「な...何だ...コレ...」
「そんな...!!!」
「ナツ~」
「うう...ごめんなさい......ごめんなさい...私...」
ナツの名を呼ぶハッピーと泣いて謝るウェンディ、
「ジェラール......」
「え!?」
ツバサはその名を聞いて驚く。それは以前、楽園の塔の事件の時タイガやナツと戦ったエルザのかつての仲間だった。
「ごめん...なさ...この人は私の...恩人...な...の」
「ウェンディ!!あんた治癒の魔法使ったの!!?何やってんのよ!!!その力を無闇に使ったら...」
シャルルがそう叫ぶと、ウェンディは事切れたように気を失い倒れる。
「ウェンディ!!!」
するとナツは拳を握りしめる。
「な...なんで、おまえがこんな所に...」
そして握った拳に炎を纏う。
「ジェラァァァァァル!!!」
叫びながら自分に向かってくるナツをジェラールは魔法で吹き飛ばす。
「うあああっ」
「「ナツ!!!」」
「相変わらずすさまじい魔力だな。ジェラール」
するとジェラールは自分に話しかけたブレインの足元を崩した。
「なにっ!!?」
ブレインは穴の下へと落ちていく。
「ぐぉあああっ」
そしてジェラールは寝ているミッドナイトには手を出さず、洞窟から出ていった。
「ジェラール!!!」
起き上がったナツはジェラールを探すが、すでにここにはいなかった。
「どこだ!!!」
「行ったわ」
「あんにゃろぉーっ!!!」
「あいつが何者か知らないけどね、今はウェンディを連れて帰る事の方が重要でしょ」
「エルザを助けたくないの!!?」
「......わかってんよ!!!」
シャルルとツバサに言われナツはいらつきながらも洞窟を出る。
「あいつ...行くぞ!!!ハッピー!!!」
「あいさ!!!」
ハッピーがナツを、シャルルがウェンディを抱え、ツバサは単独で飛び上がった。
「ん?」
「!!」
森の中で戦っていたグレイとレーサーは上空を飛ぶナツ達に気付く。
「助け出したか!!!」
「バカな!!!中にはブレインがいたハズだろ!?どうやって!!?くそっ!!行かせるか!!!」
レーサーはナツ達を追おうと木の上に上がる。
「ナツ!!!よけろぉ!!!」
「!?」
グレイの警告も遅く
「きゃ」「うお」「わっ」「がっ」
ナツ達はレーサーに撃ち落とされた。
「おっとぉー!!!」
先に地面に落ちたナツがウェンディを受け止める。
「ハッピー!!!シャルル!!!」
ナツが呼んだ二人は目を回して気絶していた。
「ツバサ!!!」
「ごめ~ん...4人はさすがに無理...」
ツバサは気絶こそしなかったが、ダメージが大きく猫型の姿に戻ってしまった。
「くっそーっ!!!」
ナツは4人を抱えて走り出す。
「行かせねえって言ってんだろ!!!」
レーサーがナツを追いかけようとすると
「アイスメイク"
「ぐほっ」
グレイが造り出した氷の壁にぶつかって止められた。
「グレイ」
「行けよ...こいつぁオレがやるって言ったろ」
「けど...おまえ今ので魔力を使いすぎただろ!!」
「いいから行きやがれ!!ここは死んでも通さねぇ!!!行け!!!エルザの所に!!!」
「......」
「ナツ!!行くよ!!!」
グレイの事が心配なナツを頭の上に乗っていたツバサにぺしぺし叩かれ、再び走り出す。
「うおおお~~~っ!!!必ずエルザを助けるからな!!!」
「当たり前だ」
するとグレイに止められたレーサーが立ち上がる。
「貴様...二度もこのオレの走りを止めたな」
「何度でも止めてやんよ。氷は命の"時"だって止められる...そしておまえは永久に追いつけねぇ。妖精の尻尾でも眺めてな」
レーサーの相手をグレイに任せ、ナツは森の中を走っていた。
「ジェラール......あの野郎...何でこんな所にいやがるんだ」
「その事は後で!!今タイガ達の気配を探るから...」
ツバサが仲間の気配を探ろうと目を瞑った瞬間
『ナツくん、ツバサちゃん』
「「!」」
突然二人の頭に声が聞こえる。
『聞こえるかい?』
「その声は...」
『僕だ...
「どこだ!?」
『静かに!!敵の中におそろしく耳のいい奴がいる。僕たちの会話はつつぬけている可能性もある。だから君の頭に直接語りかけてるんだ...ウェンディちゃんは?』
「ここにいるよ」
『よかった!!さすがだよ...これからこの場所までの地図を君達の頭にアップロードする。急いで戻ってきてくれ』
「なに言って...」
すると二人の頭に何かが送られた。
「おおっ!!?何だ何だ!!?」
「エルザ達の場所がわかる!!!元から知ってたみたい」
『急いでナツくん』
~ルーシィside~
「どうやったの?」
「僕の魔法
「聞いたこともない魔法...」
ルーシィの疑問にサクラが答える。
「情報を魔力でデータ化するっていう発想自体が最近のものだからね...あたしも実際に見るのは初めてだけど」
「でもよかった!ウェンディも無事で」
サクラはエルザの顔の汗を拭き取る。
「もう少しだからねエルザ...がんばって!!」
「ナツが戻ってくるまでは、あたし達が守るから...絶対!!!」
するとエルザの毒の進行を遅らせていたタイガの発動していた
「!?...タイガ!?」
「どうやら俺も、魔力切れみたいだ」
すると近くの茂みがガサガサと音を立てる。
「「着いたー!!!」」
「ナツ!!!」
「ツバサ!!!」
「来たか...」
出てきたのはウェンディ達を抱えたナツだった。
「どうなってんだ!?急に頭の中にここまでの地図が......」
「それより早くウェンディちゃんを」
「そうだ!!」
ナツはウェンディの肩を掴み激しくゆする。
「起きろウェンディ!!!頼むエルザを助けてくれーーーっ!!!」
「落ち着いてナツーーー」
「ひっ」
「!!!」
目を覚ましたウェンディは怯えて後ずさる。
「ごめんなさい...私...」
「「!?」」
その様子にルーシィとサクラは驚く。
「今はそんな事どうでもいい!!エルザが毒ヘビにやられたんだ!!!助けてくれ!!!頼む!!!」
頭を下げて頼み込むナツにウェンディは戸惑う。
「...毒?」
「
「お願い...エルザを助けて!!!」
「も...もちろんです!!!はいっ!!!やります!!!」
ヒビキとルーシィの言葉を受け、ウェンディはエルザの治療を請けおった。彼女の言葉を聞いたナツ達の顔が明るくなる。
「よかったぁ~」
「いつまでのびてんのよ、だらしない!!」
ハッピーとシャルルがそう言っているとウェンディがタイガの隣にしゃがみこむ。
「タイガさん!後は私が」
「ああ...任せる...」
タイガは
それから少しして
「終わりました...エルザさんの体から毒は消えました」
「「「で!?」」」
ナツ達三人が聞くと
「ん」
「おっしゃー!!!」
エルザの顔色がよくなり、大きく喜んだ。
「ルーシィ、ハイタッチだーっ!!!」
「よかった~♡」
ぱんっ!
「シャルル~!!」
「一回だけよ!」
ぱんっ!
「ウェンディ」
「!」
ナツはウェンディにも手をさしだす。
ぱんっ!
「ありがとな」
「しばらくは目を覚まさないかもですけど、もう大丈夫ですよ」
「すごいね...本当に顔色がよくなってる。これが天空魔法」
「近すぎ!!」
エルザに顔を近づけてそう言うヒビキにルーシィがツッコむとシャルルが口を開く。
「いいこと?これ以上天空魔法をウェンディに使わせないでちょうだい。見ての通り、この魔法はウェンディの魔力をたくさん使う」
「私の事はいいの。それより私...」
ウェンディが何か言おうとすると、ヒビキが口を開く。
「後はエルザさんが目覚めたら、反撃開始だね」
そしてナツの炎の灯りと太陽の光を食べたタイガが立ち上がる。
「俺も少しは回復したしな」
「うん!!!打倒
「おーーーっ!!!ニルヴァーナは渡さないぞぉ!!!」
ルーシィとハッピーがそう言うと突然森の奥がカッと光り出す。
「何!?」
全員がその方を見ると、黒い光の柱が空に向かって伸びていた。
「黒い光の柱...」
「まさか...」
「あれは...」
「ニルヴァーナなのか...!?」
「まさか
「あの光...ジェラールがいる!!!」
「ジェラール!?」
ナツの口から出た名前にルーシィが驚く。すると突然ナツが光の方へ走り出した。
「ナツ!!!ジェラールってどういう事!!?」
「私の...私のせいだ...」
ルーシィの制止も聞かず、ナツは走って行った。その様子を見てウェンディは慌て出す。
「会わせる訳にはいかねえんだ、エルザには!!!あいつはオレが...潰す!!!」
ナツのその言葉を聞き、エルザが目を覚ましていたことに誰も気付かなかった。
「ナツを追うぞ」
「ナツ...ジェラールとか言ってなかった?」
「説明は後!!それより今はナツを...」
「あーーーっ!!!」
ハッピーの言葉はシャルルの驚きの大声でかき消された。
「エルザがいない!!!」
いつの間にか目を覚ましていたエルザが姿を消していた。
「なんなのよあの女!!ウェンディに一言の礼もなしに!!!」
「エルザ...もしかしてジェラールって名前聞いて...」
シャルルとハッピーがそんな会話をしていると、サクラが頭を抱えているのにツバサが気付く。
「サクラ大丈夫?...頭痛いの?」
「ううん...大丈夫よ...」
するとウェンディもサクラと同じく頭を抱え出す。
「どうしよう...私のせいだ...私がジェラールを治したせいで......ニルヴァーナが見つかっちゃって、エルザさんや...ナツさんや...」
その様子を見たヒビキは魔法でウェンディを吹き飛ばし気絶させた。
「ちょっ...」
「あんたいきなり何すんのよ!!!」
その後タイガ達はナツを追って森を走っている。気絶したウェンディはヒビキが背負い、最後尾をサクラが走っていた。
「驚かしてごめんね...でも気絶させただけだから」
「どうして!?てか何で走ってるの!!?」
「ナツくんとエルザさんを追うんだよ。僕たちも光に向かおう」
「納得できないわね。確かにウェンディはすぐぐずるけど、そんな荒っぽいやり方」
「そうだよ」
シャルルとツバサの言葉にヒビキは
「仕方なかったんだよ...本当の事を言うと...僕はニルヴァーナという魔法をしっている」
「「「「「!!!」」」」」
「ただその
「どういう事だ?」
タイガの問いにヒビキは話を続ける。
「これはとても恐ろしい魔法なんだ。光と闇を入れ替える...それがニルヴァーナ」
「光と...」
「闇を...」
「入れ替える!!?」
「しかしそれは最終段階、まず封印が解かれると黒い光が上がる、まさにあの光だ。黒い光は手始めに光と闇の狭間にいる者を逆の属性にする。強烈な負の感情を持った光の者は闇に落ちる」
「なるほどな...どおりで不味そうな光だと思った」
「それじゃウェンディを気絶させたのは...」
「"自責の念"は負の感情だからね...あのままじゃウェンディちゃんは闇に落ちていたかもしれない」
そこでルーシィとツバサはある疑問を持つ。
「ちょっと待って!!それじゃ"怒り"は!?」
「ナツもやばいの!!?」
「何とも言えない...その怒りが誰かの為なら、それは負の感情とも言い切れないし」
そしてハッピーは理解が追いつかず頭を抱える。
「どうしよう...意味がわからない」
「あんたバカでしょ。つまりニルヴァーナの封印が解かれた時、正義と悪とで心が動いている者が性格変わっちゃうって事でしょ」
「それが僕がこの魔法の事を黙っていた理由。人間は物事の善悪を意識し始めると思いもよらない負の感情を生む。あの人さえいなければ...つらい思いは誰のせい?...何で自分ばかり......それら全てがニルヴァーナによりジャッジされるんだ」
ルーシィとハッピーはヒビキに尋ねる。
「そのニルヴァーナが完全に起動したら、あたしたちみんな悪人になっちゃうの?」
「でもさ...それって逆に言うと闇ギルドの奴等はいい人になっちゃうって事でしょ?」
「そういう事も可能だと思う。ただニルヴァーナの恐ろしさは、それを意図的にコントロールできる点なんだ」
「そんな!!!」
「例えばギルドに対してニルヴァーナが使われた場合」
「仲間同士での躊躇なしの殺し合い...他のギルドとの理由なき戦争...そんな事が簡単に起こせる...そういうことだな」
「そんな!?」
タイガの予想にルーシィはぞっとなる。
「一刻も早く止めなければ、光のギルドは全滅するんだ」
すると後ろを見たツバサがあることに気付く。
「?...タイガ、サクラがいないよ!?」
「何!?」
タイガの言葉に一同は足を止める。
「も~う!!ただでさえ大変なのに、何勝手な行動してんのよ!!!」
シャルルがサクラの行動に怒っていると、タイガはツバサを自分の頭に乗せる。
「ルーシィ...ナツはお前達に任せる」
「タイガ、どうしたの?」
「"負の感情"を持つ者が闇に落ちるんなら、サクラが危険だ」
「でもサクラが"負の感情"なんて...」
ハッピーの疑問にタイガは
「ルーシィはミラから聞いただろ?...サクラの生まれたチェリッシュ家は正体不明の闇ギルドに襲われたのを」
「うん...その唯一の生き残りがサクラだって」
「もしアイツの中に、闇ギルドに対する憎しみがあるとしたら」
「!!?」
ルーシィは最悪の予想にゾッとする。
「アイツは俺たちに任せてくれ」
「タイガ!サクラはあっちだよ!!」
「分かった!!」
サクラの気配を感じとったツバサが指さした方にタイガは走り出した。そんな彼等を見送ったルーシィは
「...サクラ...」
姿を消した友達の身を案じていた。
一方、サクラは一人森の中をフラつきながら歩いていた。
(どうして?...エルザが苦しんで...ウェンディが悲しんでるのは誰のせい?...)
彼女の頭には毒に苦しむエルザや、自責の念に囚われるウェンディの姿があった。
(あたしの...お父さんとお母さんを殺したのは...)
そしてかつて自分の目の前で死んだ両親の姿を思い出す。
(
そんな彼女の前に複数の魔導士が立ち塞がる。
「おいおい、女一人こんな所で何やってんだぁ?」
「正規ギルドの奴だな?...オレ達、ホットアイ直属の闇ギルド『
「...闇ギルド」
その名を聞いたサクラの目が鋭くなる。彼女の目は怒りや憎しみに満ちたものだった。魔導士たちがサクラに襲いかかろうとしたその時
「...刈れ...
サクラの周りには彼女に斬られた魔導士たちがうめき声をあげながら転がっていた。そしてサクラは再び歩き出す。
今年最後の投稿になります。
皆様、良いお年を。