黒の組織の幹部だけど有名アイドルの双子の姉妹なんです   作:黒っぽいアイドル擬き

60 / 100
殺し愛

会場が騒ぎになり、私は……もう駄目かもしれない……。

 

「(ユメ……私達は生きちゃいけなかった……あの時に死ねば良かった……)」

 

「(アクム……!)」

 

私はアクムにチェックメイトを決められる……その覚悟をした時。

 

「何をしてるのシンフォニー!?」  

 

ベルモットがワルサーP99を持つ手を掴んだ。

 

でも、アクムがしっかりと力を込めているのか全然、動かない。

 

「止めなさい!!シンフォニー!!」

 

「ちッ……ベルモット、退け!!」

 

いつの間にか来ていたジンがそう言って私の首に手刀を当てた。

 

激しい痛みと衝撃で私は気を失った……。

________

______

____

 

私は気が付くと何処かの屋敷の広い庭にいた……。

 

それは……あり得ない事だった……船の上から何処かの屋敷……そんな魔法使いみたいなテレポートなんて出来っこない。

 

それに此処は……私の実家……燃えて全て消え去った筈の夜空邸だった……。

 

「気が付いた?」

 

私はその声に視線を向けると。

 

「あたし?」

 

「うん……そうだよ……私を見たなら……もう分かってるよね?」

 

そう言ってあたし……アクムはナイフを逆手に持って私に向き合った。

 

「私達は決着を着けなきゃいけない……そうだよね?」

 

「……勝てると思ってる?」

 

「全然……私、貴方に勝った事が無いから……」 

 

それは当然よ。

 

あたしの方が圧倒的に強い……甘ちゃんのアクムなんかに私が負ける訳が無い。

 

「でも……勝機が無い訳じゃないよ。ユメ……貴方を殺す」

 

「やれるものならやってみれば?」

 

あたしとアクムはナイフを構えて間合いを計り、隙を伺う……暫くの沈黙の後……感じる事の無い風が庭に飾り付けられていた鐘を鳴らすとと同時にあたしとアクムは同時に斬り込んだ。

 

 

~side終了~

 

 

ユメとアクムが精神世界で殺し合いを始めてから現実世界ではジンとウォッカ、ベルモットは会場から一目が付かない様に移動していた。

 

ウォッカがユメを背負いジンとベルモットが船内を警戒しながら移動していた時、無数の足音が聞こえた。

 

「身を隠せ」

 

ジンの指示に二人は廊下の影に隠れると武装した傭兵達が通り過ぎていった。

 

「何だ?もう海保が来たのか?」

 

「違うわジン。明らかに日本の武装じゃない……傭兵だと思うわ」

 

「傭兵?鈴木財閥が雇っていたって言うのか?」

 

ウォッカのその言葉にベルモットは首を振る。

 

「目立ちたがりが過ぎる鈴木財閥がわざわざ傭兵なんて雇うよひも自分達で捕まえるなんて豪語すると思うわ。そんな鈴木財閥に黙って傭兵を潜り込ませたのは……」

 

「松川か……」

 

ジンのその言葉にベルモットは頷き、ウォッカは納得したと松川に対して呆れた様な表情をする。

 

「金に汚ねぇ松川が傭兵を雇うなんて世も末ですねぇ……」

 

「ふん……殺す価値すら無いと思っていた所だったんだがなぁ……予定変更だ。松川を見つけるぞ。俺達を舐めた付け……きっちり払って貰おうじゃねぇか?」

 

ジンのその言葉に二人は不敵に笑う……が、すぐに深刻な表情に戻る。

 

「その前にシンフォニーよ……この子、目覚めないわ……」

 

「ふん……だったらそいつを殺す。そいつは理由はともかく、任務にしくじったんだ……妹共々、あの世に送るだけだ。目覚めないで眠り続ける役立たずなんざいらねぇよ」

 

「あ、兄貴……流石にそれは……シンフォニーは貴重な戦力ですぜ?今、失うのは痛いと思いやすが?」

 

「……そうよジン。この子の強さは知ってるでしょ?」

 

「最近の体たらくも含めてよーく知ってるさ……最近のこいつは何処かイカれちまった。もう立てねぇよ。それとベルモット。てめぇのはこいつを擁護したいだけだろ」

 

ジンのその言葉に二人は何とも言えない状況の中で三人はユメ達は精神世界で殺し合いをしているとは微塵も思っていなかった。

 

 

その頃、マスカレード・ナイトのブリッジは傭兵達に占拠され、船長を含めた乗組員達は隅で拘束され、纏められていた。

 

『ブリッジの制圧を完了しました』

 

《よし、これで救援が来るのを防げる。お前達はブリッジを死守せよ》

 

『了解』

 

ブリッジが制圧され、船の操縦や連絡が掌握された頃、船内では。

 

「ひ、ひぃッ!?」

 

「た、助け」

 

一方的な殺戮が行われていた。

 

AK-74のフルオートての掃射は鈴木財閥の雇った警備員程度など敵ですらなかった。

 

「こ、降伏する!!撃つな!!」

 

『よし、降伏を受諾する。拘束しろ!』  

 

傭兵達の機械的な動きと殺戮に恐れ戦いた者達は降伏を選び、自ら捕虜になる事を選んだ。

 

そして……逃げ出していた船客が戻ってきた会場に白人の男と武装した傭兵達が突入した。

 

「なに!?今度は何なの!?」

 

「お前達!!俺の後ろにいろ!!」

 

先程から何が起こっているのか分からずに戸惑う園子と傭兵達を見て咄嗟に蘭達を後ろに隠して守る小五郎。

 

騒ぎが大きくなる中、男達の前に園子の母、鈴木朋子が立ち塞がった。

 

「貴方達は何者なの!!何が目的なのよ!!」

 

「ママ!!」

 

園子は傭兵達の前に出てしまった朋子の元へ行こうとした所で小五郎は必死に止めた。

 

「いやはや……申し訳ないマダム……招待も受けていないのに押し掛けてしまった……俺はベンジャミン=サンチェス。そして我々は民間軍事会社ベンジェンスに属する傭兵だ。お楽しみの所を申し訳ないですが訳あってこの船を占拠させて貰った」

 

「せ、占拠!?」

 

その事に驚いたのは朋子の夫である史郎は動揺するとベンジャミンは周りにも聞こえる様に要求を伝える。

 

「我々はある人物の始末をしたいと考えている……なに、心配は無い。そいつとその仲間を殺すだけだ。大人しくしてくれたら他の人質にも手は出さないし、事が終われば解放もする。約束しよう……まぁ、既に何人かは死んだと思うがな」

 

ベンジャミンのその言葉に鈴木夫婦は愕然とし、いつの間にか近くにいた傭兵達に他の船客達と一塊にされた。

 

「あとすまないが……此処に星野アイがいる筈だ……何処だ?」

 

ベンジャミンは辺りを見渡してこの場にいないアイを探す素振りを見せる。

 

そんなベンジャミンを見たルビーはアイが狙われている事に驚いた。

 

「ま、ママが危ない……!」

 

「落ち着けルビー……!お前が出たらそれこそ思う壺だ……!」

 

ルビーはアイに危険を知らせに行こうとした所でそれが無謀である事は明白で、コナンは止めた。

 

「ママ……大丈夫だよね……?」

 

「分からねぇが……これだけデケェ船だ……ぜってぇ隠れてやり過ごしてくれるさ……」

 

不安がるルビーにコナンはそう言って落ち着かせようとするも内心では不安はあった。

 

今まで扱ってきた事件とは比べ物にならない豪華客船の占領事件。

 

謎もトリックも無い……純粋な暴力が目に見えてそこにある探偵とは無縁のものだった。

 

「くそ……どうすれば……!」

 

下手に動けば射殺、刺激したら射殺、彼らがその気になれば射殺。

 

コナンの行動の殆どを阻害され、知力よりも暴力が求められる現場に名探偵の必要な場面は何処にも存在しなかった。

 

 

~side終了~

 

 

私とアクムは激しい斬り合いを続けていた。

 

ナイフとナイフの刃が交わされ、蹴りが飛び、拳が振るわれる……。

 

「さっさと死ねよ!!」

 

「女の子がそんな言葉を使わないで」

 

私がナイフを力一杯に振るえばアクムはそれをナイフで反らす様に返し、蹴りを入れれば小さな動作でそれを躱す。

 

ちッ……舐めてたけどやっぱりあたしだわ……。

 

私が力ならアクムは技で対抗し、私が技ならアクムは力で対抗する……八方塞がりで泥沼な戦いだった。

 

「ユメ。貴方を生かして帰せばアイも危険に去らされる。貴方をこの場で絶対に殺す」

 

「あんたを生かした方がマズイでしょうが!この女狐!!」

 

「何よ!このゴリラ!!」

 

「猿!!」

 

「タコ!!……て、何やってるのよ私達……」

 

あぁ……本当だ……いつの間にかしょうもない口喧嘩をしてたわ……虚しくなるし止めよ。

 

「貴方の事よ……どうせ、アイに興味なんてないんでしょ?精々、利用価値のある妹としか見てない癖に」

 

「違う!私はアイを妹として」

 

「妹としてだけじゃない!!家族として愛してない!!貴方にあるのは……忠誠……組織とベルモットへの……私だって組織の皆が好きよ……でも……何も知らないアイ達が私達のして来た事に巻き込まれたなんてなったら……私はどう責任を取ればいいのさ!!」

 

「そんなの……分かる訳ないじゃん……アイ……アクアとルビー……皆が死んだらそれで終わり……私達は処分されるだけ……結局、死しかない……」

 

「「だからどっちが勝っても良い様にアイ達を守る算段を立てないといけない」」

 

私とアクムの言葉が重なって暫くの沈黙の後……私達は笑った。

 

「ユメ……冷酷とか言われてるけど結局、アイ達が大好きじゃない」

 

「今頃知ったの?元々、私だってアイ達を守る為に頑張ってきたんだよ?今更さ……切り捨てるなんて出来る?」

 

「出来る訳ないでしょ?」  

 

何だか……久しぶりにアクムとまともに話せた気がする……アイ以外のもう一人の姉妹……大切だった……信じたかった……でも、もう無理……。

 

「分かってるよね?あたし達はどっちか切り捨てないといけないって?」

 

「うん……私達のどちらかがこの先を進む……大丈夫だよね?どっちが勝っても?」

 

「あたしは私だよ?大丈夫じゃなきゃとっくに死んでるよ」

 

「そうだね……私はあたしだしね……話は終わり。続きを始めよう」

 

「望む所だよ!!」

 

あたし達の意見は綺麗に真っ二つになった……たった一人の男の為に……。

 

あたしはルークとは組織とは関係の無い……普通の善き友人であって欲しかった……あたしは冷酷……誰であっても、子供であっても容赦はしない……でも、初めて同い年の友人の一人だった……関わって来なければ助けようがあったけどもう無理……殺すしかない。

 

私はルークとは立場こそあったけど……一人の男性として愛したかった……私は愚かで迂闊な女……それは私にだって分かってる……でも、私は欲しい物は絶対に手に入れる……私、欲張りだから……アイもルークも手に入れたかった……どんな手段を使ってでも。

 

譲れないから切り捨てる……そして勝ったら好きにやる……それが……(あたし)達のルール。

 

「一人だと半人前」

 

「だけど二人だったら?」

 

「「一人前!!」」

 

そう互いに叫んだ後……(あたし)達は互いの胸を突き刺した……。

 

「……ユメ。貴方ならやれる?」

 

「アクムこそ……全部逆転出来るって言うの?」

 

「……ごめん。私、欲張り過ぎたみたいだね……暫くは表に出ないよ……ユメ……本当にごめんね……私が我が儘なんて言わなければ……!」

 

「あたしだってごめん……もう少し、最善の方法を模索するべきだった……そうすればアクムだって納得できる結論が生まれたかもしれなかった……」

 

あたしは……消えていくアクムを見ながらそう言った……。

 

あたし……いや、私は……また一つ(ひとり)になった……これで良かったんだ……アクムが譲ってくれたんだ……だったら私の仕事を全て完遂させる。

 

何だろうね……迷っていたのが……馬鹿らしいや……。

 

「さぁ……仕事を始めよう……」

 

私達……シンフォニーは欲しい物はどんな手段を使ってでも手に入れる。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。