黒の組織の幹部だけど有名アイドルの双子の姉妹なんです 作:黒っぽいアイドル擬き
キッドとの対決から暫くして私はエミリーの変装を念入りに且つ、久しぶりに喪服に着替えていた。
黒一色の服装って久しぶりだな~。
組織の重要で特別な集まりくらいにしか着た事ないよ。
「エミリー。準備出来てますか?」
「やってるよ。そっちこそ かなちゃんの準備と同時にしてるけど間に合うの?」
「早くから準備してるんですから間に合いますよ」
スカーレットも喪服になって、かなちゃんにも別室で子供用の喪服を着させている。
今回、私達は酒巻昭って言う監督の偲ぶ会に参加する為に手間隙掛けて準備していた。
私はベルモットの……クリス=ヴィンヤードの妹として参加、スカーレットは かなちゃんの保護者として参加する予定。
流石は虹色のハンカチみたいな代表作を出した映画監督と言うだけにベルモットや かなちゃんみたいな有名人達を集めて盛大に偲ぶ会を開いて貰えるなんて……知名度って凄いね。
「それにしても面倒だな~。お葬式に出てないのに偲ぶ会に参加しないといけないなんて……お姉ちゃんが来てなかったら仮病を使ってたよ」
「これも仕事の一貫ですよ?我慢してください」
「本当、エミリーお姉ちゃんって面倒臭がりだよね」
スカーレットと かなちゃんに言われて何にも言えない……まぁ、仕事の一貫ね……。
「(組織の仕事に子供連れて行くの?)」
「(仕方ないよ。かなちゃんはあの監督に気に入られて何度か使われてたみたいだし……参加しないと恩知らずみたいな感じで体裁が悪くなるよ。まぁ、大丈夫だよ。長い時間いる訳じゃない。ピスコの腕は確かなんだから)」
「(年寄りのピスコが全盛期みたいに動けたらの話でしょ?)」
今回の組織の仕事……それはピスコの暗殺の援護。
酒巻監督の偲ぶ会に乗じてターゲットの呑口重彦をピスコが殺害、私やベルモットが暗殺が発覚しない様にピスコを援護しつつ立ち回る予定。
呑口は政治家で組織の一員だったけど、しくじって収賄を露見させられて逮捕寸前。
逮捕されたら余計な事までペラペラと喋られかねないから組織は呑口に当人には伝えない死刑を宣告されたと言う事。
しくじった呑口の始末は勿論、その家族もこの世から消さなきゃいけないから忙しくなるよ。
あーあ……可哀想に……呑口にはまだ幼い孫がいるのに収賄した政治家の孫なんて汚名を着せられるだけじゃなくて命も消えるんだからね……。
「エミリーお姉ちゃん……」
「ん?なーに?」
着替え終わった かなちゃんが私の近くまで来たから笑顔で応対したら かなちゃんがスッゴく強張った顔をしていた。
「顔……怖い……」
「え……?」
私は慌てて鏡で自分の顔を見ると優しい笑顔じゃなくて殺しの時の笑顔になっていた事に気付いた。
すぐに顔を両手で揉み解して笑顔を鏡に写すと優しい笑顔になった。
「ご、ごめんごめん!お葬式でちょっと嫌な事を思い出しちゃって!」
私は慌てつつ、誤魔化しながら笑うと かなちゃんが物凄く警戒心を出してる……マジでやっちゃったよ。
「そろそろ時間……何してるんですか?」
このどうしようもない空気をスカーレットが破ってくれなかったら本気で困り果ててたのは間違いないね……次は気を付けよ……。
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一先ず、私達は酒巻監督の偲ぶ会の会場になる杯戸シティホテルへ来ると参加者として名前をサインして会場入りすれば見事に黒一色の人達で溢れていた。
「じゃあ、スカーレット。私はお姉ちゃんを探すから好きにしといてね」
「えぇ、また後で合流しましょう。かな。はぐれない様にね」
「分かってるもん」
私はスカーレット達と分かれてベルモットを探す為に周りを見ながら歩く。
直本賞の女流作家の南条三実、プロ野球のオーナーの三瓶康夫、敏腕音楽プロデューサーの樽見直哉、有名大学教授の俵芳治、経済界の大物と言われる自動車メーカーの会長の枡山憲三ことピスコ……あ、此方に微笑んでくれた。
私はなかなか見つからないベルモットに不貞腐れ始めた時、後ろから両肩を触れられた。
『エミリー』
『お姉ちゃん!』
聞き慣れた英語で言われた声を聞いて私は振り返るとベルモット、クリス=ヴィンヤードがそこにいた。
『久しぶり!会いたかったよ!』
『こら、エミリー。此処はパーティー会場じゃないんだから静かにね。私も会いたかったわ』
ベルモットはそう言って私に抱き締めてくれて私も抱きしめ返す。
『それにしてもエミリー。さっき見たんだけどスカーレットの側にいた子って……』
『人気子役の かなちゃん。今は訳あってスカーレットが引き取ったんだよ』
『それはもう聞いてるわ。上でもちょっとした話題になっていたみたいだしね。それよりもいつまで引き取り続けるのかよ?』
『……さぁね。それは かなちゃんが一人でも生きていける位の歳になって初めて考えられるから』
『エミリー。余計な私情は致命的なミスを招く恐れがあるのよ?子育ては別に構わないけど余計な情は持ち過ぎちゃ駄目よ?』
『それってお姉ちゃんも言えた事じゃないでしょ?』
『ふふ……そうね』
私は久しぶりのベルモットとの英語での談笑を楽しみながらスタッフさんからお酒を受け取って一口味わう。
うん、美味しい!。
流石は著名人達の集まる会場に選ばれるだけあってお酒が進みそう。
『飲み過ぎないでね。差し支えるから』
『大丈夫だよ。一杯だけ』
私はそう言ってもう一度だけお酒を口にしようとした時、出入口が開いたのを見た。
おかしいな……扉が開いたのに誰もいない?。
背丈が低いから見えなかった?。
そうだとしたら子供くらいか……かなちゃん……いや、スカーレットが目を離す訳がないし……。
私は思考の海の中にいた時、見覚えのある子供二人を見つけてお酒を吹き出しそうになった。
『大丈夫?』
『だ、大丈夫……』
いや、まさか……何でこんな所に……コナン君と哀ちゃん。いるの!?。
私はお酒で汚れた口を貰った黄色のハンカチで拭きながら目線でコナン君と哀ちゃんを探すけど……見失った……。
『お姉ちゃん、ごめん……私……』
「エミリーさん?」
『え?』
私は聞き覚えのある声を聞いて視線を向けるとそこには喪服と言う割りとレアな格好をしているアイがいた。
「あ、アイさん?」
「やっぱりエミリーさんだ!久しぶりだね!」
「う、うん……えーと……アイも偲ぶ会に?」
「そうだけど?社長が昔、とても御世話になったみたいで私も一度、御世話になったから参加したんだ。アクアとルビーもいるよ」
「久しぶりエミリーお姉ちゃん!」
「御無沙汰してます」
わぉ……まさかの星野家勢揃い……え、嘘でしょ?。
此処は組織の思考場であって……どうしよう……取りあえずターゲットの近くに寄らせない様にしないと……。
「エミリーさんの後ろの人って……?」
「あ、この人は私のお姉ちゃん。クリス=ヴィンヤードだよ。前に共演したの覚えてる?『お姉ちゃん。この人は私の友達のアイだよ』」
『久しぶりねアイ。ずっと前に共演して以来かしら?』
「ずっと前に共演して以来かって」
「うん!スッゴく覚えてるよ!初めてクリスさんを見た時はとても綺麗な人だなって」
流石はベルモットだね~。
人の名前を覚えるのが苦手なアイが名前を覚えてくれる事は滅多に無い。
アイが名前を覚えるとしたら……差し詰、その人に興味を示したからってとこかな?。
『また会えて嬉しいわ。前はゆっくりしている暇も無かったけど私は暫く休業するから良かったら空いた日にエミリー達と一緒に食事に行かないかしら?』
「お姉ちゃんは暫く休業するから良かったら空いた日に私達とご飯食べに行かないかって」
「うん!社長が許してくれるなら良いよ」
ベルモット暫く休業するんだ……どうしたんだろう?。
まぁ、良いか!。
ベルモットと過ごせる時間が増えるし、ベルモットだって長い休養を取りたいだろうしね。
「ママ!私も行く!」
「おい、これは大人の誘いだぞ」
あらあら、ルビーったら可愛いな~。
アクアは遠慮してるな……そこも可愛いけど子供連れはベルモットは良いのかな?。
私がベルモットをチラ見するとベルモットは微笑んで頷いてくれた。
「子供連れでも良いよだって」
「え?良いの?」
「あの……お邪魔になりませんか?」
アイは予想外だったのか驚いた顔をして、アクアは申し訳なさそうな顔をしている……アクアって大人っぽいよね。
『別に構わないわ。私、子供が好きだもの。お母さんの事、色々聞きたいわ』
「お姉ちゃんは子供が好きみたいだし、子供達からもアイの事を色々と聞いてみたいんだって」
「そうなんだ。ありがとうクリスさん!」
アイは飛びっきりの笑顔に私は顔がニヤけそうになるけど我慢した。
はぁ……とっても可愛いよ私の妹と甥っ子達は……あ、しまった!。
「ごめん!ちょっと用事思い出したからちょっと抜けるね!『お姉ちゃんごめん!ちょっと抜ける!』」
『エミリー?』
「エミリー?」
アイとベルモットの声を背に私は人混みに紛れてコナン君と哀ちゃんを探しに出た。
アイ達の事はベルモットが側にいるから大丈夫だと思う……今はコナン君と哀ちゃんを見つけて追い出さないとコナン君はともかく、哀ちゃんが宮野志保だとバレたら庇う事は出来ない。
全く……偶然なのか知らないけど余計な仕事を増やして……絶対にとっちめてやるんだから!。
~別視点side~
コナンと灰原は組織が政治家の呑口の暗殺を計画していると言う情報を手にし、杯戸シティホテルの酒巻監督の偲ぶ会に潜入していた。
数多くいる著名人達がいる中、コナンは辺りを見渡していると。
「ッ!?」
「どうしたのよ?」
「灰原、此方だ!エミリーさんがいる!」
コナンは女優のクリス=ヴィンヤードの方を見て、そこにエミリーが楽しげに英語での談笑をしている姿を目撃し、身を隠そうと動いた。
「ちょっと。彼女がいるなら協力を求めなさいよ。彼女は事情を知ってるだから」
「駄目だ!……何でか知らねぇがエミリーさんに頼れば後悔する……そんな気がしてならねぇんだ」
「何でよ?彼女は組織とは関係無いってあの時に証明されたじゃない」
「分かってるんだ……だが、腑に落ちねぇんだ……エミリーさんは本当に組織の捜査をする人間なのか?本当はシンフォニーと繋がりのある人間じゃねぇのかって考えちまうんだ」
コナンは大阪の事件以来、エミリーに不信感を持ち始めていた。
偶然、エミリーと大阪で出会い、仕事に行くと言う事で かなを預かって暫くすると事件の全容を知っているかの様に事件後に推理を披露した……コナンとしてはおかしく感じた。
まるで全ての結果を知っていたかの様に話す彼女に……事件の事を何処で聞き、どうやって情報を得たのか……最後まで分からなかった。
ただ、全てのタイミングが上手く填まりすぎたのだ。
「俺だって疑いたくねぇ……エミリーさんが……冤罪を仕組んだ可能性なんて……!」
沼淵の死、坂田刑事の自殺、郷司の逮捕。
これらの三つの出来事に関係があるとコナンは考えている。
坂田刑事の自殺と郷司の逮捕はエミリーにすぐに知れたが何時、沼淵の死まで知っていたのか?。
まるで知っているとばかりに沼淵の死も推理の一部に使っていたが、コナン達は一度も沼淵が殺された事は話していないし、服部も沼淵の殺害をエミリーに教えたのかと刑事達に聞いて回っていたが誰も話していなかったそうだ。
今、思えばエミリーは前にこう話していた。
警察の人が沢山いるけど何かあった?
そう……今、思えば不自然な質問で、彼女の事件の推理と大きく矛盾するものだった。
まるで何も知らない様な素振りから一転して全てを知っているかの様に推理していたのだ。
「くそ……!」
信じたい相手を信じられない……それはコナンにとって、初めての経験だった。
~side終了~