陰の実力者…?   作:ponpon3

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 七陰列伝の第05話です。

 基本、カゲマス準拠です。

 今回は、『霧の龍』戦の上中下の3部作の下となっています。


 本作品では、アルファたちの出会いや年齢などがズレ、みんなの性格や嗜好も変わりました。

 そして、シドと七陰の距離感が違います。


 ──これはそんな「if」の物語──


陰の… 七陰列伝 第05話「対決!アレクサンドリアの古き龍」下

 

 

 シド!……いえ、シャドウ!!

 

 

 ──それでは始めるとしよう──

 

「そう、その通りよ。上には上がいる。」

 

 カッ、カッ、…… それは小さな足音だった。

 

「だが、それは……この昏き森の陰で無為なる歴史を刻む、哀れな龍においても、同じことが言える──。」

 

 カッ、カッ、カッ……

 

 

『何者じゃ!』

 

 

 カッ、カッ、カッ、カッ……

 

 シャドウは、七陰の横を通り抜けていった。

 

 

「…我が名はシャドウ、陰に潜み、陰を狩る者。」

 

 

 ゆっくりとした足取りで、霧の龍の前に歩いていった。

 

 

「永き生に飽き、戯れに興じる哀れな姿を……、我が(やいば)が断つ。」

 

 

 ──シャドウ、後はお願い──

 

 

「アルファ、手出し無用よ。ここからは……」

 

 シャドウは腰から倭刀(メタルスライム・ブレード)を抜いた。

 

 

「私の戦いよ!!」

 

 

「シャドウ様、かしこまりました!」

 

「あぁ~っ! シャドウ様~っ! 素敵です~っ♪ この雄姿、余すところなく書き残さなくては~!!」

 

「ベータ、あなた……、この緊急時によくメモれるわね……? ……まぁ、私だって、シャドウ様が来てくれて……今すぐにでも歌い出したいくらいに嬉しいですけど!」

 

「ボス・レディーっ! やっちまえーですっ! 殺せですーっ!」

 

「これまでにない、かつてない強敵……。主は……、また奇跡を見せてくれるかな?」

 

 勢いを取り戻した七陰に気を悪くしたのか、霧の龍は、大きく息を吸うと、天に向けて強大なブレスを撃ちだした!

 

 その閃光は、一度四方八方に分かれた後、様々な軌道を取りながら、シャドウを逃がさないように、周りを取り囲んで────着弾する!!!

 

──その直前、シャドウの口が弧を描いた──

 

 

 ドドーン!!!!!!!!!

 

 

 シャドウのいた場所は爆炎で満たされた!

 

「「「「「「シャドウ様!!」」」」」」

 

 爆風が拡がっていく。そこには巨大なクレーターができあがっていた。

 

 

「自らの力に飽き悠久の生命にも飽き、時の流れを惰眠のように貪る古き龍よ……あなたは何を望んでいる?」

 

 

 シャドウは、ブレスが着弾する刹那の間に、その場からブレスの僅かな隙間を縫って飛び出していた。

 

 爆風の勢いをも使い、超速で龍の背後に回り込み、その背で左角を左手で掴み、捻り上げていた。

 

 

『お前は、ただの人間ではないな!?』

 

 

 シャドウの体から、魔力が噴出した。

 

 

 その魔力は圧倒的に緻密だった。

 

 その高まった魔力は青紫色の線となって顕現した。

 

 

 細い、細い、幾筋もの線がそこにあった。

 

 まるで稲妻のように、血管のように、魔法陣のように。

 

 霧の龍を取り囲むように美しき光の軌跡が描かれていた。

 

 

 右手の刃に、氣と魔力が込められ青紫色の輝きを帯びていく。

 

 カタカタと震えるのは、大地か、大気か、龍か。

 

 

 否、総てだ。

 

 総てが震えているのだ。

 

 

「ただの人間だとも……!」

 ──アイ・アム──

 

 青紫の光を纏った漆黒の刃が引き絞られていく

 ──そこに僅かな綻びがあった──

 

「だが、貴様の想像を遥かに超える、人間よ(・・・)!!!

 ──アトミックもどき──

 

 

 逆手に持った刀を、龍の左眼から突き立てた。

 

 

 一瞬、音が消えた。

 

 

 青紫色の閃光が刃から弾けて龍の周りが閃光に包まれた。

 

 光の奔流が龍の身体を飲みこみ蒸発させ、龍の周りを埋め尽くすと、上空の霧と雲を吹き飛ばしていった。

 

 

 空気が軋むほどの大絶叫が響いた。

 

 

 ──魔力の線の外側には、僅かに熱線が漏れただけだった。

 

「効いています、明らかに。」

「…というか龍の周りに効果が限定されてなかったら、私たちも…」

 

「私たちでは手も足も出なかった龍を相手に……。」

「ええ、威力の大半を上空に逸らしてますが…」

 

「これが、シド──シャドウの必殺技」

「想像していたより威力が大きすぎるわ…」

 

「シャドウ様、素敵です♪」

 

「完全に手玉に取っている。さすがだ……!

 

「ボス・レディー……すごい強いのです……!やっぱりボス・レディーはこの群れのボスなのです!」

 

 まだ上空への伸びる青紫色の光の中から、シャドウは飛び出し、龍の前に降り立った。

 

 

「強者ゆえの増長、傲慢、お前はそれをいつぶりに思い出した? その絶対的な享楽を、真正面から打ち砕かれる感覚は……初めてのようね。」

 

 

 身体の半分近くが蒸発し、炭化した肉片が飛び散る中……しかし龍は再生し始めていた。

 

 

『……ク、クク、ククク……お前ならば……わしを殺せるというのか!?  この恐れ……嬉しいぞ……!』

『……その身体、その魔力……厄災の魔女と同じ……それよりも多い……魔人以上だと!?』

 

 

『かつて、古の盟約はうち捨てられた──。だが、世界がまた連れてきてくれた!』

『嗚呼、お前ならば、あるいは……だがっ!!』

 

 

 再生した霧の龍は轟音と共に攻撃を繰り出していた。

 

 

『まだまだ無駄な動きが多いわ!!』

 

 

 龍の反撃がシャドウを襲った。

 

 

「シャドウ様!」

 

「…いいえ、無駄な動きじゃない、あれは……!」

 

 しかし、シャドウには当たらない。

 

 

「無駄な動き、か。──それは貴様の力に溺れた増上慢な心が、貴様の見る目を曇らせているに過ぎない──」

 

 

 龍の攻撃をギリギリの間合いで避けていく、捌いていく、打ち落としていく。

 

 

「お前の"攻撃”は"意”よりも遅い。先んじて放たれた"意”の後を、遅れて"攻撃”が飛んでくる。後はそれを捌くのみ。」

 

 

 龍の爪を、牙を。

 

 

「一度解ってしまえば、視覚に頼らずともこの程度は容易いこと。」

 

 

 龍の尾を。

 

 

「我が"刃”は"意”よりも早い! 一度抜けば最後、刃圏に入りし万物を揮い手の意に先んじて斬り捨てる!!」

 ──アイ・アム──

 

 

『ば、バカな……!? 今の動きが、強者の持つおごりから生じる、隙ではなかったというのか?』

 

 

「我は強者であるよりもまずーー、実力者だ!!!

 ──アトミックソードもどき──

 

 

 シャドウは正面から唐竹割りに斬り落とした!!

 

 

 霧の龍は真正面から左右に分割された。

 

 

 刀の斬撃の軌跡が数百メートル先まで走り、大地を割っていた。

 

 

「…魔力の斬撃を飛ばした?」

 

「やったーーっ!」

 

「…いえ、まだよ!」

 

 

 しかし、霧の龍は、またしても再生しはじめていた。

 

 左右に別れていた頭と身体がくっついた霧の龍が再び咆哮を挙げる。

 

 

「…まだ生きている……!?」

 

 

『定命のものには……理解の及ばない状況であろう、な……!』

 

 

「…さっきから消し飛んだり、真っ二つになったりしてるのに! ドラゴンって本当に死なないです!?」

 

「…アンデッドとも違うわね。残機たくさんとか、特定方法で倒せばオッケーとか、倒しきれない設定あるある……という感じでもなさそうね……。」

 

 

 龍は再生していく。

 

 

『龍という存在に……ありきたりな死は……許されない……そのように……世界に呪われている……!』

『故に、……龍に対する真の勝利は……命を奪える力を持つことで、初めて得られる……!』

『その力に通じるものへ、いつか賜れる死を条件に従うこと……。これこそが……我が古の盟約……!』

 

 

 そう言うと、霧の龍はその息をシャドウに吹きかけた。

 

「ほう、この魔力、面白い……」

 

 霧の龍の魔力の残滓が、シャドウに纏わりついた。

 

 

『我が力、常にソナタと共にあろう……! いつか、我が命を絶てる者よ……そなたは何を望む……!?』

 

 

「そう……殺しきれなかったということは、つまり、まだ修行が足りない、ということね。」

 

 

 霧の龍は、とまっどった。

 

 

『──そんな単純な話ではないのじゃが……』

 

 

「こちらにはこちらの段取りがあるの。アルファ、以降の些細なことは任せるわ。」

 

「委細、承知しました。」

 

 

『は、は、はっ……シャドウ、か!何もかもが、規格外の人間じゃ……』

 

 

 霧の龍は楽しそうに笑った。

 

 

『そなたらは、シャドウに従う盟友なのだな。この森を抜けて、『古都アレクサンドリア』に何の用があるのだ?』

 

 

「シャドウと、彼女の率いるシャドウガーデンにふさわしい、新天地を探している。」

 

「シャドウと私たちには、やらなければならないことがある。そのために身を潜め、力を蓄える場所を必要としているの。」

 

 

『新天地、か……! お前たちが力を高めれば、あのシャドウという人間が、いや…まぁいい、さらに世界の真理へと近づくきっかけとなる、か……。』

『ならば、『古都アレクサンドリア』の地を、我が力と合わせ、シャドウと、シャドウガーデンのものとするかよい……!』

 

 

 龍は、厳かに宣言した。

 

 

『これより、古都はそなたらの拠点となり……我が霧は、そなたなお世界から隠すベールとなるであろう……』

 

 

「霧が、晴れていく……」

 

 ここが、『古都アレクサンドリア』……

 

「デルタ、すぐに戻って、ラムダに知らせて。」

 

 本格的に 拠点移動を開始するわよ。

 

 

 

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 こうして、シャドウガーデンは新たな拠点を──新天地を獲得した。

 

「というわけで、人員と物資の移動もほぼ終わり、来週明けから本格的に、『古都アレクサンドリア』を新拠点として稼働させていく予定です。」

 

 ガンマが髪を洗いながら、スケジュールについて教えてくれた。

 

 主様痒いところはありませんか? 無いよ~♪

 

「なら、来週からは新拠点、古都アレクサンドリアに行かないとね。」

 

 ガンマが洗い終わった髪にタオルを巻いてくれる。

 

 次は、私がガンマの髪を洗う番だ。

 

 藍色のロングできれいだよね~、いえいえ、夜空色の髪(ストレートショートボブ)も主様によく似合ってますよ~、そうかな~、はい、うまく洗えてる~、とても上手になりましたよ、そうかな~。

 

 しばし問答しながらガンマの髪を丁寧に磨き上げてタオルで包んだ。

 

「…そこそこはできるようになったかな。」

 

「他の七陰やクレア様の髪も洗っているんですもの、大丈夫ですよ。」

 

「でも、自分の髪だとやる気がでないのよね。」

 

「主様の髪は私たちが洗いますので。」

 ──ニヤリ──

 

 一緒にお湯につかりながら、ガンマの胸を背中に感じる。

 

「ふぅ、それにしても、新天地『古都アレクサンドリア』ね。でもここで気をぬかないでね、ガンマ。新天地に安寧することなく、常に自らへ問い続けること。その精神の積み上げこそ、あらゆる土台を支えるのだから、ね? 私も霧の龍をぶっ飛ばせるようにならなくちゃ…まだまだ威力と収束が甘かった…

 

「はっ……! シャドウ様の仰せのままに。」

 おや、主様の様子が……

 

 ギュッとその四肢で抱きしめられた。ぶくぶく。

 

 ──ガンマとかアルファとか、内政っぽい才能はむちゃくちゃありそう。“ボク”の世界にあった、シミュレーションゲームとかも、きっと上手いタイプね──

 

 暖かくって気持ちいいね。はい、主様。

 

 ──その才能を、もうちょっと戦闘センスに……命中率に振れたらよかったのに……。アルファやゼータみたいに、なんでもできるタイプが、むしろレアすぎるってことなんでしょうけれども──

 

 今日はこのままガンマとおやすみの予定だ。

 

 

 





 早くに仕上がったので、投稿します。

 七陰列伝第05話です。上中下の3部作の下です。

 基本はカゲマスですが、霧の龍vsシャドウです。

 アレンジを入れていますが気に入ってもらえるか…

 なお、今回の教育担当はガンマですが。おや、主様のようすが…


 この設定が気に入ってくれると嬉しいのですが。

 色々と捏造した設定がありますので、読む際は注意願います
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