黒の組織の幹部だけど有名アイドルの双子の姉妹なんです 作:黒っぽいアイドル擬き
作戦決行日。
私は茶髪の眼鏡の女性に変装して一人で豪華客船マスカレード・ナイトに乗り込んだ。
後からベルモット達と夜にマスカレードが開かれる予定の会場で合流、事前に口々に伝えあった特徴と偽名を使って作戦を始動させる予定。
「(邪魔しないでね……アクム?)」
「(邪魔?ふん……約束出来ないね)」
アクム……数日前からこれだ……私から身体の主導権を奪うつもり?。
アクムはアイを嫌ってる……主導権を奪われたりしたら作戦を破綻させられてそのまま私ごと消えるかもしれない……そうなったら……アイは見せしめに殺される……!。
「手綱を握り続けないと……」
失敗は許されない……ラムは汚名を返上しろと言った以上、それ以上は庇えないと言う意味。
任務をやり遂げて失態を取り戻していく……それがアイを助ける最善の道。
最悪……私の命を持って何とかアイ達の助命を請うしかない……。
私は覚悟を決めて乗船しようとすると聞き慣れた声が聞こえた。
「デッケェ船だな!」
「すっごーい!」
「ふふん!そう!この船が鈴木財閥の誇る豪華客船マスカレード・ナイトよ!!」
あぁ……また、貴方達ね……毛利さん……えーと……知らない人……そして……。
「凄いねコナン君!今日から九州までこの船で行くんだよ!」
「そうだね!」
コナン君……いや、工藤新一……今回は何も知らなそうだね……それよりも……。
「ママ!凄い大きな船だね!」
「うん!ママも初めてだよ!」
そこにはアイとルビー、アクアがいた。
おかしいな……イレギュラーが起きない様に情報を事前に仕入れて蘭さんが誘って動向する可能性があったから色々とアイが忙しくなる様に細工したのに……何で?。
「アイが来れたのも社長のおかげだね」
彼奴か……何したのか知らないけど今回に限って余計な事を……まぁ、アイも呑口の事もあったし、色々と疲労があるだろうから休暇を取らせたかったんだろうけど空気読めよ……!。
「(はッ!傑作だね!守るべき妹達が来た感想はどう?)」
「(煩い!!)」
私はアクムの挑発を一喝して早足に船の入り口まで来るとスタッフらしき人が前に出てきた。
「招待状を拝見させて頂きます」
「あぁ……あ、はいはい。これね」
私は組織から支給された民間人向けの招待状を差し出した。
豪華客船マスカレード・ナイトの乗客の立場は二つ。
鈴木財閥を始めとした他の財閥と大企業の有力者。
進水式を祝い、鈴木財閥による抽選会によって招待状を手に入れた民間人。
私は後者の方で民間人からの参加者……勿論、組織がごく普通に抽選なんかで招待状を手に入れたりしない。
私は船に乗り込むと客室へ向かった。
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宛がわれた客室に入ってすぐに鍵を掛けた私は先ず、盗聴機と隠しカメラの類いが無いかを入念にチェックするとやっと一息つけた。
煙草を一本吸って気を落ち着かせる。
「……さて」
落ち着いた私は煙草を灰皿に乗せて持ち込んだ鞄を開けるとカメラや付属の三脚、工具、分厚い本を取り出して並べるとカメラを手に取った。
そして工具の一つ、ドライバーでネジを外して分解すると忍ばせていたワルサーP99のパーツを取り出していく。
分解を終えたカメラを置くと三脚の足の一本を外してその中に入れておいたバネやネジを、分厚い本を開けば仕込めない大きめのパーツとサイレンサー。
私は全てを取り出し終えると工具を使って組み立ててワルサーP99が正常に動くか確認する。
バチンッ!と音が鳴って取り敢えず終わったから服の懐にワルサーP99をしまってバラバラにしたカメラを形だけ元に戻して本はそのまま海に投げ捨てた。
「(どうやって見つけるつもりなの?百人近くいるこの船でFBI数名を見つける……無理ゲーよ)」
「(問題無いよ。既に貴方のおかげで一人は捕まえられる)」
私はそう言って携帯の連絡先を見るとルークの連絡先があったのをアクムは見たのか。
「(ルークが連絡に答える訳が無いでしょ?)」
なんて言った。
「(馬鹿だね……ルークに言えば良いんだよ……全部、知ってるぞって)」
「(な、何でそんな事を言うのよ?)」
「(分かってる癖に……ルークはこの船にいる……私がいる事も知っている……なら、互いの立場が分かっている……なら、遠慮はいらないよ……今晩のマスカレードでダンスでもどうってお誘いとかね)」
マスカレードは仮面舞踏会の意味……なら、男女のペアにならないと始まらない。
別に適当な相手でも良いけど……。
「(貴方に最愛の人との最後の夜を楽しませてあげようかなってね)」
「(あんた……最低よ……)」
「(お互い様だよね?)」
アクムは私の狙いに気付いてる……私とルークが踊ると言う事はFBIがルークが命を狙われていると予期して守る為に見張らざる得ない。
私とルークのペアでダンスをしている際に常に注目している人間こそ……FBIの可能性が高い。
「(これはベルモットとジン、ウォッカの三人からも了解を得てる事よ。私が餌になっている間に三人がFBIを見つける。私は頃合いを見てルークを殺して余裕があればメインターゲット、松川秀賢を仕留める)」
「(そんなの上手くいく筈がない……そうよ!FBIには赤井がいる!)」
「(彼奴は来ないと思うよ?私達が来る……なんてだけの不確かな情報なんかで赤井みたいなエース級の人材を死地に追いやるなんてしないよ)」
「(死地って……)」
「(逃げ場無し、誰が誰なのか特定出来ていない、相手人数が把握出来ていない、罠かもしれない……これだけ考えれば赤井を出したくてもね……出せないよ。切り札はここぞと言う時に使うから切り札にるんだよ?)」
私はそうアクムに言ってやると……早速、計画通りにエミリーの携帯を使って誘いの電話を寄越した。
~別視点side~
その頃、客室の一つでルークやFBIの面々が集まっていた。
彼らの注目している場所にはFBIの面々のリーダー的存在、ジェイムズ・ブラックがパソコン越しに連絡していた。
《組織は松川秀賢の殺害を狙っている……と言う確証も無い不確かな情報が入った。本来なら罠の可能性もあるが……松川は組織と深い繋がりのある男だとも聞いている。我々は万が一に備え、松川を組織の手から守り、確保する事だ。出港すれば逃げ場は無い。用心する様に。此処からは質問を受けよう》
「はい。ジェイムズさん」
《何だねルーク君?》
「一つ懸念が……シンフォニーの事です。今回の殺害計画を阻止するうえで俺は顔を知られています……もし、彼女がこの場にいれば」
ルークが話している時、電話の着信音が鳴り、ルークはこんな時に何だと思いながら無視しようとするもブラックは笑いながら制す。
《構わんよルーク君。何か大事な様があるかもしれんからね》
「すみません……」
ルークは申し訳なさそうにしながら携帯を見ると。
「ッ!?エミリー……!」
《ッ!?》
ルークのその一言でジェイムズ・ミルナーを含めたFBIの面々は驚いた。
既にシンフォニー……夜空ユメがエミリー=ヴィンヤードである事はルークによって暴かれている。
そのエミリー……シンフォニーがルークに直接電話をする……しかも、組織の殺人を防ぐ為のブリーフィングの時にだ。
《……出てみたまえ》
ジェイムズの指示にルークは頷いて答えるとスピーカーに切り替えて電話に出た。
「エミリーか?」
《ルーク?単刀直入に言うよ……マスカレード・ナイトに乗ってるよね?》
ルークはそれを聞いてやっぱり知られていたかと観念した。
シンフォニーのFBI内の評判を聞き、事実なら自分は間違いなくシンフォニーのターゲットになったと嫌でも悟れるのだ。
「そうだが何だ?俺は今回は忙しいんだがな?」
《仕事の邪魔はしないよ。ただ……ルーク……私と……一緒に踊らない?今夜のマスカレードで》
ルークはそれを聞いて目を見開き、周りも声には出さないが驚いている。
やはりシンフォニーも組織の作戦に参加していると全員が確信したのだ。
「突然なんだ……?」
《最後くらい……私と踊ってよ……ルーク……貴方の愛は偽物なの……?私は……貴方を愛してるんだよ……?》
シンフォニーのその言葉にルークは胸が張り裂けそうになった。
ルークは思い出す……。
「ルーク。そのやり方で組織に……シンフォニーに関わるのは俺は反対だ」
「何故ですか?」
「ふッ……後悔するからさ……それが愛した女が相手だったら尚更な……俺は守ってやれなかった……シンフォニーが俺を恨むのも筋違いでもないな……」
ルークは赤井のその言葉の真意を理解していると考えていたが今此処でようやくその真意を理解した。
愛した女を騙して得た結果が何をもたらすのか……ルークはその意味に苦しみながらジェイムズの方を見ると頷く姿を見るとルークは腹を括った。
「分かった……待ち合わせの場所は?」
《会場に来てくれるなら私が見つけるよ。それじゃルーク……愛してる》
ルークはその言葉が本当なのか分からず、切られた携帯をしまうとFBIとしての自分の顔に戻した。
シンフォニーとルークのやり取りがあったその頃、組織に命を狙われている松川秀賢は客室をウロウロとしながら不安と恐怖に駆られていた。
「くそ……何で私がこんな目に……!」
「それは旦那が組織の気に食わない失敗をしちまったからだろ?」
「煩い!!わ、私はこんな所で死ぬ人間じゃない!!」
「へいへい、そうですね~」
松川の怒鳴り声などものともせずにヘラヘラ笑いながらと"AK-74"を手入れする右目に眼帯をし、口が裂けた様な傷を持つ白人の男。
その周りにはバラクラバを被り、明らかに戦闘を意識したタクティカルベストや統一された衣服、重火器を手にして各々、武器のチェックやマガジンに弾を入れていた。
「分かっているな!!……奴等がいたら即刻、殺せ。特にあの小娘は必ず仕留めろ」
「松川さん。俺達が安い報酬で何で依頼を受けたか知ってるよな?……あのチャイルドソルジャーの小娘に報復する為さ。そして姉御の願いであり、命令だ。絶対に逃がすなってな。面を確認して首を持ち帰れ……あの小娘は姉御に何をやらかしたんだか」
白人の男はそう言ってAK-74を側に置くと葉巻に火を吸った吸った。
一方、出向前のマスカレード・ナイトの船上をコナン達は探検していた。
「ママ!早く早く!」
「はいはい」
ルビーは初めての豪華客船に大はしゃぎで、アイも人生初めての豪華客船にウキウキしていた。
その様子を遠くで見守るアクアと着いてきたコナンがいた。
「大はしゃぎだなルビーの奴」
「別に良いだろ?普通は楽しむものだ」
はしゃいで回るルビーにコナンは呆れ、アクアは無表情ながらも何処か暖かい目で見ていた。
そんなアクアにコナンは聞かされたアクアの正体を思い返す。
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アクアは生まれ変わり出合いあり、前世が雨宮五郎と言う産婦人科医だと話したアクアにコナンは疑いを持って返した。
「んな馬鹿な話があるか!真面目に答えろよ!」
「仕方ないだろ……俺だって最初は信じられなかったんだ……だが……目覚めたら天国にいたんだから信じるしかないだろ!!」
「「「……?」」」
コナン達はアクアを除いて一斉にフリーズした。
いつも冷静で大人しい印象の強いアクアが急に幸福気味に語り始めたらそりゃ、驚くだろう。
「目が覚めたらアイの腕の中で!!愛久愛海と書いてアクアマリンなんてスゲェ名前付けられたけどオタクの俺としてはマジで天国なんだよ!!」
「「うわぁ……」」
「ふ、ふむ……まぁ……人それぞれの価値はあると言うしの……」
今まで大人しくクール系な感じだったアクアが一変、推しのアイドルの子として生まれた事にビーバーするオタクとしての本能を垣間見たコナンと灰原はドン引きし、阿笠は無理矢理納得した。
「まぁ……そんな感じでユメに殺されてアクアに転生した。一体どう言う原理か知らないがこれでも元医者の端くれ。いずれ仕組みを解き明かすつもりだ……でも、やっぱりアイの子として!!」
「もう良い分かった!!それ以上は止めろ!!」
アクアのオタクとしての暴走を何とか止めたコナンは取り敢えず深呼吸をする。
「で?それが本当だって言う証拠はあんのかよ?」
「……無いな。死体があるのは九州の宮崎の田舎の山の中だぞ?アイだって忙しいし、行く機会なんて無いからな……」
アクアのその言葉にコナンは確かめ様がない事に頭を悩ませていると。
「そう言えば江戸川君。貴方、鈴木財閥の豪華客船で九州まで行くんじゃないの?」
「ッ!?そうか!それだ!」
「え?」
こうしてコナンはアクアの正体の裏取りを取る意味でも星野家を誘った。
アイの予定が何故か多忙なスケジュールになっていたが壱護の機転によって何とか長めの休暇を取る事に成功。
アイも雨宮五郎に会いたいと思っていたそうでルビーも喜んで誘いに乗った。
それから時は戻る。
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コナンはアクアが本当に転生した存在なのか確かめる……その為に宮崎に行く事を小五郎や蘭、園子に了解を取ったりしたのだ。
小五郎達とアイが多忙でなかなか時間が作れないのは知っているので快く了解してくれた。
後はユメの雨宮五郎の殺害現場で死体が見つかれば……。
「(こいつが確かな事を言っていたと言う事になる……)」
コナンは此処から先、少し長い船旅の中でようやくユメの影を掴めると感じ、何事も無く宮崎に行くと……信じていた。
~side終了~