黒の組織の幹部だけど有名アイドルの双子の姉妹なんです 作:黒っぽいアイドル擬き
私はこの前から手に入れたシェルビーGT500を思う存分に運転していた。
パワフルで力強いエンジンは何処までも私を連れて行ってくれる……このままずっと走って様かなって思ったけど今回は人と会う約束があるから残念ながら出来なかった。
私は今回はエミリーではなく、何処にでもいそうな普通の女性に変装して目的地の待ち合わせ場所の喫茶店まで来て、駐車場にシェルビーGT500を停めると人気の無い喫茶店の中に入った。
「いらっしゃいませ。お一人様で?」
「いえ、待ち合わせです。えーと……あ、いた。あの人とです」
そう店員に言うと私はすぐに待ち合わせをしていた人物の元へ向かい、向かい合う形で座った。
「お待たせ。明美さん」
「え?あ、あぁ!影美さん!大丈夫よ。私も着いた所だから」
しまったな……会う時の用の偽名しか言ってなかったから私を見ても一瞬、分からなかったらしい。
次はちゃんと容姿も伝えないとね。
「ややこしくてごめんなさいね。それで相談って?」
「えぇ……実は……」
私が今回来たのは明美さんから相談があるって連絡を貰ったからだった。
明美さんとは私がまだ、子供だった頃からお世話になったり、たまに怪我して帰ってきたら優しく手当てしてくれる私にとって、姉の様な人だった。
まぁ、本当の妹の志保がいるから私はちょっと、遠慮した距離を保ったりしてるけどね。
「私……組織を抜けたいってジンに言ってきちゃった……」
「ブフゥッ!!?」
私はそれを聞いて出された珈琲を思いっきり吹き出した。
いや、それよりも何やってんの!?。
ジンに対してなんて事を言ってくれるのよ!。
「正気なの明美さん!?」
「正気よ。私、もう組織に着いていきたくない……あの人の事と肩身も狭いしね……妹と一緒に組織を抜けたいってジンにね……殺される覚悟でね……」
「明美さん。今ならまだ遅くない。私が取り持ってあげるから今からでも取り消そうよ」
「10億円……」
「は……?」
「10億円を奪う仕事をジンを通して組織から与えられたの……きっと、失敗するのを見越しての事だけど成功すれば私と志保は組織から抜けても構わないって」
「馬鹿!……そんなの嘘に決まってるでしょ。失敗しようが、成功しようが殺されるに決まってる……」
私は今まで他の末端達と比べて遥かにぬるま湯につかってきた明美さんのあまりにも無謀な仕事を受ける事は反対だった。
そう……彼女は組織の中の末端達の中ではあまりにも優遇されていたと言っても過言ではないくらいに監視付きながらも自由な生活を送れていた。
大学に通って友人を作って、旅行に出掛けて……組織の仕事らしい仕事も特に送られなかった。
これには私と同じ幹部の志保の影響もある。
志保は組織の重要人物として扱われていて同じ幹部の私なんかよりも待遇も警戒も遥かに違う。
重要人物の立ち位置にいる志保が組織への反感をあまり持たせない為に明美さんは他の末端よりも特別扱いになった。
まぁ、その厚待遇の裏は志保への人質の意味もあるけどね。
それはともかく……明美さんはわりと前からいる末端なのにほぼ素人同然……勝ち目の無い賭けにしかならない。
「考え直してよ……私が必ず守るから……」
「私……決めたから……例えどんなに小さな賭けでも希望がそこにあるならね……貴方だって、妹さんの為なら何だって出来るでしょ?私だって、志保の為なら何だってやっちゃうんだから」
私はそれを聞いて明美さんの顔を見ると微笑みを浮かべているけどその顔は苦難に立ち向かおうと覚悟を決めた姉としての顔だった。
明美さんのその言葉と微笑みに私は……。
「……負けたよ……どうして欲しいの?」
「貴方が使えると思う人を二人だけ紹介して欲しいの。腕っぷしのある人と運転の腕がある人。この二人だけ」
「策はあるの?10億ものお金を運ぶんだから相手もかなり警戒してると思うよ?」
「問題無いわ。私には必勝法があるんだから」
明美さんはそう言って笑って見せるけど顔に不安の表情が出てる……とても心配だった。
「分かった。紹介するだけならジンだって文句は言わないだろうしね。お願いだよ明美さん……絶対に成功させてよ?成功させて、自由になって、私ともう一度さ……志保と一緒に美味しい物を食べよう」
「うん。約束する……その時は奢ってよ?」
「年下に奢らせないでよ。もう……」
私はそう言うと明美さんは笑い出し、私も笑った。
明美さんとはもう長い付き合いだな……まるで本当の姉の様な人で、何処までも気を許してしまいそう……あ、志保は私の妹分だからね?。
明美さんと志保が羨ましいな……監視付きでもたまに堂々と会える関係だもん……私と違って。
私もアイやアクア、ルビーと普通に会いたい……でも、会えない……家族として接してあげたい……でも、駄目……とても叶わない夢……そう例えるなら。
"星が存在しない夜空の儚い虚空の夢"
星が存在しない夜空は夢を全て消し去って虚空に戻す……只、闇しか産み出せない私にはお似合いの立場……手が届く距離であっても届かない……二度と……。
私と同じ思いを抱かせない為にも明美さんを助ける。
私は二度と仮初めの姿でしか家族に触れられないかもしれないけど、明美さんは違う。
まだ、家族でいられる。
「必ず条件に合う人を見繕うよ。絶対に」
「うん。ありがとう。あ、いけない!私、抜けてきちゃって!ごめん!お金置いておくから払っておいてね!じゃあ、よろしくね!」
明美さんはそう言って慌てて帰ってしまい、残された私は優雅に珈琲をゆっくりと飲んだ。
……苦い。
私はそう思いながら近くで会話を聞いていた組織の監視に付いていた末端の人に命令する。
「適当な人材のリストを作って頂戴。何か言われても私の命令だって言えば良いから腕っぷしのある人と運転技術のある人を中心に集めてね」
私がそれだけを言うと末端の人は監視していた席から立ち上がってその場から離れた。
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私は組織の拠点の一つで命令して持ってこさせた人材のリストをパラパラと捲りながら誰が適しているのか考えながら選んでいた。
思考に耽る中、頭に軽く衝撃を覚え、私は振り返るとそこにはジンがいた。
「何してやがる?」
「何って……明美さんの仕事を一緒にやる人を紹介しようと思って探してるだけだけど?」
「分かっているのか?手を貸す事はあの方も組織も許していない。今すぐ手を引いて忘れろ」
「別に私が手伝うんじゃないから問題ないよ。確かに手を貸すなよって言う雰囲気だったけど明確には言われてない。でも、手を貸したら私の手柄とかにされて明美さんは自分の仕事も満足に出来ない役立たずとして始末されかねない。だから、人材派遣で済まそうとしてるんだよ?……万が一に成功してもいちゃもんを付けられない為にね」
「ふん……テメェは何も分かっていねぇな……例え成功しても志保は抜けさせやしねぇし、明美が死ぬのは確定している。貴様もよく分かっているだろうによ。それが組織のやり方だ」
分かっている……私は明美さんが仕事を完了させて生きて会えるなんて思っていない。
でも……。
「最後の手向けくらいはしても良いでしょ?」
私はそう言って笑って見せるとジンは鼻で笑った。
何をやったって自分の予想は覆らないとばかりに高を括っているジンに私は悪戯っぽく微笑んである事を持ち掛けた。
「賭けをしない?」
「賭けだと?」
「そう……賭けよ。もしもよ。もしも、明美さんが10億を奪うのに成功して持ってきたらさ……明美さんを逃がしてあげてよ」
「明美だけか?」
「出来たら志保もね」
「ふん。考えておいてやろう……それで?貴様が賭けに負けたらどうするつもりだ?」
「私が明美さんを殺す。嘘は言わない」
私の言葉にジンはその言葉を待っていたとニヤリッと笑い、私も負けじと微笑んでやると。
「良いだろう。だが、賭けの成立条件はあくまでも10億を持って来るまでだ。それで構わないな?」
「えぇ、勿論。悪魔はね……契約はちゃんと守るものなんだよ」
「悪魔だ?あぁ、下らねぇ組織の末端共の噂か。お前はどちらかと言えば犬だろ?」
「誰が犬よ。FBIの連中が勝手に言ってるだけじゃん」
「たまにはFBIも良い事を言うもんだ。ベルモットに常にまとわりついてやがるお前にはお似合いだろうよ」
言わせておけば……!。
私は微笑えみながらジンを睨み付けているとウォッカが来た。
「時間ですぜ兄貴!……二人で何やってるんで?」
「なーに。からかってやっていただけだ。じゃあな、ワンコ。忘れるなよ?」
「誰がワンコよ!!」
「わ、ワンコ?」
ジンにワンコ呼ばわりされた私は絶対に吠え面をかかせてやるって決め、リストを見ながらブラック・デビルって言う銘柄のタバコを一本取り出して鴉が描かれたジッポライターで火を点けるとゆっくりと煙を吸った。
「え?シンフォニーお前、何時から喫煙を?」
「アメリカから帰って来る前の1年前からだけど?それがどうかしたの?」
「あ、いや……意外過ぎて驚いただけだ」
ウォッカはそう言って、そそくさと先に行ってしまったジンを追って行ってしまった。
私は気にせずに喫煙をしながら適当にリストを捲っていると二人の人物に行き着いた。
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私はすぐに明美さんに連絡を入れて呼び出した。
待ち合わせ場所の夜のバーのカウンター席に座りながら私はニコラシカって言うカクテルを飲みながら静かに待っていると。
「お待たせユメ。待った?」
「ううん。私もちょっと前に来た所だよ」
私はそう言って隣に座る様に促すと明美さんに私が選んだ二人の情報を渡した。
「それが私が選んだ人だよ。要望に十分に合うと思うけど……計画を立てていく過程である程度は練習した方がいいかもね」
「ありがとうユメ。貴方には頭が上がらないわね」
「ミストレス。この人にブラッディメアリーをあげて頂戴?」
「かしこまりました」
このバー……
ミストレスは私の注目を受けると手慣れた手付きでブラッディメアリーを作って明美さんの前に差し出した。
不思議そうにブラッディメアリーを見る明美さんに私は説明する事にした。
「カクテルにはそれぞれに言葉があるそうだよ?このブラッディメアリーのカクテル言葉は断固として勝つ、私の心は燃えているって言う意味があるの」
「へぇ……それって私の計画が上手くいきます様にって言う験担ぎ?」
「うん。さぁ、飲んで。今から出されるカクテルは全部、私の奢りだから」
私がそう言うと明美さんはブラッディメアリーを飲むと良い笑顔を見せてくれた。
「美味しいわね。今から出されるって言う事は他にも?」
「うん。ミストレス。ダイキリをお願い」
私がそう言うとミストレスは作業に入り、私達が待っているとダイキリが作られ、明美さんに差し出された。
「ダイキリ。希望って意味。貴方は無謀な賭けをする。負けるかもしれない。でも……希望を捨てちゃ駄目だからね」
「うん……希望……か……確かに今の私って絶望的だよね」
明美さんはそう言ってダイキリを飲み、私はジンとの賭けを思い返す。
"私が明美さんを殺す。嘘は言わない"
その言葉は現実になるかもしれない……。
「ミストレス。カミカゼをお願い」
私は次のカクテルを頼んだ。
暫くしてカミカゼが明美さんの前に差し出された。
「カミカゼ。貴方を救うって言う意味。日本語だけど考案者はアメリカ人なの」
「カクテルって不思議ね……色々な言葉があって、出すだけで意味が分かるもの」
明美さんはそう言ってカミカゼも飲んでしまう。
「そうだね。次は」
「セプテンバーモーン」
「え?」
「貴方の心は何処に?……そう言う意味のカクテルよ」
「どう言う意味でそれを?」
「貴方は本当に……私の味方なのかなって?」
明美さんは微笑んでいる……でも、目が笑っていなかった。
「何言ってるの……私は」
「デニッシュメアリー。……貴方の心が見えないって言う意味のカクテル。今の私には貴方の心が全く分からないの……駄目ね……友達の事を疑うなんて……」
「ごめん……そんなに追い詰められてるなんて思ったらなくて……」
「謝らなくても良いわよ。ごめんなさいね。忘れて頂戴」
明美さんはそう言って力なく微笑む姿に私はいたたまれなくなり、一つのカクテルを口すさんだ。
「カルフォルニアレモネード」
「……その意味は」
「「永遠の感謝」」
私と明美さんは同時にカクテルの意味を答えると二人で笑いあった。
「貴方が感謝なんて珍しいわね」
「そんな事ないよ。私はね……明美さんには感謝で一杯なんだよ?ライ……
「あはは……ありがとう、ユメ。でもね……大君の事を……許してあげてくれないかな?」
「え?何で?」
「何でもなにも……ね……」
「……まだ、愛してるの?」
私のその指摘に明美さんは頷くと私は溜め息をついた。
「ニコラシカ」
「え?」
「決心、覚悟を決めて……今の貴方に最も相応しいカクテルかな。貴方の強い決心、誰かの為の覚悟。この二つを持ってる貴方の思いが無事に叶います様に……なんてね」
私はそう言って笑って見せた。
お願いだから強奪を成功させて10億をちゃんと持ってきてよ……明美さん。
そうじゃなきゃ……貴方、確実に私に処刑されるから……。
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辛気臭い話しを止めて明美さんと飲み明かしてから数日、遂に運命の日が訪れた。
明美さんはなんと10億円を奪う事に成功したらしい。
だけど多くのトラブルが起きて仲間の一人が持ち逃げして10億円を失いそうになったそうだけどなんとか奪回したらしい。
その際に持ち逃げした仲間をもう一人の仲間が殺したって言うけど……自業自得だから良し。
奪ったとは言え、持ち逃げした10億円は既に組織のお金。
その持ち逃げした奴は組織のお金を奪ったも同然だから死んでも文句は言わない。
「この賭けは私の勝ちだね。ジン」
「あ、兄貴……」
私は受け渡し場所である港でジンにそう言って勝ち誇って見せ、ウォッカは不安そうにしていた。
このまま行けばジンが約束を守る……か、分からないけど明美さんを見逃す予定だ。
お願いだからいるか分からない神様……明美さんがちゃんとお金を持って来て尚且つ、明美さんを見逃す約束をジンが守ってくれる様にして頂戴。
無言のジン、オドオドするウォッカ、ニコニコと笑う私。
知らない人が見たら何だこれって思われるのは確実な状況の中、明美さんがやっと来た……あれ?
明美さんの手の内にある筈の10億が何処にも無い?。
いや、そんな筈は……そうか!。
あれはかなりの大荷物だから生き残ってる仲間に持たせてるんだよね!。
そう……だよね……?。
私はジンの方をチラ見するとジンの顔は……笑っていた。
「ジン……貴方、何をしたの?」
「何もしてねぇよ。只、仲間の一人を眠らせたいって言うもんだからよ……永遠に眠らせられる薬をやっただけだ」
ジンのその言葉に私は全てを悟った。
明美さんはまた持ち逃げや殺されて奪われるを避ける為に仲間を眠らせようと睡眠薬をよりにもよってジンに貰ってしまったんだ。
睡眠薬が毒薬に……それを知らずに使った明美さんはジンに対して疑心暗鬼になった事で……。
「10億を隠した……」
「やりやすい女だぜ。少し嘘をついただけでこの有り様だ。お前は裏で色々してやってたって言うのに浮かばれねぇな」
その言葉に私はジンを睨み付けるけどその不敵な笑顔は消えなかった。
「約束だぜシンフォニー。お前が明美を殺せ……良いな?」
「……分かった。結局、形が変わるだけだしね」
覚悟はしていた……組織が簡単に明美さんの死を諦めるとは思っていない。
落ち着いた所を狙って刺客を送り込むかもしれない……敢えて生かして志保への人質の様な状況を続けるかもしれない……只、結局の所は……明美さんの組織を抜けると言う行為は甘過ぎた。
私は明美さんを殺す覚悟を決めると私達は明美さんの前に立った。
「ご苦労だったな……広田雅美……いや、宮野明美」
「ッ!?ユメ……!」
私の存在に気付いた明美さんは驚いていたけど、私は黙ってワルサーP99の銃口を明美さんに向けた。
「ごめんなさい……どうしようも出来なかったんだ……」
「そう……そう言う事だったのね……最初から貴方は……」
「いや……貴様が蹴ったんだ。唯一、生き残る為の道をな」
私はそれを聞いてジンに視線を向けた。
「下らねぇ賭けまでしてやったて言うのによ……こいつの我が儘を聞いてやったらこれだ。毒薬を渡しただけで疑心暗鬼……浮かばれねぇよな?」
ジンはそう言って私に視線を向け、暫く見つめた後、明美さんのいる位置とは逆の方向へ歩く。
「後始末は任せたぞ……シンフォニー」
ジンはそう言ってその場を去ってしまい、ウォッカもそれを追い掛けて行った。
この状況なら今すぐにでも明美さんを……いや、駄目。
そんな事をしたら流石に組織は黙らないし、ベルモットに責任問題がいく。
それにアイ達にも危害を加えられるかもしれない。
結局……詰んでいた……。
「ごめんなさい……これが組織のやり方なんだよ……」
「……私こそごめんなさい……貴方を……信じておけば……10億を持ってこさせる事が条件だったんでしょ?」
「うん……でも、賭けに負けた……私が明美さんを殺さないといけなくなった……」
「そうみたいね……出来ればあまり、苦しくしないでね?」
明美さんはそう言ってこれから死ぬとは思えない程の笑顔を私に向けると私は……。
~別視点side~
ユメと明美が対峙している頃、10億円強奪事件の犯人の一人が広田雅美こと宮野明美だと突き止めたコナンは蘭と共に港まで明美を追い掛けたが見失ってしまっていた。
「(クソ!何処だ!何処に行ったんだ!?)」
コナンは必死に明美を探し続けた時、汽笛の音が鳴り響いた所で明美を見つけた。
しかし、見つけた時には既に撃たれており、明美は血を流しながら倒れていく。
「ま、雅美さん!?」
コナンと蘭はすぐに明美に駆け寄るが出血が激しく、的確に急所を狙って撃たれたのは間違いなかった。
「蘭姉ちゃん、早く救急車を!!それに、おじさん達にも!!」
「う、うん分かった!!」
コナンの指示を受けた蘭は駆け出して行くと明美は力無くコナンに話しかける。
「む、無駄よ……もう手遅れだわ……」
「喋っちゃ駄目だ!!喋ると傷口が……」
コナンは明美が喋るのを止めさせようとするが手が真っ赤になる程に血塗れになり、あまりの出血量にコナンは呆然としてしまった。
「ぼ、ボウヤは確か……探偵事務所にいた子よね……?どうして此処が分かったの……?」
明美は血に濡れる中でも微笑みながらコナンに問うとコナンは死に行く明美に答えた。
「発信器さ……」
「え……?」
「最初に探偵事務所で会った際に、偶然貴方の時計につけてしまったんだ……それを追ってたら、あのホテルに辿り着いて……そこで貴方に遭遇した……大きな荷物を運ぶ貴方を見て、奪われた10億円を持ち去る所だと分かったんだ……」
「あ、貴方は一体!?」
「江戸川……いや……工藤新一……探偵さ!!」
コナンは明美に自分の本当の名前を明かすと明美は驚いた。
「工藤新一……!?確か……彼女が殺したって言ってた筈の……」
「彼女?」
「シンフォニー……私の友達だった人よ……わ、私を撃ったのも彼女なの……」
「シンフォニー!?」
コナンはシンフォニーと言う名前に聞き覚えがあった。
トロピカルランドで黒ずくめの男達の中に黒ずくめの女が一人、目がボヤけながらも確認し、彼女のコードネームらしきシンフォニーと言う名前も聞いていた。
黒ずくめの三人の内、判明している一人の名前が明美から出た事にコナンは驚きを隠せなかった。
「組織の……彼女の手に掛かって……ゴホゴホッ!?」
「組織……?」
「謎に包まれた大きな組織よ……彼女もそこに属した幹部……ま、末端の私にわ、分かっているのは、組織のカラーがブラックって言うだけ……只、唯一分かるのは……シンフォニーは残酷な処刑人……でも……や、優しい子だって……事かな……私……彼女が助けてくれようとしたのに……裏切っちゃったみたいで……」
明美は力無くそう言い、微笑み、涙を流した。
明美自身、何処かでユメが信じられなくなり、10億円を隠してしまった事で最終的にユメの手を汚させてしまったと考えた。
明美は血を吐き、泣く中、コナンの腕を掴んだ。
「さ、最後に私の言う事……聞いてくれる……?10億の入ったスーツケースは……ホテルのフロントに預けてあるわ……もう遅いと思うけど……」
「遅い?」
「た、たぶん……彼女の事だから……此処に来るまでの隠し場所に……す、すぐに検討をつけて……彼女が部下に……回収を命じてると……思うか、から……でも……もしかしたらまだ……回収出来る……かも………ご、ごめんだから……頼んだわよ……小さな探偵……さ……」
そう言って後の事をコナンに託した明美は……小五郎達を連れて戻ってきた蘭の到着を待たず、そのまま眠る様に亡くなった。
その後、明美の証言の元、ホテルのフロントへ警察が向かい、10億円の所在を確かめたがほんの数分前にスーツ姿の女性が預けられていたスーツケースを全て持っていってしまったと言う。
明美が港に向かったのは、何者か知れぬ受け渡し人が取りに来るホテルのフロントから引き離す為の罠で、その死は10億円と三人の人間を死に追いやった罪に耐えきれずに自殺したと言う事で幕を下ろした。
組織の影など最初から無かったかの様に……。
今も10億円の所在は分からず、事件は事実上の迷宮入りとなった。
だが、コナンだけは知っている。
10億円を持ち去ったのも、宮野明美を殺害したのも黒ずくめの仲間であるシンフォニーと言う女が関係しているのだと。
「ぜってぇ……テメェだけは捕まえてやるからな……シンフォニー!」
コナンは今だに正体が分からないシンフォニーの影を見ながら組織の壊滅とシンフォニーを必ず捕まえると固く誓った。
~side終了~