陰の実力者…?   作:ponpon3

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 陰の実力者になりたくて! 本編の第17.75話です。

 閑話となります。

 本作品では、アルファたちの出会いや年齢などがズレ、みんなの性格や嗜好も変わりました。アレクシアとの関係も…

 気に入らない方は、そっ閉じ願います。


 ──これはそんな「if」の物語──


陰の実力者…? 第17.75話「シェリーとミリア」

 

 

「シェリー。今月分のお手紙を受け取りに来ましたよ。元気にしてますか? 困っていること無いですか?」

 

「い、いつもありがとうございます。ギリシアお姉ちゃん。こ、これがアシナーガさんへのお手紙です。よろしくお願いします。」

 

「はい、受け取りました。これが私の仕事ですからね。」

 

「そ、そんなぁ、ミツゴシの設立した、アシナーガ基金や、アテーナ救済会の会長さんの秘書さんになったんですよね。」

 

「はい。でも私の場合、ミツゴシ商会のルーナ会長と縁があったので、お仕事を紹介されただけですよ。それに、私がアシナーガ基金の第一号でしたから。」

 

「で、でも、毎月こうやって、アシナーガさんへの手紙を受け取りに来てくれて、それに、同じアテーナ会のお姉さんや妹とも会わせてくれます。お、同じ境遇の姉妹が居て、毎月会えるなんて普通の学術学園の下宿生よりも恵まれているんですよ。」

 

「いえいえ、これが世界に羽ばたくミツゴシ商会の(ちから)です。」

 

 ─まぁシャドウガーデンの(ちから)です、とは言えないし。ホント『陰の叡智』から基金と救済会を作ってくれたガンマ様々よね─

 

「それに、いつも言っていますけど、これはミツゴシの未来への投資です。ミツゴシは将来の優秀な人材候補を育てて、不遇だったり不幸だった 少年 少女はミツゴシの援助を受け少しでも前に進む。双方が幸せになれる優しい制度です。アテーナ会12号シェリーさん。今では36号まで妹がいるんですよ。」

 

「…あ、あの時、ママ(ルクレイア)を殺人事件で亡くして、ひ、引き取ってくれたクズ(ルスラン・バーネット)が、実はその殺人犯でカルト教団員で、その教団に殺されて……、も、もう大人の(ひと)は誰も信じられない、って引き取られたアテーナ会で独り頑かたくなになっていたわたしに寄り添ってくれた──アテーナ会第0号のギリシアお姉ちゃんて、わ、私の理想のお姉ちゃんなんですから。」

 

「その言葉を聞くと、嬉しいというか、恥ずかしいというか…」

 

 ─修行に傾倒していた時期に頼まれてやったことで、裏の事情を知ってるので罪悪感が─

 

 ─しかも、ルスラン教授が元ラウンズで、その裏事情とかを知ってるからさ─

 

「それに今日はミリアちゃ…お姉ちゃんとも会えました。」

 

「ミリアも新人研修が終わって、これからは、ミツゴシ本店──ミドガル王都店に勤務することになったそうですから、いつでも会えますよ。」

 

「そう言ってました。」

 

 何ていい笑顔、プライスレス

 

 ─もう止めて、私の罪悪感をこれ以上刺激しないで!─

 

 ─悪魔憑きが全員闘えるわけではないし、闘える年でも無いし、戦えない娘の為の制度だから、仕方ないって知ってるけど、シェリー(第12号)ミリア(第24号)は私に刺さりすぎるのよ!─

 

 ─そう、この二人は経緯が経緯だから─

 

 

 シェリーの前ではあるが、当時のできごとが私の脳裏をよぎっていった。

 

 

 

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 シェリーと出会ったのは、私が実年齢9歳の頃のことだった。当時は、ガーデンが拡大し始めた頃で、七陰(みんな)はとても忙しかった。

 

 当時150人近い悪魔憑きを教団から奪還・救助・解呪していたが、全員が闘えるわけではない。ぶっちゃけ13歳未満の女の子を闘いに向かわせることは私や七陰たちにはできなかった。

 

 えっ、私? 外見年齢17歳、じゃ無い、14歳──七陰の強い意向でアルファたちと同年齢になった──だったし、セーフよ、ね(圧)。

 

 でも、私がアテーナ救済会の第0号『ギリシア』として、妹たち*1の世話を頼まれるのは、当時の状況を考えると至極当然のことだった。

 

 だってレミー率80%を超えていた当時は、修行か極稀にシャドウ様(救助活動)しか、して無かったのよ。当時の私って……

 

 でも、ガンマがいい仕事をしてくれました。外見年齢14歳の正体不明の私に、身分、仕事、ガーデンへの貢献のトリプルCの案件を与えてくれたの。もうガンマの方には足を向けて眠れないわ。──2週に1回以上は一緒に風呂入って一緒に寝てる、って。そ、その通りだけど…

 

 しかたないじゃない。いっつも一緒にお風呂入っているし、一緒に寝てるし。七陰が必要なことだっていうし、アルファたちと一緒に寝ると暖かくていい匂いがしてぐっすり眠れるし…

 

 

 はっ

 

 

 ふぅ~っ、とにかく、アテーナ会のお姉ちゃんとして……、妹たちにできたことは…大半は修行を付けることだった。哀しいね。

 

 だって、妹たちの方がしっかりしてたもん。当時は元悪魔憑きしか居なかったし、みんな絶望を知っている娘ばっかりだったから、感謝の気持ちに復讐心マシマシだったし、仲間意識もとても強かったし。

 

 当時最前線に立っていた──シャドウであることは秘匿されていたがバレバレであった──私のことを尊敬というか崇拝してるっていうか……。(うらや)ましくないの? て聞いたら、すぐに追い付く、って修行するような娘ばっかりだったのよ。

 

 でも、私をお姉ちゃんとして慕ってくれる妹たちを──悪魔憑きから助けた(・・・)娘たちを見捨てることは、私の目指すもの*2的にもできなかった。

 

 後に、当時霧の龍を殺しつくせなかったこともあって、修行に傾倒し過ぎていて、色々と削ぎ落し始めそうになっていて、自己中心(サイコパス)的に、かつアライメントが『混沌・悪』方向に傾きつつあった私の眼を、他に向けるために考え出した、と聞いたときには泣きそうになったわ。

 

 

 そんな時に、王都にミツゴシ本社もできて、王都での教団の調査が進み、そんな教団のフェンリル派からの情報に、元ラウンズがこれまた胸糞悪いこと実行中であることが判明した。

 

 

 最終的に、教団の内部抗争に偽装して元ラウンズの野望を砕いた。

 

 …そして、隠されていた真実は明らかとなった。

 

 これは、魔剣士学園の現役教師─それも副学長が起こした一大スキャンダルとなって紙面を賑わせた。

 

 さらに、カルト教団としてディアボロス教団の名前が表に晒されるきっかけにもなった。

 

 

 …そして、母殺しを目の前で見せられて失語症になっていて、その母殺しでカルト教団の手先に育てられていたシェリーをミツゴシ商会のルーナ会長──ガンマがどうにかこうにかして引き取ってくれたのだけど……。

 

 

 そんなシェリーに、私は寄り添うことしかできなかった。

 

 

 もう大人の(ひと)は誰も信じられない、そう無言で示していた。それもあってガーデンで引き取れたことは良かったのだろう。それに、外見年齢設定14歳の私は、10歳のシェリーにとって色々とギリギリでOKだったようだ。

 

 喋れないシェリーに、教団の犠牲者の一人だと知った妹たちと、ただ寄り添っていた、みんなそうだったから。

 

 一緒に起きて、一緒に食べて、一緒に本を読んだり日向ぼっこをしたり、…修行もつけてたけど。そして、みんなで一緒にお風呂に入って、一緒に寝る──もちろんシャドウしている(七陰と一緒にいる)ことの方が多かったけどさ。

 

 でも、(うなさ)れることが減り、笑うようになって、一年くらいたって少しずつ喋れるようになっていった。

 

 そして、そんな妹たちとの交流と、七陰の努力が、私の心を癒してくれたのかもしれない、だって私のアライメントは『中立・善』に戻っていたから。

 

 七陰と妹たちには感謝しかない。

 

 

 

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 ミリアの件は、ある意味ややこしくて、簡単なことだった。

 

 彼女は、王都の地下施設でフェンリル派の研究者にディアボロス細胞の実験体として生かされていた。それも、珍しい()の悪魔憑きだから、そして、父親であるオルバへの人質として。比較的マシな状態──殺されてだけはいない状態で。

 

 当然発見したガーデンは、ミリア──と一緒に実験されていたレナを密かに奪還・救出し、解呪しようとしたのだが、それまでの過酷な人体実験の影響かアルファたちでは解呪できず、シド──シャドウが対応することになった。

 

 過剰摂取させられたディアボロス細胞の影響で、半ば異形と化していたミリアとレナを解呪することは、当時実年齢13歳で解呪に馴れていたシャドウをして、死なない(・・・・)ように気を付けながら、氣を供給しつつ魔力を制御することは一週間強ほどかかるモノだった。

 

 そして、二人の解呪に成功したのを見計らったかのように、オルバがクレアの誘拐を(くわだ)てて実行したのだった。

 

 あれは、教団(ゼノン)によるオルバの口封じを兼ねた、どうでもいい作戦だった、と判断されている。実際、あの後、クレア(お姉ちゃん)もシドも教団に狙われることも、情報が流れることも無かったのだから。

 

 実際、クレア(お姉ちゃん)は悪魔憑きの症状になったことは表面上無い。症状にでる前の段階で気付いて一緒に寝ているときに解呪していたのだから……レミーが。

 

 クレア(お姉ちゃん)が9歳の頃のことで、レミーが、ぼくがやる!と譲らなかったのよ。結局、レミーによる初めてで唯一の解呪となったのだけれど。

 

 そんなこんなで、どちらかがズレていれば二人にとって第三の選択肢が取れたのではないか…と考えさせられる件だったわ。

 

 さらに、ミリアは、解呪できたものの、魔力回路の損傷がひどかったこともあって、闘うのは無理との診断と、本人の希望により、準構成員(サブ・メンバーズ)としてアテーナ会の第24号としたのだけれど…

 

 ちょうど、元気になってきて、お姉ちゃん振りたかったシェリー(14歳)に妹として認定されてしまいました。

 

 2歳年上の妹って……

 

 でも、結果的に組み合わせが良かった(悪かった)。相性が合いすぎた。

 

 片や、母親を殺しておいて義理の父として引き取るクズに、もう片方は娘を人質(人体実験有り)に騙し取られ、それでも娘の為に拉致・監禁・殺人まで手を染めた男、どちらも教団の被害者であること以上に共感するものが合ったのだろう。

 

 いや、もちろんギリシアとして面倒はみたけどさ。どちらもかわいい妹だよ。ギリシアの身の上(せってい)も私の両親が教団の被害者であり加害者だったことになっていたし。誰が考えたのか、大変良く練られた設定で、一時は私も素で話しそうになったくらいだ。

 

 そして、なんとその設定年齢でミドガル学術学園に通ったのだ。…まぁさすがに授業にはそこまで出れずレポートと追試で補ったのだけど。

 

 でも、アーティファクトって思ったよりもおもしろかった。ある意味『前世』に存在しなかったから、一から勉強する必要があった。あれって()まるというか……

 

 

 はっ

 

 

 とにかく、そういうわけで、この二人はとても私には刺さった。ましてや私はこの二人の裏事情を知っているだけに。

 

 でも、ミリアと会ってからシェリーは明るく笑うようになった。未だにミリアは妹でお姉さん?らしい。

 

 ミリアも今年ミツゴシ商会に就職した。氣の修行は続けているが、このまま行けば闘うことは無いだろう。私も「ギリシア」としてはミツゴシに就職してイータと研究を、そしてアシナーガ基金の担当にもなって2年経った。もちろんシェリーも担当のひとりだ。

 

 そんなシェリーはアシナーガ基金を使ってミドガル学術学園に通うことにして、今年2年生になった。お姉ちゃんの後輩になって嬉しいと言われている。 …胸が痛いよぅ。

 

 そして、母を死に追いやったアーティファクトの研究よりも、ミツゴシ商会のイータ・ロイド・ライト先生の作る、生活を便利にする魔道具や科学の研究の方が性に合ってる、とのことだった。

 

 

 

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 その後も、近況を聞いてからシェリーと別れた。

 

 なお、その中で、下級生の魔剣士学園の『女』生徒に相談されて、悩みを聞いてあげたんです。お姉ちゃんできました! と得意そうに話すのを聞いて、頭痛が痛い、になってしまったのは内緒だ。

 

 もちろん、その後で『女の娘』でもナンパしてくる人がいるので注意するように伝えたよ。

 

 …そうかぁ…シェリーの中で、アレ*3は「お姉ちゃんできた」ってなっていたんだ…

 

 

 はっ

 

 

 シェリーにあって、昔を思い出していたけど、ディアボロス教団と暗闘を始めてから、かれこれ8年目、最初のころの妹たちの中でも、成長して闘い始めた娘たちもいれば、準構成員(サブ・メンバーズ)となって『ミツゴシ商会』や『まぐろなるど』などでガーデンの運営を助けてくれている娘たちもいる。

 

 

 そんな妹たちを守っていくためにも、早くディアボロス教団を全滅させなければ……そう思う。

 

 

 今回の聖地での闘いで、『ディアボロスの左腕』を解呪し、ラウンズ第11席も撃破できた。これまでに、第8席と、第10席を2回(1回はゼータ(・・・)と共同で)撃破してきている。

 

 近年はガーデンの活動により『ディアボロスの雫』や「赤い錠剤」の精製量も少なくなってきているようで、ラウンズを補充した、という情報は今のところ流れてきていない。

 

 第12席は、どうやら常時空席のようで、ラウンズ昇格を目指す幹部たちへの「餌」として空席にしているのでないか、というのがガーデンの見解だ。

 

 そう考えると、残りは第1~7席の上位ラウンズと、第9席のモードレッドの8人。所詮下位ラウンズを倒して、ラウンズの1/3を倒した程度でしかない。

 

 これが現在の状況だ。

 

 そして、第9席のモードレッドがオリアナ王国で暗躍している。その先兵としてドエム・ケツハットがオリアナ王国国王と共に、ミドガル王都に来賓する。

 

 ブシン祭を見物にくる、との名目だが、ミドガル王国との同盟関係の強化を目論んでいた傀儡になる前の国王の意思とはうらはらに、ドエムが傀儡となったオリアナ国王を使ってミドガル国王の暗殺を目論んでいるのではないか、と。

 

 それに、オリアナ国王が傀儡となる前に「契約の指輪」をローズ王女に継承していたようで、強引にローズ王女との婚姻を進めようとしている。

 

 ……とオリアナ国王本人から聞いている。

 

 いやね、どうもドエムの扱いが雑だったようで、このままでは夏のブシン祭まで待っていては体が持たない、とゼータの報告にあったので、七陰で討議した結果、後々のことを考えて秘密裏に洗脳解除薬を投与し、体を癒し、栄養補給等を行っている。なので、現在は傀儡の“ふり”をしてもらっている状況だ。

 

 …いやね、国王本人が乗り気でさぁ。ドエムも国王の前でペラペラ機密情報を喋りまくるし、レイナ王妃とも不倫しまくる、とかで、一周廻って自棄になって楽しんでいるようだ。洗脳薬の味が甘かったとか、匂いが甘ったるいとか、知らんがな。

 

 それに、ローズ会長に……『悪魔憑き』の症状が出始めているらしい。

 

 というのも、学園に設置していた「悪魔憑き感知レーダー」に微小な反応があったのだが、そのときローズ会長が“独り”で離れていたので特定できた、ということらしい。

 

 今回の聖地の一件で、『悪魔憑き』は、実は英雄の子孫の証だ、と判明したといえ…

 

 

 これも近日中に決断しなくてはならない一件だ。というかガーデンとしては助けないとかありえないわけで…

 

 なによりも、ことがこうなってしまっては、アレクシアに秘密にしておくことができない……というか心情的にしたくない。

 

 

 決断しなくてはならない。…胃が痛いよぅ。

 

 

 

 

*1
─悪魔憑きから解呪したが闘えない娘や13歳未満の娘たち─

*2
─シドの現世での目標①核に勝つ②悪魔憑きを助ける③私なりの陰の実力者になる─七陰列伝 第0.5話参照─

*3
─シドのときにしたナンパ─





 陰の実力者になりたくて! 本編の第17.75話です。

 閑話となりました。

 基本カゲマス準拠です…がいろいろオリ展開ありです。

 本作品では、アルファたちの出会いや年齢などがズレ、みんなの性格や嗜好も変わりました。アレクシアも…性癖全開です。

 というわけで、学園襲撃編はショートカットとなりました。

 本作のガーデン的に、ルスランの凶行を事前に知ったら、そら対処するよね、となりました。

 今回は、ラウンズの設定等いろいろと本作での捏造です。

 とうとうストックが切れてしまいました。なんとほぼ一ヶ月間毎日投稿できました!


 この設定が気に入ってくれると嬉しいのですが。

 他にも色々と捏造した設定がありますので、読む際は注意願います。
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