というか、影野ミノルが転生時ダイスロールに失敗して、自我を持ち越せなかったら?
影野ミノルの記憶──ではなく感情付きの記録しか残せなかったら?
影野ミノルが、前世にとんでも武術を習っていたら?
そして、アルファたちの出会いや年齢がズレていたら?
……当然、みんなの性格や嗜好も変わるよね?
──これはそんな「if」の物語──
そんなわけで廃村に到着した。深夜だというのに灯りがついており、どうやら商隊の襲撃に成功して宴会をしているようだ。
うん、とても運がいい。なんと見張りすら置いてない。
私はその宴会に突っ込んだ。不意打ちはしない、多少は訓練になるからね。
「盗賊死すべし、慈悲は無い!」
私は宴会の中心で叫んだ。
「な、なんだぁ、この
そう、実は
Y染色体?が無いからなのかわからないけど、変身できるのは
一度だけ強引にやったことがあるけど、魔力や肉体が大大大暴走して汚い花火のように弾けそうになっちゃってさ、慌てて中止したのよ。なんか
で、私をアマ呼ばわりした失礼な男を鉄山靠で吹き飛ばすと、ようやく盗賊たちも武器を手に取った。
「おい、あんま舐めてっと女だからって容赦しなぁ……!」
「えいっっ!」 <ヒュン>
御託を並べる男の首を“沙羅断緬”を放って斬り飛ばす。もちろん武器は腰に付けたメタルスライム製の
魔力の――氣も――伝導率脅威の99%、私の魔力と氣により強化されたコレなら、前世の戦車の正面装甲だって数台分重ねても同時に断ち切れることだろう。我が刃に断てぬもの無し!!ってね。
不要な時にはスライム状に戻して収納できるし、必要なときに生成すればいい優れものよ。
しかもこのメタルスライム装備には便利機能がある。
便利機能その一、伸びる。
「ふんんん!!!」
<ヒュン・ヒュン・ヒュン>
私はメタルスライムブレードを伸ばして周囲の盗賊を一掃する。
ムチのようにしなやかに伸び、しかし切れ味は刀そのもので申し分ないできね。
その後は内家戴天流剣術の技の確認ね。
“驟雨雹風”から“鳳凰吼鳴”さらに“貫光迅雷”へと技を繋げる連環套路で斬り捨てていく。
「やぁっつつつ!!!……って、あれ?」
一心不乱に斬りまくっていたらずいぶんと静かになっていたわ。
あれ、後一人しかいない?
逃げた盗賊は──魔力を
「て、てめぇいったい何者だ……?」
「通りすがりのスタイリッシュ盗賊スレイヤーよ。スーツの便利機能は君で試しましょう。」
「な、何言ってやがる……!?」
「君はこいつらよりは強そうだし、盗賊団のボスでしょう? さっさとおいで。」
「な、舐めてんじゃねぇぞ、このアマッ! 俺はこれでも王都では……!」
「はいはい、無駄口叩かないでさっさとかかってきなさい。」
「ふざけんなあぁぁぁ!」
盗賊団のボスは怒り心頭な形相で突っ込んでくる。私は
そして、その剣が私の胴体を薙ぎ、その衝撃で
「はは、舐めてるからこうなるんだよ。俺は王都ブシン流の免許皆伝……な、何!?」
「ぜんぜん斬れてないわよー、ってね。」
私は何も無かったかのように立ち続けている。
防御機能も大満足、この程度の攻撃ならメタルスライムボディスーツで完全に無力化できた。
衝撃を逃がすためにスライムの一部を飛び散らせてみたけど、普通にスーツの機能で吸収できそうだ。飛び散らせた分を回収して、っと。
「ブシン流って最近王都で流行ってる?見せてほしいかも??」
「くそがっ、見せてやるよ、おらぁおらぁ!!」
敵の攻撃。
うん、超余裕。懸命に剣を振ってるけど、私は刀を構える必要すらない。
ボディワークとかステップワークだけで避けきる。ブシン流だっけ、割とマシな剣術かな。
私は敵の連撃が途切れたところで強引に間合いを外した。
「当たらねぇ、お、俺の剣が……かすりもしねぇ!」
「うちのオトン・オカンより弱いしなぁ。お姉ちゃん(七歳)よりは強いかもだけど………」
「このアマあああぁぁ!」
振りかぶった剣より先に、私は踏み込んできた足を蛇脚で斬り落とした。メタルスライムブレードを爪先から生やして。
メタルスライムブレードの便利機能その二、好きなときに、好きな場所から刃を生やせる。
その中で私が特に可能性を感じた使い方が、爪先から生やした刃で相手を斬る戦法だ。元々下段の攻撃は防御するのが難しい。そこにブレードを生やすのだから……地味だが普通に強い。
「盗賊死すべし、慈悲は無い!ってね。」
私はメタルスライムブレードでとどめを刺した。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
少し離れたところに複数の商人の死体が転がっていた。捕虜はとらなかったようで生き残りはいないようね。
盗賊団の戦利品は馬車数台分あった。とはいえここに残して置くわけにはいかないが、返品しようもない……
「いつものようにやるしかないわね。」
何度か放置していったことがあるのだけれど、通りすがりの人がガメたり、別の盗賊がやってきたり、その地の領主が接収したり、っていいこと無かったの。
なので、いつか還元できるときまで保管するためにメタルスライムに付与した
「仇はとったわ、安心して成仏してちょうだい。」
私は盗賊団の戦利品を順に収納していく。美術品に、食料品、宝石現金貴金属、現金換算で5000万ゼニーぐらいかな。1ゼニーでだいたい1円と同じ位の価値がというところね。
「願わくば……来世では安らかな生を。」
私は物言わぬ商人たちの死体を揃えて整えていく。終わってから目礼しようとして……その視線の先に、あるものを見つけた。
「檻……よね?」
割と太い鉄格子が覆いの隙間から見えた。大きくて頑丈そうね。
「奴隷かしら? でもさっきの魔力探査で引っ掛からなかったのよね……」
死んでるとは思うが、──そういえば変な反応があったわね。
私は念のため檻の覆いを剥ぎ取った。
「これは……予想外だわ。」
中には……腐った大きな肉塊が転がっていた。辛うじて人型だとわかったのだけれども、
しかし、まだ生きていた。いや、意識もあるのかもしれない。檻を覗き込む私に反応したのか、肉塊がピクリと震えたのよ。
そういえば聞いたことがある。『悪魔憑き』と呼ばれ、教会に処刑される化け物のことを。
確か、はじめは普通の人として産まれ、ある日を境に肉体が腐り出す。放っておけばいずれ死ぬが、教会は生きた『悪魔憑き』を買い取り、浄化と称して処刑している、とのこと、と記憶している。
悪魔の浄化、病人を虐殺しているだけだが、それに民衆は喝采し平和が護られたと教会を讃える。まさに中世って感じだ。この肉塊も教会に売られるところだったのでしょう。
せめて楽にしてあげましょう。
私はメタルスライムブレードを抜こうとして……あることに気づいた。
この肉塊、その身に大量の魔力を内包している。……赤ん坊の頃から氣と魔力で身体を魔改造までして鍛え続けている私ほど多くはないけれど。そしてこれは……。
「この魔力の波長に流れ、暴走しているのかしら……?」
この肉塊は魔力暴走が原因でこうなっているのではないかしら? 二年前、私も圧縮し過ぎた魔力が暴走して死にかけたことがある。
もしあのとき
そして、もし仮に、この肉塊が魔力暴走の産物だとすると、魔力と氣の──魔力と肉体の相互作用の神髄に目覚め、魔力制御を極限まで高めた今の
私は檻を切って捨てると、肉塊に手を伸ばし抱きしめていた。
「もう少し頑張って、私が救ってあげるから。」
というわけで、オリ展開?でした。
まぁ、実年齢五歳の時に行った、というのは変身可能な本作品だけでの捏造です、念のため。
そして、なんとかアルファ?が顔を出しました。
アルファ無しで5話までこれました。
なお、次話…私がWeb本文や書籍版で、どうしても好きになれなかった、納得できなかったところが出てきます。
そこが共感できるとうれしいのですが。
なお、捏造した設定もありますので、読む際は注意願います。