黒の組織の幹部だけど有名アイドルの双子の姉妹なんです   作:黒っぽいアイドル擬き

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原作開始
ゴールデン・アップル ~前編~


退院の日、私は病院を出てからはスカーレットの車、赤のシボレー・カマロの助手席に乗って試し撃ちの出来る射撃場に向かっていた。

 

私の中では少し寝ていた程度だけど、入院している期間が3年ともなると何れだけ衰えたのか分からないから。

 

「良い車ね。高かったでしょ?」

 

「はい。ですがこの車を見た時、とても魅力的に見えまして」

 

「……組織の人間は車好きね」

 

私は呆れながら車に揺らされる中、二時間後、射撃場に到着し、私は早速、中に入って拳銃を借りると位置に着いた。

 

「貴方も何れだけ出来るか見たいからこれを持って構えて」

 

「はい」

 

私は適当に借りたベレッタナノを手渡すとスカーレットはベレッタナノを構えると何発か的に向かって発砲。

 

スカーレットの撃った人形の的に真ん中に四発、肩と腹部辺りに一発ずつ当てた。

 

「へぇ……扱いやすいのを選んだけど結構、当てるのね?」

 

私は感心しながら借りたスプリングフィールドアーモリーを構えると何発か撃ってみたけど……。

 

「……駄目ね」

 

真ん中に当たらず、肩とか腹部辺りに命中するばかり。

 

本来なら急所を一発で当てられるくらいだったのに……鍛え直さないと。

 

私はこれからが大変だと思っていると、携帯が鳴った。

 

「はい?」

 

《私よ。シャロンの方でね》

 

「あ、お母さん。どうしたの?仕事?」

 

シャロンの方のベルモットが退院したての私にわざわざ連絡を入れると言う事は任務かな?。

 

《まぁね。貴方、今夜は空いてるかしら?》

 

「うん。空いてるけど?」

 

《そう。なら今夜、ちょっと付き合って貰えるかしら?今日、有希子が息子さん達と一緒に来るのよ。その日だけど今夜はちょっと難しい任務もあるし、貴方にも手伝って欲しいのよ》

 

「良いけど内容は?」

 

《ライ。赤井秀一の殺害よ》

 

私はそれを聞いて彼がアメリカにいる事に驚いた。

 

ライこと赤井秀一は宮野明美が引き入れ、徐々に功績を挙げて組織の幹部に成り上がった男。

 

彼が裏切り者……FBIの一員である事が入院中にスカーレットの口から伝えられた。

 

組織随一の狙撃の腕を持つ男で、私も一回手を貸して貰おうとしたけど、ジンがライに睨みを効かせてしまい、話す機会すら得られなかった。

 

でも、あの時のジンの行動は今、思えばライがNOCだと見抜いたうえで疑う事をしなかった私を近寄らせなかったのだと思うと寒気を感じる。

 

もし、あのまま信頼して赤井の意のままに動く様になってたら……今頃、捕まってるか、死んでた。

 

「……それで?赤井は何処にいるのか分かってる?」

 

《分からないわね。でも、私を囮にして彼を炙り出すわ。詳細は合流して作戦の開始前から伝えるから今夜、よろしく頼むわね?》

 

「分かった。また今夜ね」

 

私は携帯を切ってしまうと一息ついてからマガジンを交換してスプリングフィールドアーモリーを構えて連発で撃った。

 

「……やっぱり、駄目だね」

 

結局、当たったのは肩とか腹部辺りで、頭とか真ん中に当たらずに終わった。

 

「スカーレット。仕事だよ」

 

「仕事ですか?」

 

「まぁね。……裏切り者の始末よ。取り敢えず、適当に時間を潰しておこうか」

 

私はそう言って、射撃の腕だけは取り戻しておこうと時間を潰せるだけ的撃ちに興じる。

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太陽が沈んだ頃、私はベルモットの元に向かう為にスカーレットの運転するシボレー・カマロに乗っていた。

 

退院したてで前まで学生だった私が当然、車なんて持ってる訳がなく、スカーレットの車を頼りにするしかなかった。

 

マンハッタンの夜景が輝いている中、私達はベルモットとの待ち合わせ場所に着いた。

 

「丁度良い時に来たわね。エミリーの格好もちゃんとしてる」

 

「この姿もかなり、久しぶりだから窮屈だよ」

 

今の私はシャロンの娘、エミリーとしての顔で此処に来た。

 

まぁ、有希子さんとの面識がエミリーしかないなら仕方ないとは思うし、ユメは日本では4年前に亡くなった事になってるから矛盾が生じない様に隠すのは当然だしね。

 

「スカーレット。貴方は近くで待機なさい。良いわね?」

 

「了解。では、また後で」

 

スカーレットはそう言ってシボレー・カマロを発進させて去ってしまうのを見送ると、ベルモットは大きな鞄を手にしていた。

 

「何それ?」

 

「これ?ふふ、これはね……ちょっとしたサプライズよ」

 

ベルモットはそう言って、悪戯を思い付いた悪い女性の顔で微笑んだ。

____________

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午後の6時を過ぎた辺り。

 

私は準備してくるって言って離れたベルモットよりも先にブロードウェイのファントム劇場で行われるニューヨークで人気の"ゴールデン・アップル(金の林檎)"って言う舞台を一緒に見る筈の有希子さん達を集合場所で待っていたけど……。

 

「遅いな……」

 

時間はもうすぐ、7時前になろうとしている。

 

「もしかして……サマータイムの事を忘れてるのかな?」

 

サマータイムは夏時間制度と呼ばれ、アメリカでは4月から10月まで全国の時刻を標準時よりも1時間、進める制度。

 

そのサマータイムの事を忘れて有希子さん達は遅刻しそうになってるんじゃないかと思っている。

 

いや、別に開演までかなり余裕があるけどベルモットが有希子さんに開演1時間前に来れば楽屋を覗かせるって言う約束をしたみたいだから……間に合わなかったら御愁傷様ね。

 

私はもう間に合わないって確信した時、目の前にジャガーEタイプが止まった。

 

「ふぅ……ジャスト1時間前……て、あら!エミリーじゃない!久しぶり!」

 

「え、えぇ……お久しぶりです。相変わらず無茶しますね」

 

有希子さん……もしかして、猛スピードで走らせて来たのかな?

 

私はあまり、交流は無いけどスカーレットが影武者として立っていた時は時より交流があって、何だも買い物やら何やらと連れ出されたらしい。

 

その時に有希子さんの無茶な運転があったりしたらしく、スカーレット曰く、「楽しかった」と目をキラキラさせてたのは流石に引いた。

 

「分かる?やっぱり、アメリカ最高の名探偵は分かっちゃうわね~!て、やっぱり問題あったか」

 

有希子さんの視線にはパトカーがあり、警官は律儀に私との会話が終わるのを待ってたのかニコニコと笑顔で立っていた。

 

「ごめんなさい。職務があるならどうぞ」

 

「え、エミリーちゃん!」

 

「はっはは!では、遠慮なくそうさせて貰うよエミリー。そこの車の人、免許証と登録書を出して!」

 

有希子さんの無茶な運転を追い掛けて来たんだろうな。

 

だって、この辺りはベルモットの工作で通り魔を追う、警察官とパトカーで溢れ返ってた所だったんだから。

 

有希子さんが困ってるけど自業自得……でも、他ならぬベルモットの親友だし、助け船を……あら?。

 

「きっと何かの事件で会ったんだよ……彼女はエミリー君、同様に我々の仲間なんだから……」

 

「警部?」 

 

此処でまさかのレッドウッド警部?。

 

あれ、此処の近くにはいないって情報はちゃんと掴んでたんだけど……まさか……!?。

 

暫く、レッドウッド警部?が警官の人と話して適当な理由を言って帰してしまうと、私はレッドウッド警部に呆れながら答えを言う事にした。

 

「何やってるのよ、お母さん?」

 

「え?お母さんって……まさか!?」

 

私の導き出した答えに有希子さんは驚いていると、レッドウッド警部?は微笑んだ。

 

「ネタバレが早すぎるわよ、エミリー。まぁ、良いわ。久しぶりね有希子」

 

そう言いながらレッドウッド警部?は顔を引っ張ると破け、その下からシャロン=ヴィンヤードとしてのベルモットの顔が現れた。

 

「シャ……シャロン!?どーして?」

 

「さっきの警官。私のファンでね、貴方を待っている間、立ち話してたら無線が入ったのよ。銀色のジャガーが馬鹿げたスピードで此方へ向かってるってね。それで機転をきかせてエミリーに先に行かせた後、彼に変装したってわけ。感謝してよ?結構したんだからこの男物のコート」

 

「(うわぁ……嘘ついてる……)」

 

分かれる前に事前に変装道具一式を持っていたのに警官から無線を偶然、聞いたからレッドウッド警部に成り済ましたって事にしてる事に私はベルモットをジーと見てたら頭を軽く叩かれた。

 

……理不尽だ。

 

「でも……大丈夫?皆見てるわよ?」

 

「問題ないわ。皆には映画の撮影だと言っておいたから。エミリーが特別に出る所だってね」

 

ベルモット……私を出汁にしたわね?

 

私は不貞腐れているとベルモットが微笑みながら頭を撫でてくれた。

 

あの時の理不尽な一発はこれで許します。

 

「もー!シャロン、エミリーちゃん大好き!」

 

「なぁ、母さん……教えてくれよ。何なんだこの人達……?」

 

「新一、知らないの?アメリカの大女優とその娘さんよ!」

 

「新一?」

 

工藤親子のお連れさんの毛利蘭さんの口から出た、その名前を聞いて私は何処かで聞いた様な気がして記憶を探ってみる……。

 

あ、思い出した。

 

有希子さんの子供で工藤新一。

 

昨日の新聞の一面を飾った探偵のルーキーね。

 

「だーかーらー……何でその大女優が他人に変装できるかって聞いてんだよ!!あと、そこの奴は警官に遠慮されてたし!!」

 

「あら、前に話さなかった?私がまだ女優に成り立ての頃、女スパイの役が回ってきて、役作りの為に有名な日本のマジシャンの所に弟子入りして変装術を教わったのよ。その時にシャロン似た様な役の為に来てて仲良くなったってわけ!」

 

へぇ……ベルモットに変装術の師匠がいたんだ……その師匠からベルモット、ベルモットから私に教えが伝わったと思うと、そのマジシャンの師匠が哀れに思えてしまう。

 

だって、教えた変装術が犯罪に使われたりしてるんだから。

 

因みに、スカーレットもベルモット仕込みの変装術を身に付けてるけど、声色の変化は変声機無しだとギリギリで"女性"しか出来ないらしい。

 

「エミリーちゃんはシャロンの娘さんでね。私と優ちゃんがアメリカに住んでからシャロンの所に遊びに行った時にね。優ちゃんが連れてきたその時に知り合ったのよ。この子ね、こう見えても探偵なの。優ちゃんが連れてきたその日も事件があって、あっという間に解決しちゃったって優ちゃん褒めてたのよ。その日からエミリーちゃんとも交流を持つ様になったってわけ!エミリーちゃんは凄いのよ?何たってアメリカの難事件の大体はこの子が解決してるから警察の人達は皆、頭が上がらない名探偵なのよ」

 

「探偵だって!?しかも父さんが褒めてた!?」

 

有希子さんの長々とした説明に新一は驚いてるけどそんなに驚く?。

 

「私が探偵だとそんなに驚くかな……?まぁ、優作さんは凄い人だって言うのは知ってるけど。それよりも君、ルーキーの子だよね?」

 

「ルーキー?」

 

私がルーキーだと言うと新一は顔をしかめちゃったから私は何故、ルーキーなのか理由を言う事にした。

 

「人から聞いた話だから不確かだけど。貴方は旅客機でなかなか鋭い推理をしたそうだけど所々、手探りな所があったそうじゃない?凶器の所在も危ない橋を渡ったり、決定打が欠けてたり。良い推理をするけど初めてなのよね?自分だけでやる推理に以下の所があったとすれば……貴方はまだ推理に慣れていないルーキーだと言う事になるのよ」

 

私がそう説明すると新一はちょっと、不貞腐れてしまった。

 

そんなにルーキー呼ばわりが嫌だったのかな……まぁ、まだ新人の探偵であるのには変わらないけどね。

 

「でも素敵!ニューヨークでこんな有名人達と会えるなんて!神様に感謝しなきゃ」

 

蘭さんはそう笑顔で言った時、私はベルモットの表情の変化に気付いた。

 

さっきまで笑っていたのに無表情になってる……。

 

こう言う時のベルモットは何処か遠くを見つめ、哀しんでいる様に私は感じる。

 

「この世に神様なんているのかしら?」

 

「え?」

 

ベルモットの突然の問いに蘭さんは戸惑ってしまっているのに、ベルモットはそのまま会話を続ける様だ。

 

「本当にそんな存在があるのなら……一生懸命に生きている人間は誰も不幸にはならないんじゃない?そう……私にエンジェルは微笑みかけてくれなかったもの……エンジェルは微笑まないけど、微笑んでくれるのは唯一、この子だけ」

 

ベルモットはそう言って、私のに視線を向けたけど、その微笑みは本当に哀しげで、切ない微笑みだった……。

 

 

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