ディミトリの妹になっちまった   作:上代わちき

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おまけの黒鷲ルートです(・x・)ノ
便宜上「その1」とさせてもらってますが、続くはわからない。
あと蒼月ルート第一部の「暗雲の章」との差別化も兼ねて、エガちゃん味方ルートは第一部時点から「暗花の章」と銘打っておきます。

→「ディミトリの妹になっちまった」の正史ルートはあくまで蒼月ルートです。
→前回で蒼月ルートは完結したため「ディミトリの妹になっちまった」はすでに作品としては完成している、ってのが筆者の考えです。
→なのでエガちゃんルートとはあくまでおまけのIFルートでしかなく、必ずしも完結まで無理する必要はないとも考えております。

Qつまり?
A今回も見切り発車じゃあ!
(・x・)しかも完結を一切約束しない分前回よりタチが悪い……





紅花IFルート 暗花の死神
暗花の章 その一


 

 

 

 

 

 

 

◆◆一話

 

 

◆1

 

 

 気がつきゃディミトリの妹にTS転生してた件。

 しかも先生が黒鷲学級を選んでんだけど。

 草。

 いや草じゃないが。

 

 

 いやどーすんだよ、ファーガス滅亡ほぼ確定じゃん。

 しかも何が厄介って、帝国完全勝利ルートなのかレア様大勝利ルートなのか見分けつかないってことだよ。

 先生がどっちを選ぶかで今後の立ち回りが大幅に変わるんだよこれ……。

 

 

 

 …………。

 まぁ、どっちにしろ青獅子の学級に留まるって選択肢はないわな。

 場合によってはそうするって、最初から覚悟は決めてた。

 

 

 じゃ、そういうわけで早速行動に移しましょ。

 

 ベレスてんてー、ちょっと俺と手合わせしましょー。

 

 

 

◆2

 

 

 

 互角の勝負だった件について。

 事前にぶっ倒れるほどイエリッツァ先生カトリーヌ先生マヌエラ先生と稽古しまくってたのがそんな響いたのだろーか……。

 後イエリッツァ先生と二人きりでの課題出撃。

 

 しかも最終的に白熱しすぎてギャラリーができて盛り上がるわ、極端に熱中しすぎて最終的にイエリッツァ先生に止められてベレスてんてーと一緒に説教されるわ。

 正直イエリッツァ先生がそこまで理性的な行動に出るとは思わなかったよ……。

 死神騎士の時は逸楽逸楽言ってんのに……。

 

 

 まぁその代わりベレスてんてーからは黒鷲の学級に来てみない? っていうお誘いを受けることには成功した。

 なんでもエガちゃんとフェルディナントとペトラとに剣を教えるのを手伝って欲しいんだと。

 

 ……あれ、生徒としてではなく教師補佐としてスカウトされてんの俺?

 

 

 

◆3

 

「……よろしかったのですか、殿下」

「ああ。今生の別れってわけじゃないし……せっかく帝国や同盟の人達と一緒の学校生活なんだ。環境を変えるのも、リハビリとしては悪くないかもしれない」

「この四年間、結局声は戻りませんでしたもんね……アルトリア様」

「それにしても、帝国の学級だなんて心配ね~いじめられていないか不安だわ~」

「じゃあさ、私達も一緒に行くってのはどう?」

「おいおい、俺達を置いていくつもりか?」

「流石にこれ以上は人数が偏るだろう……学級にも定員というのがあるはずだ。……あるんだよな?」

 

 

 

 

◆◆二話

 

◆1

 

 

 やあ、黒鷲の学級に転入したディミトリの妹さんだよ。

 俺は今ねー、黒鷲のみんなに自己紹介しているとこなんだ。

 

 といっても、相変わらず声は出ないから筆談で自己紹介だ。

 

 

 どうもアルトリアです。

 髪の毛白くなりました。

 右目焼きました。

 左腕切り落とされて義手に換装してます。

 声も出ません。

 なんなら痛覚もありません。

 

 ……どうあがいても雰囲気が悪くなる自己紹介しかできんのやけど。

 

 

 

「なぁ、アルトリア。……その左腕、だけど」

「カスパル?! あなたちょっと──」

「それすっげぇ格好いいよな!」

 

 お、君もしかして男のロマンわかるやつ?

 

 

「え」

「なぁちょっと見せてくれないか?!」

 

 いいともいいとも。

 せっかくの機会だ、紹介しようじゃないか。

 

 

 

 

 説明しよう!!!

 我が切り落とされた左腕の代わりに換装された、この魔力式義手!

 実は中に短刀が仕込まれた仕込み義手なのだ!!!

 剣を携帯できないときもこれで安心だ!!!

 

 

「うぉ?! 腕の中から剣が出て来た?!」

 

 しかも改造したら魔力で火炎を放射する火炎放射器になるし、棒手裏剣も投げ飛ばせる!!!

 その気になれば斧も仕込めるから武器切り替えもできるし、実は折り畳み式の盾も仕込めるから有事の際には防御もできる!!!

 

 

 

「待って、その義手高性能過ぎない?! 明らかにオーパーツなんだけども?!」

 

 そして何よりもーーーーー!

 大砲に変形できる!!!

 

 困ったときはここから闇魔法をぶっ放して何もかもを吹き飛ばしてやんよー!

 これが男のロマンじゃーーーーー!

 

 

 

「まじかっけぇえええ! いいなー、俺も左腕切り落として義手つけよっかなー」

「やめときなよカスパル。絶対痛いなんてもんじゃないよ」

「というかなんで腕を切り落とされた当人はあんなどや顔なのよ…………かわいいけど」

「ドロテア、今、何、言いました?!」

 

 いやー、この義手を気に入っていただけたようで何より。

 ディミトリやシルヴァンに自慢しても、痛々しいものを見るような目で見てくるだけだから欲求不満だったんだよなー。

 

 

 

「……なんていうか、男の子なのね。あんなに小さくてかわいい女の子なのに」

「エーデルガルト様。アルトリア殿は正真正銘女性です」

「わかってるわよ」

 

 

 

◆2

 

 

「どうだった?」

「滅茶苦茶馴染んでますよ。……なんなら、あんなに楽しそうなお顔は初めて見ました」

「それほどまでに、か。……転学を許してよかった」

「殿下……」

 

 

 

 

 

◆◆三話

 

◆1

 

 

「アルトリア! お前すごいんだな! コスタスの奴をあんなあっさり倒しちまうとは思わなかったぜ!」

「カスパル、カスパル。この人一応ファーガスのお姫様だから呼び捨てはまずいって」

「大丈夫だって、お前も普通に呼べよ。そんなんで怒る人じゃねぇし」

「知り合って一節も経っていないのになんでそこまで通じ合ってるのよ貴方達……」

「あれ、ドロテア、アルトリアさんのこと、「アルちゃん」、呼んでませんでした?」

「な、なんのことかしらー?」

 

 やあやあ黒鷲所属のアルトリアさんだよ。

 ただいま課題出撃でコスタスさんを吹っ飛ばしたところだよ。

 

 

 いやーレベルが思いのほか上がらないが、毎日が楽しいやー。

 これもすべてカスパル君がムードメーカーしてくれるおかげだ。

 今度なんかお食事でも誘おうかな。

 

 

「…………」

 

 あれ、どしたのベルさん。

 そんなところでぶつぶつ言って。

 

 

「え、あ、アルトリアさん?! い、いえあのなんでもなくて……」

 

 あれ、お前さん傷ついてんじゃん。

 ちょっと見してみ。

 

 

 

「え、あ、ちょ……!」

 

 一応俺もライブ覚えてっから、ちょっとおとなしくしといてねー。

 ほらライブーっと。

 

 これで傷はふさがったぞ、と。

 大丈夫かー?

 

 

「ど、どうかご慈悲をおおおお! 不敬罪はいやああああああ!」

 

 あれ、行っちゃった。

 

 

「ああ、ベルナデッタはいつもあんなんだよ。気にしなくていい」

 

 

 そうなのリンハルト?

 

 

「そうなんだよ、アルトリア」

 

 そっかー。

 

 

 

◆2

 

 

「おい、猪。あれを放っておいていいのか」

「あれって……アルのことか?」

「俺も少し覗いてきたが……転学して一節足らずとは思えないほど馴染んでいる。あのまま帝国に引き抜かれる勢いだぞ」

「ああ、それは困るな。……でも、それだけ彼らに気を許しているってことだろう?」

「それは……」

「なら、この一年の間ぐらいはそうさせておいた方がいいだろう。うん、友達も増えたようで俺は安心したよ」

「…………」

 

 

 

 

◆◆四話

 

 

◆1

 

 

「アルトリア、書庫にいたのか。すまないが、少しいいだろうか」

 

 おや、どうしたのフェルディナント。

 剣術のことで聞きたいことでも?

 

 

「いや、今日は君のことを聞きに来た。……君は、ファーガスの王族なのだろう」

 

 ……うん。そうだね。

 

 

 

「……その立場は、そんなに苦しいのか」

 

 ……わかるか。

 君に取っちゃ、不愉快かもしれんがね。

 

 俺は……この立場が重いんだよ。

 

 

 俺には人を導く才はない。

 国と領土を適切に運用する能はない。

 

 それでも王族として生まれた以上は、いずれ必ずそれを求められる。

 正直、辛い。

 

 

 

「なるほど……君は、王族に生まれてはいても『貴族』ではないのだな」

 

 ……ああ。

 

 

「だが! それでも君は『貴族』であろうとしている! ……そこにある本が証拠じゃないか」

 

 これのことかい?

 ただの、暇潰しみたいなもんだよ。

 

 マヌエラ先生に暫く剣術禁止って言われたし。

 それに、エガちゃんにこれを必ず読めって言われたしねー……。

 

 

 

「それでも、君はそうして実践している……学ぶ意欲はある証左にはなるさ」

 

 そう、かな?

 

 

「アルトリア。君さえよければ、私に貴族のことを教えさせてくれないか。……君は貴族ではないのかもしれない。それでも、君なりに貴族の義務を果たそうとしているのは知っているつもりだ」

 

 ……。

 そっか、ディミトリさん達と違って厳しいんだね。

 フェルディナント。

 

 

 

「ああ。右目、左腕、声帯、痛覚が利かない姫と言えどだ。……それは、ファーガスの彼らではできない役割だろう?」

 

 

 

◆2

 

 

「確か、アルはここに……」

「待ちたまえ、ディミトリ君」

「……ローレンツか。どうしたんだ?」

「今は、フェルディナント君がアルトリア君に乗馬のことを教えている最中だ。……邪魔はしないでくれたまえ」

「乗馬だって?! いや、危険すぎる! 彼女にはまだ……」

「……僕には、拙いながらも乗りこなそうとしているように見える。まさかと思うが、アルトリア君の邪魔をする気かい? むしろ、このまま妹の背を押すのが兄の役目ではないのかね?」

「…………。アル……」

 

 

 

 

 

◆◆五話

 

 

◆1

 

 

 

「ちょっといいかしら、アルトリア」

 

 ん、どしたのエガちゃん?

 

 

「その……両手で抱えてるぬいぐるみってどこで手に入れたのかしら?」

 

 え、これ?

 なんか先生に貰ったのを持て余しているだけだよ……。

 

 

「そ、そうなの……女の子にぬいぐるみって、先生も安直ね……」

 

 

 ……へぇ。

 

 

 

「なによ、その目」

 

 欲しいんだ?

 

 

「え?! い、いやそんなことはないわよ! た、ただちょっと感想が出て来ただけで」

 

 顔真っ赤だぞ皇女殿下ー。

 

 

「赤くない! なんなのよ貴女! そんなにやにやして! そんなにおかしいの!」

 

 いや別にぃ~。

 ただ、素直になるべき時は素直になるべきだぜエガちゃん。

 

 

 

「……え? まさか、くれるの?」

 

 さっきいっただろ。

 俺こいつを持て余してんだ、この際そっちで処分してくれると助かる。

 抱き枕用のぬいぐるみはすでにあるしねー。

 

 どう処分するかは、エガちゃんの好きにやればいい。

 

 

 

「え、でも……」

 

 いいから。

 その代わりさ、今度一緒にお食事しよーよ。

 

 食堂のシャーベット、すごい絶品って話だし。

 

 

 

 

「シャーベット?! え、ええ! 付き合ってあげる! ……感謝なさい、次期皇帝が付き合うんだから」

 

 ははーどこまでもお供します皇女殿下ー。

 

 

 

「完全に棒読みじゃない。まったく………………がとう、アル」

 

 ん、なんかいった?

 

 

 

「いいえ、聞き間違いじゃないかしら」

 

 そっか。

 ……そっか。

 

 

 

◆2

 

 

「エーデルガルト……」

「どうしたの、ディミトリ?」

「先生?! いや、アルの様子を見ていてな。……アルはどんな様子ですか?」

「いい子だよ。カスパルを中心にいろんな子と交流しているし。……この間なんか、ドロテアの着せ替え人形にされてメイド服を着てたよ」

「アルのメイド服?! ……い、いや、失礼した。……本当に、馴染んでいるんですね」

「うん。本当にスカウトしてよかった。そう思うよ。……エーデルガルトの意外な一面も引き出しているみたいだし」

「アル……アル……!」

 

 

 

 

 

◆◆六話

 

◆1

 

 

「ずいぶんと楽しそうだな、アルトリア」

 

 まぁね、イエリッツァ先生。

 もともとファーガスの堅苦しい雰囲気や紋章特化の価値観自体に思うところがあったから、帝国の学級は大分気楽で居心地がいいもんだよ。

 でも、剣と理学に特化するーを許す程甘くもない。

 ……俺に必要だったのは、こういう環境だったのかもね。

 

 

 

「剣の稽古を欠かす程だからな。……いや、悪いとは言わん。流石に倒れるほどというのは、『私』としても思うところがあった」

 

 ……『俺』としては、どうなんだい?

 

 

 

「鋭いのだな……」

 

 まぁなぁ。

 これでも色々見ているつもりだ。

 

 この間なんかペトラと一緒に狩りの練習させられたし、ヒューベルトはヒューベルトで厳しい試験を謎に受けさせられたし。

 なんだよエーデルガルト様試験って……。

 絶対この間の件の嫉妬でやってるだけだろあいつ……。

 そのくせしっかり観察眼鍛えられるの、まじでわけわかんね。

 

 

 

 

「……お前、気づいているか?」

 

 ん、何が?

 

 

 

「声。……たまに出ているぞ」

 

 …………。

 え?

 

 

 

◆2

 

 

 

「殿下。……殿下?」

「アル……アル!」

「どうしました、殿下? なにか不調でも……」

「アルが、声を出したんだ! 四年ぶりに!」

「な、なんですと?!」

「本当に、本当によかった……!」

「ええ、ええ! 俺もそう思います!」

 

「…………」

「……殿下?」

「…………なぜ」

「え」

「なぜ、俺の傍じゃだめだったんだ……?」

 

 

 

 

 

 





なお紅花ルートでも曇るのは青獅子連中のみの模様。
一方で自分は厳しくも居心地のいい黒鷲の空気を吸って楽しいオリ主。

(・x・)ディミトリたちに恨みでもあんの?
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