陰の実力者…?   作:ponpon3

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 七陰列伝の第14話です。

 基本、カゲマス準拠です。

 今回は、『ねらわれたガンマ』の上下2部構成の下となっています。


 本作品では、アルファたちの出会いや年齢などがズレ、みんなの性格や嗜好も変わりました。

 そして、シドと七陰の距離感がまったく違います。

 というか、普段から七陰と一緒にいますし。ただ、最近、修行に傾倒気味で…

 七陰も、そこから眼を逸らさせようと頑張っています。

 気に入らない方は、そっ閉じ願います。


 ──これはそんな「if」の物語──



陰の… 七陰列伝 第14話「危機!ねらわれたガンマ」下

 

 ──ガンマ・カプリッチオ──

 

 

 その日、ガンマは一人(・・)で馬車の御車席に座って、馬車を街道に沿って走らせていた。もちろん、護衛として、1個分隊の上位メンバーズとメンバーズが、護衛として周囲を固めていた。

 

「…こうして、馬車を自分の手で走らせなければ、流通における実際の感覚をつかむことはできない。主様や、私たち七陰やガーデンの構成員であれば、物資をアイテムボックスに入れて、シャドウ・ゲートを使うか、全力ダッシュで移動するのは容易いけれど……。物資を運ぶ業者が、同じことをできるわけがないし……。護衛にも迷惑を掛けちゃってますね。」

 

 ふぅっ、とため息をついた。

 

「でも、表の顔で商売をする以上は、表の顔の人間の領分を、決して忘れないようにしなければ。」

 

「なんというか、一人でこういう地道な作業をするのって、思った以上に寂しいのね。」

 

 護衛の分隊は陰に隠れているため、話しかけることはできない。

 

「荷物を積んでの移動感の確認……人出の必要ない作業とはいえ誰か一人くらい(御車席)にきてもらった方が良かったのかもしれない。」

 

「ベータやゼータのような、個人作業の得意なタイプに聞けば、何か気の紛らわせ方もわかるのかしら…」

 

 すると、護衛している分隊から、メタルスライム通信*1が入ってきた。

──盗賊らしき人影を前方に確認しました──

 

「…そう。狙われているようね。使いたい道にほど、ならず者は蔓延る。世の不条理というものかしら。」

 

 盗賊死すべし、慈悲は無い! って主様がおっしゃる意味を体験することになるとは…

 

「ふぅっ。こういうことについても、ゆくゆくは商会の力を使って、何か抜本的な対策をしたいところではあるけど……」

 

 ガンマはメタルスライム・スーツ製の普通の服に、さらに魔力で強化し、メタルスライム製の魔道具「ガンマの大太刀」をアイテムボックスから取り出して腰に履いた。

 

「今は地道に倒す方向でやらせてもらうわ!」

 

 

 

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

「こんな夜更けにこんな場所で、小娘がたった一人で荷物運び……、狙ってくれと言わんばかりだと思わねえかてめえら!」

 

 頭目とおぼしき人物が部下に声をかけた。

 

「「「思うんだなぁ!」」」

 

「…自身にとって都合の良すぎる状況は前にして、罠か何かとも思わないその感覚、ある意味うらやましいわ。」

 

「そうかぁ? いいだろう?」

 

 しかし、頭目は怒っていった。

 

「バカ野郎! バカにされてんだよ!」

 

「そうなのかぁ?」

 

 魔道具である「ガンマの大太刀」を抜き放った。

 

「その通り! そして、お前たちは、全員死ぬ! 誰も逃がしはしない!」

 ──護衛はしばらく様子見お願い。他にも来ていない、逃亡しないか確認を──

 

「な、なんだぁ? でっかい太刀だぁ!?」

 

「はははっ、どういうつもりか知らねえが、女一人に何ができるっていうんだ!」

 

「…この大太刀のサビになってから後悔しても遅いわよ!」

 

「サビになってから後悔しても遅いわよ! だってよ~!」

 

 盗賊の頭目は、ガンマの見た目に騙されて、完全に見下しているようだ。

 

「…おのれーっ。…あらっ。

 ──こちら護衛、伏せている傭兵部隊を確認しました。様子見に一人倒します──

 

 その通信と同時に、向こうの茂みから、傭兵とおぼしき人物が頭を射抜かれて転がって来た。 

 

「なんだ? 何かに当たって殺されただと!? 向こうの方に誰かいるのか?」

 

 盗賊のリーダーは焦って叫んだ。

 

 護衛からのメタルスライム通信で状況を理解しているガンマはため息をついた。

 

 同じ茂みから、同じく傭兵のような恰好をした男たちが現れた。

 

「まさか、こちらの監視に気づいていたとはな……! お前ただの商会の女じゃないな!?」

 

「…ふっ。その口ぶり……ありがたいものね。」

 

 ガンマは自分がガーデンの一員であることが知られていないことに安堵した。

 

「ありがたい、だと? お前何を言ってるんだ?」

 

 そこで、盗賊のリーダーた切れて叫んだ。

 

「何を言ってるんだって……だいたい、あんたら何者だ? この小娘と知り合いなのか?」

 

「知り合いなのかぁ~」

 

 そこで、傭兵部隊の隊長らしき人物が命令を下した。

 

「…この盗賊どもから始末する! 行け!!」

 

 そう言って、繋いでいた魔獣のオオカミを解き放った。

 

「なんだよそりゃぁ!?」

 

「オオカミ、オオカミだぁーーーっ!!」

 

 ぐああぁーっ、な、なんだ!? 何がどうしてこんな!

 

 あっさり盗賊はオオカミの餌になっていった。

 

「ふんっ、目撃者を出したくないのは、どうやらそちら側も同じようね──。なら、ちょっぴり不本意だけど、まずはその尻馬に乗らせてもらうわ!」

 

「なっ、お前、こいつらの敵じゃないのか!」

 

 まぁその通りですよ。

 

「せやぁっ、魔道具のおかげでしょうけど、攻撃がどうしてかうまくできて、しっかり当たるのよ?」

 

「「「そんなの、こっちは知るか!」」」

 

 傭兵達と盗賊達の意見が一致した瞬間であった。

 

 

 

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 ──裏の世界での闘争──

 

 

「くらえーーっ!!」

 

 ガンマの大太刀が伸びて、一気に盗賊達を薙ぎ払った。

 

「ぐわぁぁーっ!! お、お前ら……いったい、なん、なん……だっ……!?」

 

 そう言い残して、盗賊団は全滅した。

 

「今日は攻撃が当たってるわね。外したのは。最初の1回だけ。私成長してる!?」

 

 そこで、鼻を鳴らしながら傭兵団のボスは言った。

 

「ふん、邪魔者どもは消えたか。なら、本来の仕事に取り掛からせてもらおうが。」

 

 魔獣のオオカミに指示をだす。

 

「…あの女の喉笛に食らいつけ!」

 

 オオカミは躊躇せず飛び込んでくる。

 

「くっ、よく訓練されていること…。さっきまで肩を並べて戦っていたのに薄情なオオカミね。」

 

 ここで、これまでのガンマであれば、大太刀をオオカミたちに当てることは難しかったであろう。しかし、イータ謹呈魔道具の『ガンマの大太刀』を使うことで命中率に大幅な改善が見られた。

 

「…このルーナという女いったい何者なんだ。戦闘能力は高いのに、戦闘センスそのものは、まるで皆無のように見える、なのに、バシバシ攻撃が当たっていく。」

 

 不思議な者を見る目になっている。

 

「大太刀のような剣は、他でも見れないわけじゃないが、この女のこれは、あまりに度が過ぎている。」

 

「ちょっと! 聞こえてるわよ!」

 

「襲っているこちらが言うのもなんだが、剣の構えや振りと、この命中率が一致しない!」

 

「そんなの!自分でもわかってるわよ! だけど当たらないものを、当ててくれるんだからすごいでしょうっ……うりゃーーっ!!」

 

 また一匹の魔獣オオカミが当たるを幸いと、そのバカ力で真っ二つに斬り捨てられていく。

 

「…いったいどうなっているんだ。避けた相手にも吸い込まれていくように当たるし。……さすがにこのままでは部が悪いか。」

 

「ふんっ、次はあなたの番よ!」

 

「くそっ…」

 

 ぇえーーいっ、あ、手元がブレちゃった。すると、大太刀は長さを伸ばすと、吸い込まれるようにオオカミと傭兵団を斬り裂いた。

 

「…当たっちゃった! …って、別に当たる分には問題ないのに、何言ってるの私!?」

 

「そ。そういうことか、こちらを、巧妙な話術と演技で油断、させて……! やはり、この女は、危険だった…!!」

 

「…そ、そうよ! さっきまで攻撃を外していたのは、フェイントなんですから! どうですか、恐れ入りましたか……! って死んだ相手に言い返したところで、何の意味もないわよね、むしろ帰って言い訳がましいわ。」

 

 そして、魔獣のオオカミに眼をやった。

 

「ねぇ…あなた、どうしたら私の剣の命中率、もっと上がると思う? 商売はうまく進められそうなんだけど、戦闘の腕の方は、この通り、魔道具たのみで前途多難な感じなの。」

 

 しかし、魔獣のオオカミは素早く立ち去って行った。

 

「こっちには目もくれず…訓練されているようね……!」

 ───追跡はお願いね──

 ───ツーマンセルを一組当てます。残り3名はガンマ様の護衛を継続します──

 

 

 

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

「…先の襲撃事件、少しだけど手がかりがつかめたわ。ソコソコ商会があなたに刺客を放ってきたと思われるわ。」

 

「ということは、ディアボロス教団の刺客ではない、と。」

 

「ええ、王都において、護衛用のボスオオカミを飼いならしている商会は、いくつか数だけど存在していたわ。その中で、襲撃の相手を絞り込むことができたわ──。」

 

「飛ぶ鳥を落とす勢いのルーナ商会に対して、他の商会が明確に敵対行為を働くようになってきた、ということですね。」

 

「…ですが、これはある意味、我々の商会の影響力が他の商会から見ても、無視できないほどに高まってきている証拠。このように考えても差し支えない程度には、我々の事業が軌道に乗り始めている、ということでもあるかと。」

 

「よって、こちらも、王都で新たな商売を始めるにあたって、妨害をかけてきた商会に対し、行動を起こそうと思います。」

 

「私を含む、他の七影の力を借りても構わないわ。慎重、かつ大胆にね、ガンマ。」

 

「お任せくださいアルファ様! すべては主様とシャドウガーデンのために!」

 

 

 

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

「主様! 教えてください! どうすれば、攻撃をもっとまともに当てることができるのですか!」

 

 お風呂の中で、いつものようにガンマに後ろから抱きしめられながら、ガンマの相談を聞く。

 

「以前に主様から教えていただいた通りに、氣と魔力をいっぱい込めて振り抜いても、魔道具無しだとどうにも当たらないのです!」

 

「う~~ん」

 

 困った。私が教えてどうにかなるのであれば、ガンマはとっくにコントロール能力を得ているはずなのだ。とはいえ、ガンマって内家戴天流剣術の二八刀三六剣、〆て六四套路を一番綺麗にできているんだよなぁ。

 

 今でも、七陰と『記号持ち』(ナンバーズ)とは、できるだけ修行の時間を取ってはいるけど、塘路をなぞる型稽古では、ガンマは一二を争う綺麗さを持っている。

 

「かつて主様はおっしゃってくださいました。最弱には最弱の戦い方がある、と。『自らが最弱であると知るものは、最強へと通じる自らの道を知る、知力あるものである──。』この言葉を胸に私はガーデンの運営面については自分の力を発揮してきました!」

 

 あーそういえばそんなこと言ったねぇ。先ずは自分が弱者であることを知ることから始めよう、という意味であって、そんな弱者の特性を考えて、基本的には『差別化』戦略──強者とは違う差別化した戦略をとること肝要である、と教えたはずなのだが…。

 

 だから、広域では闘わず局地的に狭いところで闘う、多対一にならないように一対一に持ち込んで、一点集中して攻撃を絞り込み、武器の効率を上げて──魔道具ありで闘う、というつもりで言ったはずなのに…

 

「戦闘力も、政治力も、私は一流になりたいんです!」

 

「いや…ガンマそれはあまりにも欲張りすぎだよ。二兎を追うものは一兎も得ず、って言うでしょ?」

 

「そんなことはありません。アルファ様やゼータは、どんなことでもうまくこなします! 三兎四兎は当たり前です!」

 

「あぁーっ、あれね。そういうごく一部の例外を当たり前の例のように挙げるのはよくないよ。何でもできちゃうバランスブレーカーな武将っていうか、そういう人種に属してるアルファとゼータが同じ空間にいること自体が、そもそも例外の極みだからね。」

 

「それは……! だとしても私は主様と共に闘えるようにもっと強くなりたいです。」

 

「ガンマ……ありがとう。」

 

 私を抱きしまている手の片方を、両手で握りしめた。

 

「…まあ、どうするにしても変な方向に転ばないように、やっぱり地固めをすることから…かな。自分の立っている場所(位置)がわからなくなってしまっては、そもそも元も子もないんだからさ。」

 

「自分の立っている立場(位置)……!?…あぁっ! 確かに主様のおっしゃる通りです! 今は自分の立場を、しっかりと固めなければいけない時……! 戦闘面の弱点克服は、その後からでも遅くない……。優先順位を誤ってしまうところでした!」

 

「あっ、ええと…」

 

 先ずは立ち位置をしっかりとしなさい、と思ったんだけど……、まあいいか。ガンマ自身なんだか納得してるみたいだし。

 

「…そうその通りよ。抜かるなよ、ガンマ」

 

「主様……かしこまりました!」

 

 ガンマの機嫌も戻ったようだ。

 

「…でも、二人っきりの時はガンマお姉さまって呼ぶ約束じゃないですか? シド(・・)。」

 

あっあっ、あっ、耳噛んじゃいやぁ…、氣も流さないでガンマお姉さまぁ…」

 

「どうしましょうかしら…はむっ「ぃやぁっ…」…ほうれすねぇ「噛んじゃまま 喋るの ぃやぁっ」…」

 

 シドに取られている手と反対の手でシドの身体を撫でつけて気を流していく。

 

「…もう、許して、ガンマ…お姉さまぁ… あっあっ、あっ!」

 

「今度、ルーナ商会──改めミツゴシ商会を立ち上げるのですが、そこで闘えない元悪魔憑きの救済制度を考えているのです…」

 

…もう、許して、ガンマ…お姉さまぁ…。お姉さまの氣が…お、お腹の中でぐるぐるしてるのぉ…」

 

シド(・・)に是非手伝って貰いたいのですが…よろしいでしょうか?」

 

あっあっ、あっ、あっわかったわかったから、手伝うからぁ…」

 

「よしよし、いい娘ね、じゃあ約束よ、いいわね、シド。はむっ「ぃやぁっ…」…シド(・・)

 

…はいっ、ガンマお姉さまぁ…。もう…ぅうっ...

 

 さぁ、風呂からあがりましょう。こ、腰が抜けちゃった… あらあら、くすくすくすっ。

 

 ──とりあえず主様の許可は取りましたし計画(プラン)を進めていきましょう──

 

 

*1
─キング・メタルスライムから同時に分裂・株分けをした特性を利用したメタルスライム間での共振を使用した通信─





 七陰列伝第14話です。早めに仕上がったので投稿します。

 さて、今回も基本はカゲマス準拠です。

 本作品では、アルファたちの出会いや年齢などがズレ、みんなの性格や嗜好も変わりました。

 シドと七陰の距離感がまったく違います。

 というか、シドは普段から七陰と一緒にいますし。ただ、最近、修行に傾倒気味で…

 七陰も、そこから眼を逸らさせようと頑張っています。

 結果、ガンマが最後に暴走していますが…コラテラルダメージです。


 なお、テンプラーの取り扱いはどうするかまだ迷っています。

 正直、七陰列伝第2章の話の展開がどうなるのか、本作品を書いていて怖いです。

 この設定が気に入ってくれると嬉しいのですが。

 色々と捏造した設定がありますので、読む際は注意願います
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