陰の実力者…?   作:ponpon3

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 陰の実力者になりたくて! 本編の第31話です。

 本編も2ndシーズンに突入しました。

 無法都市編の話となります。


 本作品では、アルファたちの出会いや年齢などがズレ、みんなの性格や嗜好も変わりました。アレクシアとローズ、クレアとの関係も…

 気に入らない方は、そっ閉じ願います。


 ──これはそんな「if」の物語──


陰の実力者…? 2nd シーズン
陰の実力者…? 第31話「伝説の赤き月」上


 

 

 その日、私──シャドウは、ミツゴシ本店にある陰の間で、七陰から報告を受けていた。

 

 珍しく、出席可能な記号持ち(ナンバーズ)に、一般隊員(メンバーズ)も跪いて聞いている。

 

 

 玉座に座る(シャドウ)の右にアルファが控えていた。

 

「先日のブシン祭の一件以来、ミドガル王国のディアボロス教団に目立った動きはありません。」

 

 七陰は先頭に並んで立っており、向かって右端のベータの報告する艶やか声が響いてた。

 

「中小の派閥は元より、壊滅したフェンリル派が足を引っ張っており、混乱で身動きが取れないようです。」

 

「何と言っても聖教に異端認定されていますし、全ては主様の計画通り。」

 

 右から二番目に立つガンマが、眼を閉じながら追従した。

 

「…眠いのです。」

 

 デルタはいつも通りだ。…これでもよく持っている方だ。

 

「はぁ~っ、これで我らは、後ろ()を気にせず、オリアナ王国での教団の排除に戦力を集中できます。」

 

 デルタに横目にしながらイプシロンが涼やかに応えた。

 

「……ただ主、気になる情報も。」

 

 そう言ってゼータがチラリと視線をイータに向けた。

 

 イータは少しめんどそうな顔をしながら頷くと告げた。

 

「……最近、無法都市への資金の流入が……加速している。」

 

 

(きん)……ね。」

 

 

 アルファが、その言葉に反応して青紫色*1の瞳を一瞬、私に向けたのがわかった。

 

 私は心の中で、そっと溜息を付いていた。

 

 …アレで意外と前世の“ボク”は金が好きだったからね。

 

『陰の実力者として、相応しい格好を付けるために必要だ』と考えていたようだけど。

 

 ここミツゴシ本店の『陰の間』なんて、“ボク”にとっては最高の舞台になったのだろうなぁ…。

 

 

 

「あの区域はどの国家にも属さず、世界的な悪と富と力が集約する巨大なスラム…」

 

 ベータが追加で報告を続けた。

 

「一度緊張状態が発生すれば、表社会への影響も測り知れません。」

 

 ガンマがキリッとした眼で告げた。

 

「計画の遂行に全力を尽くしたい我らとしては遺憾ですが、増員を派遣し一気に…」

 

 

それは…(にお)うわねぇ…

 

 

 ガンマの言葉を遮って告げた。

 

 ただ、眼を瞑って前世の記録に浸っていたので、その言葉の与えた衝撃(インパクト)に気付かなかった。

 

 

 冷静沈着なアルファが眼を見開き慄き、清楚を自称するベータガンマイプシロンがメタルスライムスーツやアンダーウエアの匂いを嗅いでおり、デルタゼータは自慢の尻尾の匂いを嗅いで確認していたことに。

 

 

 なお、イータは『陰の叡智』から再現した『制汗スプレー?』を自分に吹き付けていたらしい。なにそれ欲しいっ!

 

 

無法都市……血の臭いがするわよ。嵐が来るわよ……血の嵐ね。

 

 

 さらに、オメガがカイに指示して、換気のために開けた天窓から、雲が切れて月が現れたことにも。

 

「月が…」

 

「いつもより…」

 

「……赤い……」

 

 ベータ、ガンマ、イータが赤い、少し欠けた満月を見ながら呟いていた。

 

「あれでは…まるで、伝説の…」

 

 イプシロンから思わず漏れ落ちた言葉…

 

 

「そう、例の司書長が今わの際に伝えてきた通り赤き月

 

 

 壊滅させたフェンリル派のアジトでヴァイオレットさんの右腕を捜索していたときに、無法都市でグールの──つまりヴァンパイアの動きが活性化してきている旨の情報を告げられたのだ、司書長から。

 

 そして本当に千年前の赤き月と同じということになれば…

 

 1000年前の惨劇…、だとしたら無法都市は…、いえ、このままだと周辺国家にも壊滅的な被害が…

 

 ざわめきだしたナンバーズやメンバーズ。

 

 

静まりなさい。

 

 

 アルファがその身体(からだ)を月光に赤く染めながら厳かに告げた。

 

 その一言で瞬く間に平静を取り戻すガーデンのメンバーたち。

 

 

 アルファは周囲を睥睨しながら続けて言った。

 

「あれが赤き月の前ぶれだというなら、悠長に監視だけでとめていることはできない。我ら七陰の総力を…」

 

 

いや。

 

 

 ここで、私は眼を開けながら宣言した。

 

(きん)のこと…もとい、この件のことは任せてもらうわ。」

 

「まさかお一人で向かうおつもりですか?」

 

 ベータが疑問を挺する。

 

「いや、さすがに一人ではやらないけどね……不服?」

 

「それが最も確実であることは理解できます。しかし…」

 

「御身にもしものことがあったら、我々は…」

 

 

案ずるな。

 

 

 私は、右の手の平に青紫色の氣と魔力を凝集させて、それを握りつぶした。

 

 ── I Need More Power ──

 

『陰の間』に青紫色の氣と魔力の残滓が広がっていく。

 

 なんか疲れてそうだから、癒しの力を混ぜておいたけど…

 

「所詮、月が赤いだけの話、そうよね?」

 

 

「ふっ──ただ月が赤いだけ……伝説の赤き月も、あなたの前では形無しね。」

 

 アルファが困ったように首を傾げて言った。

 

「あら、でも赤い月も美しいとは思わない…?」

 

「主様がいるからこそ、我らも美しく感じることができるのです。」

 

 ガンマが跪いて告げた。

 

「ご武運をお祈りします。」

 

「全ては主の御心のまま。」

 

「龍の涙のことでも……調べて待ってる。」

 

 イプシロンとゼータ、イータも跪いて言った。

 

「最初は普通の月と殆ど変わらない、少しだけ赤みがかった月でしかなかった。だからそれが、血の女王の復活の前兆であるのは、誰も気づかなかった。ただ1人、シャドウ様を除いて!」

 

 あ~あ、ベータは、いつものが始まっちゃったよ。一応跪いているけど。

 

 なお、デルタは立ったまま寝ていた。

 

 最後にアルファも跪いた。

 

 あぁ、本当に月がちょっと赤っぽいだけ、だったらよかったのにね…

 

 

 

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 無法都市とは一言で言えば巨大なスラムだ。

 

 路上生活者がたむろし、掘っ建て小屋が軒を連ねる掃き溜め。

 

 しかし、それが無法都市の全てではない。

 

 なぜなら三本の塔がそびえ立ち、三人の支配者が君臨しているからだ。

 

 王も、騎士も、魔物も、誰も手出しができない。

 

 世界中から悪と、富と、力が集う弱肉強食の世界。

 

 ここでは力こそ法なのだ。

 

 

 そんな中を二人は進んでいた。

 

 中心部に進むにつれて、荒れ果てたスラムから、多分かが融合した雑多な都市へと印象を変えた。

 

 変化は建物だけではなかった。

 

 道を歩く住人もただの路上生活者ではなく、獲物を狙うギラついた目をしていた。

 

 二人は目的地に到着した。

 

 

「こいつが──」

 

「ああ、無法都市に君臨する三人の支配者の一人、血の女王の居る『(あか)の塔』だ。」

 

「吸血鬼どもの根城か……」

 

 二人は気を引き締めて進んだ。

 

 ゴルドーとクイントン。

 

 対照的な風貌の二人だが、会話をしていく内に打ち解けていった。

 

 それは、どちらもブシン祭で本戦に出場を果たすも、共に学園選抜選手に一回戦負けした*2、という共通点があったからかもしれないが、とにかく二人はブシン祭後から仲良く行動を共にしてきた。

 

 ──共に武器・防具を破壊されたので、買い替える必要があった、というのもあったのかもしれない。

 

 

 二人は『紅の塔』の前で立ち止まって、振り返った。

 

「見ろよ、スラムの死体漁りすら、こっちには踏み込まねえ。近づいたら最後、醜いグールにされちまうっ、ってな…」

 

「おぅ、怖気付いたか?」

 

「バカ言うな! 所詮は引きこもりどもの巣窟(そうくつ)、この常勝金…」

 

「へへ、へへへッ。」

 

 背後から聞こえてきた不気味な笑い声がゴルドーの会話を断ち切った。

 

 警戒する二人。

 

 

「お前たちに、この門をくぐる資格はない……」

 

 いつから居たのか、『紅の塔』の門の上に目を赤く光らせた白髪の男が座って話しかけきた。

 

「その資格があるのは、血の女王の下僕か、客人か、強者だけだ……」

 

 

 クイントンとゴルドーは顔を見合わせて笑った。

 

「フフッ…なるほど確かに、俺らは下僕でも客人でもねぇ。」

 

「ハハハ…俺たちは血の女王を狩る強者だからな!」

 

 大見得を切ったゴルドーに対して、帰って来たのは嘲笑だった。

 

 

「へへへへッ、へへへへヘヘヘヘッ……!」

 

 

「何がおかしい?」

 

 クイントンが苛立たし気に聞いた。

 

 

「俺は自分を愚者だと思っているが、自分以上の愚者を見るのは、いつだって面白い!!」

 

 

 そう言いながら、白髪の男は被っている布を脱ぎその体が露わになった。

 

 彼の首には頑丈な首輪が付いており、体の右肩から先が無かった。

 

 よく見ると、足にも重そうな足輪と鎖が繋がっていた。

 

 

「これが血の女王に挑もうとした愚者の末路、利き腕を落とされ、今はブザマに飼われる『番犬』だ~!」

 

 

「ハッ、俺たちはテメェのような雑魚とは違うんだよ。」

 

「冥途の土産に教えてやるよ! 俺のバトルパワーは4317.5だ!」

 

 クイントンとゴルドーが大剣を構えた。

 

 

「へへ、へへへッ。俺もかつては『白い悪魔』と呼ばれたことがあった……!」

 

 

「はぁっ?」

 

 ゴルドーは知らなかったようだが、知っていたクイントンの顔色が変わった。

 

「白い悪魔っ……! 手配付きの大物賞金首かっ!」

 

 

「だが俺も、ここでは只の(・・)番犬!」

 

 

 左手で、横に置いていた武器を取った。

 

 

「お前らみたいな身の程知らずのバカどもを切り刻むのが唯一の楽しみだぁ!!」

 

 

 左手が上がると、折り畳まれていた武器が、片刃の剣の柄が繋がったツインブレードに変形する。

 

 

「ヒャッハッハー!!」

 

 

 足輪に繋がった鎖を引きずりながら、門の上から飛び掛かってきた。

 

 

「来るぞ!」

 

「おおっ!」

 

 

「ヘハハッハッハー!!」

 

 

「「うおおおおおぉぉぉぉぉ!!!!」」

 

 ゴルドーとクイントンの友情が勝利すると信じてっ!!

 

 ──そして鮮血が飛び散った。

 

 

 

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 シド──レミーは無法都市の中を行く馬車の()で揺られながら、キョロキョロと通りを見ていた。

 

 うんうん、これよこれー。無法都市、思った通り世界の掃き溜めって感じよねー。

 

 

 ………ちょっと、レミー。あまりキョロキョロしないの。

 

 隣の座席に瀟洒に座っているクレアお姉さまから、メタルスライム通信で注意されてしまった。

 

 ………変な奴に目を付けられたり、絡まれたりしたら面倒なことになるでしょ。

 

 ………へーい。

 

 

 席に深く座りなおすと、馬車の窓の上の方から塔が見えた。

 

 ………なんか『(あか)の塔』っていうのに赤くないのはなんで―?

 

「ねえ、クレアお姉さま?」

 

「何?」

 

「あの塔に行くんじゃないの?」

 

「シド、アナタねぇ……。いきなり敵の本拠地に乗り込んでどうするつもりなのよ。」

 

 ちょっと呆れた声で続けた。

 

「先ずは、宿をとって、それから魔剣士協会に行って作戦会議よ。」

 

「魔剣士協会……実家では見たことないよね?」

 

「ウチには騎士団があるでしょ。」

 

 クレアお姉さまの左手が私を抱き寄せて……そのまま前に廻って制服の間から胸に触れてきた。

 

 顔もぼくの耳に近づけて囁いてくる。

 

「魔剣士協会は公的機関に属さない魔剣士達のために結成された民間組織で、その役割は国や領主がカバーしきれない──」

 

 ………昨日ベッド(・・・)であんなに説明したのに聞いていなかったのね。お仕置きよ。

 

 ………アレは聞かせる気なかったよねっ…お姉ちゃん手の動きを止めて…見られちゃうよぅ…

 

 ………ダ・メッ ─耳に息をふ~~~っ─

 

「ひゃん!」

 

「う~ん…? あの…シドさん?」

 

 馬車の向かいの席に座っている魔剣士の娘が、目を覚ましたようだ。

 

「な、なんでもないです、なんでもないですよぉ…」

 

 ………もう、お姉ちゃんのこと………… 大好き

 

 ………あら、私も大好きよ、うふふん。

 

「でも、それとこれは別よね?」

 

「うー、お姉ちゃん…」

 

 お姉ちゃんに胸を(まさぐ)られながら、ぼく(レミー)は、つい先日のことを思い出していた。

 

 

 

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 ブシン祭は(シド)が優勝した。

 

 

 決勝戦は… 確か、ガンマお姉さま(・・・・)にローズは“ちょっとやっちゃってください”って指導(・・)されたので……飛距離2倍を目標にしてたのよね。

 

 そのローズが氣と魔力を合一させて、青紫色の帯の入った白金色を纏って、猛烈な速さで積極的に攻撃してきて、それを全部捌いてみせて…

 

 私は一瞬だけ氣と魔力を合一させて身体()に纏って、ローズを吹き飛ばしたの。

 

 でも、うまく脱力して勢いに合わせられたので、狙っていたより10メートル手前に落ちたのよね、失敗、失敗。

 

 それにちゃんと足から着地して、前のめりに倒れたのだから根性あるわ。…まぁ気絶してしまったけれども。

 

 

「そ、そこまでっっっ、ローズ・オリアナ、戦闘不能っっ。よって勝者は、シド・カゲノー!!!」

 

 

 救護班! 担架を急いで… 足から落ちてるから大丈夫よっ… 

 

 こうして、ローズが準優勝で、クレアお姉さまが第三位になった。

 

 魔剣士学園の生徒が三位まで独占したとして、優勝してからはしばらくは忙しかった……

 

 …それに、できるだけアレクシアを巻き込んだ。もう全力で!

 

 挨拶やらパーティーやらで、もう完全にセレブ生活だったけど、秋休みの前には落ち着いて学園にも復帰した。

 

 そんなわけで、どうにかこうにかブシン祭が終わると、王都は日常に戻った。

 

 まぁ『王太子の乱』*3にラウンズ第五席(フェンリル)の襲撃によるゴタゴタで一部は慌ただしかったけれども。

 

 紅の騎士団の団長であるアイリス王女も、王位継承権を廻ってすったもんだあったようだ。

 

 それに、宰相ドエム・ケツハットがディアボロス教団の幹部(第十二席候補)だったオリアナ王国は、ドエム派の貴族に聖教から『異端認定』が下され、国王派がディアボロス教団の影響を排除すべく巻き返しをはかっている……ガーデン──表向きはミツゴシ商会が協力しながら。

 

 ローズもアレクシアも、王位継承権を放棄したりと色々あったけど、学園はいつも通り?だった。

 

 まぁそんなもんよね。

 

 あの事件は、王位承争いだとか、痴情のもつれだとか、ボロクソに言っている人もいるけれど……ことがことだけに真相が明らかになることはない……多分。

 

 世界は常に動いていて、人々も何かを思いながら生きている。

 

 当たり前だが現実は舞台と違い、台本通りには動かないのだ。

 

 これからも柔軟な思考を大切に、どんな状況にも対応できるように修行していこう。

 

 

 そして、ようやく暇になった私たちは、四人で祝勝会をすることにした。

 

 

 ガンマのコネを使って、ミツゴシ商会のレストランの個室で高級ディナーと洒落込んでいたわけだけど……

 

「まさか、シドにこんなコネがあるなんて思わなかったわ。お城のパーティーでもこんな料理出てこなかったのに…」

 

 薄紫色のイブニングドレスを着て、白いシニョンで髪をサイドテールにしたクレアお姉さまが、赤ワインを口にしながら呟いた。

 

「実はミツゴシ商会の会長って私の配下になるの。ね、ガンマ?」

 

 ガンマが挨拶に来たので、彼女たちに紹介しておいた。

 

「はい、主様のお義姉様(・・・・)。それに、ローズ様、アレクシア様。ミツゴシ商会の会長、ルーナでございます。」

 

 ちょっとクレアお姉さまを呼ぶときに力が入っていたような…

 

「本日はシド様(主様)が皆さんのために主催された祝勝会とのこと、ミツゴシ商会の総力を持っておもてなし致しますので、存分にお楽しみください。」

 

 今後とも宜しくお願い致しますね、そう言ってガンマは退室していった。

 

「一応これも秘匿事項だからねー? 今は関係者しかいないから誓約魔術に問題ないけどー。」

 

 ついでにレミーも顔を出していた。

 

 それも、まんま(シド)と同じ格好(ドレス姿)で。

 

「そう、冗談……じゃないのよね。それにシド(だ、大好きお姉ちゃん)レミー(大大大好きお姉ちゃん)が揃っているのは初めて見るわ。」

 

 ─そう、今日はシドが二人分愉しめるのね─

 

 ぞくっ✕2

 

「──あれっ? なんか背筋を寒気が…」

 

「えっ、シドもー? 珍しいねー。ぼくもだよー。」

 

「そういえばそうですね。こうやって並んでいるとレミーがシドの分身だってよくわかります。」

 

 ローズが(シド)ぼく(レミー)を見比べながら言った。

 

 レミーは、今日はレミーっぽさを出さずに、分身らしく(シドっぽく)振る舞っているようだ。

 

 そんな気分なんだろう。

 

「…ふん、どうせわたしは気付きませんでしたよ。」

 

 アレクシアが拗ねていた、盛大に。

 

 もしかして酔ってる?

 

「うふふん。もっと精進なさい、アレクシア。あなたも気付けるようになるわ。」

 

「はい、クレア義姉様(おねえさま)。…心配しなくても酔ってないわよ。」

 

 そんな感じで、私たち四人+レミーで食事を楽しんだ。

 

 

 

 で終われば良かったんだけど…

 

 

 

「そうそう、シド、秋休みは開けておきなさい。」

 

 はて? 何するつもりなのかな。

 

「吸血鬼を退治しに無法都市へ行くわよ。」

 

 へっ?

 

 

 

 △▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

「で、無法都市に行くことにしたのは、有象無象のややこしい事情があったのよ。」

 

 その日の深夜、クレアお姉さまの部屋のベットの中でレミーも入れて三人で話を聞いていた。

 

 クレアお姉さまを真ん中に川の字になってだ。

 

 なお、レミーにはクレアお姉さまの部屋のシャドウゲートを経由して来てもらった、クレアお姉さまの強い要望で。

 

 ─うふふん、両手にシドだわ─

 

「一応、私たちは卒業したら『紅の騎士団』に入ることになっているでしょう?」

 

 思わずレミーと顔を見合わせてしまった。 

 

「学生だから、ということで予備役にしてもらっているだけで、すでに参画しているわけだし…」

 

「そうだよねー。でも、シドはアレクシアの専属になるんじゃなかったっけー?」

 

 いや、まぁそれはそうだけど… ちょっと照れるわね。

 

「それに将来的には、カゲノー家はクレアお姉さまが継ぐんでしょう?」

 

「ええ。このブシン祭で、優勝と第三位と実績を積んだわけだけれども…」

 

 私たちを両手で抱きよせた。

 

 ─先ずは、逃がさないようにしないとね。じゅるり─

 

「…それでも難癖を付けてくる人はいて、“実戦ではどうか?”って言って来てるの。」

 

「はぁ、なんでそうなるのかなぁー?」

 

 レミーが無茶苦茶怒っている。

 

「だよね。ブシン祭の準決勝進出者(セミファイナリスト)に実戦がどうこうって…」

 

 ひと廻りして、前回の優勝者であるアイリス王女を非難していることになるのではないかな?

 

「ただの難癖だよー。そんな奴らの言うことなんて、ほっときゃいいんじゃんー。」

 

「まぁその通りなのだけれど、運好く……運悪くかしら、始祖の吸血鬼『血の女王』の討伐が始まるの。」

 

「それに何の関係があるのさー?」

 

「それが、近頃『血の女王』の配下が無法都市の外に出て事件を起こしているのよ。」

 

「ふ~~ん。」

 

 レミー覚えてないわね。そういう報告を七陰から聞いているはずなのに…

 

「それを重く見た周辺国は魔剣士協会に『血の女王』討伐を依頼したの。」

 

「って、もしかしてー…?」

 

 そういえば、確かオトンの家系の初代様の姉の名前がエリザベートで始祖の吸血鬼…だったわね。

 

「そう、一流の魔剣士を集めた討伐チームが形成されるの。そこで実力を見せてこい、というわけ。」

 

「えー。そんなのどうでも良いじゃんー。」

 

 もしかして、『血の女王』って、父方のご先祖様の姉ってこと?

 

「どうでも良くない、良くないのよ。だから…」

 

 そう言いながら、クレアお姉さまの私を抱き締める右手が下の方にズレて…

 

「へっ、お姉ちゃん?」

 

「あらあら、慌てるとお姉ちゃん呼びに戻るのね。」

 

 ………わー!わー!!わー!!! って、ちょっとレミー? なんで私の手を捕るの??

 

 ………大大大好きお姉ちゃんが、今日は両手にシド(3ピー)を愉しむって…

 

「お姉ちゃん、ちょ、ちょっと待って…「はむっ」…む~~~っ!」

 

 ………せめて覚悟を決める時間くらいちょうだい…

 

 かくして、二人まとめてクレアお姉さまに美味しく頂かれるのであった。

 

 

 

*1
─本作での仕様です─

*2
─本編 第26話「踊る人形?」上 参照─

*3
─ということになった(本編 第30.5話 参照)─






 陰の実力者…? 本編の第31話です。

 GWパワーでなんとか書けましたので、できたところまで更新します。

 本編も2ndシーズンに突入しました。

 無法都市編の始まりの話となります。

 基本カゲマス準拠です…が、オリ展開です(開き直りっ)。

 カゲマスでのネタバレが酷くて、オリキャラ・オリ展開にしかなりませんでした。


 本作品では、アルファたちの出会いや年齢などがズレ、みんなの性格や嗜好も変わりました。アレクシアにローズ、クレアも… 性癖全開です。


 この設定が気に入ってくれると嬉しいのですが。

 他にも色々と捏造した設定がありますので、読む際は注意願います。

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