陰の実力者になりたくて! 本編の第29話です。
ブシン祭編です。
本戦二回戦のお話ですが、なんというか筆が滑りました。
本日は2話投稿します。良かったら続きも見てください。
本作品では、アルファたちの出会いや年齢などがズレ、みんなの性格や嗜好も変わりました。アレクシアとローズとの関係も…
気に入らない方は、そっ閉じ願います。
──これはそんな「if」の物語──
その後は、普通に例年通り進んでいった……第2、第3試合は。
第4試合で登場したクレア・カゲノーについては、対戦相手選手がいささかなさけない試合になってしまった。
一回戦の闘いをみてビビってしまったのか、下がって距離をとり始めたのだ。
ぶっちゃけて悪い言い方でいうと、逃げているのだ。
それを悟って、位置取りとフェイントを巧みに使って、相手を競技場の端に追い詰めていったクレア。
上手く壁際まで追い詰めたところで、さらにそこでクレアの本気のフェイントを発動させた。
反射的に下がろうとして、後ろ向きに全力ダッシュした結果、
背中と後頭部を強く打ち付けた相手選手は戦闘不能になり、クレア・カゲノーの勝利となってしまった。
おそらく、相手選手は、クレアのフェイントで、実際に斬られたように感じていたのだろう。
クレアが、氣を込めて、視線と重心の移動、そして剣に掛けている手を抜く素振りを見せる度に、飛びすさっては、身体の一部を手で擦って無事を確かめているように見えたのだから。
まぁ、実のとこは相手に聞いてみないとわからない。
しかし、結果的に剣を一度も振ること無く倒してしまう、という、ブシン祭史上前代未聞のとんでもない試合となってしまった。
それも、よりによって、ミドガル国王とオリアナ国王の御観覧する試合でだ。
この対戦は、ブシン祭の歴史に名前を刻むことになるだろう、悪い方の意味で。
まぁ、別の意味でも前代未聞のブシン祭となってしまうのだが……
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
かくして、午前最後の試合は、盛り上がりに欠けるものとなった。
しかし、クレアのフェイントから、その見えない一撃を察することのできるレベルの達人は、顔色を失っていた。
そして残念なことに、アイリスは察することができる方の人間だった。
「昨日より速くなっている…」
さらに厄介なことは、フェイントと同じことを実際にできてしまうことだろう。
つまり、飛びすさらなければ、昨日と同じように猛烈な速さで一瞬で飛び込んで本当に斬り飛ばしてしまえる、ということだ。
とんでもなく理不尽な選択を押し付けていたのだ。
下がって斬られないようにするか、
「カウンターできる速さでは…ないですね。」
しかし、ここで武神から追加情報がもたらされた。
「いや、この場合、カウンターを狙おうとすると、
「へっ?」
頬を掻きながらベアトリクスは続けた。
「気付いていないわけではないかもしれないが、あれは
アイリスは冷や汗が止まらなくなってきた。
「つまり、本命は別なんだ。だから、フェイントに対応できたと思ったら…別方向からバッサリ喰らうんだ…」
何というか、痛みを堪えるような声だった。
つまり、ベアトリクス様は喰らったのだろう。
姉妹だけに似たようなことができるんだなぁ…と明後日の方を向きながら呟いている。
「ちょっと待ってください。じゃあ本命って…」
「フェイントに反応できる人への対策だから、
二人してしばし無言になってしまった。
「敵じゃなくて良かったです。」
そうポツリとアイリスは呟いた。
いや、本当に。
もしも、ゼノンの言うことを信じてアレクシア誘拐容疑をかけていたら…
もしも、アレクシアとお付き合いするのを強硬に反対していたら…
もしも、紅の騎士団にアレクシアの意見を聞かないで誘わなかったら…
その場合、敵には廻らなくとも、味方になってくれたかどうか…
アレクシアの恋心に感謝をするべきなのだろうか?
「私も、勝負を吹っ掛ける前に気付ければ良かったんだけどね。」
しみじみと述懐するベアトリクスだった。
あのときは頭に血が上っていたからなぁ。
それにあの娘にも嫌われてしまっちゃったし…
そして…
「クククッ、なかなか面白いことになっているじゃないか。」
闘技場内の某所で、白銀の髪の色をした絶世の美少年は楽しそうに呟いていた。
「カゲノー家の伝承から発掘したというが、あんな剣術は古代
あぁ、なんか楽しくなってきた、そう言う少年の瞳は赤く染まっていった。
さらに…
………アルファより通達! コード・レッド発動。繰り返す、コード・レッド発動。…ガーデンに栄光あれ!
密かに、動き出した。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
午前の部が終わり、午後の部が始まるまでの長い休憩時間となった。
会場の群衆は、鮮烈過ぎた第1試合と、消化不良となった第4試合のことで持ち切りとなっていた。
おまえには、あの娘っ子の動きが見えたか?
いや長年見に来ているが、あんな速いのは見たことがないぜ!
あいつ…ツギーデのやつ、生きてるのか?
死んではいないぜ。担架で運ばれるときピクピクしていたからな。
なぁ、実はあの一瞬で近付いてぶっ飛ばして戻った、とかじゃねえのか?
いや、あれは自爆だよ。運ばれるときに見えたけど体の前面はキレイなもんだったぜ。
なぁフェイントだけで勝っちまったけど、この場合賭けはどうなるんだ?
そうだなぁ、俺もクレア様の一撃に賭けていたからな、ゼロ撃なんか賭けの対象にあるわけないからなぁ。
わいわいがやがや
そんな中、クレアは指示通り、さっさと貴賓席に戻って来た。
「お疲れ様です、クレア
アレクシアは労いの言葉をかけた。
「ありがとう、アレクシア。まさか、一振りもしないで勝てるなんて思わなかったわ。」
いつの間にか、アレクシア呼びになってる〜。
そう思いながらも、シドは、はい、といって預かっていたクレア愛用の剣を渡した。
それを受け取ってさっさと帯剣する。
どうもクレアの想像以上にヤバイ状況のようだ。
はい、といって、小さいコップを渡してくるので、受け取って唇を湿らせた。
アレクシアは不思議そうな顔をしている。
「シド? 昼ご飯は?」
「コトが終わるまでは抜きで。」
シドとクレアの雰囲気に異常を感じたアレクシアが反応しそうになるのをシドが抱き寄せて止める。
ローズも、軽く水分補給をすると…
「どっちにいた方がいいですか?」
とシドに聞いた。
「そうね…オリアナ国王に挨拶する振りをして、近付いていた方がいいわよ。」
では、ご武運を、そう言ってローズはさっさと動き出した。
「アレクシアは、ここにいて。」
「でも、姉様やお父様が…」
シドはアレクシアの頭を撫でながっら言った。
「あっちは護衛に武神様を呼んでいるので大丈夫よ。」
ちょっと間を空けてから続けた。
「どうも、刺激が強すぎたみたい。シャレにならないやつが出てきそうなの。」
それに…
「身内が相手っていうのはキツイわよ?」
アレクシアの頭が、その可能性をはじきだした。
「そんな…」
「お願い、アレクシア。ここで待っていて。クレアお姉さまとニーナ先輩にここに居てもらうから。」
ねっ? と微笑んだ。
「…アレクシア様とクレア様の護衛?」
………ゼータにも来てもらったから大丈夫。
………もうレミーと一緒に来ているよ。
………
メタルスライム通信で伝わって来た。
「…では、ガーデンに栄光を。」
「ええ、ガーデンに栄光あれ。」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
アイリスは、行くよ、とベアトリクスに誘われてお父様のところに近付いているところだった。
「あの…急になんですか? ベアトリクス様」
ベアトリクスは、ちょっと戸惑った後、あぁ、と納得したような顔をした。
「実戦経験が不足しているのか…」
!?
アイリスの口は、武神の手で抑えられた。
「正真正銘の命のやり取りの時間よ。」
「フフフフフフ、アハハハハハ、アーッハッハッハッハッ!」
突然、白銀の髪をしたお伽話から抜け出してきたかのような美少年が、貴賓席の背後にある壁に空いた穴──王族の非常時の脱出用の秘密の隠し通路から貴賓席に現れた。
「フハハハハッ、ディアボロス教団に歯向かうものには、死を与えよう。」
アルファは、貴賓室の様子を中継していたテレビ?をヴァイオレットさんに見せた。
「あれは…たしか昔この地方で恐れられていたミドガルの悪鬼。」
「…つまり、ヴァイオレットさんの生きていた時代から今まで生きている、ということは…」
「えぇ、あれがラウンズ第五席 フェンリル ということになるわ。」
そして、貴賓席では…
「王太子殿下…」
時期国王として指名されている王太子が、フェンリルの後ろの隠し扉から現れた。
「…し、しかたがないんだ。」
そして、その周りに付き従う騎士団員がいた。──もちろん身分証明用のエンブレムを着けてはいない。
「…第三騎士団の連中がいるぞ。国境警備でここにはいないはずだ。」
グレンたち、紅の騎士団が王を守るために立ちはだかった。
ミドガル王国国王クラウスは一瞬だけ哀れな者を見る眼になったが、それを振り切るように声を発した。
「勅命である。ディアボロス教団に
「なっ! ち、父上……、かくなる上は、教団の作戦通りに…」
「わしを殺して、ミドガル王国を乗っ取る、というのか?」
「し、しかたがないんだ。逆らえば殺されてしまう…」
「愚かな…
「お、お兄様…」
アイリスの声が虚しく響いた。
「フハハハハッ。ディアボロス教団に歯向かう者には死を与えよう。俺はフェンリル、ディアボロス教団のナイツ・オブ・ラウンズ第五席。チルドレン1st、2nd、3rdども、地獄を作れ!!」
黒地に赤い模様の入ったローブを身に纏った十数人のチルドレン1stがフェンリルの背後から現れた。
貴賓席の正規の扉を蹴り開けて、数十人のチルドレン2nd、無数のチルドレン3rdが雪崩れ込んで入ってきた。
さらに、闘技場内の各所に、黒地に赤い模様の入ったローブを身に纏った集団が現れていた。
「いやぁぁぁーーーっっ!」「きゃーーーっ!」「た、助けてぇーっ!!」
貴賓席に座っている人々が、会場の人々が悲鳴を上げる。
そして、貴賓席に招待されていたミドガル王都の聖教の司教が、我に返って立ち上がり叫んだ。
「ミドガル王国の騎士よ。ディアボロス教団を名乗る異端者に女神ベアートリクスの神罰の代行者として制裁をくだせ! これは聖教による聖戦であると宣言するっ!!」
司教による聖戦宣言が飛び出した。
これで、どちらか全滅するまで終わらないことになった。
「フフフフフフ、アハハハハハ、アーッハッハッハッハッ!」
ラウンズ第五席 フェンリルの笑いが会場に響いていた。
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そして、メインスタンドの正面の一角で…
………というわけで、準備はいいわね?
………準備完了しています。アルファ様。
………では、度肝を抜いてやりましょう。ディアボロス教団の終わりの始まりよ。
気殺できる隊員による光学迷彩・盗聴防止結界付きでの奇襲よ。防げるものなら防いでみなさい。
陰の実力者になりたくて! 本編の第29話です。
ブシン祭編です。
本戦二回戦のお話ですが、なんというか筆が滑りました。
本日は2話投稿します。良かったら続きも見てください。
基本カゲマス準拠です…が、オリ展開です(開き直りっ)。
本作品では、アルファたちの出会いや年齢などがズレ、みんなの性格や嗜好も変わりました。アレクシアにローズ、クレアも… 性癖全開です。
ブシン祭の本戦の試合数とか人数や日程等については本作での捏造です。
魔神は降臨しませんでしたが、オオカミがやってきてしまいました。
おかしい、プロットでは無かったのに…
あと、最大の捏造ポイントもあります。多分オリキャラ?がでてしまいました。
この設定が気に入ってくれると嬉しいのですが。
他にも色々と捏造した設定がありますので、読む際は注意願います。