよ」
「そうだな、本当にすまない...だが、会えて良かったよ...ラッキーなハートフィリアのルーシィではなく、君が心から望んでいたただのルーシィになったのを見ることができたのだからな...それに、良い友達もできたようだし」
ジュードの目線の先には、少し離れた所にいるトライスクワッドの姿があった。その内の二人は昨日、娘のために怒り自分に蹴りを入れた少女達だということに気付き、改めて自分の娘の友達が良い子だということに安心した。
そんな父娘の会話を少し離れた所で見ていたトライスクワッドは
「まさか、ルーシィの名前にそんな由来があったなんてね」
サクラがそう言うと、ツバサがタイガの頭の上に飛び乗る。
「タイガも結構ノリで名前決めるとこあるよね~」
タイガとツバサは自分達の出会いを思い出していた。ツバサが卵から生まれたとき、翼で空を飛んでいたからツバサと名付けた。案外、ノリで決めた感じだったのだ。
「フッ...今からでも『ハネジロー』に改名してやろうか?ボクっ娘」
「ツバサが良いです~」
タイガとツバサが笑いながらそんな会話をしていると、ルーシィが口を開く。
「あたし...」
すると
「ルーシィ!!!無事かーーーっ!!!」
「どうした一体!!!」
「ルーシィ!!!」
「えーーーっ!!!」
ナツ、グレイ、ハッピー、エルザがやって来て、ルーシィは驚く。
「まさか、これをおまえ一人で解決したのか?やるなぁ」
「いや...その...タイガ達も手伝ってくれたし...」
ルーシィはそう言ってジュードの方を見ると、彼はコクッと頷く。
「元気でね、お父さん」
ルーシィはそう言うと仲間たちの元へ向かっていく。
「レイラ...私は本当に愚かだったよ」
するとサクラとツバサがジュードに近づく。
「あ...あの...」
「?」
「「昨日は突然蹴って、ごめんなさい」」
自分に対して謝る少女二人、そして彼女等の後ろにいる青年にジュードは口を開く。
「君達...」
「「「?」」」
「その...君達のギルドをめちゃくちゃにした私がこんな事を言うのもなんだが......これからも娘を頼む...」
「「...はい!!」」
サクラとツバサは笑顔で答え、タイガは返事こそしなかったが笑みを浮かべ、彼に答えた。そしてルーシィ達に向かう。
「どーしたんだよ急にー!!!」
「何でもないの」
「何でもねー訳ねーだろ!!」
「仕事キャンセルしちゃったんだよ」
「ごめんね~」
そんな話をしているルーシィ達にタイガ達が話しかける。
「だったらこれから俺達の仕事を手伝ってくれよ」
「え!?いいの?」
「一人当たりの報酬はだいぶ減るけど、それでもルーシィの部屋の家賃一ヶ月分くらいにはなるんじゃない?」
「ぜひ行かせてもらいます!!」
ルーシィは即決した。
「じゃあ行こうぜ!!タイガ達と仕事なんて久しぶりだな」
「あい!ところでどんな仕事なの?」
「それはね~」
こうしてルーシィ達は、トライスクワッドと共に仕事へと向かった。ちなみに結果はというと、ナツ達がいろんな物を壊してしまった為、報酬の額が減らされルーシィの部屋の家賃一ヶ月分にもならなかったそうな。
(((もうナツ達とは仕事行かねえ(行かない)~)))
タイガ達は心の中でそう思うのだった。
~闇ギルド
「金はどうしたぁ」
「すびばせん...正規ギルドに邪魔されて!!!...手に入れる事ができばせんでひた!!!」
商業ギルドを襲っていたグループのリーダー格のスキンヘッドの男が逆さに吊されボコボコに殴られていた。彼はあの騒動の後、なんとか逃げ出し本部に戻ってきたが金を手に入れることができなかった為、こうなっている。
「た...たずけでくだはいっ!!!」
「あ?...金はどうしたぁ?」
「ひぃっ!!!だ...だからっ!!!」
「ぎゃほーっ!!!同じセリフ繰り返してるよ。ねえモンはねえんだよガトー兄さん」
「笑ってられる場合か?ザトー兄さん」
拷問をしていた男を歯が全部金歯のアフロの男が止める。
「
「また繰り返してるよガトー兄さん」
(いつも思うのだが......)
(何でどっちも兄さん?)
部下の二人が読者が思ってそうな疑問を持っていると、二人の兄さんは会話を続ける。
「闇の世界で
「わかってるって!あいつら急に上納金の額を上げやがって...一体何を企んでるんだか」
~どこかの岩場~
「聴こえるぞ...時代の変わる音、目を開ける音、始まりの音......光崩し」
大きな蛇を従え、そう呟くこの男。闇ギルド
「教えてハッピー先生」のコーナーでの質問を募集しようと思います。ハッピー先生に教えて欲しい質問があれば、ペンネームと質問をメッセージで送って下さい。面白い質問があれば、ここの後書きのスペースでお答えします。