七陰列伝の第12.5話です。
基本、カゲマス準拠ですが、今回はオリジナル回です。
シドが何を目指しているのか?私なりに考えた回でもあります。
本作品では、アルファたちの出会いや年齢などがズレ、みんなの性格や嗜好も変わりました。
そして、シドと七陰の距離感がまったく違います。
というか、普段から七陰と一緒にいますし。
気に入らない方は、そっ閉じ願います。
──これはそんな「if」の物語──
「それでは、第30回裏七陰会議を始めます。」
「みんなシドの状態がかなりヤバいんだよー、」
それは、七陰みんな感じているわ。
「ゼータに聞いたけど、霧の龍が余計なことを言ったんだよねー?」
ええ、大きくいうと二つね。
1つ目は、霧の龍をシド──シャドウの必殺技で殺しきれなかったことね。
別に倒す必要なんて無くて、龍に認められる、というのは、実際は、将来龍を殺しきれる存在になる、そのために成長し続ける、開拓者としての精神性の問題のようだったのだけど。
結果だけを見て、それをもって修行不足と考えてしまったようなの。
「う~ん。ちょっと言葉を選んでほしかったねー。」
「龍と……人……精神性、違い……過ぎる。あの後……ベータが、確認……してきた」
イータの言葉でベータに視線が集まった。
「だって、シャドウ様のことを曖昧にして置くわけにはいかないじゃないですか?それにガーデンの将来──教団を倒した後の──にも関わることですから。」
「闘いが始める前にインタビューしたり、ベータって知的好奇心高すぎじゃない?」
問題は、自分の修行不足と判断して、修行に傾倒していることよ。自己完結してきている、つまり、若干
「そうだねー。現在シドの私との入れ代わりだけど、実は80%台位になってきているんだー。元々分身なわけだから入れ代わるものだけど、それまでは50-60%台だったんだよねー。ぼくはお姉ちゃんと居られて嬉しいけど、シドの
お風呂とか添い寝とかは、クレアさんと
もう、一人でお風呂に入れないし、独り寝もできないはずよ(黒笑)
「……まぁ、
「主様から寝物語で聞き出してきた話では、霧の龍戦後はかなり凹んでいましたけれども……」
「最近は、シャドウ様、
「ちょっと待って、待って!」 ──一度目──
レミーがテーブルを手の平でダンと叩きながら勢いよく立ち上がっていた。
「
七陰の注目が──一部刺すような視線がレミーに集中するが、頭を抱えて呻いている。
「さっさと……
「最悪だ……、最悪のタイミングだったんだ、霧の龍との闘いって……」
なんとか絞り出した言葉の意味もわからない。ゼータもイライラしたように聞いた。
「レミーだけわかってないで、さっさと私たちにわかるように話してくれないかなぁ」
「あのね……、何からいったらいいかな。」
全部よ!シドのことなのよ。
「わかったよ、アルファ。全部話してみんなで考えてもらおう。」
自棄になったように、乱暴にイスに腰かけ直す。
「まず、『彼の叡智』の説明するね。以前シドの爪痕の一つに、“核”に負けない、ってあったでしょ?」
うなずき先をうながす。
「でね、その“核”なんだけど、一発で小国や王都が吹き飛ばぶほどの究極兵器、って言ったと思うんだけど、その威力にはランクがあったんだ。」
「破壊規模が、都市程度に破壊力が
「全然小さくないんですけど!」
視線をずらしてイプシロンに向ける。
「イプシロンの言う通り。
レミーはその眼を閉じて続けていった。
「てっきり目標は、
──つまり、当初想定してた3300~6600倍を目指しているんだ──
……はっ?×7 ──三度目──
「もしかして、前世って、異世界ではなくて、魔界か修羅の国だったんでしょうか?」
「いわれると割とそうかも。──全面核戦争が起こったら3回人類を全滅できる、っていわれてたよ。さっきいったメガトン級の核爆弾が世界中を焼け野原に変えてしまう。……っていってもわからないよね。」
レミーは一度深く考え込んだ。
「そうだね、シドに地動説を習った七陰なら知っていると思うけど、あの太陽を地上に一瞬作り出すようなものさ。」
確か、恒星というのよね? 中心温度1500万度、表面温度6000度で燃えている火の玉。そんなものが……
「前世の“ボク”もそこまでわかっちゃいないよ。でも、どっちも爆発したときの威力のわかる
……はっ?×7 ──四度目──
「記録映像って、本当に爆発させたんですか?」
「うん、人の居ないところでね。爆発の衝撃波は地球を三周したんだって。」
シドの前世──異世界に対する認識が変わりそう。
レミーはようやく顔を上げて話し始めた。
「う~ん。別の方法でわかりやすくいうと、今イータが実用化し始めた鉄筋コンクリートの建物あるよね。それを損壊させるのに必要な量が、たったの
「なん……だって!」
イータが驚いて、立ち上がった。
「さすがに高性能爆薬や“核”技術を教えるつもりはないよ。」
「そんな……物騒な……技術、要らない!」
イータが怒って拳を机に叩きつけた。
今の説明でも、単位や規模が全く想像できないのだけれど……
「とにかく、なぜか低く見積もって当初想定してた3300倍を目指しているんだ。なぜこうなったのかと考えると……」
レミーの顔はすこし歪んでいた。
「多分、霧の龍に勝ちきれなかったことが原因かな?ってなるわけ。……前に聞いた話では、必殺技を叩き込んだんだよね? ゼータ?」
「アトミックもどきって小さく聞こえたから…、それも2回とも。」
「なら、まだ未完成ではあったんだ。でも完成でも未完成でも、どっちにしても相手を撃破できない必殺技って意味があると思う?」
シドの性格なら、「ない」っていいそうね。
「多分、“ボク”の爪痕がそう言わせるだろうね。」
だから最悪のタイミング、と。修行に傾倒しているのもそういうことね。
「せめて、死にかけになっていたら納得していたとおもうけど……、ピンピンしてたんだよね?」
「そうですね。必殺技を決めて、その後にもう一度必殺技を叩き込んで、ようやく霧の龍に認められた、といっていいでしょう。」
「シャドウガーデンとしては、そこそこ上手く行っているのにね。まさかシドがこうなっちゃうなんてさ。ままならないねー。」
「あの……」
ガンマが手を上げた。
「…それについていい案があるのです。実は、ガーデンで保護した10歳未満の女の子たちのことですが……」
一度全員の顔色を伺った。
「…アレクサンドリアで保護していますが、今立ち上げ中のミツゴシで、孤児院事業と基金を立ち上げて、主様に…「主に子守りをさせるとでもいうのかい?」」
「はい、そうです。主様に姉として妹たちの面倒を見てもらうのです。母性本能……というか保護欲を刺激する、というのはどうでしょうか。」
今のシドのアライメントは
「ええ、更に主様──シャドウ様に、別の表の身分も用意することもできます。いずれ教団の被害者を救済する制度も必要になってくるでしょう。ですので、その0番目の被験者として主様で試してもらう、というのも説得力はあるかと。」
そうね……悪くない考えね。ガンマ、計画を立案してもらえるかしら。
「おまかせください。」
「でさ、霧の龍が余計なことをもう一つ言ったんだよねー?その二つ目ってー?」
2つ目は、シドのことを、厄災の魔女と同じだが、それよりも身体も魔力も多い……魔人以上って。
「ちょっと待って、待って!」 ──五度目──
レミーが再びテーブルを手の平でダンと叩きながら勢いよく立ち上がった。
「魔人ディアボロス以上って!!!」 ──六度目──
「もしかして……」
ええ、そうよ。もうシドは到達どころか、凌駕しているの、教団の目的に。
「マスターと…レミーの…血と、身体の細胞…魔力の質と量と密度に…回復量を、調査した。」
比較対象は、七陰とクレア様とのこと。
「結果、誰よりも…濃ゆい血…持ってた。多分…アルファやゼータ…エルフと獣人の、英雄の直系の…末裔よりも。それは、人の英雄…フレイヤの、直系…子孫である…ことに加えて、二つ…考えられる。」
イータの口調は心なしか早口に聞こえた。
「一つは、後天的な…自己改造。」
そう言うとレミーをジロリと睨んだ。
「マスターは、身体を…氣や魔力に…馴染むように…改造しようとして、
その頃意識なんかなかったよー、とレミーが言い訳する。
「でも、その改造で…氣と魔力に…馴染んだ…それは、魔人ディアボロスに…近付くこと…。レミーの…調査結果から…ディアボロス細胞の…割合が、再生時点で…50%を超えていた…と思われる。」
「魔力操作に自信のあったシドが、
だいたいの基準は、七陰で40~50%くらい、普通の悪魔憑きで15~30%ていど、とのことだ。
そして、多分魔人ディアボロス──おそらく厄災の魔女アウロラ──が、65~75%程度と思われる。
「──マスターは、今でも自分を…魔改造し続けている。今では、多分…80%超えてる。」
奇しくも、教団と同じく魔人ディアボロスの再臨になっていた、と。
「ディアボロス細胞が80%以上って……、よく魔人化しないねー。」
違う、とイータは首を横に振りながら言った。
「すでに…魔人化していて…人に変身している、が正解かも。全身を…変身できるのは…そういうこと。」
たしかに、私たちの場合、髪の色や長さ、瞳の色とか変装程度ね。
──レミーは除く──
「…そういえば、昔男の子に変身できないか無理やり試したときに、全細胞に拒絶された、みたいなこと言ってたねー。」
「それは……初耳。で、多分、50%を…超えることが…境界線かも。」
「それでぼくは変身を、みんなよりちょっとだけできるんだー。」
つまり、……人間辞めて魔人になっている、というわけね。
「主は変身できる。だから疑似的な不老は実現していた、と思っていたけど、逆なんだ。魔人であるから変身できるし、寿命も関係ない、てことなのかな。」
しばし、沈黙がその場を支配した。
イータが二本指を立てて再び話し始めた。
「あと……前にも……言ったけど、もう一つは、家系図から……吸血鬼の血も……混じってる…可能性がある。」
エリザベート……赤い月の始祖の吸血鬼、その妹の系譜だったかしら。よく生きていたわね。というか、吸血鬼って子供生めたのね。
「もともと、吸血鬼も…魔人ディアボロスの…後に、生まれている。」
「シドは、貴族の家系図あるある、とか思っていたけどねー。真実だとするとー」
「ディアボロス細胞の…別の適応の…可能性、とも…考えられる。」
「あの、クレア様って大丈夫なのですか?」
「大丈夫、ぼくが解呪しているから!」
レミーが胸を張って答えた。
それ本人は知っているの? まさか。1/3以上人間辞めてますって言えと? 本人が知らない方が危険じゃないの? ぼくが守るもーん!
イプシロンとレミーが問答している。
どちらにしても、吸血鬼も監視の対象になるわね。
「アルファ様、となると、無法都市の紅の塔ということになりますね。」
先ずは無法都市への拠点作成から、かしらね。なにか縁があるといいのだけど。──まぁ、合ったのだけど。
「あと、マスターは、魔力切れ…理論上…無くなった。」
はっ? ──七度目──
「マスター、自分の体内で…魔力を圧縮して…爆発させ続けてる。まるで、内燃機関を…内蔵してる…みたいに。」
あの、ガーデンで教えている魔力制御の一つよね? 高速移動の時にやってる魔力の圧縮と解放。
「それ。それを常時…身体内でする…ことで、高純度な…魔力を、生成して精製している。普通は…身体が…過剰な…魔力で、一瞬で悪魔憑きに…なるか、弾けるか、…する。ちょっと…頭、おかしい。」
自然回復のレベルを……超えてるのね。
「これは、当分…七陰も…マネしちゃ、だめ。50%以上…魔人で、マスター並みの…氣と精神力が…必要。」
「シャドウ様並みの精神力ですか?」
「魔力暴走…の時に、分身を…作ってしまう…ほど。悪魔憑き…の解呪に…一か月間…付き添って…耐えられる……ほど。」
…それって事実上、シドが唯一無二なのではなくて?
「だから、かなり…頭、おかしい。」
再び、沈黙がその場を支配した。
だから、霧の龍と闘った時に、連続して必殺技を撃てるわけね…
「多分……そう。マスターに……追い付くの、とても……大変。」
…その境界が50%で、私たち七陰がそれに一番近いわけね。
「以前……マスターが、七陰に……教えようと……していた、自己改造。アレを……実行するだけ。見本が……マスターがいるだけ……私たちは、恵まれている。」
そうね、常に道無き道を、未知に向かって、突き進んでいるのよね、シャドウは…
割りと脳天気なのにね。シャドウ様ですから… でも主様はかわいいですよ。 それとこれは話は別よ。
何にしても時期が不味いわね。七陰内で調整して少しずつ順番にやっていくしかないのね。
「でも……多分各個人に……境界値があって、そこを越える時が……問題。マスターの助け……必須。」
それに……あれはマスターの前世が……マスターに残した爪痕。七陰に……そこまでは、求めない……かも、と小さく付け加えた。
「いったいどこまで強くなる気なのでしょうか?」
厄介ね、ガンマ。だいたい修行って言葉に終わりは無いのよ。修業では無いのだから。だから、少しでも気を逸らしてもらえるように、ガンマの計画を進めましょう。
「…主に子守りをさせるのか、って最初思ったけど、アライメントを保ちつつ、気を逸らせれるかも知れないなら…」
「それに、悪魔憑きから解呪された娘たちですから、女の子だけですし(黒笑)」
「ガンマ、あなたやるはね……でもそうね、表の身分を与えるというなら、もう一歩進めて、いっそ来年から学術学園に通わせるとか、どうでしょう? ガンマの
「イプシロン…そこまでは考えて無かったわ。来年には『ミツゴシ商会』として王都にも進出するし、拠点を用意できますね。」
そうね、来年からならシドも実年齢的は入学時10歳~卒業時13歳で、シドとして魔剣士学園に通い始める15歳とは被らないわね…。
「そういえば……マスター、アーティファクトに……興味持ってた。それ……いいかも。」
「…シャドウ様、よく自分を名ばかり盟主って言うんです。だから、闘えない娘たちや、闘うには年齢の足りない子供の面倒を、その新しい身元や身分で貢献してもらえれば、よくなるかな……って思います。」
「マスター……自分の実年齢……自覚無さそう、」
そうね…、できれば、それに追加して、どこかでシドの必殺技を無制限解放状態で使わせて、その威力を自覚させることも必要ね。
適当な島とか探しましょうか? たしか少し離れたところに火山のある島が無かった? その方が偽装できそうでいいわね。ついでに教団の施設とかあったりするといいんですが…、それは高望みが過ぎるというものよ、
わいわいがやがや
七陰+レミーの会議はもう少し続くのであった。
七陰列伝第12.5話です。テコ入れを兼ねて早くに仕上がったので、投稿します。
さて、今回も基本はカゲマス準拠ですが、オリジナル回です。
本作品では、アルファたちの出会いや年齢などがズレ、みんなの性格や嗜好も変わりました。
そして、今回はシドが何を目指しているのか?という回でもあります。
前話で入れるべき言葉を乗せ忘れるという痛恨のミスをしました。追記しました。
シドが負けないという“核”とは何なのか。それを考えていた時に思いつきました。
一時その記録映像がYo〇t△beに上がっていたし、超えるべき敵として見てるだろうなぁ、と
もちろん、ディアボロス細胞についても本作の捏造です。
この設定が気に入ってくれると嬉しいのですが。
色々と捏造した設定がありますので、読む際は注意願います
真祖の吸血鬼⇒始祖の吸血鬼 に修正しました。