陰の実力者…?   作:ponpon3

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 陰の実力者になりたくて! 本編の第20話です。

 ブシン祭編始まりました。いきなりローズ会長の話となりましたが。

 本作品では、アルファたちの出会いや年齢などがズレ、みんなの性格や嗜好も変わりました。アレクシアとの関係も…、おや、ローズ会長も?

 気に入らない方は、そっ閉じ願います。


 ──これはそんな「if」の物語──


陰の実力者…? 第20話「闇に射す月光?」

 

 

 

 ローズは寮の部屋で途方に暮れていた。

 

 私はどうすべきなのだろう。

 

 何が正しくて、何が最善なのだろう。

 

 

 もうすぐブシン祭、学園生選抜枠を三位で得ている。

 

 だから、本戦からの出場となるとはいえ…

 

 

『悪魔憑き』…私たちからの情報が新聞各社から報道されている。

 

 しかし、英雄の子孫の証とはいえ、自力で治す方法は失伝したという。

 

 ディアボロス教団に対抗する組織が持っているかもしれない、と思われるが…

 

 そんな(つて)はない。それに、それを探す時間も…

 

 

 お父様…私は…

 

「ローズ…」

 

 お父様?

 

「ローズ。私の愛しい娘。」

 

「お父様!?」

 

 これはお父様の声で間違いない。

 

「わしの言葉を信じて、学園の大講堂の屋上に向かっておくれ。」

 

 ソファーから立ち上がって、部屋の中を探すが特にあやしい物もない。

 

 扉や窓を開けて周囲を見廻すが、特にあやしい人影もない。

 

 でも、あれは確かにお父様の声だった。

 

 ローズは意を決して、制服に着換え始めた。

 

 

 

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 ローズは呼び出された校舎の屋上にやってきた。

 

 夏休み中だが残っている生徒に大講堂は開放されている。

 

 とはいえ、屋上への扉は施錠されている。

 

 

 …生徒会室に非常用の予備の鍵があることを知っている者なのか?

 

 わたしは予備鍵を取ってきてから大講堂の屋上に向かった。

 

 扉を前にして、もう一度周囲を確認する。

 

 

 …気配は感じない。

 

 

 ノブに手をかけると、鍵は開いていた。

 

 一気に緊張感が高まる。

 

 

 腰に帯剣した細剣に手を掛けながら扉を潜り前に出る。

 

 素早く周囲確認する。人影は無い…が、扉のある場所は視界が悪い。

 

 

 とりあえず扉を閉めようと意識を背後に向けようとした瞬間、扉が閉まる音が響いた。

 

 

 慌てて振り向くとそこには──

 

 湖のような髪の漆黒の人(イプシロン)がいた。

 

 

「スタイリッシュ盗賊スレイヤーさんの仲間の人…」

 

 そう口走ってしまっていた。

 

 

 すると、ちょっとがっくりしたように見えた。

 

 なお、今回はマスクはしていないため、透きとおった湖のような髪に、それより少し深い紫色の瞳をしたエルフだとわかった。

 

 目鼻立ちがくっきりした美人で、スタイルはスレンダーだった。そのスラっとした造形には、誰もが目を奪われることだろう。

 

 

「…なんでそっちで覚えてるのよ…」

 

 しかし、気を取り直したようで、話しかけてきた。

 

 

「初めまして、では無いわね。誘拐されたときと、聖域で会ってるから。」

 

 

 そうだった。今私が一番伝が欲しかった…

 

 

「ディアボロス教団と敵対している組織の…」

 

 

 すると、マントをひるがえして…

 

「我らはシャドウガーデン。陰に潜み、陰を狩る者。」

 

「そして、私はイプシロン。シャドウの手足にして忠実なしもべ、七陰の一人(第五席)。」

 

 そう見栄を切ってきた。

 

 

 シャドウガーデン…それがこの組織の名前。

 

 

「…先日はありがとうございました。私は、ローズ・オリアナ、オリアナ王国の第一王女です。」

 

「丁寧にありがとう。さて、ここに来たと言うことは、オリアナ国王の言葉を信じて来てくれた、ということでいいのね。あまり時間が無いので、付いてきて。」

 

 そう言うと、いきなり青紫色の塊が彼女の足元の床からスライドしてくるように伸びてきて、扉の形になった。

 

 そして、扉を開けると、青い渦の形の模様の入った床の石造りの部屋?らしきところが見えた。

 

 

 これは一体…

 

 

 扉の向こうから、イプシロンさんが手招きしている…

 

「そうね…あなた風に言うなら、スタイリッシュ盗賊スレイヤーさんが待っているわよ。」

 

 それを先に言ってください! 私は躊躇無く扉を潜った。

 

 

 

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 扉を潜った先は、青紫の扉がたくさんある部屋だった。

 

 角にある受け付け?らしきところにいる一団(警備部隊)に一声かけると、別の青紫色の扉を開けて潜った。

 

 

 スタイリッシュ盗賊スレイヤーさんはどこにいるのだろうか…

 

 

 扉をでると、華美に見えるが実はシンプルな居心地の良さそうな部屋にたどり着いた。

 

 そして、革張りの座り心地が良さそうなソファーが四台、ガラス製のローテーブルを囲うように配置してあった。

 

 その左手の上座にシドさんと、それに纏わり付くようにしているアレクシアさんが並んで座っていた。奥のソファーにはナツメ先生が座っていた。

 

 

 えっ!

 

 

 先日、カルテットを形成したばかりで、まだ、なんの活動もしていなかったが、それがディアボロス教団と敵対している組織──シャドウガーデンで揃っているなんて…

 

 

 あれは茶番だったのだろうか? 私だけが蚊帳の外だったのだろうか…

 

 

 思わず立ち止まった私を右手のソファー──シドさんとアレクシアさんの向かいに案内して座らせてくれた。

 

 そのままイプシロンさんはローテーブル上の紅茶セットを使って紅茶を入れてくれた。

 

 ──魔力を流した途端に湯気をだしたポットは魔道具なのだろうか。あんな高性能な物は見たことが無いのだが──

 

 

 各自の前に配膳された紅茶を一口飲んで─

 

 

「美味しいっ!」

 

 

「でしょう、イプシロンの入れてくれる紅茶はスッキリとして美味しいんだよ。」

 

 何故か、シドさんが得意そうです。

 

 

 でも、これで落ち着くことができました。

 

 

 改めて見ると、アレクシアさんはちょっと不機嫌そうです。 

 

 右手のソファーにいるナツメ先生も…ちょっと不機嫌そうですが、なにかメモをしています。

 

 左手のソファーに座ったイプシロンさんは、ニコニコしています。

 

 

 一体何が始まるのでしょう。

 

『悪魔憑き』を発症してから落ち込んでいた気分が、すこし上を向いてきたように思いました。なぜかちょっとだけワクワクしてきました。

 

 

 

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

「さて、ローズ王女も落ち着いたようなので、状況を説明していきます。が、その前に…」

 

 ナツメ先生が話し始めました。

 

 

 そして立ち上がると、服装が漆黒のボディスーツに変形した。

 

 

「ナツメ・カフカとは世を偽る仮の姿、私はベータ。シャドウの手足にして忠実なしもべ、七陰の一人(第二席)。」

 

 お見知りおきください、そういうとソファーに座った。

 

 

 驚いて声が出なかった。そういえば…と左側を見る。

 

 

「もしかして、あなたは、流浪のピアニスト、シロンさんでは…」

 

 眼をパチクリさせたあと、あれも世を忍ぶ仮の姿ってやつよ、と答えてくれた。

 

 

 まさか、新進気鋭の作家と芸術家がシャドウガーデンの一員だったなんて…

 

 では、シドさんとアレクシアさんも… ちょっと期待を込めて見てしまった。

 

 

 アレクシア… わかってるわよ。 ごめんね。ううん、いいの。

 

 …ちょっと半眼になってしまったかもしれません。

 

 

 そして、名残惜しそうに手を離したアレクシアさんの頭をやさしく一撫でした後、シドさんが立ち上がった。

 

 

 シドさんは、一度眼を閉じると変身(・・)した。

 

 漆黒のメタルスライム・スーツにフード付きのロングコート、夜空色の髪と青紫色に輝く瞳の大人の女性がそこに居た。

 

 

 思わず立ち上がっていた。

 

 

「スタイリッシュ盗賊スレイヤーさんっ!」

 

 

 ローテーブルを廻り込んで走り抜けて、その胸に飛び込んでいた。

 

 

 なお、このとき、「プッ!」とベータとイプシロンさんは吹き出していたらしい。

 

 そして、アレクシアさんは、ちょっと、知り合いなの!! と眼を尖らせたいたらしい。

 

 

 でも、そんなことはどうでもよかった。

 

 

「シドさんだったのですね。あの美しい剣の持ち主は。」

 

 知らぬ間に涙が零れ落ちていました。

 

「あの剣を見たそのときから、わたしは剣の道に進むことを決めました。」

 

 スタイリッシュ盗賊スレイヤーさん…

 

「あの後、言われた通り誰にも話したことがありません。わたしだけの秘密にしてきました。」

 

 ギュッと抱きついて顔を隠していました。

 

「あなたはあの頃から、悪と戦い続けてきたのですね。それなのにわたしは…」

 

 わたしは…

 

 

 そんなわたしの頭を、ゆっくりと撫でてくれた…

 

 

「よしよし、頑張ってきたのね。」

 

 

「ちょっとシドっ!」

「はいはい、ちょっとは察してあげなさい。」

「…うぅ……ちょっとだけなんだからねっ!」

 

 

 わたしは感極まって、号泣していました。

 

 

 △▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

「はい、ここに座って。」

 

 そう言って、シドさんの隣──アレクシアさんの反対側の席に座らせてくれました。

 

 

「…ありがとうございます。…シドさん。」

 

 

 はい、ハンカチ。これで涙を拭いて… いやです、拭いてくださ「ちょっと!」い…」

 

 

 そこには、眼を尖らせたアレクシアさんがいました。 ちっ

 

…いま、舌打ちしたわね。それに甘えるのもいい加減になさい! 」

 

 ブンブン、とナツメ先生が激しく同意していました。

 

 …かれこれ十年くらい振りの再会なのですから、大目に見てくれてもいいじゃないですか。

 

「私が拭いてあげるわよ。ほら、顔を出しなさい。」

 

 

 つーん!

 

 

「ローズ先輩……(怒)」

 

 

「アレクシア。怒らないで。ほら…」

 

 そう言って、シドさんはアレクシアさんを抱きしめると、よしよし、と撫で始めた。

 

「…も、もう、こんなことでは誤魔化されないんだからね! でも、もっと撫でて…」

 

 ホイホイ。笑っているアレクシアの方が素敵だよ。 そ、そう? うん!

 

 

 …しっかり誤魔化されているようですが…

 

 アレクシアさんが落ち着いた後、極自然にキス(マウス・トゥ・マウス)を交わすと、わたしの方を向いた。

 

 

 認めたくないものね、若さ故の過ちというものは…そう独り言ちたあと、気を取り直して…

 

 

「我が名はシャドウ。シャドウガーデンの盟主にして、『悪魔憑き』を救う者。陰に潜み、陰を──ディアボロス教団を狩る者よ。」

 

 そう名乗った。

 

 

 

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

「さて、アレクシア王女とローズ王女も落ち着いたようなので、状況を説明していきます。」

 

 ナツメ先生──ベータさんは、眼鏡をキラリと光らせて言った。

 

「先ず、ローズ王女──ローズさんでいいですか? の『悪魔憑き』を解呪します。」

 

 

「やっぱり解呪できるんですね。」

 

 

 はい、と軽く返された。

 

 

「えぇ、そして、人間の『悪魔憑き』は稀ですので、イプシロンかシャドウ様が実施すること「シドさんで」に…」

 

 

「一応、この姿の時は、シャドウでお願いします、ローズ会…ローズさん。」

 

「ローズと呼びすてにしてもらってもいいですよ?」

 

「…いえ、ローズさんで。…だから、抓らないで、アレクシア。

 

 

 むぅ〜っ。

 

 

「…解呪する代わりに、誓約魔術レベルⅡを受け入れてもらいます。」

 

 

「誓約魔術…ですか?」

 

 

 うん、ガーデンのオリジナルの魔術だよ、とシドさんが答えてくれました。

 

関係者以外(・・・・・)へのシャドウガーデンの情報の伝達の禁止を誓約してもらいます。」

 

 

 一枚の誓約書を滑らせてきました。

 

 

「私とローズさんの魂魄の一部を用いた契約魔術。誓約した内容に違反することは、魂の一部が許さなくなる。そういう魔術なんだ。」

 

 誓約書を一瞥する。

 

「基本的に誓約した内容を遵守している限りペナルティはありません。」

 

 

 本当に、情報の伝達を禁止する、としか書かれていませんでした。

 

 

「ただ、魂魄の一部を使うから、誓約を破ろうとすると…エライことになっちゃうの。」

 

 ごめんね、と謝ってくるシャドウさんだった。

 

「いえ、これが必要なことはわかります。」

 

 何といっても、本来不治の『悪魔憑き』が解呪できるのだ。

 

 

「後は…」

 

 

 そう言ってシャドウさんを見るベータさんがいた。つられてシャドウを見てしまう。

 

 シャドウさんは微苦笑を浮かべている。

 

 

「先に解呪しましょうね。」

 

 

 アレクシア… うん。いい娘いい娘。えへへっ。

 

 …アレクシアさん…

 

 

 じゃあ、こっちに来て、と言って手を引かれて、最初に座ったソファーの中央に座らされた。

 

 隣りに座ったシャドウさんが、わたしの両手を取った。

 

 

 ふぅ~~っ、と息をすると、青紫色の魔力光*1がシャドウさんの身体から(あふ)れてきた。

 

 

「今から、私の氣と魔力をあなたに流すけど抵抗しないでね。」

 

 

 膨大な魔力が、緻密に制御された状態で両手から流れ込んで来る。それに暖かいナニカも流れ込んで来ているのがわかりました。

 

 

 これがシャドウさんの至っている境地…

 

 

「イプシロン、観てる?」

 

「はい、シャドウ様。これが『悪魔憑き』の初期症状の魔力波長に魔力波形、そして、人間の魔力回路…」

 

 

 わたしを観るイプシロンさんの眼は、文字通り薄い青紫色に光っていました。

 

 そして、その力は、乱れ始めていたわたしの魔力を鎮め、整えていく。どこか重くなり、自由に操りにくくなり始めていた魔力が、軽やかに自在に動き出す。

 

『悪魔憑き』の証であったどす黒いあざも、瞬く間に消えていく。

 

 

 すごい……

 

 

 ローズは心からそう思った。

 

 

「これで終了。どう、魔力を自在に制御できる?」

 

「はいっ…、かつてないほどの魔力が、身体の内で渦巻いているのがわかります。…ありがとうございます。」

 

 

 けれども、シャドウさんは、明後日の方向を見ながらこう言った。

 

「実は、ローズさんについては、これから()大問題なんだ。」

 

 

 

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 スタスタと席に戻るシャドウさんの後を慌てて付いていって、先ほどと同じようにアレクシアさんの反対側の席に座った。

 

 

 ベータさんの呆れたような視線も、アレクシアさんの鋭い視線もポイです。

 

 

 幼い時に出合った憧れの人に、もう人生お先真っ暗と思っていた窮地で再会して、その窮地からその人の持つ特別な力で助けられる──

 

 ──これって、運命の出合いと再会ですよね。物語だと、助けられたヒロインは、助けてくれたヒロインと(むす)ば…「ちょっと、ローズ先輩!」…れて…」

 

 

 ??

 

 

「さっきから、妄想が口から(こぼ)れています。」

 

「…失礼しました。将来について想いを馳せておりました。」

 

「そんな将来は来ませんっ!」

 

 

 ちっ!

 

 

「また、舌打ちしたぁ!」

 

 よしよしアレクシア。シドォ…、

 

 

 ギリッ ✕2

 

 

「…さて、アレクシアさんとローズさんも落ち着いてください。ローズさんの──オリアナ王国の状況を説明していきます。」

 

 

 ようやくローズの眼が鋭くなった。

 

 

「ディアボロス教団のナイツ・オブ・ラウンズ第9席 モードレッドの尖兵であるオリアナ王国現宰相、ドエム・ケツハット伯爵が、洗脳薬で傀儡にした…と思い込んでいるオリアナ国王と一緒に、このミドガル王都に向かっています。」

 

 

「…!? ディアボロス教団の魔の手がオリアナ王国まで伸びていたなんて……それに、お父様を洗脳薬で傀儡にしたって!」

 

 

「違います。傀儡にしたと思い込んでいるだけです。」

 

 

「…洗脳されてはいないのですね。」

 

 

 はい、現在は。とあっさりと答えてくれた。

 

 

「正確に言うと、この春頃から国王陛下に洗脳薬を投与を開始していました。もちろん主犯はドエム一派ですが…」

 

 そこでベータさんは、一旦口を閉じて、わたしの眼を見た。

 

 

 わたしは覚悟を決めて頷いた。

 

 

「…国王陛下も食事や飲み物を変えるなど手を打っていたのですが…ドエムと不倫関係にあり共犯者となった、レイナ王妃により逃れることができませんでした。」

 

 

 一瞬何を言っているのかわからなかった。

 

 

 …いや、わかりたくなかった、というのが本当だろう。

 

 お母様が不倫……その相手がドエム……それも宰相になっていたなんて……

 

 

 …嘘であってほしかった。が、わたしに嘘を言っているとも思えなかった。

 

 

「続けます、レイナ王妃により盛られた洗脳薬により、国王は傀儡状態になりました。」

 

 

「そんな……」

 

 

「それでも夏ごろまでは身体は持つと思われたので、ミドガル王国に来賓として来たときに、洗脳解除薬を投与して対応する予定だったのです。」

 

 ベータさんにピシャリと言われてしまった。続けて、それとも…

 

「私たちに国王の誘拐でもしろ、といいますか?」

 

 

「うぅっ、それは…、」

 

 

「しかし、ドエムらによる国王の扱いが、あまりに雑だったようで、このままでは夏のブシン祭まで待っていては身体が持たない、と判断しました。」

 

 

 おのれっ、ドエムめっ!!」

 

 

 いえ、レイナ王妃も含めてです、とサラリと補足された。

 

 

「おのれっ、ドエムにお母様めっ!!」

 

 

「そこで、七陰で討議した結果、後々のことを考えて、ガーデンが秘密裏に洗脳解除薬を投与し、体を癒し、栄養補給等を行っている状況です。」

 

 再び眼鏡が、キラリと輝いた。

 

「なので、現在は傀儡の“ふり”をしてもらっている状況です。」

 

 

 ここまではいいですか? と聞いてくる。

 

 

 正直もうお腹いっぱいなのですが…

 

 

「続けます。ブシン祭を見物にくる、との名目で、ミドガル王国との同盟関係の強化を目論んでいた傀儡になる前の国王の意思とはうらはらに、ドエムが傀儡となったオリアナ国王を使ってミドガル国王、ないしは要人の暗殺を目論んでいるのではないか、と予想しています。」

 

 

「なっ!」「なによっ、それっ!」

 

 

「さらに、オリアナ国王が傀儡となる前に『継承の指輪』をローズ王女に継承していたので、強引にローズ王女との婚姻を進めようとしています。」

 

 

 ──鳥肌が立った。

 

 

 そして、思わずシャドウさんに縋りついていた。

 

 

 気持ち悪い……

 

 お母様との不倫…… それに加えて、わたしまで……

 

 

 あまりのおぞましさに、全身がカタカタと震えていた。

 

 視界が歪み、世界が揺れているかのようだった。

 

 

「いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ…

 

 

 オリアナ王国第一王女として、いつかは政略結婚するとは思っていた。

 

 だからとはいえ、これは…

 

 

あぁぁぁんまりだぁぁあぁっっっ!!!!

 

 

 心も身体も冷え切ってしまった。

 

 意識が遠のいていく。

 

 

 よしよし、もう大丈夫だよ。

 

 冷えきったわたしの心と身体を暖かいものが包んでくれた。

 

 

 シャドウの手が、身体をギュッと抱きしめてくれていた。

 

 シャドウの身体からでるナニカが、私の(存在)を抱き締めてくれているかのようだった。

 

 

 あぁ、私は…

 

 

好きっ!、大好きっ!! ドエム(オトコ)はいやっ!!!

 

 

 心から叫んでいた。

 

「くっ、シドを止めれない……」

 

「おやおや、いいんですかぁ?」

 

「だって、私もその気持ちがわかるもん。あのとき抱きしめてくれて嬉しかったもん。」

 

「…意外とやさいいところあるじゃない。」

 

 

*1
─本当は氣と魔力です─





 陰の実力者になりたくて! 本編の第20話です。

 ブシン祭編始まりました。いきなりローズ会長の話となりましたが。

 基本カゲマス準拠です…が、オリ展開です(開き直りっ)。

 本作品では、アルファたちの出会いや年齢などがズレ、みんなの性格や嗜好も変わりました。アレクシアも…おや、ローズ会長も? 性癖全開です。

 とうとう、原作メインヒロイン?がエントリーしてきました。

 とはいえ、そこまで追い込まれていません。なので、母親のことも嫌悪感が先にきました。もちろん本作での捏造です。


 この設定が気に入ってくれると嬉しいのですが。

 他にも色々と捏造した設定がありますので、読む際は注意願います。
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