黒の組織の幹部だけど有名アイドルの双子の姉妹なんです 作:黒っぽいアイドル擬き
ドッキリ作戦と爆破事件を終え、私は帰る事になる工藤夫妻を見送る為に成田空港まで来ていた。
「それじゃあ新ちゃんをよろしくお願いね。エミリー」
「何かあれば何時でも連絡を寄越してくれ。力になるよ」
「えぇ、分かってます。彼から目を離さない様にしっかりと守りますから」
私はわりと親バカな二人にそう言って別れを告げると空港を後にする為に歩く。
その道中、私は組織との連絡用の携帯を取り出して電話した。
「……私よ。今日、志保と面会したいんだけど……うん、分かった。今から行くからね。それじゃあね」
私は適当に電話した後、携帯をしまってその場から離れた。
______________
___________
________
私は志保が監禁されている組織の研究所の一つにやって来ていた。
此処に来るのも一度や二度じゃなく、志保に会う為に何度か立ち寄ったりしてたから構造は把握出来ている。
最初は案内する為に待機していた黒服の末端の人がいたけど遠慮してそのままガス室に真っ直ぐに向かい、扉の前に立った。
「はぁ……」
「(何よ?溜め息なんてついてさ。目的地は目の前じゃん。早く開きなさいよ)」
「(煩いなぁ……分かってるよ)」
あの事件からアクムとは分裂したままだった。
もう大変だったよ……アクムが勝手に身体を動かしたりするからさ……早く元に戻りたい。
私はそんな事を考えながらガス室の扉をノックした。
「……誰よ?」
扉越しから聞こえた志保の声にちょっと安堵できた。
監禁されてるから酷い目にあってるんじゃないかな~て、思ってたから不安だったよ。
「志保?私だよ。ユメ」
「……ちッ」
今、舌打ちしたよね?。
扉越しから聞こえるくらいに聞こえる舌打ちってどんだけデカイ舌打ちよ。
「もう……入るよ?」
私は了解も得ずにガス室に入ると左腕に手錠を掛けられて近くの手すりに繋がれた志保がいた。
床に座り込んでいて少し痩せていた。
「元気だったかな志保?」
「帰ってよ……人殺し……」
「組織の人間は例外を除けば皆、人殺しでしょ?」
私はそう言って志保の隣に地べたに座り込んだ。
そこから沈黙が続いて気まずいから私はタバコに火を点けて吸ったんだけど……話が出ない。
仕方ないから私から切り出した。
「それで?反抗したのは明美さんの事?」
「お姉ちゃんを殺した癖に知らないの?」
「知らない。私は殺した相手の事をそれ以上は気にしない様にしてるからね」
私はそう言ってタバコの煙を吸うとキッて睨まれた。
まぁ、そうだろうね……誰だって殺したのに気にしないとか言われたら怒るよね。
「お姉ちゃんは貴方に殺された……それは分かってる……でも、組織はお姉ちゃんを事故として処理した……何でよ……殺したなら納得できる理由を話してよ……何で……」
志保はそう言った後、涙を流した。
事故ね……確かに事故みたいな終わり方だった。
もし、明美さんが10億を持ってこれていたら……私は賭けに勝っていた。
まぁ、今思えばジンが見逃すとは思えないけどね。
「事故って言われたら事故だって思いなさい。この組織に属してるなら命令は絶対。逆らっても無駄死によ?」
「……どっちにしたって私は殺されるわよ」
「組織は貴方の事を買ってるのよ?悪い事は言わないからさぁ……組織の言った事を認めてこれからも生涯に渡って尽くすって言えば?多少の不自由はあると思うけど命は取らないと思うしさ」
「馬鹿な事を言わないで!!貴方は何なのよ!!お姉ちゃんを殺しておいて!!知らないで済ませて!!挙げ句の果てに事故だって認めろって!!何なのよ!!!」
怒られちゃった……志保は頑固だねぇ……組織に歯向かったって自分も死ぬし、大切な誰かも死ぬ……従うしかないのにさ。
まぁ、質問には答えよう。
「何なのって……組織の幹部、シンフォニーだけど?」
私がそう言った瞬間、左の頬に痛みが走った。
右手の自由がある志保からビンタを貰ったみたい……かなり痛い。
「帰ってよ!!貴方の顔なんてみたくない!!」
志保から拒絶された……分かってたけどさ……酷い事を言ったけどね志保……貴方を守るには組織の殺意を反らさないといけない……貴方が組織に赦しを乞わないと必ず殺される……絶対に……。
「分かった分かった。帰るよ。……また来るよ、志保」
私は叩かれた頬を擦りながらそう言ったけど無視された。
悲しいね……。
私はそんな風に思いながら扉のドアノブを掴んでまた志保の方を見たけど普通に無視された。
私は溜め息をつきながら扉を開けて外に出た。
________________
____________
________
志保との面会した後、私は研究所の休憩スペースに足を運んで自動販売機に売られていたコーラを買って飲んでいたら。
「シンフォニー。貴方に……どうしたんですかその頬は?」
そこにスカーレットが来て、何か知らせがあったのか言いに来たんだろうけど案の定、私が打たれた頬を気にした。
「別に何もないけど?」
「何もない訳がない。取り敢えず湿布を持ってきますから待っていてください」
スカーレットはそう言って行ってしまい、私はそんな世話好きなスカーレットに苦笑いしていると志保に言われた事を思い出した。
人殺し。
組織に属してから常に人殺しの汚名を着てきた。
だけど……やっぱり、面と向かって言われるのはキツイ。
もし、人殺しの言葉を志保じゃなくてアイが言ったのだったら……。
「(ショックで死ぬよね~)」
「(そうだよね~)」
私とアクムの意見は同じだった。
結局の所、まだ人格が戻れていないんだよねぇ……やっぱり、落ち着いて精神統一できそうな所に行かないと駄目かな?。
「(あのさぁ……志保を殺さない?あれは言っても聞かないわよ?)」
「(馬鹿言わないでよ。私は志保を出来る限りの守るつもりよ)」
「(それこそ馬鹿言わないでよ。組織に反抗した時点で詰んでるんだから生かす意味が無い)」
「(志保は明美さんの忘れ形見なのよ)」
「(そんなの知らないわよ。組織の手厚い支援を受けておいて反抗する様な奴は死ねば良い)」
アクム……今でこそ妥協しあって生きてるけどやっぱり、貴方とは反りが合わないね。
私は怒鳴りつけてやろうかと思った時、スカーレットが戻ってきた。
「湿布持ってきましたよ?ほら、腫れた方の頬を出して下さい」
「自分で貼れるよ」
「なら、何ですぐに貼らないんですか?つべこべ言わずに出す」
私はスカーレットにそう言われね仕方なく打たれた方の頬を差し出すとスカーレットは湿布をしっかりと貼ってくれた。
「全く……宮野志保にやられたのですか?」
「まぁね……怒らせちゃった」
私はそう言ってテヘッなんて言って拳を軽く当てるポーズをしたら滅茶苦茶、呆れた様な顔をされた……げせぬ。
「説得しに行って怒らせるって何をしたらそうなるんですか?」
「それはね……ふふ、内緒!」
私はそう言って笑顔で言ったら今度は頭にチョップされた。
「聞いた私が馬鹿でした……それよりも表の顔の貴方に名指し依頼が着てますよ?」
「名指し依頼?」
名指し依頼って探偵のエミリーとしての私をご所望?。
へぇ……変わった依頼ね。
「それで?名指し依頼ってどんなの?」
「はい。何でも護衛を頼みたいとかで」
「馬鹿だねその依頼人。私は探偵であってSPじゃないんだよ?」
「貴方が前のテレビ局の事件で見せた格闘術の事を聞いたうえだそうです」
あぁ……あれか。
確かにこんな仕事してるんだから嫌でも格闘術くらい身に付くよ……キュラソー仕込みだから余計に。
「それに護衛と言う事で命も狙われているとか。その命を狙う相手……それが誰だか分からないそうですから推理力があり、護衛に適した護身術が可能な貴方に白羽の矢が立ったと思います」
「面倒臭いよ~」
「断ります?組織の方針では名声を高めておけとも言われてますけど?」
「……やります」
流石に組織の方針には逆らえないしね……面倒臭いなぁ……。
「依頼者は天才子役だと評判だった有馬かなの母親からです。日本で活動する為に作った掲示板に直接、依頼を送ってきました」
スカーレットから伝えられた予想外の依頼相手に私は驚くしかなかった。
有馬かなは昔、映画でアイが出演する条件としてアクアも出るなんて条件の中で共演した子役だった筈。
本当に数奇な運命ね……。
まぁ、仕方ない。
実績作りの為にもかなちゃんに会って守るとしましょうか。