陰の実力者…?   作:ponpon3

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 七陰列伝の第10話です。

 基本、カゲマス準拠です。

 今回は、『ゼータに釣られでまぐろなるど』の上下2部構成の上となっています。


 本作品では、アルファたちの出会いや年齢などがズレ、みんなの性格や嗜好も変わっています。

 そして、シドと七陰の距離感がまったく違います。

 今回最後ガンマが暴走しています。それに注意して読んでください。

 気に入らない方は、そっ閉じ願います。


 ──これはそんな「if」の物語──


陰の… 七陰列伝 第10話「爆誕!ゼータに釣られでまぐろなるど」上

 

 イータ、起きてる?

 

「ゼータ……、起きてる……」

 

 頼んでおいた例のもの、できてる?

 

「例のもの……できてる。そこに……置いてある……銀色の箱。使用感……レポート、よろしく。」

 

 了解。揚げた物毎に、それぞれまとめた方がいい?

 

「できたら ……それで……。」

 

 わかった、ありがとう。それじゃあ借りてくよ。

 

 おや、この走り方は、ガンマかな? 扉の前から避けて……

 

「イーーーターーー!!!」

 

 イータの研究室兼寝室の扉が、轟音を開けて吹き飛んだ。

 

「うるさい……大きい。」

 

大きくもなるわよ!! どういうことなのこの先週分の出費は!出費、浪費癖があることは以前から把握してはいたけど……、まさかここまで極端だなんて!」

「前回のゴーレムの時にも、ガーデンの運営資金に手をつけないよう。散々説明したのに!」

 

「……まさか、研究費にガーデンの蓄えを使われたとか?」

 

そのまさかよ!

 

 しかし、イータは笑顔で切り返した。

 

「研究と浪費……切っても……切り離せない。」

 

「ちょっと、開き直らないの!」

 

「これから王都の商会株を買い上げて、商売を始めることで、本格的に軍資金の調達を始める予定なのに……。この調子で蓄えを使われたら、肝心の紹介株を、期限までに購入できなくなってしまう……本末転倒よ!?」

 

「ガンマとイータの間の問題みたいだし、私には……関係なさそうかな。それに、こちらはこちらで、そのイータの研究の恩恵に預かっているしね……」

 

「なっ……!?、……もしかして、ここに置いてある、この金属の箱?」

 

 魔力を使って、安全に油を加熱できる屋外での使用を想定したフライヤーだよ。

 

「揚げ物……部隊の糧食研究の一環かしら? 諜報活動には関係なさそうに思えるけど。」

 

 実際に関係ないし、そんな大層な目的でもないよ。

 

「これから、ちょっとした実験というか……、王都の海の方まで出るのに、持っていくつもりなんだ。 主に教わったあれこれ、試すためにね。

 

「シャドウ様に?……ゼータ、聞いてもいいかしら? あなたは何をしに王都の海へ?」

 

 えっ? ええと、釣り……だけど。

 

釣り……!?

 

 イータが飛び起きてきた。

 

「そうか……、答えは……釣るもの(・・・・)』!

 

 どうしたの? 珍しく目を見開いて?

 

「マスターが……言ってた、『なぞかけ』……解けた。」

 

 前に、イータが、シドに防衛機能について聞いたときに、『なぞかけ』として問われた例題だった。

 

 ──ミドガルまぐろと実験材料、この2者に通じる言葉は何か? 汝の心に問うがいい、その答えこそが、汝の迷う道を照らし出すであろう。──

 

「このタイミングでゼータが、シャドウ様の陰の叡智を試すための実験をする……。それに ミドガルまぐろ……、王都にまで手向く意味……、王都は漁業が盛ん……『答えが、迷う道を照らし出す』……!」

 

「もしやシャドウ様は、商会株を買い上げるタイミングに合わせて、新しい商売についてのヒントを与えて くださっているのでは!?」

 

「まぐろも……実験材料も……釣るもの! 不思議な……符合……! ちょっと……興味……出てきた……!」

 

 思わず頭を抱えながらも、聞いてしまった。

 

 あのーーー、その、一応聞くけど、ついてくるつもり?

 

「もちろん!」

 

「めんどくさいけど……一応……!」

 

 はぁ……。まあ、いいけど……、あんまり邪魔はしないでね。1時間後に出発。待たないから、そのつもりで準備よろしく。」

 

「了解よ!」

 

「はーい……。」

 

 なんだか 妙な流れになったなぁ……。まあ、いいか……。

 

 (ゼータ)は大きくため息をついた。

 

 

 

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 ──そこは港から離れた、少し大きな入り江となっているところであった──

 

 …港を避けて、人気のない岸を狙って正解。モンスターはそこそこいるけど対応はできるし。

 

 穏やかで、いい風。天気もいいし、最高の釣り日和──

 

 

「……あぁっ! また餌だけ持って行かれた~!」

 

「一匹ずつ釣るの……効率悪い……。」

 

 

 ──ガンマとイータの喧騒さえなければ──

 

 引率さえなければ、もっと良かったんだろうけど。

 

「えい……。」

 

 イータ君、釣り糸を垂らしても、餌をつけなくちゃ、魚は食いつかないよ。

 

「じゃあ、餌みたいな何か……作れば……、勘違いして……食いついたり……する?」

 

 今日は疑似餌 ──ルアーって言うんだけど、持ってきてないよ。

 

「じゃあ、毎回毎回、このウニョウニョ……針にかませて……1匹ずつ……いちいち……釣るの……?」

 

 釣りって、そういうものだから……

 

「やっぱり、めんどくさい……。」

 

 まぁ、そういう意見もあるかな。それ含めて、のんびり楽しむものなんだけどね。

 

 

「ねえ、ゼータ、大物のミドガルまぐろって、どのくらいの値段で取引されるか、あなた知ってる?」

 

 …季節や流通量にもよるけど、大物ならだいたい一匹100万ゼニーくらいかな。

 

「なら、様々な諸経費を考慮すると、手元に残るのはおよそ50万ゼニーにといったところね。漁業はガーデンの資金源にするにしても、一本釣りではあまりに収入が不安定……。漁業団を結成しないと、商売としては成り立たなさそうだし、その漁自体も、様々な不確定要素に左右されすぎる。計画的に収益を出す必要のある現状、ガーデンとしては取り得ない手段になるわね……。」

 

 

 …こっちはこっちで、面倒くさそうな話。

 

 2人ともなんというか、もう少し肩の力を抜いて……って、イータ?

 

「……できた。」

 

 何が?

 

「出投げスライム爆弾。」

 

「爆弾!?」

 

「これで海面……爆破すれば……死んだ魚……いっぱい……浮き上がる。」

 

「ちょっと、待 ったーーーーーっ!!!」

 

 イータは、ほいっ、と気の抜けた掛け声と共に、海に投げ込んだ。

 

 

 

 ドドーン!

 

 

 

 (ゼータ)は、文字通り頭を抱えた。

 

 …あのさぁ……

 

「おぉっ……魚、いっぱい浮いてきた。」

 

 イータ()嬉しそうだ。

 

 息絶えて身も粉砕された魚がね……! 周辺のモンスターも刺激してくれて、どうもありがと。

 

「……必要な手順は……ときに……無駄も伴う!」

 

「イータ……あなたがどういう子なのか、本格的にわかってきたような気がするわ……!」

 

 

 

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 …ひとまず、モンスターの襲撃は落ち着いたかな。

 

「まったく、少しは常識というものを──」

 

「ガンマ……落ち着いて。」

 

「あなたが言うことじゃないでしょう! ゼータ、あなたも何か言ってあげて!」

 

 …キリキリしないで、のんびり釣り糸を垂らすといい。名案というのは、案外そういうところから浮かんでくる。……まあ、何の保証もないけど。

 

 ガンマは頬を膨らませて怒っている。

 

 イータも、とりあえず、海を爆発させるのはなしで、魚が逃げちゃうし、せっかくの人目につかない場所だから。

 

「ん……わかった。」

 

 ふぅーっ……、ちょっと釣りに出かけるだけで、こうも大騒ぎとはね。

 

 まあ、まだ始まったばかりだし、のんびりやるとしようか──

 

 

 

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

「……眠い……。」

 

 なら、寝ちゃえばいいんじゃない?

 

「……釣り……できなくなる……。」

 

 でも、こんなにいい天気で、居心地もいい。ボーッとウトウトするのだって 次の立派な過ごし方だよ。

 

「寝るなら、お家にいれば……よかった気がする……。」

 

 それはまあ、そうかもしれないけど。

 

「……寝る……。」

 

 おやすみ。

 

 イータは、すぴー……、と寝息をたてて本格的に寝始めた。

 

「……本当、寝顔は可愛いんだから。それにしても風が穏やかで気持ちいい。少しだけ、現実を忘れてしまいそう。」

 

「いいんじゃない? だって今日は、そういう気持ちになるための日なんだから。

 

「残念ながら、いい考えやひらめきは、全然浮かばないけれど。」

 

「アイデアだって、魚と一緒に、そのうち釣れるよ。」

 

「そういうものなのかしら……?」

 

 ガンマ、初心者にしては、なかなか釣ってる方だよ。実際、物を壊すよりも得意なんじゃない?」

 

「ちょっとゼータ?」

 

 さて、こっちはこっちの準備をするかな──

 

「準備? 持ってきたフライヤーを使うの?」

 

 うん、お腹空いてきたからね。ある意味、こちらが本題でもあるし。

 

「何か手伝うこと……」

 

 ガンマに手伝われると、壊されて逆に手間が増えちゃう。それに、もうすぐ、糸引くよ。

 

「だからあなた、人を何だと──、わわっ! 来た! これは大物よ!」

 

 魚が大きくても小さくても、さっきから同じこと言って。

 

 …さて、と。ここまで連れたのはまぐろに、タイに、イカ。

 

 イカは大物まぐろ狙いで、餌に回すとして、まずは……まぐろ、カラッと揚げていこう……

 

 

 

「……なんか……いい香りがしてきたわね。それにこの香ばしさ……揚げ物だけじゃなさそうね。どれどれ──」

 

 トーストはこんなところかな。これに、揚げたまぐろをソースと一緒に挟んで……

 

「ゼータ、それは?」

 

 ん……、まぐろサンド

 

「『まぐろサンド』……? サンドイッチはともかく、聞き慣れない食べ物ね。

 

 主に教わった食べ方だよ。まあ、パンでサンドするのは、よくある食べ方だけど、使っているソースが、ちょっと他とは違う。」

 

「シャドウ様の『彼の叡智』……味見してもいいかしら?」

 

 もちろん。イータの分も作るから、ちょっと待ってて──

 

 

「それじゃあ、いただきます──」

 

 『まぐろサンド』を一口食べたガンマは ──☆★ティンと来た★☆

 

「こ、これは……! お、おおおおっ!」

 

 お?

 

「お・い・し・いーーーーーーーっ!!!!!」

 

 カラサクの薄衣に揚がった、新鮮なまぐろの切り身!表面はこんがり焼けて、中はもちもちのトースト! 2つの半生食感のコンビが、こんなにも爽やかだなんて!」

 

 急にグルメレポ始まった……!?

 

「この存在感たっぷり、だけど軽快なソースは何かしら? 以前にシャドウ様が教えてくださった『マヨネーズ』に近い。だけど、明らかな甘酸っぱさを感じるのだけど……」

 

『たるたるルソース』、これも主に教わったんだ。ピクルスを刻んで、レモンの果汁を少し混ぜてある。

 

「ただのそれだけで、ここまで味が変わらなんて……! まさしく、叡智をさらに変化させる叡智ね……! この酸味、まぐろフライとパンの間で天上の音楽のようなハーモニーを奏でているみたい……」

 

リアクションがイプシロンみたいになってるし……

 

「そう……そうよ……これだわ! これは…ガーデンにとって、大きな商売になる!まぐろを漁獲するのではなく……まぐろを加工して売る!釣るのはまぐろではなく、まぐろを釣り餌に しての軍資金!」

 

「ああっ、このガンマ、シャドウ様の真意……ここに得たりですわーー。」

 

 一人で勝手に興奮して、一人で勝手に納得してる……

 

 うん。でも、確かにこれは。とっても美味しい。

 

「……んっ……、なんか……いい匂い……。」

 

 食べる?

 

「……食べる…… ──モグモグ── ……美味しい。」

 

 うん、まぐろサンド……これは、いいものだね──

 

 

 

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

「というわけで、今日は、ゼータとイータと一緒に魚釣りに行ってきたんです。」

 

「釣りかぁ、前世の記憶にも無いからあまりアドバイスできないかも。それで、最初ちょっとだけ海の香りがガンマからしたんだ。」

 

 まだ匂いますか? 髪も身体も洗ったからもういつものガンマの匂いしかしないよ、いつもの匂いって… なんかできる女っぽい匂いだよ、うふふふ、そうですか、うん、まぁシャンプーとボディーシャンプーの匂いなんだけどね、じゃあ今はお揃いですね、うん。

 

 髪を洗ってもらいながらガンマとお喋り、なんか癒されてる~って感じがする。

 

 その後、ガンマと一緒にお風呂に浸かる。今は身体年齢が14歳の設定なので、16歳のガンマの方が身長は高い。背後から抱きしめられてすっぽり収まってしまう。それにガンマの氣がポカポカに感じられて、「ガンマお姉さま…」って言葉が漏れてしまった。

 

「…主様…ちょっと氣の巡りが悪いようですが…」

 

「…色々と考えて特訓中だからねぇ。氣も魔力にも普段から負荷を掛け続けているんだ。」

 

「…せめて、七陰とお風呂や寝る時には解除してくださいね。」

 

 さすがに今は解除してるよ~、そうですか~、ほらぐりぐり~、う~ん氣も魔力も自然に流れてますね…

 

 でも…

 

「…そんなに無防備な姿を曝しちゃダメですよ…」

 

 そう言って後ろから抱きしめる。ついでに氣と魔力も巡らせる。

 

「ひゃ、し、七陰とお姉ちゃんにしか見せないから~」

 

「…そうです、こんな姿を男の子に見られたら…」

 

 大変なことになっちゃいますよ、と耳元で囁いた。

 

「わ、わかってるから、気を付けてるからっ。だから、氣と魔力を流すのやめてぇっ。ガンマの氣と魔力って私のに染まっているから、抵抗無いから…、許してガンマ……」

 

「くすくすくすっ、ねぇシド(・・)、二人きりの時にはガンマお姉さまって呼ぶ約束でしょ? それにシドが無理するから…どうしようかしら…」

 

 軽く耳たぶを噛む…

 

「…ガ、ガンマお姉さまぁ…お願い……耳噛んじゃ…やだぁ…

 

 抱きしめたまま、頭を撫でてあげる。

 

「よしよし、いい娘ね、じゃあ負荷は半分にしましょうね、いいわね、シド。」

 

「…はいっ、ガンマお姉さまぁ…」

 

 のぼせるから、あがりましょう。はい、ガンマお姉さま、今日もベットで言葉遣いの練習よ、はい、ガンマお姉さま、あらあら、くすくすくすっ

 

 ──年上設定で良かったけど、ちょっと姉にチョロ過ぎませんか、主様──

 ──洗のぅ…調きょ…教育は順調に進んでいますね

 ──でも、ちょっと無理してますね。裏七陰会議にあげておきましょう、例のプランの準備も…──

 

 





 七陰列伝第10話です。上下2部構成の上です。ちょっと早いですが投稿します。

 基本はカゲマス準拠です。

 本作品では、アルファたちの出会いや年齢などがズレ、みんなの性格や嗜好も変わっています。

 そして、シドと七陰の距離感がまったく違います。

 今回最後にガンマが暴走していますが、まぁみんなこんな感じです。

 あと、本編もボチボチ書けて来ました。クレア誘拐編とかどうするか苦労しました。

 途中から本編も入れていこうかな…。

 あと、七陰列伝もテンプラーをどうするかで迷っています。


 この設定が気に入ってくれると嬉しいのですが。

 色々と捏造した設定がありますので、読む際は注意願います
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