光の滅竜魔導士タイガ   作:kazuki01

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たった一人の為のギルド

~魔導士ギルド 化猫の宿(ケットシェルター)

 

六魔将軍(オラシオンセイス)との戦いを終えた正規ギルド連合軍はここで休息を取っていた。そして女性陣は小屋で伝統的な服に着替えていた。

 

「わぁ!!かわいい!!」

 

「私の方がかわいいですわ」

 

ルーシィとシェリーは気に入ったようだ。

 

「ここは集落全部がギルドになってて、織物の生産も盛んなんですよ」

 

「ニルビット族に伝わる織り方なの?」

 

「今...思えばそういう事......なのかな?」

 

「あなた、ギルド全体がニルビット族の末裔って知らなかったんでしたわね」

 

「私だけ後から入ったから」

 

ツバサは一人佇んでいるエルザに声をかける。

 

「エルザも着てみない?かわいいよ~」

 

「!...ああ...そうだな...」

 

するとサクラはあることを尋ねる。

 

「ところでウェンディ、化猫の宿(ケットシェルター)はいつ頃からギルド連盟に加入してたの?」

 

「たしかに...私、失礼ながらこの作戦が始まるまで、ギルドの名を聞いた事がありませんでしたわ」

 

「そういえばあたしも」

 

ちなみにサクラとタイガは化猫の宿(ケットシェルター)の名自体は噂で聞いた程度で詳しくは知らなかった。

 

「そうなんですか?...うわ...ウチのギルド、本当に無名なんですね」

 

「どーでもいいけど、みんな待ってるわよ」

 

シャルルに言われ、皆は集落の中央の広場に集まった。化猫の宿(ケットシェルター)のギルドマスター、ローバウルが口を開く。

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)青い天馬(ブルーペガサス)蛇姫の鱗(ラミアスケイル)、そしてウェンディにシャルル。よくぞ六魔将軍(オラシオンセイス)を倒し、ニルヴァーナを止めてくれた。地方ギルド連盟を代表してこのローバウルが礼を言う...ありがとう...なぶらありがとう」

 

「どういたしまして!!!マスターローバウル!!!六魔将軍(オラシオンセイス)との激闘に次ぐ激闘!!!楽な戦いではありませんでしたがっ!!!仲間との絆が我々を勝利に導いたのです!!!」

 

「「「さすが先生!!」」」

 

「ちゃっかりおいしいトコもっていきやがって」

 

「あいつ誰かと戦ってたっけ?」

 

調子のいい青い天馬(ブルーペガサス)の面々にグレイとルーシィが呆れる。

 

「終わりましたのね」

 

「おまえ達もよくやったな」

 

「ジュラさん」

 

蛇姫の鱗(ラミアスケイル)の三人も戦いの終わりに安堵していると、ナツはある提案をする。

 

「この流れは宴だろー!!!」

「あいさー!!!」

 

 

「一夜が」

 

「「「一夜が!?」」」

 

「活躍」

 

「「「活躍!!!」」」

 

「それ!ワッショイ!」

「「「ワッショイ!」」」

「ワッショイ!」

「「「ワッショイ!」」」

 

 

「宴かぁ」

 

「脱がないの!!」

 

「フフ」

 

「あんたも!!」

 

いつの間にか服を脱いでいた氷の兄弟弟子にルーシィとサクラがツッコむ。

 

 

「さあ、化猫の宿(ケットシェルター)の皆さんもご一緒にィ!?」

 

「「「ワッショイ!ワッショイ!」」」

 

「ワ...」

 

一夜やナツ達が盛り上がるも、化猫の宿(ケットシェルター)の魔導士達(ウェンディを除く)はシーンとしており気まずい空気が流れる。

 

 

 

「皆さん...ニルビット族の事を隠していて本当に申し訳ない」

 

「そんな事で空気壊すの?」

「ぜんぜん気にしてねーのに...な?」

「あい」

 

「マスター、私も気にしてませんよ」

 

ハッピー、ナツ、ウェンディにそう言われたローバウルは話を続ける。

 

「皆さん、ワシがこれからする話をよく聞いてくだされ。まずはじめに...ワシ等はニルビット族の末裔などではない...ニルビット族そのもの...400年前、ニルヴァーナをつくったのはこのワシじゃ」

 

「何!?」「うそ...」「400年前!?」「......」

 

「400年前...世界中に広がった戦争を止めようと、ワシは善悪反転の魔法ニルヴァーナをつくった。ニルヴァーナはワシ等の国となり、平和の象徴として一時代を築いた。しかし強大な力には必ず反する力が生まれる。闇を光に変えた分だけニルヴァーナはその"闇"をまとっていった......バランスをとっていたのだ。人間の人格を無制限に光に変える事はできなかった。闇に対して光が生まれ、光に対して必ず闇が生まれる」

 

「そう言われれば確かに...」

 

グレイとタイガは思い出していた。心が闇に落ちたシェリーとサクラ、そして善になったホットアイを。

 

「人々から失われた闇は我々ニルビット族にまとわりついた」

 

「そんな...」

 

「地獄じゃ...ワシ等は共に殺し合い、全滅した......生き残ったのはワシ一人だけじゃ」

 

衝撃の事実にその場にいた全員が衝撃を受ける。

 

「いや...今となってはその表現も少し違うな。我が肉体はとうの昔に滅び、今は思念体に近い存在。ワシはその罪を償う為...また、力なき亡霊(ワシ)の代わりにニルヴァーナを破壊できるものが現れるまで、400年...見守ってきた......今...ようやく役目が終わった」

 

「そ...そんな話...」

 

ウェンディがそう言った瞬間、化猫の宿(ケットシェルター)のメンバーが一人、また一人と消えてく。

 

「マグナ!!ぺぺル!!何これ!?...みんな...」

「アンタたち!!!」

 

「どうなっているんだ!?人が消えていく!!」

 

「イヤよ!!!みんな!!!...消えちゃイヤ!!!」

 

「騙していてすまなかったなウェンディ...ギルドのメンバーは皆...ワシの作り出した幻じゃ...」

 

「何だとォ!!?」

「人格を持つ幻だと?」

「何という魔力なのだ!!」

 

「ワシはニルヴァーナを見守る為にこの()()()()で住んでいた。7年前一人の少年がワシの所に来た」

 

その少年は当時グランディーネがいなくなり、一人ぼっちになったウェンディと一緒に各地を旅していたジェラールだった。彼はローバウルの元を訪れた際、ウェンディを預かるよう頼んだ。

 

「少年のあまりにまっすぐな眼にワシはつい承諾してしまった。一人でいようと決めていたのにな......そして幻の仲間たちを作り出した」

 

そしてギルドメンバーの幻もローバウル一人だけになった。

 

「ウェンディの為に作られたギルド...」

 

「そんな話聞きたくない!!!バスクもナオキも消えないで!!!」

 

「ウェンディ、シャルル...もうおまえ達に偽りの仲間はいらない」

 

ローバウルはウェンディの後ろにいる魔導士達を指さす。

 

「本当の仲間がいるではないか...おまえ達の未来は始まったばかりだ」

 

「マスター!!!」

 

「皆さん、本当にありがとう。ウェンディとシャルルを頼みます」

 

そしてローバウル自身も、ウェンディの肩にあった化猫の宿(ケットシェルター)のギルドマークも消えた。

 

「マスタァーーー!!!」

 

シャルル以外の仲間が全て消えたことでウェンディは膝をつき泣き叫んだ。そんな彼女の肩にエルザが優しく手を置く。

 

「愛する者との別れのつらさは......仲間が埋めてくれる...来い、妖精の尻尾(フェアリーテイル)へ」




次回、ニルヴァーナ編ラスト
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