黒の組織の幹部だけど有名アイドルの双子の姉妹なんです 作:黒っぽいアイドル擬き
コナンが出てくるのは大分先になりそうです。
ただ、原作開始前の新一と蘭がアメリカに行った時に起こったゴールデンアップルから絡ませられそうです。
まぁ、その……つまり、物凄く先です(TДT )
※因みに救済はやるか分かりません。何しろ主人公がアメリカに5年も住む事になりますから。何故か助かるレギュラー補正よろしく、都合良く生き残ったりしました!なんて書けばワンチャンありますが……。
星野家に三日間だけ厄介になる事を決めた私はアイの家事を手伝ったり、支度して目を離している間にアクアとルビーの二人を代わりに見ていたりしていた。
「アクア!ルビー!お姉ちゃんと遊ぼう!」
「良いよ!」
「ぼ、僕は良いや」
ルビーは懐いてくれたけどアクアはやっぱり素っ気ない。
私は残念に思ってアクアを見ていたらアクアから来てくれて私はもう、アクアもルビーも可愛くて仕方ない。
良いなぁ……16歳で産んだのは頂けないけど、私なんかが子供を作れば組織の駒として教育されて危険な事に駆り出されるのは目に見えてるからね。
そんな事になるくらいなら産まない方が良い……そんな事を考えれば普通に生きて、子育て出来るアイに私は嫉妬してしまう。
お願いだから……アクア、ルビー。
アイと一緒に普通の人生を生きて、普通の幸せを手に入れて。
朝になって仕事の為にアイを迎えに来た斎藤とその夫人、ミヤコさんが来て私とアイを見るなり驚いたのは言うまでもなく、斎藤は私を知ってたからすぐに落ち着いたけど、ミヤコさんは悲鳴を挙げて驚き過ぎて腰を抜かしてた。
その悲鳴に近所の人達が集まって来そうになって斎藤が何でもないって事態の沈静化に動いたり、アイとルビーが大笑いしていたり、アクアが慌ててミヤコさんを助けに行ったり、てんやわんやな事態になってしまったが何とか場を収める事に成功した。
「はぁ、ビックリした……アイが一人でも大変なのにもう一人、増えたかと思った」
「そんなに大変なの?」
「そりゃそうよ!妊娠して出産しただけでも大変なのにアイが仕事の合間に私が二人を見てたんだからね!今となっては慣れっこだけど……」
「す、すみません……」
「何で貴方が謝るのよ?」
いや、本人にも伝えてない双子の実の姉ですから……この人、私と同じで苦労人の気質だと分かると何て言うか……仲間だと思えて。
「まぁ、三日位まで滞在するのは良いが……マスコミが嗅ぎ付けて来たりしないよな?」
斎藤の言いたい事は分かる。
何たってミヤコさんのアレが悪い意味で目立ち過ぎた。
アイの住むマンションの部屋で叫び声なんてマスコミ達の飯の種として嗅ぎに来ない方がおかしいもの。
「でも、近い内に引っ越すから大丈夫だよ」
「それまでどうすんだ!?いや、百歩譲ってユメの事がバレても問題ないがな……」
斎藤は何やら口ごもった様子を見せ、私は首を傾げているとミヤコさんがテレビを着けた。
《続いてのニュースです。昨日の夕方頃、舞台俳優のカミキヒカルさんが射殺される事件が発生しました。関係者によりますとカミキヒカルさんは頭や体を何度も撃たれると言う悲惨な状態となっており、警察は有名舞台俳優の死に銃撃犯の特定に全力を尽くすと述べております。続いては》
昨日、私がやったヒカルの事を取り上げるニュースが流れた後、ミヤコさんがテレビを消すと部屋は静まり返っていた。
「この事件で警察の奴等が来て事情聴取……まぁ、建前だったが来たよ。アイ。お前が生放送の番組に出ている間にカミキヒカルが呼び出されたってな。お前の声で。一応、念の為に聞くが……関わっていないよな?」
「……ううん。全く」
「そうか……そうだよな。長時間もやってた生放送の番組を途中で呼び出して車で移動しないと行けない様な長距離を往復で帰ってくるなんて不可能だよな?はぁ……これだけを伝える為に来た筈なのに何でか疲れてきた……」
そう言って斎藤は力無く笑い出す中、アイは表面は取り繕っているけど目が笑っていなかった。
「そっか……ヒカル、死んじゃったんだ……」
私は落胆しながらルビーとアクアを抱き締める姿に罪悪感を感じるけどそうした方が良かったと信じたかった。
カミキヒカルのしてきた事はあまりにも残酷な行い。
その業にアイ達が巻き込まれるなんて我慢なんて出来ない。
アイの言葉は斎藤とミヤコさんの二人には聞こえなかったらしいのか深い追及も無かったのはアイにとってそれが良かったのかやら……。
「お前にも近い内に事情聴取が来ると思うが…まぁ、建前でしかないさ。何たっていくらなんでも不可能なんだからな。車なんかで移動しなきゃ行けない所なんて殺すなんてな。免許すら持ってないし。取り敢えず堂々としていれば良いと思っておけ」
「うん、分かった」
アイはそう短く応えると仕事の為に支度を始めた。
その姿には何処か元気が無く、その姿をアクアとルビーは不安そうにしている様子を見た私は。
「ミヤコさん」
「ん?どうしたの?」
「ちょっと頼みたい事があるの」
私はそう言ってちょっと悪戯ぽく笑って見せた。
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アイの自宅を離れてミヤコさんが運転する車に私は乗っていた。
「ママの初ドラマ楽しみだねぇ」
「ちょい役だけどね」
「良いじゃないですか。今も尚、売れている芸能人は皆、そこから昇って行くんです。アイも経験を積んでいけば必ず誰もが一度は聞いたと言わしめる程のアイドルになりますよ」
「そ、そうですね……ユメさん。お願いだから"その姿"で"女の子の声"は控えて下さいね」
「ふふ、分かっていますよ。マネージャー」
ミヤコさんが戸惑うのも無理はない……何故なら!
「それにしてもユメちゃんって男装が出来るんだね。それも別人みたいに」
「いや、それっておかしくない?骨格とか身体つきとか声まで変えちゃってるよ。特殊メイクとはいえ、どうすればそうなるの?」
「別に良いじゃん。格好良いもん」
私は夜空ユメと言う裏の顔、組織の始末屋から贋裏マコトと言う名のベビーシッター役で着いていってます。
原理は簡単。
私がベルモットから教わった変装術を使って男になり、声色を変えただけ。
最初に変装した姿を見せたら全員に驚かれてまた、ミヤコさんが腰を……抜かしたりしなかったけど顎が外れるんじゃないかとばかりに口をあんぐりと開けてたのは印象深かった。
アイは私の変装を見て「どうやってるの!教えてよユメちゃん!」って興味津々だし、アクアはミヤコさんみたいに口をあんぐりとしてたし、ルビーは格好良いなんて言ってくれるし最高ね。
斎藤は……もう何だか全てを受け入れんばかりに悟りの顔になってた。
「仕事柄、必要なんだよ」
「いやいや、どんな仕事なのよ?」
「秘密だよ。ミ・ヤ・コ」
「わぁー!無駄に色気のある声は止めて!たく……私が貴方を女だと知らず尚且つ結婚してなかったら間違いなく乗ってたわ……」
ミヤコさんはそう言って何処か疲れた様な感じになったから私はこれ以上、揶揄うのはよそうと思いながらルビーの頭を撫でる。
「とにかく、良いですか二人ともあと、マコトさん。どーしても言うから連れ行きますけど……大丈夫だと思いますが現場でアイさんの事、ママなんて絶対に呼ばないで下さいよ。マコトさんは女の子の口調とか仕草はしないで下さいね。恐らく、マコトさんの本来の姿が警察に漏れたりしたら面倒な事になりますからね」
「分かってるよ。演技は得意なんだ」
私はそう言って笑うとミヤコさんは深い溜め息をついた。
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私達は撮影現場までやって来るとそこは教室で今回のドラマ撮影は学園物だと一目瞭然だった。
「へぇ……これが学校なのね……」
私は実の所、学校なんて物に通った事が無かった。
勉強は一通りまだ産まれて間もない私を連れて行った父に全て教えられた。
組織の為に全てを殺す為の道具に作り替える為に普通の子供だとまず、学ばない様な難しい問題までやらされた。
問題の答えを間違えたり、少しでも反抗すれば……思い出したくない。
父がもし、任務先で死なず、ベルモットに引き取られなかったら……私はどうなってたのかな。
「苺プロのアイです。本日はよろしくお願いします」
スタッフさん達に挨拶するアイを後ろから見ていたら何かちょっと雰囲気が怖いおじさんがやって来てアイを見てきた。
「どうかしました監督?」
監督だったかぁ……どうしよう、すっごくアイを見てるって事は私とアクア、ルビーの事じゃないよね?
「なんか怖いね」
「顔がな」
「こ、こら……!」
二人とも余計な事は言わないでよ~……怖いのは認めるけど。
「この子供と男性は?」
「あッ、この子達は私の子で、この人は贋裏マコトさんです。マコトさんは私が仕事をしている間だけ見ていてくれるそうで……」
「マネージャーが子守り同伴の子連れで現場にねぇ」
どうしよう……監督かなり怒ってるよね……万が一に怒られたら私が無理に着いて行きたかったらって庇おう。
「働き方改革って奴か?」
……は?
「時代だなぁ。まぁ、現場に犬を連れてくる人もいるしなぁ」
それで良いのか監督!?
いや、確かに働き改革の動きで色々な当たり前が変わりつつあるけど職場に子供なんて普通、連れてこないよ!?
それと犬連れてくる人がいるの!?
ちょっと芸能界の裏側を見ちゃった様な気がする……。
監督とのちょっとしたトラブルを何とか乗り越えた私達は楽屋に使っている部屋に来るとそこで化粧をして出番の準備をしていたり、談笑している女優達がいた……あ、私って今、男じゃん。
私は取り敢えず迷惑を掛ける前に子供達を連れて外に出ようとした時。
「あ、あの!貴方もドラマの出演者ですか?」
女優の一人に声を掛けられてしまった。
確かアイと事務所違いの同じアイドルのルミネだっけ?
「え?いえ、違いますよ。僕はマネージャーさんの子供達のベビーシッターとして着いてきた単なる一般人ですよ」
「そうなんですか?子供達、可愛いですね!双子ちゃんですか?」
「えぇ、そうですよ。子供なのに大人しくてね。少し心配ですがとてもお利口なんですよ」
私がそう言うと他の出演者の女性達まで集まってきてしまった。
グラビアの大谷 美郷や可愛すぎる演技派なんて呼ばれている女優の三和 阿里子までいる。
「双子ちゃん!!かわいーッ」
「貴方の子供ですか?」
「いえ、ですからマネージャーの子ですよ」
「あの、良ければ今度、二人でお食事でも……!」
「なッ!?狡いですよ!」
何だろう……自棄に私に食い気味な人が何人か混じってる……。
そんなに格好良くした訳じゃないんだけどなぁ~。
「騒がしいわねぇ……もう少し、静かに出来ないの?」
そんな声と共に楽屋が静まり返り、私はその声の方向に視線を向ければそこにはザ・女優とばかりに威厳のありそうな人がスタッフ達からの差し入れを食べながらそこにいた。
「気を抜くのは良いけど少しくらいは台本でも読み返したらどう?プロ何だからな変な所で躓くと印象が悪くなるわよ?」
何処か嫌味のある言葉に場の空気が悪くなる中、そこへ世話しなくやって来たスーツ姿の女性がやって来た。
「す、すみません裕美子さん!此方が台本です!」
「遅い!!本番まで時間が無いのよ?自分の役の台詞を確認する為に台本を頼んだのに……持ってくるのに何分掛けてるのよ!」
「すみません!台本が全く見当たらなくてそれで仕方なく台本をお借りしてお持ちしました……」
「ふん、もう良いわ。全く……何時まで経ってもどんくさいわね」
そう言って裕美子さんは台本を両手で受け取ると親指を舐めた後、台本を読み始めた。
「(何かテレビで見た女優のまんまだなぁ……)」
何か偉そうで当たり散らしてる様なそんな感じの女優役が出ていたドラマの事を思い出して苦笑いしながらそのまま後にしようとした時。
「うッ……!ぐぅ……!?」
突然、裕美子さんが首を押さえながら苦しみ始めた。
「裕美子さん?」
スタッフの一人が裕美子さんが心配して近寄ろうとした時、裕美子さんはその場に倒れて動かなくなってしまった。
「イヤアァァァァァッ!!」
その叫び声が楽屋に響き渡ると現場中が足音が鳴り響くと息を切らしながらスタッフや関係者達が楽屋に集まって来た。
「ゆ、裕美子さん!?」
「き、救急車!救急車を呼んで!!」
裕美子さんが倒れている事で皆は救急車を呼ぼうとしているけど私は冷静に頸動脈を触って生きているのか確かめると皆に伝える。
「救急車はよしましょう……もう死んでます。呼ぶのは警察ですよ」
私のその言葉に辺りは静まり返ってしまった。
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裕美子さんが死んでから暫くして、警察が到着して現場検証が始まった。
鑑識の人達がカメラを取ったり、死因を調べたりする中、私達は駆け付けた警察の代表である目暮警部さんに事情聴取を受けた。
「それで君が頸動脈を調べた事で死んでいる事が分かったのだね?」
「そうです。よくドラマで見ていた要領で調べたんですが……まぁ、明らかに死んでましたしね。脈も動かない、ピクリともしない。生きている可能性は……無いとしか言えませんでした」
「ふむ……そうですか……」
私の事情聴取の際に話を聞いていた目暮警部は明らかに私を疑っている様子だった。
まぁ、状況的に一番死体に近付いたり、救急車を呼ぶなとか言い出したりした私を疑うのも無理はない。
「警部!鑑識からの報告によりますと死因は毒物によるものと思われます」
「毒か……だとしたらチャンスがあったとすればあの差し入れだけとしか」
「そんな訳ないでしょう」
「何だと?」
「あの差し入れはアイや子供達も含めて食べていました。僕も当然、食べてます。なのに誰も死んでいない。つまり、差し入れには毒のある食べ物は入れてはいないんですよ」
「しかし、現に女優の裕美子さんは毒殺されている。他に口に含む物も見当たらなかったぞ。第一、これは無差別に毒殺しようとした悪質な殺人の可能性だってあるのだぞ」
まぁ、目暮警部の言いたい事は分かる。
最近、通り魔だとか轢き逃げ事故とか銃殺事件とか物騒だもんね……全部、私じゃん。
でも、別に食べ物に限る話じゃないんだよ……毒殺の手段は。
「台本」
「は……?」
「台本を調べて見て下さい。当然、裕美子さんのです。裕美子さんは台本に直接、手で触れて尚且つ、指を舐める行為をしているのを見ていました。調べれる価値はありますよ」
目暮警部はそれを聞くと渋々と言った感じで鑑識さんに指示を出して裕美子さんの台本を調べる様に指示を出していた。
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それから暫くして、鑑識さんが急いで戻ってきた。
「警部!裕美子さんの近くに落ちていた台本の背の辺りから毒物が検出されました!」
「何だと!?だとしたら毒を貰った所は!」
「台本……ですね。それを運んできたのは裕美子さんのマネージャーです」
「……よし!裕美子さんのマネージャーを呼ぶんだ!」
「わ、分かりました!」
目暮警部の指示の元、裕美子さんのマネージャーが怪しいと考えた目暮警部が部下の刑事に指示を出していく。
私はその様子を見ながら考えた。
台本に毒物が検出されたのは良い……しかし、犯人はそのマネージャーなのか?
まだ疑問が残る中、私は正気に戻った。
「何で探偵の真似事をしてるんだろう?馬鹿らしい……」
別に本当にやっていようと冤罪だろうと終われば良い。
私やアイ達には関係が無い。
「私はもう良いですね。子供達の事が気になりますから」
「あ、あぁ……分かりました。ですがまだ、此処から離れない様にお願いします」
目暮警部からの疑いが無くなったのか私の要求をすんなりと通して私が離れても良いと言った。
許可は得たからそのまま離れてアイ達の所に戻って待機している教室の所まで来て時、教室の窓の向こう側でアイが明らかに落ち込んでいる。
まぁ、無理もない……初めてドラマの撮影に望めると思えば殺人が近くで起きてしまったら嫌でも落ち込む。
「あの……ドラマの撮影はどうなるのでしょうか?」
「そうだな……こんな状況じゃ撮影なんて無理だ。代役の事もあるから日数をずらすにしても早く終わってくれたら考え様だがな」
「そうですか……」
教室内では監督とミヤコさんの会話が聞こえて来て私は考えた。
事件を早期に解決させてしまえばアイはドラマの撮影に望めるんじゃないかって。
でも、組織の始末屋が探偵の真似事なんて……いや、この際、やってやる!
私は教室に戻らないで事件を解決させる為に現場へと戻った。
因みにアクアとルビーは落ち込んでいるアイから離れないで慰めてるから問題は無い……筈。
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私が現場に来るとそこでは現場検証も兼ねてその場で聴取を受けるマネージャーと目暮警部がいた。
「ですから!その台本はお借りしただけで私は何もしてませんし殺してません!」
「だったら誰から借りたんだ!名前は!」
「そ、それは……実は置いてあった台本を勝手に」
「持ってきたと?だとしたら出来すぎた話ですな」
「そ、そんな……!信じて下さい!」
案の定、目暮警部はマネージャーさんを問い詰めている。
それにしても置いてあった台本を借りてきた?
それだと一つの矛盾が生じる。
……犯人は裕美子さんを殺すつもりはなかった?
裕美子さんを台本に塗った毒で殺すなら裕美子さんの台本に塗れば簡単だよね。
なのに借りた台本に毒が塗られていた……じゃあ、借りたのは誰の台本?
誰が使う筈だった?
私は考えながら更に情報を集める為にも開きっぱなしの扉に軽くノックをする。
「む?き、君!駄目じゃないか!勝手に彷徨かれては困る!」
「すみません。しかし、流石に聞くにも堪えがたくてね……そのマネージャーさんの言う台本を借りてきた相手は誰ですか?」
「……人気アイドルのアイの物のだ」
……今、何て言った?
アイの台本に毒が塗られていた?
「は、はい。私が台本を取りに行った時、裕美子さんの台本がどうしても見当たらなかったのでそれで……黙ってお借りしてしまいました。すみません」
このマネージャーさんは悪くないわね……そう、アイの台本にね……。
アイはちょい役とはいえ、家で完璧に丸暗記する位は読み込んで尚且つ、練習もしていた。
だから、台本は一応持ってきてたけどアイの事だ……何かの拍子に無造作に置いてしまった可能性もある。
或いは……。
「警部さん。アイの台本なのですよね?」
「うむ。確かに名前が隅に書かれていたよ」
「だったら確かめる方法は一つ。アイは今、誰の台本を手にしていたのか?」
「ッ!?待て!今、アイは台本を!?」
「えぇ……確かに。戻った時に側に」
そう、実は見ていたんだ……アイの側に台本が置かれていたのを。
私はてっきり、アイの台本かと思ってそのままにしてたんだけど……。
「もしもですよ?本当に毒殺したかった相手が……アイだったと思えば」
「だ、だが誰が……?」
「目暮警部。此処はドラマの撮影現場。相手が逃げ隠れするならこの場を利用して暴き出すのも手ですよ」
私はそう言って意地の悪い笑みを浮かべて見せた。
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私は目暮警部を連れて皆が待機している場所まで戻るとすぐに駆け寄ってきたのはアイだった。
アイは駆け寄って来ると同時にそのまま飛び込む様に抱きついて来たから受け止めるのにちょっと体勢を崩してしまった。
「マコト!今まで何処に言ってたの!」
「ご、ごめんごめん。ちょっとね」
「皆、心配したんだよ!もう!」
分かったから離れて欲しい……私は今は男。
いらん、誤解を生む前にアイを引き離すと咳払いしてからアイに聞く。
「アイ。ちょっと君の台本を持ってきてくれるかい?」
「台本?何で?」
「実はね。毒が塗られていたのはアイの台本だったんだ。だからもしかしたら……なんて話になってね」
「え、嘘!?だって、台本は此処にあるよ!?」
アイはそう言って一度、そこにいた場所に戻って台本を手にして私の所に戻って来た。
私はそれを受け取って持ち主を確かめると……。
「……裕美子って書いてあるね」
「やはりか……」
目暮警部はそれを聞いて嫌な予感を感じていたらしく予感が的中して険しい顔をしていた。
「しかし、アイ。どうして裕美子さんの台本を?」
「うーん……あ、もしかしたら!実はね。一度、現場で台本を置く時にもう一冊、台本があったんだ。もしかしたら私がうっかり間違えて持っていっちゃたんだと思う」
「現場で台本を読んだのか?」
「うん。ちょっと開きにくいから親指に唾とかを付けて」
「あ、アイ!それって本当なの!?」
アイのその言葉に反応したのはミヤコさんで、アイはキョトンとしているとミヤコさんは焦った様子で聞いてくる。
「体調は!?具合は悪くない!?」
「え?えぇ?」
「ミヤコさん。確かに心配したくもなりますが彼女は心配ありません。あくまでも裕美子さんが持っていたアイの台本に毒が付いていたのですからね。それに毒の付いた台本は警部さん達が回収済み。鑑識さんによると指紋らしき物が付着していたらしい。もし、裕美子さんやマネージャーさん、アイ以外の指紋が検出されれば……犯人はすぐに分かるとね」
私はそう言ってのけた。
「取り敢えず全ての台本を此方へ。もしかしたら他に毒が塗られていてもおかしくありませんからな。君、回収した台本を現場の楽屋の所まで持って行く様にな」
「分かりました。置いておく場所は何処に?」
「何を言っておる。使われた台本の側だ。混ざらん様にな」
目暮警部はそう言うと部下の刑事さんが台本を回収するとすぐにその場から離れていく。
「それと皆さんには申し訳ありませんがもう少しだけ此処にいる様に。君もだ」
「分かってますよ。警部さん」
私は適当にそう返事を返すと目暮警部達はそのまま立ち去っていった。
「さて……後は白黒つくのを待つだけだ」
「いや、これで指紋が出たらおかしいだろ?手袋してたらどうすんだよ?」
監督さんのその言葉に皆が頷く中、私は確信を持って笑顔で言って見せた。
「手袋を着けて犯行が出来たらの話ですがね」
私の言葉に皆が首を傾げる中、一人だけ震えている事になっているのを私は見逃さなかった。
~別視点side~
暫くして警察も鑑識も一度、離れてしまった楽屋に侵入する人物が現れた。
その人物は積まれている台本の隣に置いてある裕美子の台本を見つけるとそれに手を伸ばして……。
「そこまでだよ。犯人さん」
その声にその人物は振り替えるとそこにはマコトこと変装したユメがそこにおり、目暮警部達、警察やアイ達、撮影関係者まで勢揃いだった。
「残念ですが貴方は此処で終わる。裕美子さんを偶然とは言え毒殺し、あまつさえそのマネージャーに罪を被せて逃げ仰せようとした真犯人……アイドルのルミネさん?」
ユメにそう言われた真犯人、ルミネは冷や汗を流しながらそこにいた。
~side終了~
私は真犯人、アイドルのルミネを目暮警部達、警察達で行った大芝居で炙り出す事に成功した。
目暮警部達が戻った後、ルミネはトイレだと言い、疑われない為にも次いでと言う事で自分もトイレに行きたかった阿里子も動向する形で出ていき、阿里子がトイレにいる間にルミネが抜け出すとそのまま楽屋へ……そして今に当たる。
「ち、違いますよ~。私、此処に忘れ物をしちゃって……」
「指紋付きの台本ですか?それなら既に取られてますから意味ないですよ?」
「えッ!?」
「簡単な事です。貴方は本当は台本には毒なんて使うつもりはなかった。アイに差し出された食べ物か飲み物を気を反らした所を狙って毒を入れる……その筈だった。だが、貴方は計画を変えた。ある事を見た事により、より確実に毒を盛る方法を」
私がそう言うたルミネは図星を突かれたとばかりに顔を背ける。
「それはアイが台本を読む前に親指を舐めた事だ。確かに唾で少し塗らした指はページを引っ掻けやすくなり読みやすい……アイのその行動を見て貴方はアイが台本を置いた所を咄嗟に直接、手で毒を塗ったんだ。だが、アイは手に取る台本を間違え、それを裕美子さんのマネージャーが持って行ってしまった事から計画は大きく崩れた。違いますか?」
「ち、違うわよ!第一、手袋をしてたらどうなるのよ!」
「それは簡単な話なんですの。手袋は確かに便利です。凶器に指紋は付きませんから……そう、凶器にはです。あくまでも手袋は指紋対策。後で処分をして誤魔化せば良いでしょう。しかし!貴方はそれが出来なかった。何しろ手袋を付けるのは構わないが手袋に付いた指紋か毒は残ってしまう。それを処分する隙を窺おうにも貴方は良くも悪くも有名なアイドルだ。もし、捨てる所を目撃なんてされたらそれで終わりだ。それに……手袋なんて物を用意なんてしている訳がない。何しろ毒殺を選んだんだ。当然、撲殺や刺殺、絞殺の様な物理的な方法ではない以上、わざわざ手袋なんて用意はしない。……あの時、台本に直接塗ると言う手段さえ使わなければね」
「……だ、だったら私が犯人だって言う確かな証拠は!?仮に指紋が出ても私がもしかしたらアイさんの台本に間違って触れたとかだったらどうするのよ!?」
「それなら両手の全部の指を舐めてみて下さい」
私のその言葉はルミネさんは固まってしまった。
当然と言える行為だった……咄嗟とは言え毒を素手で直接、塗ったのだからもしかしたら毒が残っているのかもと恐れを抱いても仕方ない。
「どうしました?貴方が無実だと証明する絶好の機会ですよ?それとも」
「私がやったわよ!えぇ、やってやったわよ!まぁ、殺す相手が違ったけどね!」
私の推理の途中でルミネさんは癇癪を起こす様にそう自供した。
「全部あのアイって奴が悪いのよ!天才だとか言われているとか何だかでアイドルとしての人気を全部持っていて!私達はアイに劣るアイドルだなんて呼ばれる日々!努力してやっとドラマの仕事に漕ぎ着けたのにアイはそれすら奪いにきた!だから殺してやるって決めたんだよ!!天才なんて呼ばれて全部持っていく彼奴を!!」
「貴方と言う人は……!それを」
「バッカモン!!」
私が身勝手な理由でアイに手を掛けようとしたルミネに怒鳴りつけようとするより先に目暮警部の怒鳴り声が響いた。
「さっきから黙って聞いていればなんだ!確かに君は努力してきたんだろうがアイ君はそれを上回る程の努力をしてきたと何故、分からんのだ!」
目暮警部のその言葉は私は唖然とした。
いや、目暮警部って何処からどう見てもアイドルのライブを鑑賞する人じゃなさそうだから……。
努力してるって何時から見てたのやら?。
「アイ君が天才だから全て持っていくだと?そんなものは自分の力を信じられん者が言う都合の良い言い訳だ!そんな言い訳をする前に誰かと比べたりせず、自分の力を信じて努力したらどうかね!」
「自分の力を……?」
「そうだ。アイ君は確かに凄いものだ。一度、ある事件の参考にと録画したある映像を見させて貰ったが確かに天才と言える出来だった。だが、天才と言えど、宝石の様な才能があると言えど努力無くしては単なる輝くだけの御飾りの模造品になる。そうならない様にする為の努力がその時のアイ君を見ていれば分かるものだった。君にもアイ君程でなくても才能に満ち溢れた若者ではなかったのかね?此処まで登って来ていたのだから」
目暮警部のその言葉にルミネは泣き崩れ、膝をついた。
暫くして、ルミネは逮捕されたけど撮影は延期。
後日、撮影に臨む事になった……訳がなく、結果としては中止。
実力派の一人であった裕美子さんが殺されて、その裕美子さんを殺したのが出演者の一人であったアイドルのルミネなのだから中止にせざるをえなかった。
その代わりと言わないけど監督の五反田さんからアイに映画出演のオファーが来た。
……何でかアクアも子役として出せと言う条件で。
いや、めでたい話だけど本当なんで?
まぁ、あの事件からアイはちょっと立ち直ってたから良いけどね。
何でも内面まで見られていたのは初めてだとか。
まぁ、確かにアイ達、アイドルを見に来る人は皆、外面ばかりを見たがる所がある。
嫌な所、弱い所、自分の理想とは違う所。
多くの人達、皆がアイ達の様なアイドルにより完璧な
目暮警部みたいに真摯にアイの努力そのものまで見たりする人の方が希だろうね。
いずれにしてもアイもアイドルとして何時かは引退しなきゃいけない時が来る。
私が帰って来るのはもしかしたらアイが引退した時かもしれないし、まだ引退もせずにアイドルをしているかもしれない。
「行きたくないなぁ……アメリカ」
側でアイがどの様にアイドルとして活躍して、その輝きに幕を下ろすのか見届けたい。
私は側で寝ているルビーとアクアの二人とアイドルらしからぬ涎を垂らして寝る姿を見せるアイを見ながら溜め息をついた時、一着のメールが届いた。
相手は……ジンだった。