七陰列伝の第11話です。
基本、カゲマス準拠です。
今回は、『ゼータに釣られでまぐろなるど』の上下2部構成の下となっています。
本作品では、アルファたちの出会いや年齢などがズレ、みんなの性格や嗜好も変わりました。
そして、シドと七陰の距離感がまったく違います。
今回最後ゼータが暴走しています。それに注意して読んでください。
気に入らない方は、そっ閉じ願います。
──これはそんな「if」の物語──
「さあ、今日も1日頑張るわよ!」
…ガンマ、今日もついてくるの?
「今日もですって!? 昨日だけだなんてとんでもない! せっかく、新しい商売の糸口を見つけたというのに ! 今日は 昨日食べたまぐろサンドを中心に、色々なメニューを試すつもりで来たわ。ねぼすけのイータならともかく、私はちゃんと、自分のなすべき仕事を終らせてきましたわ! それに昨日は主様の当番だったのですよ!!」
はぁ……じゃあ、まあ、頑張って。こっちはこっちで、のんびりやらせてもらうから。
「ちょっとゼータ、少しは協力してくれても……」
十分協力することになると思うけど? だってガンマ、お魚をさばくのはおろか、料理自体そんなに得意じゃないんだし。
「うっ……それは……まあ……そうだけど──、……ポテトを揚げるのは得意よ!」
そんな自信満々に言われても……まあいいか。
「さあ、じゃんじゃん釣って、じゃんじゃん商品開発するわよ~!」
「くっ、またモンスターが邪魔をしに現れて……ゼータ! 無視してないで、倒すのお手伝って!」
無防備にポテトを揚げてたら、モンスターだって匂いにつられて顔を出すでしょ。
「それでも……昨日は来なかったのに……」
昨日の風は、陸側から吹いてたからね。今日は海の方から風が吹いてるんだから、この辺を根城にするモンスターが出てきて当然だよ。じゃ、そういうことだから、頑張って。
「そういうことだからって……。あぁっ、もうっ!」
ガンマは一人で海から押し寄せてくるモンスターの退治に勤しんだ。さすがに息が切れているようだ。
「よ、ようやく落ち着いたかしら……!?」
…まぐろの切り身を炙って、バゲットに薄くたるたるソースを引いて──
ここに魚醤を合わせてみるのも面白そうかな、構想はちょっと癖が強いかもしれないけど──
「私がモンスターと格闘しているというのに、あなたはのんびりサンドを作って……!」
はい、味見どうぞ。
「えっ? っと、ありがとう、ゼータ。それじゃあ、遠慮なくいただくわね──。……おいしい……けど、香りが相当強いわね。」
そうかな? でも、それが良さそうなんじゃないかな。鶏肉とか、ニンジンや玉ねぎをあたりも合いそう。
「それでも、これはさすがにこだわりの強すぎる味よ。大多数の顧客を狙う感じの味ではないわね。」
味を聞いてるのに 商売の話をされてもなぁ。
「そりゃあ、私は商売の話をしているもの。」
こっちはそうじゃないけどね。ポテトフライ、もらうよ。
「あっ、まだお塩をかけてないわよ?」
揚げる前に、海の水で洗ったんでしょ? ならそれで塩気は充分。
「なるほど言われてみれば……ゼータ、その瓶は?」
モルトビネガー、大麦から作られてる酢だよ。
「お酢──って、ぁああああっ!? そんなにかけて!」
ポテトがひたひたになる直前までビネガーをかけまくる。王都で建設労働者がやってるのを見かけたんだ。……うん、これはいける。ガンマも食べてみなよ。
「大丈夫なのかしら……!? 私 ポテト料理には昔から一家言あるのよ。」
モルトビネガーひたひたのポテトフライを一口食べたガンマは、昨日に引き続き ──☆★ティンと来た★☆
「……これは! 美味!! 香ばしいポテトフライに絡む大麦由来の甘やかな酸味──。黄金色の衣に包まれたポテトが、豊穣の海を泳いでいるかのよう!」
またよくわからないたとえを……
「まぐろサンドにポテトフライ、モルトビネガー……、勝利の方程式が見えてきたわ!」
じゃあ、まぐろサンドも、ビネガーでひたひたにしてみようかな。
「え! ちょっとさすがにそれは……たるたるソースだってかかってるのに──」
…どばーっ ──ためらわない勇気──
「うわーーーーーっ!? あぁっ、パンまで半分ひたひたじゃないの! これじゃあ、もはや別の食べ物同然だわ……」
─モグモグ── うん。これも……いけるね……! ガンマも、騙されたと思ってやってみなよ。
「うえぇっ……ゼータあなた、ちょっと舌がどうかしてるんじゃ……
またしても ──☆★ティンと来た★☆
「…あらーっ!? おいしいじゃないのよ~っ!」
流れるような手のひら返し……。
「確かに、豪快ではあるけど、揚げたまぐろとモルトビネガーがよく合う! たるたるソースの酸味をさらに引き出して、それでいてまろやかな口当たりは変わらない。これがまだ、王都で本格的に流行っていないとしたら……、これからの王都で、大きな商売にできるわよ!」
やれやれ 二言目には商売なんだから。
…さて、他の魚でも試してみるかな──
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「……私、いつの間にか、ゼータの釣りの手伝いというか、モンスターの露払い係にさせられてる……!?」
…はい、ガンマ。
「……このサンドは?」
鯛を揚げて、たるたるソースと一緒にトーストに挟んでみた。
「かなり豪華ね……、それじゃあ、いただきます──」
ガンマは、──☆★ティンと来た★☆
このリアクションにもいい加減慣れてきた……。
「激烈においしいわ……! 上品に揚がったタイのフライを、たるたるソースの酸味が軽やかにエスコート──。貴族の社交の場に用意される軽食で出せる、高レベルの味よ! だけど、タイは……高いのよね?」
またすぐ、コストの話をする……
「あなたまでイータみたいなことを言わないで、それに仕方ないでしょう? 私はこれが仕事なんだから。」
…王都の市場でも、タイは高級魚として取引されてる。
庶民向けの食べ物としては、ほぼ見当たらないのは事実かな。それに、ここまでの釣果の比率を見ても、まぐろが10匹釣れる間にタイは1匹しか釣れなかった。ほいほい釣れる魚じゃないのは確かだね。
「アイデアを捨てるにはあまりに惜しい組み合わせよ。でも、高級志向の顧客層を狙うにしても、まずはしっかり、商売の地固めを整えてからの話──」
…もしかして主は私に、ガンマとイータが参加するこの流れまで織り込んだ上で、まぐろサンドとたるたるソースの話をした……!?
だとしたら……フフッ、さすがだ……!
「ゼータ?」
…オニオンリング、食べる? ガンマの言うところの、手間がかかって割に合わない、でもすごくおいしいものだけど。
「……後学のために、頂くわ。」
素直に、おいしいもの食べたい、って認めないよ。
「それは……そうではあるけれど……」
ガンマのいう商売っていうのも、そういう気持ちの人を相手にするんでしょ? だったら、そういう気持ちというか、その感覚を、大事にしないといけないんじゃないの?
…くっ、ガンマは言葉に詰まった。
「……あなたって、本当によく、対象を分析しているのね。」
私の担当は諜報活動、『これが仕事』ってことだよ。
「ゼータ──、……ついでにイカも揚げて! モンスターが寄ってきても私が全部追っ払うわ!」
──主の言うフラグを立てる、かなぁ──
そのタイミングで、比較的大きな魚型のモンスターが襲い掛かって来た。
「って、いきなりーっ!?」
はいはい。それじゃあ早速、お相手よろしく──
…まあ、ちょっとは楽しくなってきたかもしれない。
…潮風が心地いい
…こんな気持ちになれたのは、久しぶりかも。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「……そんなわけで、釣りを楽しむつもりが、結果的にはガンマの商品開発に付き合ってあげる流れになってたよ。」
ふむっ。
ゼータの尻尾がお腹に巻き付いてる。濡れた毛の感触がこそばゆい感じはする。
──そう言いつつも、うまいこと自分のペースに乗せて、ガンマを体よくモンスター避けに利用したのよね。作ったものを基本的には最初にガンマに食べさせてたのも、それってある意味、味見役というか、毒味役というか──
ゼータ君、相変わらずマイペースというか、抜け目がないわね。
私の左手を両手で抱きしめている。
「『たるたるソース』の『まぐろサンド』、すごく美味しかった。あれは飽きそうにない……自分でも 不思議なくらい。」
飽き性分のゼータも、お魚は本当に好きなのね。釣るのも食べるのも、好きなものがあるのはいいことよ。
巻き付いた尻尾の先端が水中で泳いでいる。ゆらゆらと。本当にご機嫌なようね。
「ガンマは、王都でまぐろサンドの露店とかやって、ゆくゆくは常設店展にもして、タイとか牛肉とか、オニオンリングやイカリングもメニューに入れたい、って。」
あらあら、それってまるでマ… ──七陰は知っているからいいわよね?──
あぁ──ゼータは『陰の叡智』の話を覚えている?
うん、それに『マ〇ド●ル◎』というお店があったんだ。で、『〇ク◎ナ●ド』って、世界中にチェーン店を出しているファーストフードのお店で……
──色々と説明中──
…でも、まぐろを使っているから、『まぐろなるど』になるのかしら?
「まぐろ……なるど?」
そう、あなたたちは、自らから進んで『陰の叡智』へとたどり着いたのよ。
これも成長の証ということね。
だけど、ガンマだけでは決してたどり着けなかったと思うし、ゼータ、そして道具を用意してくれたイータがいてこその結果よ。その結果がもたらした、新たなる『叡智』の一つ、それが『まぐろなるど』ね。
「『まぐろなるど』……!? 私たちが、自分たちの力でたどり着いた叡智……!?」
左腕を抱き締める力がちょっと強くなった。
「……いや、そういう風に私たちが動いたこと自体が、主の狙い通り、ということでもあって……!」
…待って、ゼータ君。──君って私を崇拝し過ぎているところあるから……
右手で、私の肩に押し当てられている頭の猫耳に触れる。普段は触らせてくれないのだが……
「やはり、こちらの想定や読みの数歩先を行っている──。そういう主だからこそ私は──」
わずかに持ち上げられた顔から見える表情は…どこか恍惚としていて。
…いつも以上に誤解されてしまったような気がするのだけれど……。
あと、左手の指先が……ちょっと押し当ててない?
今度アレクサンドリアに行った時、アルファとガンマに言っと置きましょう、うん。
でも、まあ、王都も世界も広いんだし、それっぽい感じの店とか、もう普通にありそうよね──
ゼータ君、そろそろのぼせるからお風呂から上がりましょう? 今日は一緒に寝るんだから、ベットでゆっくり話しましょう、ね。
「うん。でも、もうちょっとだけ……このままで……あんっ」
七陰列伝第11話です。上下2部構成の下です。
基本はカゲマス準拠です。
本作品では、アルファたちの出会いや年齢などがズレ、みんなの性格や嗜好も変わりました。
そして、シドと七陰の距離感がまったく違います。性癖全開です。
今回最後にゼータが暴走していますが、ええ、みんなこんな感じです。
そろそろ設定も固まってきたので、本編もボチボチ投稿しようかな…
その前に閑話を投稿するかもしれません。
未だ七陰列伝のテンプラーをどうするかで迷っています。でも559番の件もあるしなぁ…
この設定が気に入ってくれると嬉しいのですが。
色々と捏造した設定がありますので、読む際は注意願います