遊戯王ARC-VRAINS   作:不知火新夜

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3話

その日、そのデュエルを目の当たりにした者は皆、驚愕に包まれた。

 

「俺は、スケール1の『星読みの魔術師』と、スケール8の『時読みの魔術師』を、ペンデュラムスケールにセッティング!揺れろ、魂のペンデュラム!天空に描け、光のアーク!ペンデュラム召喚!出でよ、我が僕のモンスター達よ!」

 

塾の根幹を担っていると言って良いソリッドビジョンシステムが故障するという、遊勝塾の存亡が危ぶまれる事態となってしまったその時、まるで偶々立ち寄りましたと言わんばかりの口ぶりで訪問して来た胡散臭い風貌の人物――プロデュエリストであるストロング石島のマネージャー兼プロモーターを務めるニコ・スマイリーから齎された、ストロング石島とのエキシビションデュエルのオファー。

遊矢が舞網市内において『悪い意味で』有名になった一件もあってか、当初は「遊矢を見世物には出来ん!」と修造らがオファーを断ろうとしたものの、受けてくれればレオ・コーポレーション社製の最新式ソリッドビジョンシステムを無料提供する等の報酬をチラつかされたのもあって、背に腹は代えられぬと承諾、その後とんとん拍子に準備は進み、ほんの数日後に開催されたストロング石島と遊矢とのエキシビションデュエル。

かたやプロですら無い『臆病者の息子』、かたやアクションデュエルにおけるトップに君臨するプロデュエリスト、どっちが勝つかでは無く遊矢はストロング石島相手にどれ位持ちこたえられるかという予想で観客が盛り上がっていた中で行われたデュエルは然し、終盤で遊矢が見せた想定外の行動が切っ掛けとなり、遊矢が逆転勝利を収めることとなったのだ。

 

「やはり遊矢が『スタンダードの破片』、否、今は『ペンデュラムの破片』か。そして柚子は予想通り『花』か。よもやこの次元に来て直ぐに鉢会い、関係を持つ事になろうとはな」

 

まさかの事態に騒然となる観客席の中でただ1人、ユウはそう呟いていた。

 

------------

 

ストロング石島とのエキシビションデュエルで遊矢が起こして見せた奇跡、融合召喚やシンクロ召喚、エクシーズ召喚とはまた違う、エクストラデッキから強力なモンスターを呼び出す為の新しい召喚方法、ペンデュラム召喚。

それを目の当たりにして、或いは耳にして気に留めない関係者はいないだろう、ペンデュラム召喚は、初めて披露した遊矢は一気に注目の的となった…とはいえその説明会において、遊矢がその仕組みを十分理解していなかったが故のミスというまさか過ぎる失態により、ズルをしたという印象を与えてしまい遊勝塾の塾生増加という点では余り貢献出来なかったのだが。

だが公に放送されたあのデュエルで起こった事は真実、其処で行われたペンデュラム召喚なるギミックを、それを引き起こすペンデュラムモンスターを詳しく調べたいと思う者はいなくはならない、実際、舞網市において最大手と言って良いデュエルスクールで、レオ・コーポレーションの子会社であるLDS(レオ・デュエル・スクール)がその調査の為に遊矢への接触を図った。

尤もそのやり方はダーティと言わざるを得ない、塾生の1人で、舞網市長の息子でもある沢渡(さわたり)シンゴを送り込んでペンデュラムモンスターの強奪を図り、それを阻止した事で逆恨みした彼が襲撃を企てた所に遊矢と思しき存在がデュエルを仕掛けた件をダシに塾の乗っ取りを仕掛けて来たのだ。

 

「皆、この一件は我らに任せては貰えぬだろうか。世話になった此処が良い様に振り回されるのを黙って見ている訳にも行かぬし、我々もレオ・コーポレーションには用があったのだ、その為にこの舞網市を尋ねたと言っても過言では無い程には。尤も接触の伝手が無く、その機会を探りながら此処に留まらせて貰う事となったが、こうして系列であるLDSの方から接触して来たのは都合がいい」

 

尤も、己の仲間と思しき、自分と同じ様な格好をした3人を引き連れたユウにとって、今の状況は好都合だったが。

 

------------

 

「戦いの殿堂に集いしデュエリストが!」

「モンスターと共に地を蹴り、宙を舞い!」

「フィールド内を駆け巡る!」

「見よ、これぞデュエルの最強進化系!アクショーン」

「「デュエル!」」

 

先攻 Hokuto LP 4000 VS 後攻 Secure LP 4000

 

「僕のターン!先攻はドロー無し。

まずは『セイクリッド・ポルクス』を召喚!」

 

セイクリッド・ポルクス

効果モンスター

光属性

戦士族

レベル 4

攻撃力 1700

 

こうして始まったLDSの代表デュエリストとユウの仲間達によるアクションデュエルの三番勝負、その第一戦である、プロレスラーの様な筋骨隆々な体躯に深緑のボディスーツを纏った男――セキュアと、額に取り付けられた北斗七星を思わせるアクセサリと後ろに反り返った紫髪が特徴的な少年――志島(しじま)北斗(ほくと)のデュエル、先攻となった北斗が最初に呼び出したのは、双子座の加護を受けた双子戦士の片割れ――ポルクス。

 

「ポルクスを召喚したターン、僕はポルクスの効果によってセイクリッドモンスターを召喚出来る!この効果で『セイクリッド・グレディ』を召喚!」

 

セイクリッド・グレディ

効果モンスター

光属性

魔法使い族

レベル 4

攻撃力 1600

 

そのポルクスの力によって呼び出されたのは、山羊座の加護を受けた女戦士――グレディ。

 

「召喚したグレディの効果発動!

手札から『セイクリッド・カウスト』を攻撃表示で特殊召喚!」

 

セイクリッド・カウスト

効果モンスター

光属性

獣戦士族

レベル 4

攻撃力 1800

 

続いて、そのグレディの力によって呼び出されるは、射手座の加護を受けた半人半馬の獣戦士――カウスト。

 

「まだまだ終わらない!フィールドに同名カード以外のセイクリッドモンスターが存在する事で手札の『セイクリッド・カドケウス』の効果発動!

このカードを攻撃表示で特殊召喚!」

 

セイクリッド・カドケウス

効果モンスター

光属性

魔法使い族

レベル 4

攻撃力 1600

 

一連の効果処理によって3体のモンスターが並んだ北斗だが展開を止める事はない、更に呼び出したのは、蛇遣い座の加護を受けた魔法使いがセイクリッドとして成長した姿とされる賢者――カドケウス。

 

「今特殊召喚したカドケウスの効果発動!

デッキから永続魔法『セイクリッドの星痕』を手札に加え、既にある奴と合わせて2枚発動!」

 

セイクリッドの星痕

永続魔法

自分フィールドに『セイクリッド』と名のついたエクシーズモンスターが特殊召喚された時、デッキからカードを1枚ドロー出来る。この効果は1ターンに1度しか使用出来ない。

 

「そしてカウストの効果発動!

このモンスターは1ターンに2回、対象としたセイクリッドモンスターのレベルを1つ上げ下げ出来る。この効果で、カウストとグレディを対象にそれぞれ1ずつ上げる!」

 

セイクリッド・カウスト レベル 4→5

セイクリッド・グレディ レベル 4→5

 

「これで下準備は完了だ。さて今から見せてあげよう、セイクリッドの本領、未知なる召喚法を!

僕はたった今レベル5にしたカウストとグレディでオーバーレイ!2体のレベル5・光属性モンスターでオーバーレイネットワークを構築!星々の光よ!今大地を震わせ降臨せよ!エクシーズ召喚、ランク5『セイクリッド・プレアデス』!」

 

セイクリッド・プレアデス

エクシーズ・効果モンスター

光属性

戦士族

ランク 5

攻撃力 2500

ORU 2

 

こうして満を持してと言える盤面の中で北斗がとある宣言をした瞬間、レベルが5となったカウストとグレディが黄色い光の球と化し、何処からともなく現れた銀河を彷彿とさせるオブジェクトに吸収、それが爆発すると共に、牡牛座の加護を受けた上級戦士――プレアデスが現れた。

 

「エクシーズ召喚、だと!?」

「あれが、エクシーズ召喚…!」

「あ奴はエクシーズ使いだったのか!」

「セイクリッドモンスターをエクシーズ召喚した事でさっきフィールドに2枚発動した『セイクリッドの星痕』の効果発動!

其々の効果で合計2枚ドロー!ふふ、沢渡じゃないが僕もカードに選ばれているな!

僕は今引いた『星騎士(テラナイト)アルテア』を墓地へ送って魔法『ワン・フォー・ワン』発動!」

 

ワン・フォー・ワン(制限カード)

通常魔法

1:手札からモンスター1体を墓地へ送って発動出来る。手札・デッキからレベル1モンスター1体を特殊召喚する。

 

「ワン・フォー・ワンの効果でデッキから『セイクリッド・シェアト』を守備表示で特殊召喚!」

 

セイクリッド・シェアト

効果モンスター

光属性

天使族

レベル 1

守備力 1600

 

北斗がプレアデスを呼び出す為に披露したエクシーズ召喚に遊勝塾側の面々が驚きの声を上げる中、北斗は更なる展開を行う、ワン・フォー・ワンの効果によって呼び出したのは、水瓶座の加護を受けたセイクリッド――シェアト。

 

「同名カード以外のセイクリッドモンスターが特殊召喚された事で、たった今墓地へ送ったアルテアの効果発動!

このカードを攻撃表示で蘇生する!」

 

星騎士アルテア

効果モンスター

光属性

戦士族

レベル 4

攻撃力 1700

 

その為のコストとして墓地へ送ったカードも無駄にしない、シェアトを呼び出した事に呼応して蘇ったのは、鷲座を構成する恒星の1つ『アルタイル』の加護を受けた戦士――アルテア。

 

「まだまだ!今特殊召喚したシェアトの効果発動!対象は同じく今特殊召喚したアルテア!

シェアトのレベルをアルテアと同じ4に変更する!」

 

セイクリッド・シェアト レベル 1→4

 

「行くぞ!僕はたった今レベル4にしたシェアトと、自身の効果外テキストでセイクリッドモンスター扱いとなっているレベル4のアルテアでオーバーレイ!2体のレベル4・セイクリッドモンスターでオーバーレイネットワークを構築!六角の星光よ!今大地を震わせ降臨せよ!エクシーズ召喚、ランク4『セイクリッド・ビーハイブ』!」

 

セイクリッド・ビーハイブ

エクシーズ・効果モンスター

光属性

機械族

ランク 4

攻撃力 2400

ORU 2

 

その2体を用いたエクシーズ召喚の演出と共に出現したのは、蟹座の加護を受けた上級戦士――ビーハイブ。

 

「そして僕はレベル4のポルクスとカドケウスでオーバーレイ!2体のレベル4・光属性モンスターでオーバーレイネットワークを構築!星雲の光よ!今大地を震わせ降臨せよ!エクシーズ召喚、ランク4『セイクリッド・オメガ』!」

 

セイクリッド・オメガ

エクシーズ・効果モンスター

光属性

獣戦士族

ランク 4

攻撃力 2400

ORU 2

 

「僕はこれでターンエンドだ」

 

Hokuto

手札 0

モンスター

2:セイクリッド・プレアデス(攻撃表示)

3:セイクリッド・オメガ(攻撃表示)

4:セイクリッド・ビーハイブ(攻撃表示)

魔法・罠カード

3:セイクリッドの星痕

4:セイクリッドの星痕

 

そして最後まで残っていたポルクスとカドケウスを用いて、射手座の加護を受けた上級戦士――オメガをエクシーズ召喚して北斗はターンを終えた。

 

「俺のターン、ドロー!

まずは『S-Force(セキュリティ・フォース)エッジ・レイザー』を、オメガの眼前に召喚!」

 

S-Forceエッジ・レイザー

効果モンスター

闇属性

サイバース族

レベル 4

攻撃力 1500

 

「サイバース?聞いた事の無い種族だ…

というか何で態々召喚する場所を宣言したんだ?」

 

ターンを渡されたセキュアが最初に呼び出したのは、時代劇に出て来る武士をモチーフとした、然しながら近未来的な機構を全面に取り入れた電脳戦士――エッジ・レイザー、なのだが、サイバース族という聞いた事の無い種族、召喚場所を態々宣言したセキュアの言葉に北斗は首を傾げた。

 

「召喚したエッジ・レイザーの効果発動!

手札の『S-Forceドッグ・タッグ』をプレアデスの眼前に攻撃表示で特殊召喚!」

「また態々出す場所を宣言した…」

 

S-Forceドッグ・タッグ

効果モンスター

光属性

機械族

レベル 5

攻撃力 1600

 

そんな北斗の疑問を他所に、エッジ・レイザーの力によって呼び寄せられたのは、2つの頭を有した機械犬――ドッグ・タッグ。

 

「次に手札の『S-Forceグラビティーノ』を墓地へ送ってワン・フォー・ワン発動!

デッキから『S-Forceレトロアクティヴ』を、ビーハイブの眼前に守備表示で特殊召喚!」

「宣言は徹底するスタイルなのか…?」

 

S-Forceレトロアクティヴ

効果モンスター

光属性

戦士族

レベル 1

守備力 0

 

それを出す際にも、ワン・フォー・ワンの効果でパワードスーツ纏った戦士――レトロアクティヴを出す際にも召喚場所を態々宣言したセキュア、もしやそういうスタイルなのかと北斗は己の疑問にケリを付けようとした。

 

「今特殊召喚したレトロアクティヴの効果発動!

このカードを手札に戻し、空いたモンスターゾーンに手札の『S-Forceラプスウェル』を攻撃表示で特殊召喚!」

 

S-Forceラプスウェル

効果モンスター

光属性

悪魔族

レベル 6

攻撃力 2400

 

「特殊召喚したラプスウェルの効果発動!

墓地のグラビティーノを攻撃表示で蘇生する!」

「いや其処も場所の宣言しようよ!?」

「俺のモンスター効果の関係で読者に分かりやすい様に配慮しただけだ」

「いや理由がメタい!?」

 

S-Forceグラビティーノ

効果モンスター

光属性

サイキック族

レベル 5

攻撃力 2000

 

が、その疑問に対する答えは唐突に齎された。

レトロアクティヴと入れ替わるように登場した異形の戦士――ラプスウェル、その効果によって重力を操る異能を持つ戦士――グラビティーノを呼び出す時、初めて呼び出す場所を宣言しなかったのだ。

それに対して徹底しないんかい!とツッコミを入れた北斗に対し、セキュアが口にした宣言の理由は何ともメタい物だった。

然しながら、このデュエルの戦況的にそんなツッコミを入れている場合じゃなかったと、直後に北斗は思い知る事となる。

 

「これで終わりだ!さっき手札に戻したレトロアクティヴを除外し、ラプスウェルの効果発動!

S-Forceモンスターの眼前にいる相手モンスターを全て破壊する!

更にグラビティーノがフィールドにいることで、S-Forceモンスターの眼前にいる相手モンスターはフィールドを離れる時に除外される!」

「な!?事実上モンスターを全て除外する効果だって!?そんなのただで喰らってたまるか!せめてプレアデスだけでも残す!オーバーレイユニットを1つ取り除いてプレアデスの、な、何で発動出来ないんだ!?」

「無駄だ!ドッグ・タッグの効果で俺のメインフェイズ中に、S-Forceモンスターの眼前にいる相手モンスターは効果を発動出来ない!星の戦士達よ、1人残らず異界へと帰るがいい!」

「ば、馬鹿なぁぁぁぁ!?」

 

ラプスウェルの効果によって、現時点で自分の全てのモンスターがセキュアのS-Forceモンスターの正面にいる為に除去されると知らされた北斗、そうはさせんと、フリーチェーンであるプレアデスの効果を発動しようとしたが、ドッグ・タッグの効果によってそれは封じられた状態、魔法・罠カードもセットしていない、手にしていたアクションカードもモンスター効果に対応する為の物では無かったのか何も出来ず、セイクリッドモンスター達は全て異次元へと消え去ってしまった。

 

「バトルフェイズに入る!全軍総攻撃!」

「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

Hokuto LP 4000→2500→900→-1100→-3500 LOSE

 

WINNER Secure

 

当然ながらこれで北斗は万事休す、S-Forceモンスターの総攻撃によって敗北となった。

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