遊戯王ARC-VRAINS   作:不知火新夜

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7話

ユウと零児のデュエルが行われていたのとほぼ同じ時刻、舞網市の路地裏。

其処でLDSのバッジを身に着けた男が、黒ずくめの青年に襲われていたのだが、其処に紫色のメッシュが入った銀髪、白を基調としたボディスーツを纏った少年が割って入り救助、それを妨害せんと飛び掛かって来た遊矢達そっくりな少年も、紫と水色のツートンカラーの髪、黒のライダースーツを纏った女性が乗車しているバイクを割り込ませる形で阻止、此処を通りたくばデュエルで勝ってからにしろと言わんばかりにデュエルディスクを構えた。

それに応ずるように襲撃者達も其々のデュエルディスクを構えた事でデュエルが始まろうとしたその時、

 

「「Into the VRAINS」」

「こ、これは!?」

「おのれLDSめ、姑息な真似を!」

 

襲撃者達と対峙する2人が何かしらの宣言をすると共に周囲の空間が歪み、其々の対戦相手との間に2つの四角形らしきオブジェクトが登場したのだ。

まさかの状況に襲撃者の片方、遊矢達そっくりな少年は驚きを隠せない一方、もう片方、その仲間の青年はLDSによる手だと思い込み激高していた。

 

「フィアーは『別次元の』陛下を。私はその仲間を相手する」

「了解よ、ゲヴェア」

 

そんな2人の反応を他所に、というより分断する上で好都合だと言わんばかりにゲヴェアと呼ばれた少年がフィアーと呼ばれた女性に指示を飛ばし、それを受けて互いの相手に向き合った。

 

「「デュエル!」」

 

先攻 Gewehr LP 4000 VS 後攻 Shun LP 4000

 

「私のターン。先攻はドロー無し。

まずは『魔弾の射手カスパール』を真ん中のモンスターゾーンに召喚」

 

魔弾の射手カスパール

効果モンスター

光属性

悪魔族

レベル 3

攻撃力 1200

 

こうして始まったデュエル、先攻となったゲヴェアが呼び出したのは、ドイツの作曲家であるカール・マリア・フリードリヒ・エルンスト・フォン・ウェーバーが手掛けたオペラ『魔弾の射手』、その登場人物である猟師カスパールの名を持ったガンマン。

 

「次にLPを2000払い、魔法『同胞の絆』を、カスパールの背後の魔法・罠ゾーンで発動。対象はそのカスパールだ」

 

同胞の絆

通常魔法

このカードを発動するターン、自分はバトルフェイズを行えない。

1:2000LPを払い、自分フィールドのレベル4以下のモンスター1体を対象として発動出来る。そのモンスターと同じ種族・属性・レベルでカード名が異なるモンスター2体をデッキから特殊召喚する(同名カードは1枚まで)。このカードの発動後、ターン終了時まで自分はモンスターを特殊召喚出来ない。

 

Gewehr LP 4000→2000

 

「同胞の絆の効果でカスパールと同じ種族・属性・レベルの『魔弾の射手ザ・キッド』と『魔弾の射手ドクトル』をデッキから攻撃表示で、両端に特殊召喚。来い、銃の悪魔に魂を差し出したアウトロー達よ」

 

魔弾の射手ザ・キッド

効果モンスター

光属性

悪魔族

レベル 3

攻撃力 1600

 

魔弾の射手ドクトル

効果モンスター

光属性

悪魔族

レベル 3

攻撃力 1400

 

そのカスパールが銃を構えた瞬間、それに呼応するかの様に両脇から光の柱が出現、其処からアメリカ西部開拓時代にその名を轟かせたアウトロー、ビリー・ザ・キッドとドク・ホリデイの名を持ったガンマンが登場した。

と同時に、カスパールの銃が謎の光を発し、それを受けてカスパールが銃弾の装填口を開くと、入っていなかった筈の弾が取り出され、それは1枚のカードとなってゲヴェアに投げ渡された。

 

「同じ縦列で魔法・罠カードが発動した事で、カスパールの効果発動。

デッキから永続罠『魔弾―ブラッディ・クラウン』を手札に加え、カードを左から2番目にセットしてターンエンド」

 

Gewehr

LP 2000

手札 3

モンスター

1:魔弾の射手ザ・キッド(攻撃表示)

3:魔弾の射手カスパール(攻撃表示)

5:魔弾の射手ドクトル(攻撃表示)

魔法・罠カード

2:セット

 

「ふん。何かしら仕込みを入れてどう来るかと思えば、やった事はLPを半分も削って下級モンスター3体、永続罠をサーチして並べただけか。貴様のデュエルには、鉄の意志も鋼の強さも感じられない!このターンで始末してやる!俺のターン、ドロー!

まずは『RR(レイド・ラプターズ)―バニシング・レイニアス』を召喚!」

 

RR―バニシング・レイニアス

効果モンスター

闇属性

鳥獣族

レベル 4

攻撃力 1300

 

ゲヴェアからターンを明け渡された青年――隼、何やら意味深な事を口にしながら呼び出したのは、緑と青の装甲を纏ったモズのサイボーグ。

 

「次にバニシング・レイニアスの効果発動!

手札から『RR―トリビュート・レイニアス』を攻撃表示で特殊召喚!」

 

RR―トリビュート・レイニアス

効果モンスター

闇属性

鳥獣族

レベル 4

攻撃力 1800

 

その効果によって呼び出されるは、青と黒の装甲を纏ったモズのサイボーグ。

 

「続いてトリビュート・レイニアスの効果発動!

デッキから『RR―ミミクリー・レイニアス』を墓地へ送り、それを除外して効果発動!

デッキから永続魔法『RR―ネスト』を手札に加えて、そのまま発動!」

 

RR―ネスト

永続魔法

『RR―ネスト』の効果は1ターンに1度しか使用出来ない。

1:自分フィールドに『RR』モンスターが2体以上存在する場合にこの効果を発動出来る。自分のデッキ・墓地の『RR』モンスター1体を選んで手札に加える。

 

「俺のフィールドにはバニシング・レイニアスとトリビュート・レイニアス、2体のRRモンスターが存在する、よってネストの効果発動!

デッキから『RR―ファジー・レイニアス』を手札に加え、同名カード以外のRRモンスターが存在する事で、守備表示で特殊召喚!」

 

RR―ファジー・レイニアス

効果モンスター

闇属性

鳥獣族

レベル 4

守備力 1500

 

その効果によって墓地が肥やされたり、その墓地へ送られたモンスターの効果によって鉄屑で出来た鳥の巣が出現したりと盤面が整えられた末に登場したのは、紫と青の装甲を纏ったモズのサイボーグ。

 

「俺はバニシング・レイニアスとトリビュート・レイニアス、ファジー・レイニアスでオーバーレイ!3体の鳥獣族モンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!雌伏のハヤブサよ、逆境の中で研ぎ澄まされし爪を挙げ、反逆の翼翻せ!エクシーズ召喚!現れろ、ランク4!『RR―ライズ・ファルコン』!」

 

RR―ライズ・ファルコン

エクシーズ・効果モンスター

闇属性

鳥獣族

ランク 4

攻撃力 100

ORU 3

 

一連の展開によって並んだモズのサイボーグ3体、それらを用いたエクシーズ召喚の演出と共に出現したのは、青と緑の装甲を纏ったハヤブサのサイボーグ。

 

「オーバーレイ・ユニットを1つ取り除いてライズ・ファルコンの効果発動!対象は特殊召喚で場に出たザ・キッドだ!

効果でザ・キッドの攻撃力をライズ・ファルコンに加算する!」

 

RR―ライズ・ファルコン 攻撃力 100→1700

 

「オーバーレイ・ユニットとして墓地へ送られたファジー・レイニアスの効果発動!

同名カードを手札に加えてバトルフェイズに入る!

ライズ・ファルコンでカスパールを攻撃!ブレイブクロー・レボリューション!」

 

その効果によって攻撃力を高めたライズ・ファルコンがカスパールへと飛び掛かる…

 

 

 

「ダメージステップ計算前、何かあるか?」

「何?」

「無いのなら使わせて貰おう。カスパールを援護しろ、ドクトル。手札から速攻魔法『魔弾―クロス・ドミネーター』発射!」

「な!?俺のターンに手札から速攻魔法だと!?」

「魔弾モンスターが場に存在する限り、魔弾魔法・罠カードは手札から発動出来る」

 

魔弾―クロス・ドミネーター

速攻魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動出来ない。

1:自分フィールドに『魔弾』モンスターが存在する場合、フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動出来る。ターン終了時まで、そのモンスターの攻撃力・守備力は0になり、効果は無効化される。

 

「クロス・ドミネーターの効果でライズ・ファルコンの効果は無効化され、攻撃力・守備力は0となる。返り討ちだ、カスパール」

「な、ぐぁっ!?」

 

魔弾の射手カスパール 攻撃力 1200 VS RR―ライズ・ファルコン 攻撃力 1700→0

 

Shun LP 4000→2800

 

が、その直前、ドクトルが放った銃弾が直撃、それによって身体が変調をきたしたのか攻撃力が0となり、カスパールの銃撃で返り討ちとなった。

 

「くそっ!だが速攻魔法『RUM(ランクアップマジック)―デス・ダブル・フォース』発動!対象は今戦闘破壊されたライズ・ファルコンだ!」

 

RUM―デス・ダブル・フォース

速攻魔法

1:このターンに戦闘で破壊され自分の墓地へ送られた『RR』Xモンスター1体を対象として発動出来る。そのモンスターを特殊召喚し、そのモンスターの倍のランクのXモンスター1体を、対象のモンスターの上に重ねてX召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。

 

「それも通さない。やれ、ザ・キッド。カウンター罠『魔弾―デッドマンズ・バースト』発射!」

「今度はカウンター罠か…!」

 

魔弾―デッドマンズ・バースト

カウンター罠

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動出来ない。

1:自分フィールドに『魔弾』モンスターが存在する場合、相手が魔法・罠カードを発動した時に発動出来る。その発動を無効にし破壊する。

 

「デッドマンズ・バーストの効果でその速攻魔法を無効にして破壊する。

その後、先程サーチしたブラッディ・クラウンを捨ててザ・キッドの効果を発動。カードを2枚ドローする」

「さっきサーチした…?

ま、待て、そのカードは直後にセットされた筈、まさか、同名カードがあったのか!?」

「トリックだ、残念だったな」

「くっカードを2枚セットしてターンエンド!」

(セットカードのうち、右から2番目に伏せたのは『RR―レディネス』、この2つ目の効果を奴のターンが始まった直後に使ってしまえば乗り切れる、後は残るコイツらと次のドローで巻き返す!)

 

Shun

LP 2800

手札 2(うち1枚はRR―ファジー・レイニアス)

モンスター なし

魔法・罠カード

2:セット(RR―レディネス)

3:セット

4:RR―ネスト

 

だが隼もただではやられない、戦闘破壊されたライズ・ファルコンを活かす効果を持つ速攻魔法で攻め手を確保しようとするも、ザ・キッドの銃撃によってその速攻魔法が撃ち抜かれてしまう。

然もザ・キッド自身の効果で、先程のカスパールと同様にもう入っていない筈の弾丸を装填口から取り出し、それを握り潰して2枚のカードに変えてゲヴェアに投げ渡したのだが、その握り潰した弾丸が先程サーチした物だと、サーチしてそのままセットしたのは手品か何かでそう見えただけだと判明、態と隙を晒していたのを実力不足と見誤ったのだと気づき、せめて次のターンに繋げて見せるとカードを2枚セットしてターンを明け渡した。

 

「私のターン、ドロー!」

「そのドローフェイズに罠『RR―レディネス』発動!」

 

RR―レディネス

通常罠

1:このターン、自分フィールドの『RR』モンスターは戦闘では破壊されない。

2:自分の墓地に『RR』モンスターが存在する場合に墓地のこのカードを除外して発動出来る。このターン、自分が受ける全てのダメージは0になる。

 

「残念だがそのカードは通さない、セットしていたカウンター罠『レッド・リブート』発動」

「またカウンター罠か、だが…!」

 

そしてその次のターンへの繋ぎとしてセットしていた罠を予定通り発動、するもゲヴェアがサーチしていた永続罠の代わりにセットしていたカウンター罠を発動、だがあくまで本命は墓地へ送られた後に使える2つ目の効果、此処で効果を無効にされても問題はない、と隼は思っていたが、

 

レッド・リブート(制限カード)

カウンター罠

このカードはLPを半分払って手札から発動する事も出来る。

1:相手が罠カードを発動した時に発動出来る。その発動を無効にし、そのカードをそのままセットする。その後、相手はデッキから罠カード1枚を選んで自身の魔法・罠ゾーンにセット出来る。このカードの発動後、ターン終了時まで相手は罠カードを発動出来ない。

 

「レッド・リブートの効果でRR―レディネスの発動を無効にし、

 

 

 

セットした状態に戻す」

「な!?なん…だと…!?」

 

現実は非情であった、発動を無効にして『破壊する』のではなく『セットし直す』のだ、罠や速攻魔法はセットしたターンには発動出来ないというルール上、セットしたレディネスを墓地へ送る術は、相手に破壊して貰うしか無くなってしまったのだ。

 

「その後、貴様のデッキに罠カードがあるならそれをセットする事も出来る。尤もこのターン、更なる効果によりお前は罠カードを発動出来ないが」

「なら、俺はカウンター罠『ラプターズ・ガスト』をセットする…!」

「それにしても鉄の意志に鋼の強さ…随分と物騒な概念を神聖なるデュエルに持ち込んで何を成そうと言うのかは知らぬが…

良いだろう、貴様がその概念を抱き続けると言うのなら、まずはその馬鹿げた幻想を撃ち殺す!

現れるが良い、我らが道を照らす未来回路!」

「な!?何だこれは!?」

 

最早このデュエルでの勝利は絶望的となった事を思い知り、呆然とした様子で効果処理を行う隼、そんな彼が先程発した言葉に何処か引っ掛かりを感じていたゲヴェアは、その考えを徹底的に叩き潰してやると決意、先ほど己の主君から使用の解禁を告げられたのを受けてリンク召喚を敢行、その演出に驚きを隠せない隼を他所に進めていく。

 

「アローヘッド確認!召喚条件はレベル8以下の魔弾モンスター1体!私はカスパールをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!身も心も銃の悪魔に囚われし射手よ、貴様に悲劇など似合わぬ!今こそその呪いを解き放ち、愛する者を悪意の手から守るのだ!リンク召喚!出でよ、リンク1!『魔弾の射手マックス』!」

 

魔弾の射手マックス

リンク・効果モンスター

光属性

悪魔族

リンク 1(下)

攻撃力 1000

 

「リンク召喚、だと…?」

「リンク召喚したマックスの効果発動!

貴様の魔法・罠ゾーンに存在するカードの数まで、デッキから魔弾モンスターを特殊召喚する!貴様のフィールドに存在する魔法・罠カードは3枚、よって3体の特殊召喚だ!」

「だからさっき俺にカードをセットさせたのか…!」

「いや、レッド・リブートの罠をセットさせる効果は任意、セットする事を選んだのは貴様だが」

 

今まで見た事はおろか聞いた事もない召喚法、リンク召喚を、それと共に出現した『魔弾の射手』の主人公である猟師マックスの名を持ったガンマンの姿を目の当たりにして驚愕する隼、だがそんなの知らんと言わんばかりにゲヴェアは効果処理を進めていく。

その際、マックスの効果が相手フィールドのカードの数によって影響される事を知った隼が愕然とした表情を浮かべるも、レッド・リブートの効果で罠をセットするのを選んだのは隼自身である、ゲヴェアにもその事をツッコまれていたのは余談だ。

 

「まあ良い。出でよ、銃の悪魔とそれに魅入られし者達よ!レベル4『魔弾の射手カラミティ』!レベル4『魔弾の射手ワイルド』!そしてレベル8『魔弾の悪魔ザミエル』!」

 

魔弾の射手カラミティ

効果モンスター

光属性

悪魔族

レベル 4

攻撃力 1500

 

魔弾の射手ワイルド

効果モンスター

光属性

悪魔族

レベル 4

攻撃力 1700

 

魔弾の悪魔ザミエル

効果モンスター

光属性

悪魔族

レベル 8

攻撃力 2500

 

それはさておき、マックスの効果でフィールドに舞い降りたのは、共にアメリカ西部開拓時代にその名を轟かせたアウトローで、親友同士だったカラミティ・ジェーンとワイルド・ビル・ヒコックの名を持ったガンマン、そして『魔弾の射手』に登場するザミエルの名を持った悪魔のガンマン。

 

「バトルフェイズに入る。総員、一斉射撃!」

「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

Shun LP 2800→1800→400→-1100→-2700→-4400→-6900 LOSE

 

WINNER Gewehr

 

そのフィールドを埋め尽くす大軍からの一斉射撃には隼も成す術が無かった。

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