黒の組織の幹部だけど有名アイドルの双子の姉妹なんです 作:黒っぽいアイドル擬き
私は一先ず血の着いた喪服とウィッグを脱ぎ捨てて部屋に投げ捨てると顔や手に付着した血を洗い流した。
指紋が付かない様に蛇口を捻る際はハンカチを使って、足の指紋対策はストッキングを履いたままで血を洗い流す。
本当に生足じゃなくてストッキングを履いてきて良かったと思いながら顔を洗って、手を擦ったりしながら洗い落とし切ったけど……駄目だ……血の独特の匂いが落ちない……香水でも付けようかな?。
私はそんな事を思いながら洗い終わるとハンカチで濡れた箇所を拭いて、持参しておいた手袋をはめた。
濡れた状態で使うのは気持ち悪いし、この手袋が見つかったりしてどうして濡れているのかと追及されるのも嫌だから取りあえずはめずに拭いたけど……やっぱり、濡れた後の手にはめるって何だか気持ち悪い……。
自分の痕跡が残っていないか入念に調べてから殺した男の荷物を漁ると案の定、喪服とは違う、人の視界から逃れる為の変装用の衣服らしき物を見つけた。
「ラッキー!」
私はこれで血の付いた喪服とウィッグを処分出来るし、万が一に備えて用意した予備の喪服とウィッグを取って着替える事が出来る。
「服は良いね……後は……髪ね……」
今、使っているウィッグにも返り血が付着している……これを被ったままで移動するのは頂けない。
私は着替えながら唸って考え込む。
「うーん……仕方ない。髪をこうやって弄れば……良し!」
私は仕方なく地毛の髪を弄って男らしさを演出、此処から出てくるのは眼鏡を掛けた一般客の男性で、エミリーじゃない。
人と出会さない事を祈ろう……不可抗力とは言え、不完全な変装を見られて不信感を持たれたらキツいしね。
~別視点side~
小説家と名乗った男、比村正一は何処か緩い感じの立ち振舞いで事故ではないと言い切った事に周りの人間が驚いてざわつく。
「え、えーと……比村さんですね?事故ではなく、事件と言うのは流石に無理がありますがね?」
「確かに見てみればシャンデリアの鎖が古くなって切れ、偶然そこにいた呑口議員が偶然、押し潰されて死んだ……まぁ、僕も見ていても事故だと思いましたよ」
「だったら何故、事故ではないと言ったのですかな?」
「答えは簡単ですよ。鎖です」
「鎖?それがどうしたと?」
目暮は訳が分からないとばかりに言うと比村は三瓶を見た。
「三瓶さん。貴方は事件後、食事をしていた時……口に異物があったそうですが固さは何れくらいですか?」
「あぁ?あれか……確か、固かったな……噛んだ時に歯が欠けるかと思ったぞ。必ず此処のシェフに文句を言ってやるつもりだ」
三瓶は不愉快だとばかりに言うと比村はニヤリと笑い、そして影でコソコソと見ていたコナンに少し視線をやり、コナンはヤバいと言わんばかりの焦りの顔をしながら人混みに紛れるのを見届けると比村は手のひらに鉄屑を見せた。
「貴方の噛んだのはこいつの一部ですよ」
「ん?これは……鎖か?」
「鎖ですと?だとするとシャンデリアのですかな?」
「えぇ……シャンデリアのですよ。しかもこれは料理には入っていませんでしたが並べられている料理のテーブルの上に落ちてましたよ」
「は、はぁ……それが?」
「おかしいと思いませんか?単に傷んで落ちるだけなら遠くに置いてあるテーブルまでは飛びません。落ちるとしても天井の高さと鎖の長さを考えてみてもせいぜい、落下したシャンデリアの下かその近くになければならない。何故、料理の置かれたテーブルの上に落ちたのか……答えとしては簡単です。何か鎖を破壊するだけの威力のある何かを使ったんです。その何かを使い、鎖を破壊した事で鎖は弾け飛び、料理の置かれたテーブル、その付近にまで飛んだのです」
比村の推理に目暮は筋は通っても納得できないのか唸る。
比村はそんな目暮警部を見て更に推理を続ける。
「だとすると鎖を破壊した物が必要になります。鎖の破片を大きく弾き飛ばしてしまう様な代物で、鎖を狙って何かを飛ばす様な道具……警部さん。貴方には想像がつきますか?」
「うーむ……ん?いや……まさか!?」
目暮は自分の考えた道具に信じられないとばかりに言うと比村は頷く。
「そう……この日本には似つかわしくない品……拳銃ですよ」
比村のその言葉に会場は大きくどよめき、周りの人間同士で互いに見合い、疑い始めた。
自分の隣で拳銃を使った可能性がある犯人がいたのではと思えば無理もなかったが、そこで。
『馬鹿馬鹿しい……』
英語で言われたその一言でどよめきが収まると同時に目暮と比村の側へと現れたのはスカーレットだった。
「おぉ、スカーレットさん!」
目暮は推理力のある知り合いが現れた事で笑顔になる中、スカーレットは表情を崩さず、比村の推理を否定する。
「比村さん……実に馬鹿馬鹿しいですよ。拳銃?鎖を狙い撃った?……貴方はどうやら拳銃と言う物を過信している様ですね」
「どう言う事ですか?」
「良いですか?確かに拳銃ならシャンデリアの鎖程度なら壊せるでしょう。しかし、此処には周りを見渡すばかりの人がいる。そんな中で発砲すればすぐにバレてしまうし、暗闇の中をどうやって撃つつもりですか?」
「暗闇の中を狙う方法は一つだけあります。それは鎖に予め蛍光塗料を塗るのです。そうすれば自ずと鎖自らが暗闇の中、うっすらと光ので狙う事が出来ます」
「あり得ません。蛍光塗料を塗った所で目も慣れていないな時に冷静に撃てる訳がありません。仮に撃てたとしても拳銃の発砲してしまえば火花が会場を照らしてしまうだけでなく、周りの人間にも気付かれるんですよ?」
スカーレットはしてやったりとばかりに微笑むが比村はその指摘を受けても余裕の笑みを浮かべた。
「ハンカチですよ」
比村のその言葉にスカーレットは唖然とするもすぐにその理由が何なのか分かった。
「ハンカチにサイレンサーを被せる事で火花を無くし、周りに悟らせる事もなくシャンデリアの鎖を撃ち抜き呑口議員を殺した。そう……至極単純でかつ、精密な殺人トリックだったと言う事ですよ」
比村はそう言って終わる頃にはスカーレットは何も反論出来ず、握り拳を作って黙り込んでいた。
二人のその様子に目暮と高木の二人も殺人事件ではと考え始め、収拾が着かなくなった。
「(何やってるんですかシンフォニー!早く戻って来て下さいよ!)」
スカーレットは比村の予想外の推理力に厳しい状況に追い込まれ、姿を見せないシンフォニーに早く戻って来て欲しいと願った。
「な、なら!犯人は分かるのかね!拳銃でシャンデリアを落とし、呑口議員を殺した犯人が!」
目暮は興奮気味にそう比村に聞くと比村は頭をかきむしりながら一言。
「全く分かりません」
その一言で会場の全員が一斉にコケた。
そりゃそうである……今までの思わせ振りな推理は何だったんだと全員が口に出さなくてもツッコミを入れる様なレベルである。
「そこまで言っておいて分からないのかね!!」
「そりゃそうでしょう。暗闇の中で拳銃を使ったのは間違いありませんがだからと言って誰が撃ったなんて分かりませんよ。身体検査でもしないとね。それと落ちてる筈の肝心の薬莢やハンカチが見つからないんじゃお手上げですよ。アッハハ!」
比村は困った様な笑みを浮かべて笑い、目暮と高木は呆れ、スカーレットは表情は変えず安堵し、ハンカチを拾った首謀者のコナンは冷や汗をかき、何処にハンカチがあるのか知っている灰原はコナンをジト目で見て、アイとルビーはキョトンとし、アクアと かなは何じゃそりゃと声に出さないでツッコミを入れた。
ベルモットやピスコもマズイと思った矢先に比村の最後の一言に一息つくと人混みの中から歩いて来る人物が現れた。
「それなら後日、聞き取り調査をすると言う事でどうですか?比村さん」
「貴方は?」
「エミリーさん!スカーレットさんがおられるのでもしやと思いましたが!」
そこに現れたのは予備の喪服とウィッグを身に付けたエミリー=ヴィンヤードことシンフォニーだった。
シンフォニーは全ての状況を理解しているとばかりに笑みを浮かべて提案する。
「これが事故か、事件かは私でも推理出来てません。しかしこれは殺人事件の可能性は高いです」
「エミリーさんも殺人だというのですか!?」
エミリーのその言葉に周りが大きくざわつく。
無理もない……名もない小説家と名のある名探偵。
どちらが影響力があるのかと言えばエミリーの方が上だ……しかし、その小説家と名探偵の推理の出した結論は殺人と重なれば会場の人間は事件だと信じる事になる。
ピスコはシンフォニーが何をするつもりか分からないが殺人を否定せずに肯定し、ピスコを窮地に落ち入りさせた事で冷や汗をかき始める。
「比村さんの推理は恐らく当たっています……しかし、重要な証拠は事前に何者かに隠されてしまったと考えれば事件の立証は不可能です……残念ですが……」
「し、しかし……それでも事件なら調査を」
「目暮警部。ホテルの外や会場の外側はマスコミで溢れています。これ以上、余計な混乱はこの場の皆さんのの名誉を傷つけかねません。現場検証や証拠をさがすのにもこれだけ人が多ければ難しいですし、子供もいる中で殺人現場に残すのには私は反対です。……後日でも聞き取り捜査は出来ます。そして現場検証も。目暮警部。彼ら、彼女達は政治家や財政界の大物達と言う事を忘れてはいけません。まともに事件も進まないまま、貴方に責任を取られる訳にはいきません。ご決断を」
シンフォニーはそう言って促すと目暮は唸って迷いを見せる。
比村は何も言わず黙って見守り、コナンは組織の人間が彷徨く会場で尚且つ呼ばれていない立場上、出る事は出来ず、ハンカチを持ち続けた事を悔いた。
「クソ……!俺がハンカチを持ち続けなければ……!」
「今さらどうしようもないわよ……それに今回ばかりは予想外の事が多すぎるのよ……退きなさい江戸川君……望みは今回だけじゃない筈よ……組織の人間が私達に気付く前にこの場から去るのよ……」
悔しがるコナンを灰原が説得する中、その姿を見ている者がいた。
「コナン……?灰原……?」
それはアクアだった。
人混みの中、エミリー達がいる近くで隠れる様に状況を見守っている二人を見つけアイ達からこっそり離れると。
「何をしてるんだ二人とも?」
「「ッ!?」」
突然のアクアの突如にコナンと灰原は驚いてアクアに視線を向けると安堵した表情になった……が、すぐに不安な表情になる。
「あ、アクア……!わりぃ……!俺達がいる事は黙っていてくれ……!」
「別に良いけど……何で此処に……?」
「江戸川君の悪癖よ……」
「あ、そうか……」
灰原のフォローによって取りあえずアクアは納得し、コナンは少し不満を憶えたがアクアが来た事で状況を打開する策が思い付いた。
「アクア……!これを目暮警部に……!」
「ん?……こ、これは……!?」
アクアはコナンから手渡された物……ハンカチを見て驚いた。
「頼む……!渡すだけで良い……!あと、理由は適当に誤魔化してくれ……!」
「だ、駄目よ江戸川君……!それだと……!」
「大丈夫だ……連中だってハンカチを持って来たのは子供だと知れば単なる偶然だと思う筈だ……何処に行ったのか分からないハンカチを子供が拾って届けようとした事なんてよくある話だからな……」
コナンはそうアクアに聞こえない様に言い、二人がひそひそと話姿にアクアは不審に思いつつもこれが事件の決め手になるのなら渡さなければと考え、コナンに答える。
「分かった……渡せば良いんだな……?」
「あぁ……俺達の事は誤魔化してな……」
「うん……行ってくる……」
アクアはそう言ってハンカチを手に目暮警部の元へ行こうのする……その時。
『アクア?』
アクアはその声に振り向くとそこにはクリス=ヴィンヤードことベルモットがいた。
『アイとルビーが心配していたわよ?勝手にいなくなるなんて……駄目よ?』
『クリスさん……その……』
『あら?そのハンカチ……ごめんなさい……それ、私のなの。ありがとうね。見つけてくれて』
ベルモットはそう言ってアクアからハンカチを取ると優しい笑みを浮かべて頭を撫でた。
その様子を遠くから離れて見ていたコナンは信じられないとばかりにベルモットを見ると同時に希望を潰された事を知る。
「クソ……!クリス=ヴィンヤード……いきなりどうして……!」
「彼女……ハンカチを落としたって言っていたわね……ハンカチは複数の人間に色事にランダムで配られていた物……ハンカチはよく使う物だから偶然、落としていてもおかしくないわ……」
「あぁ……それが本当に偶然だったらなぁ……!」
コナンは明らかに行為でハンカチをアクアから取ったと分かり、ベルモットが怪しいと考えていると目暮は決断してしまった。
「それでは皆さん。後日、また事情をお聞きしますので連絡先と住所をご記入の末に帰って貰っても結構です」
「ふん、やっと帰れるか」
「やれやれ……事故だの事件だの僕達には関係ないというのに」
「全くだわ!」
「まぁまぁ。今回は不可思議な事も多かったしの……帰れるだけでも儲けものだと思えば良い」
「そうですね……私もテレビ局の仕事がありますしね……特に今日の事となると忙しくなりますよ……」
各々、口々に言いながら順番に住所と連絡先を教えていき、帰って行く。
コナンと灰原も撤退する他なく、帰宅しようとする者達と押し寄せまマスコミに紛れて何とか阿笠の元へと戻った。
~side終了~
危なかったぁ~……危うくピスコ捕まりそうになってたよ……はぁ……目を離した好きにまさか名探偵みたいなのが混じっていたなんて……まぁ、決定的な証拠を掴めてなかったみたいだし、何とかドローに持ち込めたのは良かった……。
「ごめんねピスコ……危ない橋を渡らせちゃって……」
「いやいや、助かったよ。あの時、事件だと言われた時は冷や汗をかいたがな」
「うぅ……彼処まで言われたら否定できる証拠が作れなくて……」
私は自分の失敗に落ち込みながらピスコと一緒に地下の駐車場に来ていた。
一先ず、ベルモットは何故かジンとウォッカが来るから二人と一緒に帰るって別れて、スカーレットも かなのメンタルケアの為に手配された医師の受診を受けてから帰るみたい。
私は折角だからピスコを家まで送る事にして私のシェルビーGT500に向かいながら会話をしていた。
「それにしてもあの比村と言う小説家……侮れないな……」
「そうだね……消す?」
「……いや、余計な行動は組織の姿を明るみにさせかねない……警察が待機していた事に我々は予想外ではあったが今回、警察を呼んだのは彼ではない……そうだろう?」
「えぇ……何か確証があるならわざわざ機械を通さず、匿名で通報はしない……明らかに別の奴だね……CIAか……FBI……?」
まぁ、私は誰が余計な通報したのか知ってるけどね~。
ピスコには悪いけどあの二人の事は黙らせて貰う。
「うむ……あり得るが……FBIは違うとおもうがね……」
「奴らの捜査手段は尋常じゃないよ。私がアメリカにいた時も違法スレスレな捜査を仕掛けてきたし、奴らは私達が日本に行っただけで諦める様な連中じゃないよ」
私はアメリカにいた時の苦い経験を思い出す……ターゲットを狙撃で殺そうとした……FBIの車が突っ込んで来る様に射線を遮った。
ターゲットを拉致しようとした……FBIが一斉に集まって来て包囲と同時に銃撃戦になった。
ターゲットを以下略……赤井、マジで潰す!。
「絶対にFBI……ブラック班を皆殺しにしてやる……特に赤井は念入りにいたぶってね……!」
「シンフォニーのFBIと赤井秀一を憎む理由を察するよ」
私がちょっと怒るとピスコは隣で少し引き気味になってたけどシェルビーGT500まで来た。
私は車のドアの鍵を開け様とドアの鍵穴に差した瞬間、物陰から顔全体を隠したマスクを着けた誰かが出てきて何かを向けてきた。
「シンフォニー!!」
ピスコのその叫びを聞いて向けられている物が拳銃の類いだと分かったけど私に避ける余裕が無かった。
このまま撃たれる……私は死を覚悟した時、ピスコが私を抱き締めて襲撃を仕掛けて来た人物から隠す様に背中を向けてしまった。
その後、襲撃を仕掛けてきた人物から何発もの銃撃をピスコは受けてしまった。
「ピスコ!!」
「ぐぅッ!?だ、大丈夫だ……大丈夫だからね……」
ピスコは撃たれながらそう言って笑う……私は……何も出来ずに撃たれるピスコに庇われるだけだった……。
やがて弾切れしたのかそのまま逃げ去る足音が聞こえて来るとピスコはその場に倒れ、私はすぐに抱き締めた。
服がまた血に染まる……ピスコが死に掛けてる……私は……。
「ピスコ……!」
「シンフォニー……逃げなさい……余計な疑いを掛けられる前に……行きなさい……」
「駄目……ピスコが死んじゃう……!」
私はピスコを見捨てられずにいると複数の走る様な足音が鳴り響いた。
「行くんだ……!!」
ピスコのその叫びとも言えない叫びに私は……ピスコを置いてシェルビーGT500に飛び乗ってその場から走り去った。
あれは私を狙っていた……エミリーの姿をしていた私を……エミリーに恨みがある人物……?。
それとも……シンフォニーとしての私……?。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
私は答えが出ず、運転しながらピスコを見捨てて逃げた事を悔いながら只、言われたままに逃げ続けるしかなかった。