七陰列伝の第16話です。
基本、カゲマス準拠です。
今回は、『ミツゴシ商会』の上下2部構成の下となっています。
本作品では、アルファたちの出会いや年齢などがズレ、みんなの性格や嗜好も変わりました。
そして、シドと七陰の距離感がまったく違います。
というか、普段から七陰と一緒にいますし。ただ、最近、修行に傾倒気味で…
七陰も、そこから眼を逸らさせようと頑張っています。それにシドの教育も…
気に入らない方は、そっ閉じ願います。
──これはそんな「if」の物語──
『ソコソコ商会網』が王都郊外に四つ用意していた秘密倉庫の一つで、ルーナ商会の積み荷を開けた商会網の商人たちは焦っていた。
「…なっ、なんだこれは! いったい、どういうことなんだ。」
開けられた積み荷の中は予想外の者が詰まっていた。
「どうして、どの荷物も、石くれや木くず……ガラクタばかりなんだ!」
「ちゃんと品物が入っている積み荷は、絶対の1割にも満たないじゃないか!」
こいつらは何を襲ってきたのだ?疑問が商人たちに沸き上がった。
「答えろ! 何が起きているんだ!? お前たちが運んできたんだぞ!」
「…この荷物を用意した、ルーナ商会にでも聞いてくれ。俺たちは依頼通りに荷を奪ってきただけだ。その中身まで検分しろとは言われてない。」
傭兵部隊の隊長が肩をすくめながら答えた。
「くっ……!運んでいて、違和感の一つも感じなかったというのか!?」
そう言った商人を睨みつけた。
「感じようが感じまいが、中身を開けてみるわけにもいかんだろう。」
それに…と残りの商人を見廻していった。
「だいたい強奪した品物を再利用するつもりだったから、手を出さないようこちらに厳命していたんだろうし──。あんたらのような人種は、こういう仕事のやったやらない、ですぐにいちゃもんをつけてくるんだからな!」
「き、貴様──」
「…この期に及んで、責任のなすりつけ合いとはね。」
「誰だ!!」
漆黒のボディスーツに顔を隠すフード付きコート、さらに口元以外を隠すマスクを付けた集団が周囲を取り囲むように一斉に現れた。
「…まずいな…!」
傭兵部隊の隊長は事態がわかったのか、焦り始めた。
「何がまずいんだ?」
「商人のくせに、こういうことには頭が廻らんようだな。ここに敵が来たということは、外の見張りは全員殺された、ということだ!」
「な、なん…だと…!?」
「正解よ。」
「死にたくないなら! 早くオオカミを放て!」
「わ、わかった!」
慌てて、倉庫の檻に入れていたオオカミを解き放った。
「おおっ、少しは強そうなのが出てきたのです!」
「デルタ、約束通り、あなたに任せるわ。」
「ふふふ……、狩りごたえがありそうです!」
「シャアーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!」
オオカミとデルタの闘いが戦端を切った。
「…律儀な傭兵もいたものね。少しくらいは、荷物の中身を暴かれて、こちらの意図をある程度見抜かれるものと思っていたけど。」
「仮に、すべての荷物が追跡されていたのであれば、偽物だけではなく、本物の積み荷も含まれていた以上、この場所が判明することは避けられなかっただろうな。」
傭兵部隊の隊長は、剣を抜いて構えた。
「小娘……お前たちの瞳からも、剣からも、決して敵を逃がさない冷徹さを感じるっ!! おそらくは、この場所を突き止めてから、商人どもがここにやってくるのを待っていたか──」
「ええ、その通りよ。」
「この稼業は始めて長いが、とうとう貧乏籤を引いちまったようだな……!」
覚悟を決めたのか、気合をいれるベテランの傭兵もいた。
「なっ! 貴様、雇い主を前にしてその言い草はなんだ!」
「力による妨害には、力を持って報いる。他の荷物が運び込まれた拠点も、私たちの仲間が、すでに壊滅させているわ。」
「…あなたはただの雇われの身でしょうけど、『ソコソコ商会網』に加担して、流通業者を皆殺しにする作戦を実行した以上、見逃すわけにはいかない──」
そして、アルファも、
「あなたたちには、全員ここで死んでもらう!」
ひぃぃーーっ、と商人たちは悲鳴をあげてしゃがみこんだ。そして、残った傭兵部隊も
「…勝負っ!!」
しかしもちろん勝負になどならず、一方的な虐殺の幕開けとなった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「そろそろ本命のアジトの方でも、始まった頃かしらね。」
『ソコソコ商会網』が王都郊外に用意した4カ所の秘密倉庫の内の一つで、傭兵部隊の死体の隠蔽工作を
「…商人たちの死体や、各種書類を直接調べてみても、教団関係者と思われる手がかりはなし、でしたね。」
外を警戒していたゼータも
「やっぱり、純粋にルーナ商会を改め『ミツゴシ商会』へのちょっかいだったってことかな。」
「そうそう、商人の死体とオオカミの死体は残して置くの忘れないでね」
「了解ですっ!後はいつも通り、チリ一つ残さず、で……」
「じゃあベータ、次の敵拠点の情報のチェックに行こうか。」
「後3カ所でしたっけ、なにか面白い情報があればいいのですが…」
「私もここのクリーンアップが終わり次第、行くようにします。ので
「了解ですっ!」
携帯用シャドウ・ゲートを起動して、ベータと情報部隊、ゼータの諜報部隊とカイの清掃部隊の分隊は移動していった。
「さぁ、さっさと仕上げるわよ!」「「「「「はっ!」」」」」
「あと、それまで警戒お願いね。」「「「「「はっ!」」」」」
残って周辺を警戒している諜報部隊の
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
解き放たれた数匹のオオカミは、連携してデルタを囲んで攻撃したが、唯でさえ強靭な
まぁ、当たってもメタルスライム・スーツのおかげで傷つくことはないのだが…
デルタ専用の魔道具『陰の爪』によって、なます斬りに斬り裂かれていった。
「ふぅーっ、ちょっとはマシだったのです! だけど、デルタの敵ではないのですっ!」
そして、傭兵部隊とシャドウガーデンの闘いも、鎧袖一触、あっさり決まろうとしていた。
通常の傭兵部隊の隊員では、戴天流剣術を使う
「ぐっ……! …これまで…か……!」
傭兵部隊の隊長も、アルファの刃の前に斬り倒された。
そして、腰を抜かしている商人に刃を向けた。
「…あとは、あなただけね。」
「ひ、ひぃぃっ……! お、お前らは何者だ……!?」
少し間を空けたが…
「それをあなたが知る必要はないわ──」
ぷぎゃぁーーーっ!!!! 商人たちは豚のような悲鳴をあげて死んだ。
「…教団の手先でもない、ただの悪意を持ったものたち。力でぶつかり合ってしまえば、あまりにあっけないものね。」
「アルファ様、どうして名乗らなかったです?」
「そうね……彼らはルーナ商会を警戒していた。そういう意味では、先を見る目を持った優秀さがあった。つまり、決して見くびることのできない相手……だから、こちらの正体につながる要素は見せたくないと思ったのよ。」
「…よくわからないけど、そういうものなのです?」
「ええ、そういうものよ……。私たちシャドウガーデンはディアボロス教団を壊滅すべく、陰に潜む秘密の組織。『ミツゴシ商会』の存在理由も、究極的には、そのための手段に過ぎないのだから。」
「さぁ、そろそろ
「…スライム通信が入りました。他の3カ所はクリーンアップが完了し、こちらに来るそうです。」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
今日はアルファが当番の日だ。一緒にお風呂に入りながら、妹たち*1の面倒──という名を借りた彼女たちへの修行──を見ていたかを話していた。
「ほら、七陰とレミーで決めたお世話用の偽名の『ギリシア』を使っているんだけど、なんかバレバレでさ~、ちょっと困る。でも、みんな真面目でさ、13歳未満の妹たちには、みな内家戴天流を初歩の初歩のところからゆっくりじっくり『氣』の使い方と魔力の使い方・制御方法を教えているんだ。師匠とかお姉様って呼ばれると背中が痒くなるけど…」
「あら、羨ましいわ。どうせ手取り足取り、氣や魔力を巡らせたりして教えてるんでしょ?」
─氣や魔力を巡らせてもらえるなんて、ほんとに妬ましいわ─
「まぁそうだけど……。あと、魔力回路が損傷している妹たちの中にも、癒してほしい、闘いたい!って娘たちもいてさ。なので、それにもチャレンジしているんだ…。」
ちょっとだけ、シドとアルファ とレミー の 二人 三人だけのころを彷彿させる、たのもしくも優しい表情をしていた。
「ほら、ガンマの時に経絡を修復したでしょう。それの応用で氣を使って魔力回路の修復もできないかな?って、模索しているんところなんだ。」
…また、この子は…。自分がどれほど凄いことをやろうとしているのか、自覚していないようだ。
「内家の奥義だもんね、人体の治癒力そのものを強化して治癒する、っていうのは。大魔力で一気に癒すのと違ってさ、地道な自己再生な分、治癒の可能性があると思うんだ。」
前世の“ボク”の記録にあったRPGゲーム?にある
ましてや、魔力回路の損傷は一般的には不治の損傷。現時点でもある程度癒せていること自体が異常なのだ…
「それに、ひとに教えるって難しいよね、アルファたち七陰はとても筋が良かっただけにね……一部
本来習得すること自体が難しいものだったんだよね、そう独り言ちるシドだった。
思わず、背後からシドを強く抱きしめていた。
─この笑顔、守らねば─
そう思いつつ、抱きしめた手を動かして、氣と魔力を巡らせ始めた…少しずつ。シドと同じ色に染まったアルファの氣と魔力を。それはシドへ抵抗なく受けいれられていく…
それはそれで、私の当番の日に他の女の話をしたのだ。たっぷりと
「えっ、ちょっと、アルファ、止めてぇ…。アルファの氣と魔力って私とほぼ同じだから抵抗できないの。ねぇ、アルファっ、あっ、あっ、あっ、あぁっ!」
「
「あっ、あっ、あっ、あぁっ、わかった。わかったから、七陰の修行も…手伝うからぁ…」
「
「ひゃぁぁっ、あっ、ああ~~っ!!」
△▼△▼△▼△▼△▼△▼
場所をベットに移して、アルファは寝物語に今日の顛末を報告していた。
「…というわけで、私たちの活動に対して、妨害を仕掛けてきた、いくつかの商会を壊滅させたわ。」
「ふえ~~」
「シャドウガーデンの活動を広げていく上で、ディアボロス教団以外の障害も少なからず生じてくる。」
──ちょっとやりすぎたかしら──
「ほえ~~」
「なるべくなら教団と関係のない相手とは、穏便にことを運びたいところだけど……」
──ちょっと氣を流して…──
「ほら、シド、話を聞いていた?」
「へえ~~、はっ! あ、いや、うんうん。そりゃあ、降りかかる火の粉は払わなければならないよね~。」
シドはシドの──ガーデンの敵に対して冷淡である……というか、どうでもよくて嫌いなもの、と分類しているようだ。こういうところで“ボク”と同じ
「ええ、好む好まざるに関わらずね。」
ようやく普段通りに頭が廻るようになったようだ。
「ということは……今頃教団はミツゴシ商会に対してどう動くべきか改めて相談をしている真っ最中だったりして。」
「…シド、一体それはどういうことなの?」
あくまで可能性の一つとして考えて欲しいのだけれど…と呟きながら、言った。
「だってそうでしょう、アルファ。ミツゴシ商会は決して教団に組することはないわ。となると、教団と関係がない相手で、新興のミツゴシ商会と明確に敵対する相手であるならば、その相手に教団が接触する可能性は充分にあるのだから。」
「あっ……!」
ねっ、と首を傾げるシドはかわいかった。話の途中だけど抱きしめてしまった。
「わぷっ。…ディアボロス教団だって、この世界で正体を隠して活動している。つまり、表の世界で都合のいい尖兵になってくれそうな存在は、教団にとって、ノーリスクで扱える手駒候補ということになるでしょ?」
シドの喋るときの息が胸に当たって擽ったいが我慢する。
「もし、その商会に対して、教団が接触を予定していたなら──、偶然とはいえ、奴らの機先を制した、ということになるかもしれないよ。」
「その発想はなかったわ……! 完全に盲点だったわ。結果として、将来に教団と連携するかもしれない芽をつぶすことができた、と考えるのもあり、ということね……!」
シドの額に唇を落とす。
「ありがとう、シド気づかせてくれて。感謝するわ。相変わらずあなたの瞳には、他の誰にも見えていないものが見えているのね──」
「なんか、今頭が凄くすっきりしているんだ。だからかなぁ……。今後も頑張ってね、アルファ。」
「ええ、すべては、シャドウと、シャドーガーデンのために。」
─賢者タイム?というやつかしら…─
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「おや……」
「どうかなさいましたか? 聖女様。」
「いえ…、いつもの香油と香りが異なるようでしたので…」
「申し訳ございません。教会に物資を定期供給していた商会の一つが、会長の急死で先週頃から営業停止状態に陥ってしまいました。なので、本日は別の商会から仕入れた香油を用意させていただきました。すぐに、元の銘柄をご用意できるようにいたしますので。」
「そうですか……、迷える魂に安息を。何か、胸騒ぎがしますね。」
「ウィクトーリア様、信者の皆様がお待ちです。ご準備のほど、どうぞよろしくお願いいたします。」
「ええ、すぐに参ります。」
──
七陰列伝第16話です。早めに仕上がったので投稿します。
さて、今回も基本はカゲマス準拠です。
本作品では、アルファたちの出会いや年齢などがズレ、みんなの性格や嗜好も変わりました。
シドと七陰の距離感がまったく違います。
というか、シドは普段から七陰と一緒にいますし。ただ、最近、修行に傾倒気味で…
七陰も、そこから眼を逸らさせようと頑張っています。それにシドの教育も…
今回はアルファの“愛”が溢れてしまいましたが、いつもあんなもんです。
最後に聖女様がでていますがいったい誰なんだー?
次話から、本編を投稿していこうと思います。
テンプラーの取り扱いは一応決めました。
なので、七陰列伝第2章の展開がどうなるのかが、本作品を書いていて一番怖いです。
この設定が気に入ってくれると嬉しいのですが。
色々と捏造した設定がありますので、読む際は注意願います