黒の組織の幹部だけど有名アイドルの双子の姉妹なんです   作:黒っぽいアイドル擬き

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探りあい

毒殺事件から一日が経って、私はまだ夜も明けていない朝早く起きると三人を起こさない様に立ち上がって寝室から出た。

 

寝室から出た私が始めたのは顔を洗って歯を磨き、髪の毛を整えたりする朝にやる普通の行動。

 

でも、今日は違う。

 

今日はジンと待ち合わせをしてるから特に何もしてない格好で行くと敵対組織に過敏に反応される危険がある……別に下心なんて無い。

 

一通り、済ませてから私は自分が一部買って持ち込んだ服を手に鏡の前に立って何れにするか合わせてみたりする。

 

ある程度に服装を決めると今度は化粧をする為に鏡の前に立つ

 

ただ、普通にやる訳にはいかない……何たって会うのがジンなのだから単なるお洒落じゃ駄目に決まってる。

 

私は金髪のウィッグを手にして被って整えて、化粧もいつもよりも少し大人っぽく、声もちょっと大人な感じなお姉さんになってるか確かめてやっと、支度終わり。

 

「……変な所は無いよね?」

 

私はくるりと回って見たけど……うん、おかしな所は無い。

 

私はいらない適当な紙に"出掛けて来ます"と簡素に書いてテーブルに置くとこっそりと玄関を出て、借りた鍵で戸締まりをして確認した後、ジンの所まで急ぐ。

 

~別視点side~

 

ユメが出掛けてから暫くしてアクアはゆっくりと起き上がった。

 

昨日の夜、アクアはルビーの寝返り裏拳を諸に受けて目を覚ましてしまい、辺りを見渡すと暗闇の中でユメが黒色の携帯を弄っている姿を見たのだ。

 

普段は薄いピンクの女の子らしい携帯を使っているのをよく見るが、黒い携帯は滞在中そう滅多に使う姿は見せなかった。

 

彼女曰く、"仕事用"だそうだ。

 

「(前世の記憶が確かなら間違いなく俺を殺したのはユメだ。都合の悪い所を見たから殺された。確かあの時、ユメがアイのストーカーを殺したのを俺は見た。日本じゃまず見ない拳銃……しかも、サイレンサー付きを持っていた。明らかに普通じゃない。それに側にいたあの男は何者なんだ?)」

 

アクアは記憶をフル動員してユメが何者で、あの男とはどう言う関係なのか分からずにいた。

 

確実に分かるとすればユメは明らかにアイとは"親族"であると言う事だった。

 

顔が似るにしても明らかに似すぎている……まるで双子の様に。

 

そして言動もまた被ったりする時もあれば好きな物や食べ物の好みまで同じであるとユメが滞在している最中に知った。

 

違うのは性格だけで"産まれ育った環境"が違うから起きたものだとアクアは考えた。

 

これは双子によく見られるシンクロニシティと呼ばれる現象で、性格を除けばアイとユメは双子だと言われても差し支えの無い程に共通点があり過ぎた。

 

よって、そこから導き出したのがユメはアイとは双子であると言う説だった。

 

だからこそ、ユメはアイを心配し、アクアとルビーを含めた星野家に深く関わりたがっていた……まるで家族の様に。

 

だが、問題はユメの仕事だった。

 

アイの妊娠の時、ユメはアイの入院している病院を突き止め、産婦人科の前に立っていた事から妊娠していた事はその時から分かっていた事になる。

 

……なら、何処から情報を手に入れた?。

 

あのストーカーと言い、ユメと言い、明らかにアイの妊娠の情報が漏れていたのは確かだが、何処から漏れたのかは分からないが……殺してきた時点で明らかに普通の手段で手に入れたとは思えなかった。

 

この時点でユメは"裏の人間"と断定出来るとアクアは考えた。

 

そしてユメは恐らくは"殺し屋"で、アイの都合の悪い情報を手にし、ユメをアイと間違えて追ってきたストーカーを邪魔に思い始末した。

 

だが、そこで雨宮としてのアクアが来た事でユメは……。

 

「(ん?だとしたら何で最初に逃げる様に促したんだ?)」

 

今、冷静に考えればユメが最初に行った行動は"全てを忘れて離れる様に"と言ってアクアを逃がそうとした事だった。

 

その時にアクアは戸惑ってしまった事でユメの殺し屋としての上司が来てしまったのか早く殺せと命じられて逆らいもせずに躊躇無く、雨宮としてのアクアを殺した。

 

「来世では会わない事を祈ります」

 

アクアの脳内にその言葉が過り、ユメの冷たい眼で拳銃を構えてくる姿を思い出して震え上がった。

 

もし、ユメが雨宮=アクアだと知ったらどうなるのか?。

 

今度こそと始末されるのか……もしかしたらアイやルビーも纏めて殺しに来るのではとユメに恐怖心を抱く中、アクアの頭に触れる人物がいた。

 

「大丈夫?怖い夢でも見ちゃったのかな?」

 

アクアはその言葉のする方を見るとそこには寝ぼけ眼でアクアを心配するアイだった。

 

アイは震えるアクアを抱くと安心させる様に優しく言う。

 

「大丈夫だよ。ママが側にいるからねぇ。大丈夫、大丈夫。う~ん……今日一日は事件のせいでお休みになっちゃったからママは何処にも離れたりしないからねぇ。今日は一日、飽きるまで寝ちゃおうねぇ」

 

アイは携帯に表示されている時間を見てそう言った後、欠伸をした。

 

アクアはアイのその言葉と抱かれる温もりを感じ、安心感を得ながらまた、深い眠りについた。

 

 

 

アクアが眠りにつくのを確かめたアイは徐にユメが寝ていた位置を見た。

 

朝早くからアイ達を起こさない様に身支度を整えて何処かに出掛けたのは知っていたが目的を聞いた所ではぐらかされるのは目に見えている以上、深くは追及しなかった。

 

だが、流石のアイでもユメを疑問視しない所はなかった。

 

厳重に伏せられていた筈のアイの妊娠を知って病院を訪れたり、連絡先を交換しても"教えた覚えの無い"住所を知っていたりするのだ。

 

いくらアイでもこれは怖いと感じると同時にユメから今まで感じた事の無い暖かみを憶えた。

 

下手なストーカーよりも無自覚にストーカーしているユメは常にアイ達の事を気に掛けている事をアイは感じており、そして仕事と称している何かをしているのも薄々、何か危険なものだとも分かっていた。

 

何故、そこに行き着いたのかと言うと滞在初日、アイは何となく着替えているユメを見た時、目立たない位置ではあるが"何かしらの古傷らしき"ものがあり、中には"丸い古傷"もあり、その丸い古傷が小説などにも書かれている銃痕に似ていた事にアイは寒気を感じた。

 

明らかに"普通"に生きてたらまず、負う事はない怪我の痕跡が見え隠れするユメにアイは不審に思いつつも何も聞けなかった。

 

一度でもその事を問い質せばユメはまるで文字通り、夢から覚めてしまったかの様に消えてなくなりそうで恐ろしかったからだ。

 

「(大丈夫だよね……)」

 

気付いた時にはユメが笑顔で此処に帰って来る。

 

今のアイにはそう信じるしかなかった。 

 

 

 

一方、警視庁の刑事部捜査一課強行犯捜査係ではカミキヒカルの銃殺事件の捜査が行われており、他の事件と平行して進めているが目立った手掛かりは無く、あるのはアイドルのアイこと"星野アイ"に似た声の人物がカミキヒカルを呼び出し、銃殺した事くらいだった。

 

当初はアイが容疑者として最有力として挙げられたがその時のアイはテレビの生中継に出ており、華やかに歌って踊るアイの姿がそこにあったのだ。

 

なら、共犯者がいるのでは?

 

そう考えた刑事達はアイとの関係者の裏取りをした結果、テレビ局のスタッフ達と予定の打ち合わせをしていた社長の斎藤とその夫人でアイのマネージャーを勤めているミヤコは子連れでアイのいるスタジオにおり、犯行は不可能とされた。

 

何故、この三人がテレビ局にいる時点で不可能なのか?

 

それはカミキヒカルが殺害された犯行現場からテレビ局までの距離は車を使っても約一時間は掛かると分かったからだ。

 

犯行を行って帰るまでに計二時間と掛かるとなると姿を長時間も消すとなると流石に周りは不審がるだろうし、仮にアイの犯行だったとしても車の運転どころか運転免許証すら持ち合わせていない。

 

それにアイが生中継の最中に抜け出すのはあり得ないし、斎藤社長も間違いなくスタッフ達といたと言う確かな証言があり、ミヤコは子連れと言う事もあって黙ってその場から離れたりせず、アイが出番を終わるまでその場にいた姿も目撃されている。

 

時間的にも、立ち位置的にも犯行は不可能となり、目暮を含めた刑事達は頭を抱えた。

 

カミキヒカルの残した録音には確かにアイの声が録音されており、日付と時間帯を細かく指定して呼び出しながらカミキヒカルを脅している様子も分かった。

 

しかし、アイはテレビ局にいてどう足掻いてもその日では犯行は出来ない。

 

そう、まるで"アイが二人"もいたかの様に。

 

「ふ~む……何とも不可解な事件だ……」

 

目暮はあまりに不可解で、あり得ない難事件に頭を悩ませつつ廊下を歩きながら考えていた。

 

斎藤社長とミヤコ夫人の事情聴取は終わっており、アイへの事情聴取も予定していたが昨日の起こった女優毒殺事件のせいで取り止めとなり今日、事件によって一時活動休止とせざるえなかったアイに本人の許可を取り次第、改めて事情聴取をするつもりだ。

 

「やはり、彼に頼るしかないか……」

 

目暮の頭に過った頼る相手とは工藤優作、推理小説家だ。

 

闇の男爵(ナイトバロン)シリーズの様な世界的な人気作品を生み出しており、その頭脳による推理力は推理小説家に相応しく、数多くの難事件を解決しており、目暮は今回の謎めいた事件を優作の力を借りようかと考えていた。

 

目暮は警察官として情けないと溜め息をついた時、通り掛かった二人の婦警が歩きながら話していた。

 

「この前のツイッターの写真見た?凄いよね!あのアイに"そっくり"なんだよ!」

 

「見た見た!でもこれ、本人の許可を取ってない写真だよね?肖像権侵害だよ」 

  

「まぁね。でも、その件で確認しようにもその盗撮された"アイ似"の子との連絡の手段が分からないのよねぇ」

 

「不思議だよね。これだけ有名人のアイと似てたら普通、すぐに見つかるのに。まぁでも、どう見てもアイ本人だとしか思えないし、担当も苺プロの方に連絡を入れてみるそうだよ」

 

「(アイにそっくりな子だと……?まさか!?)」

 

目暮はこの時、ある可能性に気付いた。

 

アイは一人ではなく、二人存在するのではと。

 

正確にはアイにとてもよく似た誰かが存在し、その人物がカミキヒカルを殺害したのではと推測した。

 

それならば時間的にも余裕が出来る可能性があり、全ての辻褄が合う。

 

「き、君達!ちょっと待ちたまえ!」

 

目暮は詳しく聞く為にも大急ぎで話していた婦警の二人を呼び止めた。

 

それが今まで隠れていた闇の一部を解き明かす事になるとは知らず。

 

~side終了~

 

東都タワーがよく見える道路を走るジンの黒のポルシェ356A。

 

その助手席に座るのは金髪美女に変装した私、運転席で運転するのはジン。

 

普通の人が見た感じではかなり希少価値のある車に乗る男女と言った所だけど……今はそれを気にしたりする所じゃないんだよね。

 

「ねぇ、まだなのジン?」

 

「黙れ。ちッ、ついてねぇぜ……ウォッカが風邪を引いちまったから仕方なく代理でお前を連れて来たらこんな時に限って怪我をしやがって。車内を血で汚すなよ?後始末が面倒だからな」

 

私は今、左腕辺りをちょっと怪我しちゃった。

 

いや、少しジンとドンパチしてて相手の弾がかすっちゃって……そこから血がドバドバと出てきちゃったから仕事帰りに組織の息の掛かった病院に直行中の状態になっちゃった。

 

私は怪我の箇所をハンカチとかで塞いでるけど出血が少し酷くてすぐに押さえているハンカチを真っ赤にしてしまう。

 

これでもし、ジンの自慢のポルシェ356Aに血の痕を付けようものなら……ジンの拳骨が飛ぶ。

 

それだけジンのポルシェ356Aに対する拘りは凄まじく、任務の際で自分の車を使う時があれば絶対に乗ってくる程だから。

 

最初は目立つのに何で乗ってくるのって私が聞いたら。

 

「ふん。何時か分かるさ」

 

としか言ってくれなかった。

 

他の皆にも聞いたけど皆も拘りがあって、絶対にこれに乗るって言う感じの人の方が多かった。

 

取り敢えず怪我の治療をしてそれからアイ達の所に帰る……あ、駄目だ。

 

この傷をどう説明したら良いのか分からない。

 

「どうしようジン!この傷をアイ達になんて言い訳すれば良いの!」

 

「知るか!いや、待て分かった。だからその携帯をしまえ……ベルモットに言うな」

 

私が泣きながら携帯を取り出して見せるとジンはタジタジになりながら私に携帯をしまう様に促し、ベルモットには何も言うなと言う。

 

これには訳があってだいたい6歳の頃、ジンのせいじゃないけど私が泣いてたらベルモットに鬼の形相で怒られてたのが原因。

 

因みに私が泣いてた理由は忘れた。

 

一時間にも及ぶ正座でお説教を受けるなんてシュールな姿は私と最初からジンの側にいたウォッカしか知らないジンのトラウマとして今もなお、焼き付いてるのか私が泣き顔(嘘)をして携帯を出すとジンは滅茶ビビる。

 

あのジンがビビっている程にベルモットのお怒りはとても怖いと言う事なのだとあのジンが対象だと嫌でも理解出来る。

 

まぁ、確かにあまり怒ったりしないからねベルモットって……あまり怒ったりしない人程、怖い人はいないとはこの事ね。

 

「取り敢えずどうしようか……?」

 

「あれだ。階段から落ちた事にしておけ」

 

「いや、無理でしょ!?打撲とか骨折なら分かるけどこれ、銃の傷だよ!?」

 

「なら、何かしらの破片が飛んできてカスッたとか」

 

「それどんなシチュエーション!?何の破片が飛んできたらこんな傷になるの!?手榴弾の破片でも飛んできたって言うつもり!?」

 

「もう面倒くせぇ!文句を言うなら自分で考えやがれ!」

 

ジンにそう言われた私は思考の海に入った。

 

『アイ。帰ったよぉ~』

 

『あ、お帰り……どうしたのそれ!?』

 

『あ~……あれよ。野球選手のスッゴい豪速球が偶然、飛んできて』

 

『いや、おかしいよね?』

 

『だよね~』

 

このやり取りのシミュレーションを私は終えた。

 

「駄目だ!もうアイディアが無い!」

 

「馬鹿か!独り言で漫才みたいな事を言いやがって!」

 

「え?言ってた?」

 

「よーく聞こえたとも……あまりに幼稚すぎる理由に笑っちまいそうになったぜ」

 

ジンはそう言ってるけど眉間がピクピクと動いてるから爆発寸前になってるのは間違いない。

 

私とジンと車内でワイワイと言いながら都合の良い言い訳を相談し合う中、やっと病院に着くとすぐに治療された。

 

言い訳については……病院側があまりに優秀過ぎる医者がいたせいで出血が止まって尚且つ目立たなくしてくれて全部無駄になった事で私とジンは二人で疲れる羽目になった。

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