陰の実力者…?   作:ponpon3

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本話より、オリ展開となります。


気に入らない方は、そっ閉じ願います。


──これはそんな「if」の物語──


陰の… 第02話

 

 多分五年(・・)ぐらい経ったと思う。

 

 

 

 魔力はすごい。

 

 もともと内家戴天流でできた人間の限界を軽く超えた動きよりも、さらに突き抜けた動きが出来る。

 

 大きな岩盤(・・)とか余裕で持てるし、亜音速(・・・)で走れるし、()よりも高く跳べる。

 

 ただし“核”はまだ無理。魔力や氣で強化すれば防御力は上がるけど、前世の地球兵器の火力は偉大でした。

 

 この世界に“核”ないし別にいいか、とも思うけど、妥協してなった『陰の実力者』に価値はあるのか?

 

 

 ない、皆無ね……そうよね!?。

 

 

 よって、今の私の目標は、

 

 ①“核”に勝る力を身につける。

 

 ②私なりの陰の実力者像を探す

 

 の二つだ。

 

 

 

 そのために日々研究と修行を重ねた結果、私が可能性を感じたものが二つあって、最近は実験の日々が続いている。

 

 そうそう、私の生まれた家は領地持ちの貴族──男爵よ。

 

 魔剣士と呼ばれる魔力で身体を強化して戦う騎士を代々輩出する家系で、私はこの家の次女として、普通に魔剣士見習いとして育っている……はずよ。

 

 とはいえ、我が家の方針で、本格的な魔剣士としての訓練は6歳から。

 

 よって、父と姉の訓練を見取ることと、基礎的な訓練しかしていない。──表向きは。

 

 

 

 そうそう、魔剣士見習いの見取り稽古はボチボチ役に立っている。

 

 この世界の魔力を使った戦い方を見取る事が出来るし、私自身の戦い方を見直すいい機会になったわ。

 

 私が前世で学んだ戦いの技術は、正直言ってこの世界の技術より何倍も洗練されて合理的なものだった。

 

 なんといっても、記憶──記録──にある内家戴天流──拳法や剣術──は、中国四千年の歴史に及ぶ先達の研鑽と蓄積の果てに研ぎ澄まされた流派のもの。その姿は正に戦いの究極形、『殺戮の絶技』(アーツ・オブ・ウォー)と呼ばれていたもの。

 

 だいたい、内家の“剣”は“意”よりも早いし、内家戴天流剣術は、氣を最大限に練り上げれば、前世の戦車?の正面装甲?──硬くて大きな鉄の塊、さえ断ち切ることができる……らしい。まぁボクも木刀で斬鉄くらい(・・・・・)はできるようになっていたみたい。本当にソコソコ強かったのね。

 

 それに比べてこの世界の技術は、まず国を渡らない。そして流派も渡らない。門外不出の技とか口伝のみでの伝承とか普通にあるし、その結果、数代で消えたり、分家ができたり、本家と入れ代わったり、する。

 

 さらに、仮にオープンになったとしても、それを伝えるメディアがない。つまり技術の融合がなく、淘汰もない、長い研磨もない。率直に言ってしまえば洗練されていない。

 

 

 

 更に、やはりこの世界の戦いと元の世界の戦いには根本的な違いがあった。

 

 

 そう、魔力よ

 

 

 魔力での強化のおかげで、魔剣士の身体能力は一般人とはまるで違う。

 

 まぁ、体内の氣が生み出すエネルギー“内勁”をつかう内家戴天流は逸般人ではあったわね。

 

 人には人の戦い方があって、逸般人には逸般人の、魔剣士には魔剣士の、──逸般人で魔剣士の戦い方も別にある、そういうことよ。

 

 とにかく、他にも踏み込みの速度が違う、ステップインの距離が違う、よって戦う間合いも違う。

 

 この間合いを掴むのに随分と時間がかかったわ。だってこの世界の人みんな距離が遠いのよ。

 

 5mぐらい離れて向き合ってる。いや、踏み込み長いからさ、スピードも速いからさ、わかるわその気持ち。

 

 私も内家戴天流の記憶が無かったら、──これが魔剣士の戦いの間合いか!と感動していたかもしれない。

 

 しかし、何てことはない、魔剣士の防御の技術が未熟なだけ、だったのよ。

 

 受ける、躱す、とかあっても、払う、流す、返す、抜く、捌く、捲くる、すり上げる、打ち落とす、とかあんまり発達して無かったっぽい。

 

 防御が下手な人ほど、無駄に距離を取ろうとする、まあ、そういうことね。

 

 相手の攻撃を恐れて、相手の攻撃が届かない距離まで下がれば安心 ──という理屈。

 

 だから、「ガッ」と踏み込んで「ダッ」と離れる大味な戦いが中心になる。

 

 ヒット&アウェイ?残念ながら無駄で単調な前後運動をヒット&アウェイとは呼びたくないわね。

 

 私にとっては、5mの距離も10mの距離も平等に意味がない……内家戴天流ならそこは充分に間合いの範囲内よ。

 

 6mも7mも15mも20mくらいまで、全部一緒。必要な時は歩いて距離を詰めましょう。普通(・・)、足が地についてないと動けないからね。

 

 

 ──内家戴天流の場合、丹田に氣を満たしたときにできる軽功術は、重力のくびきすら脱するからさ。風に舞う木の葉、とか花びら、とか鳥の羽、とか蹴って動く……って何よ! ウゴゴゴゴゴ──

 

 

 さすがに、ボクも完全(・・)に重力を完全に脱するまでは修行できていなかったよう。

 

 それでも、なんとか内家戴天流の一刀如意の境地には達していた剣術は、刀圏に踏み込んだものを大抵(・・)斬って捨てることができるようになっていた……みたいよ。

 

 

 

 とにかく、自分の間合い──刀圏を境に1mm単位で大きな意味を持つようになる。それが、私が攻撃を当てれる距離であり、相手の攻撃に反応できる距離であり、相手の攻撃に当たる距離であり、それから角度とかも色々、半歩横にズレたりするだけで有利不利が変わる、間合い──刀圏ってそういうギリギリのラインを調整することよ。

 

 決して5m先から「ガッ」と飛び込んで攻撃して、6m後ろに「ダッ」と離れるようなものではないの。

 

 いや、ほんと異世界という先入観と魔力という未知なもののおかげで随分と惑わされたけど、最近ようやく、魔力ありでの内家戴天流剣術の私の刀圏、が固まったからよしとしよう。

 

 

 

 さて、そんな感じで私は毎日家の基礎訓練を──独自の負荷をかけながら──している。そして、姉と父の二人、父が姉に指導して、私がそれを見取り稽古をする、という感じ。

 

 二歳上の姉はかなり筋がいいらしくこのままいけば将来家を継ぐのは姉になるらしい。

 

 この世界は魔力を使えば女でも強いから、女が家を継ぐことも割とよくあるようだ。大事だよね、そういうところ。

 

 まあそんなわけで、私は大好きな姉(・・・・・)と、父が戦っているところを見ては、内家戴天流魔剣士としてはモヤモヤしている、というわけだ。

 

 

 

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 そんな日々を過ごしている私であるが、日中は他にも姉と一緒に貴族としての勉強やら付き合いやらで自由な時間は少ない。大好きな姉ちゃん(・・・・・・・・)にくっついて、とはいえ、しょせん五歳だから程々にだけど。

 

 そんなわけで本気の修行は自然と夜遅く皆が寝静まった後に行うことになる。当然睡眠時間を削っていたわけだが、私は魔力による超回復と瞑想に氣を組み合わせた独自の睡眠法により、そこそこ()ショートスリーパー化しているため問題は……まあ小さい。

 

 なにより、分身(・・)変身(・・)ができるようになったので、分身と入れ替わって修行することもできるようになったので非常に快適よ。

 

 

 

 ここで、分身(・・)変身(・・)とか、前世とか内家戴天流にあったのか?と思ったやつは正常よ。もちろんそんなものは無かったわ。

 

 ──あれは三歳の頃だっただろうか。たしか当時五歳だった姉が、父の魔剣士としての稽古を見るようになったころだろう。

 

 わたしも一緒に見る!! って、姉にくっついて行った。

 

 そこで、あんなお粗末な制御で、無駄しかない魔力の使い方じゃだめだ、と前世的な(内勁)の感覚で無駄に強固に練り上げたことが悪かったのだろう。

 

 

 

 もともと内家戴天流は『内功』と呼ばれる内家功夫。『外功』と呼ばれる外家功夫の武術“剛”に対する“柔”であり、力に対する心気の技である。

 

 体内の氣が生み出すエネルギー『内勁』を駆使することにより、軽く触れただけで相手を跳ね飛ばしたり、武器の鋭利さを増したり、六感(・・)までを極限まで研ぎ澄ましたりといった超人的な技を発揮するほか、掌法と呼ばれる手技により、掌から発散する内勁によって敵にダメージを与えたり治癒能力を発揮したりもする。──そんな(ワザ)だった。

 

 だから、如何に丹田より生じた『内勁』を強く練り上げを行うか、氣の経路である『経絡』を強化して通しを良くするか、と考えた。

 

 

 

 更に、前世的に不思議パワーだった魔力なのだけど、通常魔力は身体から離れると霧散してしまい、制御が難しくなることを知った。

 

 そこで、逆の発想で、魔力が体内にある時に肉体に影響を及ぼす可能性について考えた。肉体が魔力に馴染み、より魔力を扱い易い肉体へと変質(・・)させることが出来るのではないかと。

 

 魔力により肉体を細胞レベルで強化し、丹田と経絡を鍛えて勁の発生と通しが良くする、なんてことを考えていたのよ。 

 

 

 

 まぁとにかく、氣と魔力による自分の身体の魔改造を開始した。たしか『強くて NEW GAME!!』ってそういうもんでしょ。

 

 そして、10の力で10の威力を出すことをスタートラインとして。

 

 10の力で10の威力を1/100の時間で発揮できれば1000倍の効率になるのではないか?

 

 氣と魔力の合一ができれば相乗効果が生まれるのではないか?

 

 

 ──あの頃は、正直魔力に浮かれていたのだろう。だって前世が死んだ原因とはいえ不思議パワーよ。父や母や姉よりも魔力制御できていて魔力強化だってより以上にできていたのだから──

 

 

 結果的に、ある日の夜中に調息して勁を練りながら魔力を超圧縮していたところ、ある一線を超えてしまったのだろう、いきなり魔力が大暴走を開始してしまったの。それだけではなく、肉体が細胞レベルで増殖・暴走・壊死し始めたのよ。

 

 

 あの時はとにかく必死だった(真顔)。

 

 

 とにかく魔力制御をして魔力暴走を抑えなければならない、と。

 

 しかし、残念ながら自分一人ではどうにも制御できなかった。まるで魔力に悪酔いさせられているかのようで、一人ではどうにもならなかった。……そこでやけくそになって、

 

 

 『もう一人自分(・・・・・・)がいれば協力してなんとかなるのに!』

 

 

 ──と死ぬほど思ったのが良かったのが悪かったのか。

 

 

 なんと暴走した細胞からもう一人の自分ができていた

 

 

 途中から視点が二つあることに気付いたのが最初だった。

 

 訳が分からないままに分身(もう一人の自分)ができて、二人分になった魔力制御能力を駆使して、魔力を制御して、抑制して、暴走して、を繰り返しながら、自分(主観側)の肉体を元の自分の体になるように、自分(分身側)で見ながらコントロールして──

 

 朝までになんとか元の人型には鋳造することができたわ。外側(見た目)の肉体だけ、だったけど。

 

 正直、自分一人だったら元の姿に戻せたのかわからなかったと思う。後で調べたら、元の自分から微妙に姉に寄ってしまっていたことがわかったからね。

 

 とにかく、朝が来て慌てて分身(不完全な制御状態)をベットの下に隠したのは笑い話になる…のかな。

 

 

 とはいえ、その後も魔力制御がうまくいかず、三日三晩は40℃どころではない発熱の中ベットの(本体)(分身)でのた打ち回っていたのも、もはやいい思い出で……よね。

 

 

 という風に、分身(・・)ができてしまったわけなの。

 

 

 もちろん、こういう風に魔力が肉体に影響を及ぼすこと知った私が、それを応用して、変身(・・)するようになることも常識(・・)である。

 

 まぁ、しっかりと制御できるようになるまでに、かれこれ二年くらい掛かったわけであるが。

 

 さて、本日もベットに分身を置いて本体(わたし)は修行に励むとしよう。前世を同じくらいの十七歳程度に変身して、いつもの森で基礎トレーニングを軽く行った後、“核”で蒸発しないようになるための特別メニューだ。

 

 

 




というわけで、オリ展開タグを追加しました。


そして、アルファを出すまでに話数を稼げるか挑戦するスタイル。

なお、内家戴天流については、捏造もありますのでご容赦願います。
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