光の滅竜魔導士タイガ   作:kazuki01

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幕間5
ようこそフェアリーヒルズ(ガールズside)


「サクラさん、入居の手続きだけでなく引っ越しの手伝いまで、本当にありがとうございます」

 

「いいのよこれぐらい」

 

ウェンディとシャルルは妖精の尻尾(フェアリーテイル)の女子寮フェアリーヒルズに住むことになり、手続きが終わり今日から住むことになったのだ。サクラとツバサはその引っ越しの手伝いに来ていた。

 

「私、姉妹はいなかったけど、サクラさんの家でお世話になっていた間お姉ちゃんがいるってこんな感じなんだろうなって思ってたんです」

 

笑顔でそう言うウェンディにサクラはキュンとなり

 

「うわっ」

 

「も~~~可愛いヤツ!可愛いヤツ!ウェンディはホント素直でいい子~~~

(>_<)」

 

彼女を抱き寄せ、頬をすりすりさせた。

 

「何やってんのよ...」

 

「ボク達もやる?」

 

「結構よっ!!!」

 

猫2人がそんなやりとりをしていると、目の前にある建物が見えてくる。それこそウェンディとシャルルが今日から入居するフェアリーヒルズだ。すると一行は寮の前にいる人物に気付く。

 

 

「あの...ルーシィさん?」

 

「あっ...ウェンディ!とシャルル、サクラにツバサまで!」

 

そこにいたのはセクシーな猫の格好をしたルーシィだった。

 

「いつもの感じと違う服だから、ルーシィさんじゃないのかと思いました」

 

「よりによって、私たちの前でその格好?...いい度胸ね」

 

「好きで着てんじゃないから...どうしたの?ウェンディ」

 

「私たち、今日からこの寮にお世話になることになったんです」

 

「で、あたしたち2人はその引っ越しの手伝い」

 

すると彼女等の後ろからハッピーが現れる。

 

「オイラもシャルルの引っ越しのお手伝いだよ」

 

「別にアンタには頼んでないわよ」

 

「へぇ~そうなんだ...てかハッピー、アンタ男子でしょ?ここ女子寮だから入れないわよ」

 

「オイラは男子じゃありません。猫です」

 

ハッピーの謎理論にその場にいた全員が呆れた顔をする。すると寮の窓から一人の女性が顔を出した。

 

「ルーシィか!?」

 

「!」

 

「こんな所に来るなんて、めずらしいな」

 

「エルザ!!?もしかして、エルザってこの寮に住んでるの?」

 

「ああ...他に何人もいる。おっ、ウェンディとシャルルも。今日からだったな」

 

「よろしくお願いします」

 

「ねえ、おばあちゃん......って消えてるし!!!」

 

ルーシィは誰かに話しかけようとしたが、そこには誰もいない。

 

「何をしているんだ?」

 

「う...うん、ちょっと見学に」

 

「だったら私が案内しよう」

 

「本当?」

 

「入れ...ハッピー達はウェンディとシャルルを部屋に案内してくれ。2階の角部屋だ」

 

「あいさー!!」

 

「よろしくお願いします」

 

「まっ、頼んだわよ」

 

「てかハッピー...アンタちょいちょい来てるわけ?」

 

「あい!猫ですから」

 

「何よそれ...」

 

 

 

 

そしてサクラ達はウェンディが入居する部屋での引っ越し作業を終え、寮の廊下を歩いていた。

 

「私たちの部屋、とっても日当たりがよくて良い部屋だったね」

 

「で、アンタは何してんのよ?」

 

シャルルは皆の前を歩くハッピーに聞く。

 

「オイラが寮の中を案内してあげるよ」

 

 

一行がまずやってきたのは

 

「ここは大浴場。各部屋にもシャワーはあるけど、湯船につかりたい時はここだよ」

 

広々とした大浴場をツバサが紹介する。

 

「広~い」

 

「中々良いじゃない...」

 

「あたしとツバサもたまにここのお風呂に入らせて貰ってるの」

 

 

次にやってきたのは

 

「地下は資料部屋。ギルドほどじゃないけど寮生たちの仕事の記録があるの」

 

サクラの詳しすぎる説明にシャルルは

 

「てかアンタ達、住んでもないのに詳しすぎね」

 

「ボクとサクラも、ここにはちょくちょく遊びに来てるからね」

 

「あの......」

 

自分が案内すると行っておきながらサクラとツバサに説明されてハッピーは気まずくなる。

 

 

次はウェンディ達の入居の挨拶を兼ねて寮生たちの部屋に向かった。

 

 

 

~レビィの部屋~

 

「ここがレビィの部屋...って!?」

 

5人の目の前には壁に頭を打ち付けられて血を流して倒れているレビィの姿があった。

 

「「レビィ(レビィさん)!!?」」

 

ウェンディの魔法で怪我を治してもらったレビィは改めて自分の部屋に招待する。

 

「あははは...改めて、みんないらっしゃい」

 

彼女の部屋は全体を覆いそうな数の本があった。

 

「相変わらず、すごい数の本だね」

「これ、全部読んだんですか?」

 

ハッピーとウェンディはその本の数に驚く。

 

「これでも半分くらい処分したんだよ」

 

「あたしもたまに本をもらったりしてるの」

 

するとレビィはウェンディに小さな声でコソッと話す。

 

「サクラは恋愛小説が好きでね...最近では女の子同士の話を読んでるみたい」

 

「ドキッ」

 

ガンッ!!

 

「ぎゃっ!!」

 

「さ...次行こうか」

 

「レビィさ~ん...」

 

小声が聞こえたのか、レビィはサクラに木刀で殴られ先程と同じ姿ように壁に倒れた。

 

 

 

~ビスカの部屋~

 

「あらサクラ!!ウェンディも一緒?」

 

「あ...あの...」

 

ウェンディが戸惑うのも無理はない。なぜならこの部屋は

 

「馬...ですよね?...」

 

「ラクダもいるのよ」

 

他にも牛や羊、ワニや象にライオンまでいた。

 

「ど...動物園!?」

 

ウェンディの言うように、まさに動物園のような部屋だった。

 

「あい!本来ならペット禁止なんだけどね」

「エルザに大目に見てもらってるの」

 

「大目に見るレベルじゃないでしょー!!!」

 

動物達に遊ばれてるハッピーと、動物達を撫でているサクラにシャルルがツッコんだ。するとツバサがいることに気付いた動物達は彼女の周りに集まり、「ライ○ンキ○グ」の冒頭のシーンのように頭を垂れた。

 

「みんな~久しぶり~元気だった~?」

 

「な、何よアレ?」

 

戸惑うシャルルにビスカが説明する。

 

「この子たち、ツバサの事をボスみたいに慕ってるのよ。何でかは分からないけどね」

 

 

 

~ジュビアの部屋~

 

「で、ジュビアに何の用?」

 

「ウェンディが今日から入居するから、挨拶回りにね」

 

「よろしくお願いします」

 

「あら、思ったよりマトモな部屋ね」

 

シャルルの言うように、ジュビアの部屋は手作りであろうグレイのぬいぐるみがたくさんある以外は、まさに女の子の部屋といった感じだった。そしてジュビアは5人に紅茶をさしだす。

 

「どうぞ」

 

「ありがとうございます」

 

ごくん

 

「この紅茶、美味しいわね」

「確かに、良い紅茶ね」

 

出された紅茶を飲んだサクラとシャルルはその美味しさに絶賛する。

 

「ええ、だって...何たらグレイって名前なんですもの」

 

(でた)

 

紅茶を選んだ理由にハッピーが心でツッコミながら紅茶を飲むと

 

「辛ーーーいっ!!!」

 

口から火を噴き出した。

 

「ごめんなさい。さっきルーシィに出した激辛スープ、片付けるのを忘れてました」

 

「何やってんのさーーーっ!!!」

 

「ハッピー!!こういう時は苦い物はどう?」

 

「あ...あい...」

 

ハッピーは口直しをしようとツバサのコーヒーを飲んだが

 

「苦ぁ~い......」

 

苦みの方が強かったようだ。

 

 

 

~ラキの部屋~

 

「あら、サクラ!ここに来るのは久しぶりね。女子寮に謀略を仕掛けに来たの?」

 

「謀略って...」

 

ウェンディとシャルルは部屋の内装に黙ってしまった。木の造形魔導士であるラキの部屋は木で作られた拷問器具風のオブジェがたくさんあったからだ。

 

「アンタ...どういう趣味してんのよ...」

 

「よかったら防犯用に一つ持っていく?」

 

「え、遠慮します...」

 

 

 

~エバーグリーンの部屋~

 

「妖精の中の妖精の部屋へようこそ~」

 

その部屋はたくさんの花、そしてやけにリアルな男の石像が大量にあった。

 

「ひぃ~~~」

 

「大丈夫、ただの石像だから」

 

自分にしがみついて怯えるウェンディの頭をサクラは優しく撫でる。

 

「私、花も石像も美しくて好きよ」

 

するとツバサはある石像をジ~っと見ていた。

 

「ねえ、エバ......この石像、上半身のポーズはもっとこういう感じの方がカッコイイんじゃない?」

 

「あら、やっぱりそう思う?...ツバサは見る目があるわね~」

 

 

 

~エルザの部屋~

 

「そしてここがエルザの部屋」

 

ハッピーに案内されてやってきたエルザの部屋はかなりの広さだった。武器や鎧の数が増えすぎて5部屋借りてつなげたのだ。ちなみにフェアリーヒルズの家賃は月10万J(ジュエル)なので...彼女の部屋の家賃は月50万J(ジュエル)だ。

 

「お、引っ越しは済んだのか?」

 

部屋にいたエルザがサクラ達に話しかけた。

 

「ウェンディの歓迎会を兼ねて、これからみんなで湖に泳ぎに行くのだが、サクラ達も一緒にどうだ?」

 

「いいわね!...って言いたい所だけど、水着持ってきてないのよね...」

 

サクラがそう言うと、ツバサはフッフッフと笑う。

 

「こんな事もあろうかと...ちゃんと持ってきたよ~」

 

ツバサはどこに持っていたのか、自分とサクラの水着を取り出した。するとサクラはあることに気付く。エルザに寮を案内されてたはずのルーシィがいないのだ。

 

「ねえエルザ?ルーシィはどうしたの?」

 

「もう少し寮の中を見て回るそうだ」

 

 

 

 

 

~湖~

 

フェアリーヒルズの裏の湖では、ウェンディとシャルルの歓迎会を兼ねて、寮生+サクラ&ツバサが遊びに来ていた。

 

ツバサは猫型から人型になり、

胸に(=^・ω・^=)が描かれたワンピースタイプの水着を、サクラは桜色のビキニタイプの水着を着ていた。

 

湖で泳ぐ者、ビーチバレーで遊ぶ者と楽しみ方はそれぞれだが、あまり楽しそうじゃないのが約一名。

 

「いつも言ってますけど...水泳はジュビアにはつまらないですわ」

 

「まあ、そう言わないでよ。気持ちいいじゃない」

 

不満そうなジュビアをサクラが慰める。

 

「楽しいですね」

 

「ああ、妖精の尻尾(フェアリーテイル)もフェアリーヒルズもどっちも楽しいぞ」

 

ウェンディとエルザがそんな会話をしていると、ビーチチェアで寛いでいたシャルルは

 

「フン...みんなガキね」

 

するとハッピーが飲み物を運んでくる。

 

「お待たせいたしました」

 

「あら、オスネコのくせに気がきくのね」

 

「女子寮のみなさんにそう言われます......みなさん!!それでは例のヤツいきますよ!!」

 

「?」

 

ウェンディが戸惑う中、ハッピーが何かを始めると宣言する。

 

 

 

「フェアリーヒルズ名物!『恋のバカ騒ぎ!!』」

 

湖岸にトーク番組のひな壇のような椅子が用意され、ウェンディとシャルルを除く女子8人がそこに座り、ピコピコハンマーを持ったハッピーが司会のようだ。

 

ちなみに席順は後ろの席にラキ、ジュビア、エバーグリーン。前の席にツバサ、レビィ、エルザ、ビスカ、サクラが座っている。

 

「今日のお題は...『あなたが妖精の尻尾(フェアリーテイル)の中で彼氏にしてもいいと思うのは誰?』です...さあ」

 

「グレイ様...以上」

 

「ジュビア、それじゃつまんないよ。他の人」

 

「え~~...その~~」

「花が似合って、石像のような感じの」

「それって人間ですか?」

 

「エルザは?」

 

「いないな」

 

「にべもないね。他の人」

 

「ちょっとお題に無理があります。だってそんな人いる?」

 

ラキがお題に苦言を出しているとハッピーはある人物に話を振る。

 

「レビィはどうなの?」

 

「私!?」

 

「例えばジェットとか、ドロイとか。三角関係の噂もあるしね」

 

「冗談!チーム内での恋愛は御法度よ!!仕事にも差し支えるもん」

 

「トライアングル~、グッとくるフレーズね」

「三角関係...恋敵ィ...」

「その真ん中に立つと、全ての毛穴から鮮血が」

 

「はい~、そこ脱線しすぎ」

 

 

ハッピーは仕切り直してある二人に話題を振る。

 

「サクラとツバサはどう?」

 

「「え?」」

 

「タイガとの三角関係の噂も...」

 

ハッピーが言いかけたその時

 

「「ないない」」

 

2人は手を振って否定した。

 

「確かにタイガのことは好きだけど、ボク的にはお父さんとかお兄ちゃんってのが近いかな?」

 

「あたしも、タイガとの関係はどっちかというと兄妹みたいなものね」

 

そういうサクラにハッピーは更に質問する。

 

「じゃあさ、もしタイガが知らない女の人と仲良くしてたらどう?」

 

「え?」

 

その言葉に、サクラはそんな場面を想像し、一瞬ムカッとした気がするがすぐ元に戻る。

 

「別に何ともないわね」

 

すると今度はレビィが話を振る。

 

「チームの恋愛って言えば、私前から疑ってることがあって」

 

「何何?」

 

「実はナツとエルザが怪しいんじゃないかと思うの。だって昔、一緒にお風呂とかに入ってたって言うし」

 

「そういえば」

 

レビィとビスカがそんなトークをしているとエルザは

 

「?...グレイとも入ったぞ」

 

「「!!?」」

 

「それは即ち好きということになるのか?」

 

エルザの思いもよらない発言にその場にいたツバサ以外の女子6人が顔を赤くし、頭から煙が出た。

 

「グレイ様と...お風呂に...」

 

ピコッ

 

「はい、そこ~!想像しない!!」

 

ハッピーがピコピコハンマーでジュビアの頭を叩くとツバサが語り出す。

 

「お風呂と言えばさぁ...最近タイガがボクとお風呂入ってくれないんだぁ...昔はよく入ってたのに」

 

「ん?...そうなのか?」

 

「うん...人型(この姿)に変身できるようになってからなんだけど」

 

(((((((あああ......)))))))

 

エルザ以外の7人がその理由に気付く。

 

「この間も」

 

 

~回想~

 

「はぁ~」

 

数日前、タイガは自宅の湯船につかっていた。そこへ

 

「タイガ~、ボクも入る~」

 

人型のツバサが一緒に入ろうと全裸で浴室に入ってきた。

 

「だああぁーーーっ!!?人型(その姿)で入ってくんな!!?」

 

タイガは慌ててツバサの肩を掴み後ろを向かせる。

 

「せめて猫になれ」

 

「?」

 

結局その日は猫型になって一緒に入ってくれたという。

 

 

~現在~

 

「ともかく、一緒に入ってくれてよかったじゃないか」

 

(((((((いやいや、そうじゃなくて......)))))))

 

やはりエルザは気付いていなかった。要するに猫とならともかく、20歳の男性と12歳ぐらいの少女が一緒に風呂に入るのは絵面(えづら)的にマズいのだろう。

 

今度はエルザがビスカに話を振る。

 

「ビスカこそ、アルザックとは相変わらず上手くいってるのか?」

 

「エルザさん!?それ内緒です」

 

「え?みんな知ってるよ」

「むしろ、あれで隠してるつもり?ってぐらい」

 

「「「「「うんうん」」」」」

 

レビィとサクラの発言に他の5人が頷く。

 

「~~~」

 

「すまん...うっかりしていた。仲間だというのに...私のせいだ。とりあえず殴ってくれないか」

 

ハッピーはこの場にいない人物の話題を出す。

 

「じゃあルーシィはどう?」

 

「ナツじゃない?」

「意外にグレイかも」

「ジュビアはロキだと!」

 

「でも、ルーちゃん言ってたよ。青い天馬(ブルーペガサス)のヒビキって人に優しくしてもらったって」

 

「ん~...意表を突いてリーダスとか」

 

「「「「「ないないない...」」」」」

 

「わかった!きっとミラさんだ!!」

 

「それとも半同居人のミコ?」

 

 

 

そんな様子をウェンディとシャルルは離れた所から眺めていた。

 

「いつもこんな事してるんだ」

 

「そうとうバカっぽいけど、魔導士の仕事はストレスかかるみたいだから、息抜きしてんでしょ...てか、アンタも次からアレに参加するんでしょ?」

 

「ええ!!?」

 

 

 

 

 

~大浴場~

 

湖で遊んだ女子達はフェアリーヒルズの大浴場にいた。

 

「やはり、水遊びの後はコレにかぎるな」

 

「気持ちいいわね~」

 

「ふにゃ~~」

 

「ジュビアどうかした?」

 

「ジュビアはお部屋で入りたい...恥ずかしいから...

 

「女同士で何言ってんのよ」

 

「ルーちゃんも来ればよかったのに」

 

「一応誘ったんだがな」

 

女子達がそんな会話をしていると、湯船につかっていたサクラは天井を見つめる。

 

(ていうか...あそこにいるんだけど)

 

人の気配を察知できるサクラは大浴場の天井裏にルーシィの気配を感じていたが、とりあえず皆には黙っていた。すると

 

ドカーーーン!!!

 

ギルドの方から大きな音が聞こえた。

 

「!?」

「何!?」

「ギルドの方からだ!!」

 

そこでサクラは思い出す。今日は男子メンバー総出でプールの大掃除をしていたことを。

 

「...どうせ、ナツ達が何かやらかしたんでしょ」

 

彼女のその一言に皆納得し、入浴タイムを続けた。サクラが再び天井に意識を向けると、ルーシィの気配はすでに無くなっていた。

 

 

 

 

 

その日の夜。

 

「あった!!!」

 

寮の裏庭にいたルーシィはそこにある大きな木の中に隠されていた小さな宝箱を見つけた。

 

「やったー!!!おばーちゃん!!!見つけたよー!!!おばーちゃーん!!!おばーちゃーん...?」

 

彼女の声を聞き、エルザと猫型に戻って眠るツバサを抱えたサクラがやって来る。

 

「ルーシィ?」

「どうした?騒がしいな」

 

「サクラ!!エルザ!!寮母のおばーちゃん知らない?」

 

「寮母?」

「!?」

 

サクラは何のことか分からないが、エルザは何か心当たりがあるようだ。

 

そもそもルーシィがフェアリーヒルズにやって来たのも、受注された記録のない謎の依頼書が依頼板(リクエストボード)に貼られており、依頼主の住所がこのフェアリーヒルズだったからだ。依頼主である寮母のヒルダに『寮のどこに置いたか忘れた光る宝を探して欲しい』と頼まれ、今見つけたのだった。ちなみに今ルーシィが着ている猫の格好はヒルダに無理矢理着替えさせられたものだ。

 

「ヒルダさんって言ったかな?ちょっと届け物あるんだー」

 

「ヒルダおばあちゃん?...ど...どういう事だ!?」

 

「どういう事も何も、秘密の探し物を届けなきゃ」

 

「おまえは何を言ってるんだ!!!」

 

「え?」

 

「ルーシィ...ヒルダおばあちゃんはな...6年前になくなっている」

 

エルザのその言葉にルーシィとサクラは言葉を失う。

 

「う...そ?...だ...だって、あたし...」

 

「6年前...シロツメに買い物に行った帰りだ...馬車が崖から転落してな」

 

「え?...え?...」

 

するとエルザはルーシィが持つ小さな箱に気付く。

 

「その箱は?」

 

「あ...あたし...おばーちゃんに会ったの!!それで...これを探してほしいって......」

 

「何だと?...中身は!?」

 

「う...うん!!開けてみるね」

 

箱を開けるとその中は小さな宝石がたくさん入っていた。

 

「宝石...」

「キレイ...」

 

中身を見たエルザは泣きそうになる。

 

「エルザ?」

 

「ヒルダおばあちゃんはな...ガンコで口うるさくて、憎まれ口ばかりたたくおばあちゃんだった。しかし、誰よりも私たち寮生を気遣い、私たちが危険な仕事に行くのを辛そうにしていた」

 

『魔導士なんてやめちまえ』

 

「それがおばあちゃんの口癖だった...本心かどうかは今となってはわからぬがな」

 

エルザは話を続ける。ある日ヒルダが寮生の女の子達にオモチャの宝石を買ってきた。そんな事は初めてでみんなすごく嬉しそうだったが、全員に配るには一人分足りなかった。ヒルダもオロオロしてしまい、寮生の子達も変な空気になってしまったが場を鎮めようとしたエルザが宝石を貰うことを遠慮してしまった。本当はすごく欲しかったはずなのに。

 

その夜、エルザの部屋に来たヒルダは彼女に語った。

 

『エルザ..おまえは将来いい女になるよ。きっと宝石の似合う美人になる...大人になったらアタシの宝石をあげるよ。本物の宝石だよ、全部あげる』

 

『わ...私はもう大人だ...』

 

『まだまだ...もう少し背が伸びて、胸も大きくなって...そしたらきっと、猫のお姫様がたくさんの宝石を運んできてくれるよ』

 

『猫のお姫様なんていないよ...子供扱いしすぎ』

 

ヒルダが亡くなったのは、二人でそんな会話をした次の日だった。

 

そんな出来事を思い出したエルザの目からは涙が溢れる。

 

「あれから6年...あなたはずっと私たちを見守ってくれていたんだな...」

 

そんな彼女を見るルーシィとサクラの目にも涙が浮かぶ。

 

「この宝石は寮のみんなで分けよう」

 

「そうだね、それがいいと思う」

 

するとエルザはルーシィとサクラ、そして眠っているツバサの手にひとつずつ宝石を渡す。

 

「これはおまえ達の分だ」

 

「「え?」」

 

「い...いらないってー!!もらえないよあたしー」

 

「そうだよ...あたし達寮生じゃないし!!」

 

「何を言ってる...サクラとツバサはよく遊びに来て、みんなに美味い料理をつくってくれる...それにルーシィは、宝石を運ぶ猫のお姫様じゃないか」

 

「!!」

 

エルザに言われてルーシィは改めて自分の格好に気付く。ヒルダが自分にこの格好をさせたのはそういう事だったのだと。

 

するとルーシィの持っていた依頼書が光りとなり、空へと消えていく。

 

「見て!依頼書が消えてく」

 

「天国からの手紙だったのかな」

 

人の思いはつながる。時を超えて、愛する人のもとへ。それを感じる事ができたのが今回の依頼の報酬だとルーシィは思った。

 

「ん~...にゃ!?」

「ル...ルーシィ!!?」

 

サクラに抱かれ眠っていたツバサが目を覚ますと、目の前の光景に驚く。サクラもルーシィの姿に驚く。

 

「?」

 

何に驚いているか分からないルーシィにエルザが口を開く。

 

「お前の服も消えてるんだが...」

 

「きゃあああ!!!」

 

「天国からの服だったのか」

 

「ちょっと...今のあたし、マヌケすぎ!!!」

 

それにしても、ミコといいヒルダといい、ルーシィには意図せず幽霊やオバケを引き寄せる何かがあるのかな?とサクラは思った。




夕方頃に男性側の話を投稿予定
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