デリシャスパーティ♡プリキュアVS暴太郎戦隊ドンブラザーズ   作:テンカイザー

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すみません、まだ出会わせられませんでした……()


Chapter3 助けてゆい…マイラ王女との再会!

 

 

 

 

 

「マイラ王女…………って誰?」

 

 マスターから依頼内容を言われたドンブラザーズだが、はるかは護衛対象であるマイラ王女について何も知らなかった。

 するとマスターはどこからともなく一枚の写真を取り出し、それをはるかに投げ渡した。

 はるかはなんとかそれをキャッチし、写真を見てみる。その裏で、雉野と猿原も覗きこむ。すると写真に写っていたのは、中学生くらいに見えるにっこりと微笑んだ可愛らしい少女であった。

 

「イースキ島の王女、国民からは『微笑みの王女』として慕われている」

 

 マスターははるかたちにマイラ王女を説明する。

 写真に写っている彼女の微笑みは、確かにどこか人を惹きつけるような魅力がある。微笑みの王女と呼ばれるのも納得だ。

 

「ほお、微笑みの王女か。随分と持て囃されたものだな」

 

 マスターの説明を聞くやいなや、タロウは相変わらずのどこか横暴な態度でマイラを評した。

 仮にも王族相手に随分と偉そうな態度を取っているが、これがタロウの平常運転だ。もっとも、タロウもタロウでドン王家の生き残りであるため、同じ王族として分け隔てなく本心で接しようとしてるのだろう。

 最も、側から見れば不敬極まりないのだが……

 

「それで、何故その王女を守る必要がある?」

 

 タロウがマスターに問う。

 これまで何度も困った人には手を差し伸べてきたものの、相手は曲がりなりにも王女。守ってくれる人はいくらでもいるはずだ。

 それが何故わざわざ自分たちが指名されてまで守らねばならないのか、疑問を感じていた。

 

「とある伝手からの情報でね、近頃マイラ王女の元に謎の脅迫状が届いたらしい。それから程なくしてマイラ王女は怪物に襲われた、恐らくヒトツ鬼だろう。幸い王女は無事で済んだものの、王女の側近は怪我を負ってしまったらしい。そうして恐怖に駆られたマイラ王女は、使用人と共においしーなタウンへ逃げたそうだ」

 

(いやアンタどんな伝手持ってんだい!)

 

 心の中ではるかがツッコむ。

 このマスターは出会った当初から現在まで全てが謎の存在だ。

 普段は喫茶店のマスターを務めながら、ある時はトゥルーヒーロー・フォーエバーヒーローとして慕われ、ある時は秘密の戦士ゼンカイザーブラックとしてドンブラザーズをサポートし、ある時はリアルサンタと旧知の仲であったり、とにかく何から何まで謎でしかないのだ。

 そんな彼が、今度は一国の王族とも繋がりを見せてきたのだ。ますます正体が掴めなくなる彼にはるかは頭を抱えるしか無かった。答えを聞こうにも、いつも決まって肝心なことははぐらかされるため尚のことたちが悪い。

 

「いやでも僕たちはただの一般人で、僕に関してはただの平凡なサラリーマンですよ?そんなのが王女様の護衛だなんてなんか恐れ多いというか……」

「何を言う雉野?私たちも王女にまで名を馳せられる程にまでなったということ、実に光栄ではないか」

 

 卑屈なことを言う雉野に対し、猿原はどこか誇らし気に言う。

 普段は風流人を気取って知的な様子を見せる猿原だが、今は自分が大層な依頼を受けたのが余程嬉しいのかどこか浮かれた様子であった。

 

「良いだろう、その王女が困っていると言うなら助けになってやる。俺は全ての人に幸せを運ぶのが役目だからな」

 

 タロウは相変わらずの大きい態度で今回の依頼を受諾した。

 相手が誰であろうとも困っている人は助ける、そうして結ばれた縁はいつしか大きな奇跡となり、世に幸せをもたらす。それがタロウの信条だ。

 それに今回の件にヒトツ鬼が絡んでいるのであればそれは自分たちの領分だ、やらない訳にはいかない。

 

 一方で、はるかの方も内心とてもウキウキしていた。

 

(悪に狙われ恐怖に怯える姫を救うため颯爽と現れるヒーロー、正に王道〜!)

 

 マスターに依頼された内容は、まさに彼女が今求めていたヒーローの王道展開そのもの。これを機に今行き詰まってる漫画の原稿を完成させようと密かに目論むはるかであった。

 

 

 

 

 

△△△△△△△△△

 

 

 

 

 

 突然マイラ王女と鉢合わせたゆいたちは、近くのベンチに座り彼女から話を聞こうとしていた。

 ちなみに彼女と共にいた女性は、彼女の使用人で『ムギン・アウラ』であった。

 

「申し訳ないでございます、ワタクシのせいでみなさまの楽しいお時間に水を刺してしまったようで」

「そんな気にしないで、あたしたちマイラ王女にまた会えてとっても嬉しいよ!」

「だが、そのように変装までして来たということはただ事ではないのでしょう?」

 

 あまねは何かを察したように言う。今のマイラ王女たちは以前来た時とは違い、彼女を知っている者からすれば明らかに自身の身分を隠すかのような目立たない格好をしている。ただ会いにくるだけならこのような格好をする必要はない。となれば、わざわざ身を隠してまで会いに来なければならない事情があったということになる。

 

「はい……。実は、ワタクシはゆいたちに助けていただきたくて会いに来たのでございます」

「助ける?」

 

 どこか深刻そうな顔でマイラ王女は話し出す。

 

「数日前、ワタクシの元にあるお手紙が届いたのでございます」

「手紙?」

「はい、ですがその手紙の内容が…………っ」

「マイラ王女!?」

 

 手紙の話をし出した途端、マイラ王女は突然何かに怯えるかのように両手で顔を覆い言葉を止めてしまう。

 それを見て、すぐさまムギンは彼女を宥めるべく背中に手を回す。

 

「だ、大丈夫!?」

「すみません、あのお手紙に書かれていることを思い出したら、とても……」

「王女さま、無理に話さないで下さい」

「ですが……」

 

 どうやら彼女が激しく怯える理由は手紙の内容にあるようだ。彼女をここまで怯えさせるなど、一体どのようなことが書かれていたのであろうか。

 

「ここからは王女さまに変わり、私がお話しいたしましょう。端的に言えば、その手紙は()()()だったのであります」

『脅迫状!?』

 

 ムギンの言葉を聞き、ゆいたちは一斉に驚いた声をあげる。

 

「何が書いてあったかは王女さまのお手前故お話しすることは出来ませんが、とても恐ろしい内容でした」

「酷い、一体誰がそんなことを?」

 

 ムギンの話を聞き、ゆいたちは王女を怖がらせた者に憤りを感じる。彼女は非常に国民思いの優しい王女であり、そのために日々公務に励んでいる立派な人だ。そんな彼女にこんな怖い思いをさせるなど許せるはずがない。

 

「そのことですが、実は……」

「大丈夫でございます、ムギン」

「しかし、王女さま」

「いつまでも怯えてばかりではいけないでございます、ゆいたちにはちゃんと話さなくては」

 

 犯人について何やら言い淀むムギンだったが、なんとか立ち直ったマイラ王女が彼女に変わり話そうとする。

 

「実は、……とても信じられないかもしれないのですが、脅迫状が届いた次の日ワタクシは()()()()()()()のでございますっ」

『か、怪物!?』

 

 マイラ王女の言葉にまたしても驚くゆいたち。それもそうであろう、彼女の話はそれほどに恐ろしいものだったのだから。

 

「ワタクシが公務を行なってる最中に、突然恐ろしい怪物が現れて暴れ出したのでございます。そのせいで、ゲンマさんが怪我をしてしまって……」

 

 再び顔を伏せてしまうマイラ王女。ゲンマとは、彼女が幼い頃から側で仕えてきた側近のことだ。自身の身近にいた人が怪物に襲われ怪我を負ったとなれば、悲しくなるのも無理はないだろう。

 

「あの怪物はとても我々の手には負えない存在でした。しかし、私たちはなんとしても王女さまをお守りしなければなりません。そんな時––––––「

「ワタクシが言ったのでございます、ゆいたちであればワタクシを助けてくださるのではないかと」

 

 マイラ王女はゆいたちに会いに来た理由を話した。一年前、ゆいはマイラ王女と間違われ誘拐されてしまったことがあった。だが、ゆいは予想だにしない力を発揮し自力で誘拐犯たちを撃退してしまったのだ。そのことから、ゆいはマイラ王女の知る限りで一番強い人間として認知されていた。だからこそ、ゆいであれば自身を助けてくれるのではと思いこうして会いに来たのだ。

 

「当初は私たちも、いくら王女さまのご友人とは言え一国の一般市民にマイラ王女を任せる訳にはいかないと思いました。しかし、このままでいても王女さまを怯えさせてしまうだけ。それならば、少しでも王女さまを安心させなければと思った次第でして……」

 

 どうやらムギンたち使用人もゆいたちを訪ねるのは渋々了承したようだ。

 一方で、マリちゃんたちはマイラ王女が話した怪物について密かに疑念を抱いていた。

 

「ねぇマリッペ、怪物ってもしかしてブンドル団のことかな?」

「そんなまさか、ブンドル団は一年前にあなたたちが壊滅させてからメンバーは全員クッキングダムの収容所にいるし、もう誰もウバウゾーを生み出せないはずよ」

「それじゃあ、怪物って一体……」

 

 怪物と聞いてブンドル団の存在を疑ったらんたちだが、マリちゃんはそれを否定する。となれば、今回現れた怪物とは一体何なのか。

 

「わかった、マイラ王女はあたしたちが守ってあげる!」

 

 他の面々が怪物について考えてる一方で、ゆいはマイラ王女の頼みをあっさり受諾した。

 

「ですが、本当によろしいのでございますか?頼って来てなんですが、一年前のことも含めてゆいにはまた大変な思いをさせるかもしれないのに」

 

 ゆいは一年前自身と間違われたせいで誘拐されてしまった。幸いゆいはなんとも無かったものの、自身のせいで彼女に迷惑がかかったのは事実だ。それなのに自身はまた彼女に迷惑をかけようとしている、図々しいと言われても仕方ないだろう。そのため、断られることも覚悟していた。

 だが、ゆいはそんな自身の頼みを何の迷いもなく受け入れてくれた。これにはマイラ王女も戸惑ってしまう。

 

「だってあたしたち友だちでしょ?だったら困っていたら助けない訳にはいかないよ!それに、折角またこの町に来てくれたんだもん。それならマイラ王女にはそんな悲しい顔をして欲しくない、この町ではみんな笑顔でいて欲しいから!」

「ゆい……、ありがとうでございます!」

 

 おいしーなタウンはみんなが料理で笑顔になれる町。だからこそ、ゆいはマイラ王女にも笑顔でいて欲しかった。

 ゆいの真っ直ぐな優しい思いを聞いたマイラ王女も、笑顔が戻り始めた。

 

「そうね、相手が何にせよ私たちなら守れるわよね」

「友だちが困っているのなら、私は力になってあげたい」

「それに折角またこの町に来てくれたんだもん、また一緒に美味しい物食べてマシマシに元気になってもらわなきゃ!」

「あぁ、私たちで王女さまをお守りしよう!」

「コメ!コメコメたちも一緒に頑張るコメ!」

「パム!」「メン!」

 

 ゆいに感化され、他の者もみんな王女を守る決意をする。

 今日はコメコメたちも一緒にいる、相手がどんな怪物であろうとプリキュアの力で戦えるのだから大丈夫だと言う思いがあった。

 




次回、次回こそ出会わせます!ですから、どうか何卒ー!

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