光の滅竜魔導士タイガ   作:kazuki01

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天馬から妖精たちへ

サクラとエルザがミッドナイトを倒した少し後、彼女等の元へ一人の青年と一人の少女、二匹の猫がやって来た。

 

「ジェラール!!」

「エルザも一緒よ」

 

「ウェンディ!無事だったか、よかった」

 

ウェンディの無事にエルザが安堵していると

 

「サクラーーー!!!」

 

猫型のツバサがサクラの胸に飛び込んだ。タイガも少し遅れてやってくると倒れているミッドナイトを見て

 

「勝ったんだな」

 

「当然」

 

タイガとサクラはそう言うと互いの拳を合わせた。だが、ここでサクラはある疑問を持つ。

 

「?...そういえばタイガ、アンタ乗り物の上なのになんで平気なの?」

 

「ああ、それはな...」

 

タイガは自分の隣にいる少女の頭に手を乗せる。

 

「ウェンディのおかげだ」

 

 

 

~数分前~

 

タイガとツバサはサクラの元へ向かって飛んでいたが、徐々にツバサの飛ぶ高度が下がっていった。

 

「ツバサ!?」

 

「...ごめん、タイガ...さっきから飛びっぱなしで、もう限界...」

 

「しかたない...一度降りよう」

 

そうして二人が街に降りた瞬間。

 

「うぅ...」

 

「タイガーーー!!!」

 

タイガは乗り物酔いにダウンしてしまった。するとそこへ一人の少女と一匹の猫がやってくる。

 

「タイガさん?」

 

「ウェンディ!!シャルル!!」

 

「お...良かった、無事だったか...」

 

「アンタは無事って感じはしないけど...」

 

「タイガさん、どうしたんですか?」

 

「タイガは乗り物にすごく弱いんだ...」

 

「乗り物酔い...!?...だったら」

 

ウェンディはタイガに近付き、ある魔法を彼にかけた。

 

「!!?」

 

するとタイガはさっきまでの乗り物酔いが嘘のように元気になり、スッと立ち上がった。

 

「すご~い!!タイガの乗り物酔いが治った!!!」

 

「本当にすごいな。全然気持ち悪くない」

 

「バランス感覚をやしなう魔法「トロイア」です。ナツさんと同じなら効くと思って」

 

こうして一時的にだが乗り物酔いが治ったタイガはウェンディ達と共にサクラの元へ向かった。

 

 

 

~現在~

 

「すごいわね、天空魔法って」

 

すると二人はその場にいるもう一人の青年に目を向け、サクラが問う。

 

「エルザ...さっき、この人のこと...」

 

「ああ、彼がジェラールだ」

 

先程は戦いの最中だった為スルーしてしまったが、一緒にいるのがかつて楽園の塔で自分達と戦った人物だと知り、サクラは驚く。当の本人は自分に近づくウェンディを見て

 

「君は...!?」

 

「!?」

 

まるで初めて会ったような反応だった。

 

(やっぱり私の事...)

 

「エルザ...なんでジェラール(こいつ)がここにいる?」

 

タイガはエルザに尋ねる。

 

「ジェラールは記憶が混乱している...私の事も、タイガの事も、ウェンディの事も憶えていないらしい」

 

「え?」

 

「オレの知り合い...だったのか?」

 

(記憶...!?そっか...それで...)

 

(どおりで...前とは雰囲気が違うのはそういうことか...)

 

ウェンディとタイガは自分の知っているジェラールとは様子が違う理由に納得した。するとシャルルがジェラールに問う。

 

「もしかしてアンタ、ニルヴァーナの止め方まで忘れてんじゃないでしょうね!!!」

 

「もはや自律崩壊魔法陣も効かない。これ以上打つ手がないんだ...すまない」

 

「そんな...」

 

「それじゃ、私たちのギルドはどうなるのよ!!!もう...すぐそこにあるのよ!!!」

 

「どういうこと?」

 

タイガとツバサはそのあたりの事情をまだ知らなかった。ツバサの問いにサクラが答える。

 

「ニルヴァーナは今、化猫の宿(ケットシェルター)に向かってるみたいなの」

 

「「!!?」」

 

サクラの言葉にタイガとツバサは驚く。すると

 

ゴゴゴゴ

 

ニルヴァーナ全体が大きく揺れ出した。

 

「何だ?」

 

エルザはこの揺れの理由を察する。

 

「まさか、ニルヴァーナを撃つのか!!?」

「やめてぇーーー!!!」

 

ウェンディが叫ぶもニルヴァーナが発射される

 

 

 

が、その攻撃は化猫の宿(ケットシェルター)のギルドから大きく外れた。上空からの放たれた攻撃が7本の足の一本にあたり、狙いがそらされたからだ。

 

タイガとエルザは上を見るとそこに浮かんでいる物に気付く。

 

「あれは...」

「魔導爆撃艇天馬(クリスティーナ)!!!」

 

飛んでいたのは、青い天馬(ブルーペガサス)の所有するクリスティーナだった。するとタイガ達の頭に声が響く。

 

『聞こえるかい!?誰か...誰か返事を...無事なら返事をしてくれ!!!』

 

念話で話しかけてきたのは青い天馬(ブルーペガサス)の魔導士ヒビキだった。

 

「この声...ヒビキか?」

 

『エルザさん?ウェンディちゃんやタイガくん達も無事なんだね』

 

すると念話にもう一人が入り込む。

 

「私も一応無事だぞ」

 

『先輩!!よかった!!』

 

それは青い天馬(ブルーペガサス)の魔導士、一夜であった。彼は仲間とはぐれた後、闇ギルドの魔導士達に囲まれ縛られていたが、ニルヴァーナの起動のドタバタに巻き込まれ、街の中にいたのだ。

 

「どうなっている?クリスティーナは確か撃墜されて」

 

『壊れた翼をリオンくんの造形魔法で補い...シェリーさんの人形撃とレンの空気魔法(エアマジック)で浮かしているんだ...さっきの一撃はイヴの雪魔法さ』

 

「あんたたち...」

 

「ありがとうみんな...」

 

『僕たちはすでに魔力の限界だ。もう船からの攻撃はできない』

 

ヒビキがそう言うと、クリスティーナがガクンと高度を落としていく。

 

「クリスティーナが!!!」

「落ちるわ!!!」

 

『僕たちの事はいい!!!最後にこれだけ聞いてくれ!!!時間がかかったけど、ようやく"古文書(アーカイブ)"の中から見つけたんだ!!!ニルヴァーナを止める方法を!!!』

 

「本当か!?」

 

タイガの言葉にヒビキはその方法を説明する。

 

『ニルヴァーナの足のようなものが7本あるだろう?...その足、実は大地から魔力を吸収しているパイプのようになっているんだ。その魔力供給を制御する魔水晶(ラクリマ)が各足の付け根付近にある。その七つを同時に破壊する事で、ニルヴァーナの全機能が停止する。一つずつではダメだ!!!他の魔水晶(ラクリマ)が破損部分を修復してしまう』

 

「同時にだと!?どうやって!?」

 

『僕がタイミングを計ってあげたいけど、もう...念話がもちそうにない』

 

そしてクリスティーナはまたも地に落ちた。

 

「ヒビキさん!!」

「ヒビキ!!!」

 

『君たちの頭にタイミングをアップロードした。君たちならきっとできる!!信じてるよ』

 

するとジェラールも含めた全員の頭にある情報がアップデートされた。

 

「20分!?」

 

『次のニルヴァーナが装填完了する直前だよ』

 

だがそこへ

 

『無駄な事を...』

 

一人の男が念話に入り込んだ。

 

「!!!」

「誰だ!!?」

「この声...」

「ブレインって奴だっ!!!」

『僕の念話を"ジャック"したのか!!?』

 

『オレはゼロ...六魔将軍(オラシオンセイス)のマスター...ゼロだ』

 

六魔将軍(オラシオンセイス)のマスターだと!?」

 

タイガはマスターゼロという名に驚く。マスターゼロとは六魔将軍(オラシオンセイス)のリーダー格であるブレインの別人格だ。しかし、そのあまりに凶悪で強大な魔力の為、ブレイン自身が他の六魔との生体リンク魔法によりその存在を封じていた。だが、タイガやナツ達連合軍に六魔が全員倒された事で、ゼロの人格が表に出てきたのだ。

 

 

『まずは褒めてやろう。まさかブレインと同じ"古文書(アーカイブ)"を使える者がいたとはな...』

 

(なるほど...古文書(アーカイブ)の中でニルヴァーナの存在を知ったのか)

 

『聞くがいい!!光の魔導士よ!!!オレはこれより全てのものを破壊する!!!...手始めに仲間を3人破壊した。炎の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)に氷の造形魔導士、星霊魔導士、それと猫もか』

 

『ナツくんたちが...!?』

 

「......」

「そんなのウソよ!!!」

 

ナツ達を倒したというゼロの言葉にタイガ達は驚く。

 

『てめえらは魔水晶(ラクリマ)を同時に破壊するとか言ったなぁ?...オレは今、その七つの魔水晶(ラクリマ)のどれか一つの前にいる。ワハハハハ!!!オレがいるかぎり、同時に壊す事は不可能だ!!!』

 

そう言ったゼロは念話を切る。

 

『ゼロとの念話が切れた...』

 

(ゼロに当たる確率は1/7(ななぶんのいち)、しかもエルザとタイガ以外では勝負にならんと見た方がいいか)

 

ジェラールがそう考えていると、シャルルがあることに気付く。

 

「待って!!!7人も...いない...!?魔水晶(ラクリマ)を壊せる魔導士が7人もいないわ!!!」

 

「わ...私...破壊の魔法は使えません...ごめんなさい...」

 

「ボクも...もう魔力が...」

 

「!!?」

 

攻撃の魔法が使えないウェンディ、そして連続の高速飛行で魔力が切れてしまったツバサは魔水晶(ラクリマ)の破壊はできない。

 

「こっちは4人だ...他に動ける者はいないのか!!?」

 

エルザはまだ念話がつながっている内に仲間たちに呼びかける。彼女の言う4人とは、自分とタイガ、サクラ、そしてジェラールの事だ。

 

「私がいるではないか...縛られているが...

 

「一夜さん!!!」

「これで5人!!!」

 

『まずい...もう...僕の魔力が...念話が...切れ...』

 

「あと2人だ!!!誰か返事をしろ!!?」

 

エルザがそう言うとリオンが語りかける。

 

『グレイ...立ち上がれ......おまえは誇り高きウルの弟子だ。こんな奴等に負けるんじゃない!!』

 

続いてシェリーが語りかける。

 

『私......ルーシィなんて大嫌い...ちょっとかわいいからって調子にのっちゃって...バカでドジで弱っちいくせに......いつも...いつも一生懸命になっちゃってさ......死んだら嫌いになれませんわ...後味悪いから返事しなさいよ!!』

 

そしてサクラもルーシィに語りかける。

 

「ルーシィ...あたしもレビィと一緒でルーシィの小説、楽しみにしてるんだよ......まだまだいろんな事を話したい...一緒にスイーツ食べに行きたい...だから......死なないで!!」

 

そう言う彼女の目には涙が浮かぶ。

 

 

「ナツさん...」

 

「オスネコ...」

 

「ハッピー...」

 

「ナツ...」

 

ウェンディ、シャルル、ツバサ、エルザがそう呟くとタイガが口を開く。

 

「ナツ...いつまで寝てんだ?...それとも本当に死んだか?......俺たちの声が...」

 

 

 

「聞こえてる!!!!」

 

タイガの言葉にナツ達は満身創痍ながらも立ち上がった。

 

「7コの魔水晶(ラクリマ)を......同時に...壊...す...」

 

「運がいい奴は、ついでにゼロも殴れる...でしょ?」

 

「あと18分...急がなきゃ...シャルルとウェンディのギルドを守るんだ」

 

グレイ、ルーシィ、ハッピーがそう言うとヒビキは

 

『も...もうすぐ念話が...切れる...頭の中に僕が送った地図がある......各...魔水晶(ラクリマ)に番号を...つけた......全員がバラけるように...決めて...』

 

1だ!!!」

 

2

 

3に行く!!...ゼロがいませんように

 

ナツは1番、グレイは2番、ルーシィは3番の魔水晶(ラクリマ)に向かうことを決めた。

 

「私は4へ行こう!!!ここから一番近いと香り(パルファム)が教えている」

 

「教えてるのは地図だ」

 

「そんなマジでつっこまなくても...」

 

「私は5に行く」

 

一夜は4番、エルザは5番に行くと決めた。するとエルザの声を聞いたナツは

 

「エルザ!!!元気になったのか!?」

 

「ああ...おかげ様でな」

 

エルザは自分を治してくれたウェンディに目を向ける。

 

「あたしは6に」

 

サクラが6番に行くことを決める。すると

 

「ではオレは...」

 

ジェラールが何か言おうとすると、タイガが手を出してそれを制する。

 

「!?」

 

「俺は7に行く...お前は俺を手伝え」

 

「他に誰かいんのか?今のは誰だ!?」

 

ナツは念話に入りかけた知らない声の主が気になったが、エルザが小声でジェラールに呟く。

 

「ナツはまだ、おまえの事情を知らん。敵だと思っている...声を出すな」

 

「おいっ!!!」

 

ナツがそう言うと念話がプツリと切れた。

 

「念話が切れた...」

 

「ヒビキも限界だったんだ...」

 

「とにかくちゃんと7人いるみたいだ。行こう!!ゼロに当たったら各自撃破!!みんな持ち場があるから加勢はできないよ!!」

 

ナツ達はそれぞれ自分の持ち場へと向かった。

 

 

 

一方ナツ達ともタイガ達とも別の場所にいた一夜は

 

「ぬぅ~...メェン、メェン、メェーン」

 

縛られたまま、ピョンピョン跳ねながら進む

 

「"4"だ!!!...ハァハァ...私は"4"に行く!!!...ハァハァ...みんなが期待している!!!...ハァハァ...絶対に裏切る訳にはいかんのだぁ!!!」

 

息切れしながら。

 

「息切れ......なんか...してないぞ...私はまだ若い!!!」

 

 

 

その頃タイガ達は

 

「おそらく、ゼロは"1"にいる」

 

「!!?」

 

「ナツさんのトコだ!!!」

 

エルザの言葉にジェラール、ウェンディ、シャルルの三人が驚く。

 

「あいつは鼻がいい。それに動物的勘も鋭い。わかってて"1"を選んだハズだ」

 

タイガがそう言うとウェンディは

 

「だったら加勢に行こうよ!!みんなで戦えば...」

 

「ナツを甘く見るな...あいつは()()だけどやる時はやる奴だ...()()だけどあいつになら任せて大丈夫だ......()()だけど」

 

「何で3回言うのよ...」

 

「大事な事だからな」

 

ナツについて信頼しているのか馬鹿にしているのか分からない説明をするタイガに、シャルルがツッコむと、エルザも動き出す。

 

「私たちも持ち場に行くぞ!!私は"5"、サクラは"6"、タイガは"7"だ」

 

「ナ...ツ...」

 

「ジェラール?」

 

エルザは頭をおさえて歩くジェラールを心配するが

 

「いや...何でも...ない...」

 

彼の様子を見たタイガは

 

「ツバサ、お前はサクラについて行け...ウェンディとシャルルは俺達と来てくれ」

 

「ナツ...ドラグニル......」

 

 

 

 

 

~1番魔水晶(ラクリマ)

 

ナツはフラつきながらも魔水晶(ラクリマ)の元へとやって来た。そこにはエルザやタイガの予想通り、マスターゼロが待ち構えていた。

 

「フン...まだ生きてやがったのか...何しに来た?クソガキ」

 

するとナツはニッと笑う。

 

「ん?」

 

「壊れんのはオレかおまえか、どっちだろうな」

 

ナツは拳に炎を纏う。

 

「だぁらぁああぁあぁっ!!!」

 

その攻撃をゼロは避ける。

 

「ほう...さっきよりは動きがいい」

 

ゼロはナツに指を向ける。

 

「!!」

 

常闇奇想曲(ダークカプリチオ)!!!」

 

ゼロの指先から闇の魔力が一直線に放たれる。

 

「くっ」

 

ナツはとっさに避けたことで攻撃は彼の後ろの壁に当たる。だが

 

()()()()のものと一緒にするなよ」

 

「!!」

 

ゼロの放った攻撃は床の中を通って再びナツを襲う。

 

「がはっ」

 

その後もゼロは魔法の軌道を操りナツを何度も攻撃する。

 

「クハハハハハッ!!!壊れんのはどっちかって!!?...てめえに決まってんだろうがーーーっ!!!」

 

だが、ナツも何度もやられていられない。

 

「火竜の...鉄拳!!!」

 

ナツは常闇奇想曲(ダークカプリチオ)に向かって火竜の鉄拳を放ち、攻撃を打ち消した。

「ほう...貫通性の魔法を止めるとは、面白い...!!」

 

するとゼロではない誰かがナツを攻撃した。

 

「!!!...ぐあっ」

 

「誰だ!?」

 

攻撃が放たれた方をナツとゼロが見るとそこに立っていたのは

 

「ジェラー...ル...」

 

タイガと一緒に7番魔水晶(ラクリマ)に向かっていたはずのジェラールだった。

 

「貴様...記憶が戻ったのか」

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