黒の組織の幹部だけど有名アイドルの双子の姉妹なんです 作:黒っぽいアイドル擬き
~別視点side~
事件の犯人である千間と対峙したコナンは今回の事件について推理を始めた。
「そう……爆発の直前に車から抜け出し茂みに隠れこっそりこの館に戻ってきた貴方は、館内に取り付けた隠しカメラで俺達を何処かの部屋でこっそり監視してたんだ……」
「馬鹿ねぇ……私は間一髪の所で爆弾に気付き、爆発から逃れてたった今、この館に辿り着いたんだよ……それにあの時、車に乗る人はコインを投げて決めたんじゃなかったのかい?」
「投げる前から貴方が車に乗る事は決まってたよ……最初からコインを表にして左手にの甲に乗せてたんだから……そのコインの上から別のコインを持った右手を被せて隠し、弾いたコインをキャッチした振りをして地面に落とし、最初に甲に乗せたコインを見せれば何回やっても表だ!大上さんの紅茶を調べる為に出した10円玉が手元にあった貴方なら、これくらい出来るよな?神が見捨てし仔の幻影さん?」
「ほぉ……大上さんを殺した晩餐会の主催者が私だと言うのかい?」
コナンの推理によって千間のアリバイの一角を崩すと千間は食堂の扉を開けてコナンを招く。
「だったら教えておくれよ、私がどーやって大上さんだけに青酸カリを飲ませ、そしてどーしてその時間さえも予測する事が出来たかを……彼の紅茶には毒が入っていなかったし、私の席と彼の席の間には毛利さんがいた……それにあの席はジャンケンをして適当に決めた席じゃなかったかい?」
「席順なんて関係無いよ……」
コナンはそう言ってテーブルに置かれていたカップの一つを指紋が付かない様に手に取って見せた。
「塗った場所はカップの取っての繋ぎ目の上……そこに大上さんがティーカップを持つ時、右手の親指の先が触れる位置であり、彼が考え事をする時に思わず噛んでしまう爪の側でもある……爪を噛んだのは、貴方が声を変えて録音したテープが宝の隠し場所への暗号を発表した直後……メイドに指示して紅茶を出す時間をその少し前にしておけば……暗号を聞いて考え込み、爪を噛む大上さんだけを時間通りに毒殺出来るって訳さ……」
「でもあの時、皆用心の為に一度食器類を拭いてから使っていた筈……」
「確かに……名探偵として名の通った大上さんにしては不注意が過ぎるけど……彼がこの晩餐会を企画した相棒だったとしたら……自分が殺される訳がないと高を括ってそれを怠ったのも無理は無い……メイドさんが館に来た時、既にベンツが停まっていたと聞いた時から疑ってたよ……こんな山奥の館にベンツを放置するにはベンツに乗って来る人間と、別の車でその人を迎えに来る共犯者が必要だからね……」
コナンの推理に千間は驚き、冷や汗をかいたのだった。
~side終了~
コナン君の推理ショーが開かれている最中、実は生きてた私達、探偵は影からこっそり話を聞いていた。
「あの子……何者なんですか……?」
「本当にガキか?全然、そうは見えねーな……」
「そうよね……ギフテッドかしら……?」
「あんなんだったか坊主は……?」
「さ、さぁ……どうかな……?」
やっばー……コナン君、正体がバレそうだよ……何やってんのよ……!。
大上さんを除いた私達が何故、生きているのかと言うと……コナン君が私達が死んだ振りしてをしてコナン君が直接、千間のお婆ちゃんに脱出方法を聞くって話だった。
それは良いんだけどさぁ……この面子の前でそれやるのかなりリスクあるって分かってるのかなぁ……いや、分かってないか……。
「そ、それよりもさ~。大当たりだったね。私達の推理」
「そうだな……まさか千間の婆さんがとは思ったがな……」
「犯罪を犯した以上は探偵でも関係ないわ」
「僕達は僕達の役目を全うするのみ」
「それが……探偵ですからね……」
皆、残念がってるね……まぁ、私もまさか千間のお婆ちゃんが殺人をするだなんて思わなかったしね……。
コナン君の推理が終わって一通り事情を聞いたらどうやら40年前に烏丸蓮耶による依頼で集められた学者達が例の財宝……正確には烏丸蓮耶の母の遺産を探して欲しいなんて依頼を受けて探していたらしいけど……千間のお婆ちゃんのお父さんが行方不明……正確には殺されたらしい。
そう……その内容は壮絶だった……遺産を探すのは良かった……でも、死期の悟った烏丸蓮耶が業を煮やして呼び寄せた学者を見せしめに一人ずつ殺し始めた……例え宝を見つけても殺されるとも……。
20年経ってから見つけた内容だったらしく、その後の烏丸家は知っている通り、衰退していて黄昏の館も手放されていたらしく、千間のお婆ちゃんは警察に言うのは諦めてしまったらしい……。
その事を二年前に大上さんに話してしまったらしく大上さんは残された宝に目が眩んで……多額の借金までして館を手に入れてしまい引っ込みがつかなくなった所で今回の名探偵達を集める晩餐会を計画した……怪盗キッドに全ての罪を被せる惨劇を再現した殺人を……。
まぁ、計画が狂ってメイドさんが死ぬ筈だったのに大上さんが計画を止めようとした千間のお婆ちゃんにしてやられて死んだみたいだけどね。
「酷い……大上さんがそんな事を計画しなければ千間さんは……!」
「安友子ちゃん……人はね……思っている以上に欲深く、罪深いのよ……例え分かっていてもね……人は欲深や衝動には逆らえない」
「でも……!」
安友子ちゃんは何か言いたげだったけど何も言わずに俯いた……今回ばかりは私でも胸糞悪い話だね……さてと……。
コナン君はどうやら宝の暗号も解いたみたいだし……て、嘘でしょ……?。
財宝が……あの金塊の時計だけ……?。
……ま、まぁ取り敢えず。
「そろそろネタバラシに行こうか」
「ふん……そうだな……」
「惨劇の二の舞にならなかったって言ってやらないとね」
「僕達が簡単に死ぬ筈がない事も含めてね」
私達はそう言って皆で食堂の扉に集まって見せた。
「そんな物、最初からありゃしないよ……私は此処で果てるつもりだったのだから……大上さんは、食事の後でこっそり教えると言う私の言葉を信じていたようだけどね……」
「ふん、だろーと思ったぜ……千間の婆さんよぉ……」
コナン君が脱出方法について聞き、千間のお婆ちゃんがそんなものが無いと言った所で茂木さんの言葉から始まって私達はネタバラシを始めた。
「どーしてくれんだ俺の一張羅……」
「だから言ったんですよ、こんな子供騙し無意味だと……」
「あら、文句ならあの坊やに言ってくれる?」
「そうだよねー。急に芝居して千間のお婆ちゃんから聞き出そうって言い出したのはコナン君だし。ね、安友子ちゃん?」
「はい……急でしたから上手く出来たか不安でしたが……」
私達が口々にそう言うと千間のお婆ちゃんは物凄く驚いてるね。
まさにドッキリ大成功!……だね。
「まさか私からそれを聞き出す為に死んだ振りを……」
「あぁ……暗号を解いた奴も殺そうとしてたからな……」
「俺達が生きている内は問い詰めても吐いてくれないと思ってね……」
「モニターで見たらケチャップでも血に見えるしね!」
「演技に関しては私の得意分野だからね。久々に本気出したよ」
「エミリーさんの演技力が凄すぎて私、尻餅ついちゃったくらいですらかね」
「でもまぁ、蘭さん達を眠らせたのは正解でしたね……この悪趣味な芝居は若い女性のハートには酷すぎる……」
それにしても本当に久々に演技したよ……まぁ、私の素を少し出しただけだからそこまで苦労しなかったけどね。
「い、何時から私が犯人だと?」
「この坊主が俺達にコインを選ばせた時からさ……」
「あの時に千間さんはわざわざ手を伸ばして十円玉を取りましたね?酸化還元反応を起こす銅製の十円玉を取られたくないが為に」
「千間さんらしくない……とんでもないミスだったけど助かったよ……」
「そうね……あのミスが無かったら私達はすぐには結束出来なかったわね」
「死体の右手を見た時点でトリックは読めていましたしね……」
そう……皆、殺人に使われていたトリックを解いていた……でも、犯人が分からない以上、誰を信用すれば良いのか分からない……あの時、コナン君の機転が無かったら疑心暗鬼のまま犯人探しをして本当に同士討ちしていたかもしれない。
「千間のお婆ちゃん……らしくないミスをしたのはさ……探偵として起こした殺人が許せなかったからだよね?そうじゃなきゃ、経験豊富なベテラン名探偵が些細な事でバレる様な立ち回りはしないから」
「そうだねぇ……そう思っておこうかね……」
私のその言葉に千間のお婆ちゃんはそれ以上は答えなかった……。
「さて問題はどうやって此処ら脱出するか……」
「あら何の音?」
私達がどうやって此処から脱出しようかと悩んでいた時、館の中からでも分かる様な激しい音が響いた。
「あ、たぶん僕が呼んだ警察のヘリの音ですよ……」
「呼んだ?」
「どうやったんですか?」
「ワトソンのアンクレットに取り付けた手紙を夜明けと共にガケ下に待機させていた婆やの車に届けてくれたんでしょう!良かった!他の車と見分けがつく様にバツ印をつけておいて……」
おいおい、それなら芝居しなくても良かったじゃん……
「それならそーと早く言ってよ!」
「あんな猿芝居させやがって……」
「大事な事は先に言ってくれるかな?」
「そうですよ!高かったんですよこのドレス!」
「鷹は鳩と違って帰巣本能が乏しいから不安だったんですよ!」
全く……どうしてこうも秘密にしたがる探偵が多いのかなぁ……ん、何の音?。
私はプロペラを回すヘリの音に混ざってる歪な音に気づいた。
……何かが崩れてる音?。
「まさかね……」
壁の鈍い音の正体……いや、まさかとは思うけどね……。
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結局、財宝はとてもしょうもない金の時計だと結論付けた私は皆とヘリに乗って帰還する事にした。
まぁ、財宝は財宝……見つけたけど放置した以上、後で組織の皆が回収すると考えれば任務達成だね。
「結ーっ局来なかったね。怪盗キッド……」
「あら?来て欲しかったの?」
「あ、いえ……」
「もう槍田さんたら。あまり蘭さんに意地悪しないであげてね」
私達は事件が終わってようやく落ち着いた事でその後からピリピリする事もなく普通に会話していた。
「でも婆さんよ……俺達を心理的に追い詰めるのは大上の旦那の計画だったんだろ?何で奴を殺した後、死んだ振りなんかしたんだよ?」
「どーしても解いて欲しかったんだよ、父が私に遺したあの暗号を……私が生きてる内に……貴方達の様な名探偵が集まる機会なんてもう二度とないと思ったから……」
「千間さん……」
千間のお婆ちゃんの告白に安友子ちゃんが心配そうに見つめている……。
千間のお婆ちゃんは父親の遺した物を解いて欲しかった……でも、それが歪んだ形になって叶うなんて皮肉としか言えないね……。
「……どうやら烏丸蓮耶に取り憑かれていたのは……私の方だったかもしれないねぇ……」
千間のお婆ちゃんはそう言って突然、ヘリの扉を開けて外に飛んでしまった。
「婆さん!?」
「千間さん!?」
茂木さんと安友子ちゃんが叫び、私もすぐに外を確認し様としたら今度は小五郎さんが飛び出した。
……あ、しまった。
私はこの時、何故、急に千間のお婆ちゃんが飛び出したのか分かった。
千間のお婆ちゃんは自殺する為に飛び降りたんじゃない……そう、ずっとマークされていた人物を逃がす為……。
私は落ちた二人を見ていた時、純白のパラグライダーが現れ、千間のお婆ちゃんを救った。
「か、怪盗キッド!?」
「い、今まで毛利さんに変装してたんですか!?」
「ちッ……やってくれるぜ……!」
やっぱり、小五郎さんに化けてたか……小五郎さんにしては煙草を吸わないな~とは思ってたけど怪盗キッドどころじゃなかったからなぁ……。
白馬君とコナン君も気付いてたのか逃がさない様に布陣してたし、これは千間のお婆ちゃんにしてやられたね。
千間のお婆ちゃんが飛び降りる事で唯一パラグライダーで飛べるキッドが助けに行く……それを止める行為は千間のお婆ちゃんの死を意味する……つまり、千間のお婆ちゃんが飛んだ時点で怪盗キッド捕縛は詰んでた。
「今回も見逃してあげるかな……ん?」
私は怪盗キッドが千間のお婆ちゃんをヘリにくくりつけて飛び立って行った時、館が崩れて中から金が出てきた瞬間を見た。
「嘘でしょ……?」
普通に信じられない物を見たよ……なんと言えば言いかな……。
「壁が崩れて中から金が……」
「あの時計が外壁を崩すスイッチになっていたんですね……」
「あ、あれって何れくらいの価値が……!」
「流石、烏丸の館、千億は下らないわね……」
「せ、せせせせせ、千億!?」
嘘、マジで!?。
私、ちょっとしたお宝探しだとばかり思ってたのにとんでもないもん堀当てちゃったよ!!。
「……あ、忘れてた」
私は圧巻の財宝の正体に忘れそうになった事をやった。
……組織への財宝発見の知らせを写真付きでメールで送信。
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~別視点side~
黄昏の館の事件から数日後。
黄金の姿を現した黄昏の館の前にジン、ウォッカ、ベルモット、キールが集まっていた。
「こ、これが財宝ですかい!?」
「本当に全てが金なの!?」
「あぁ、間違いねぇ……この固さ、輝き……間違いなく本物だ……メッキなんてもんでもねぇぜ……」
驚いているウォッカとキールに答える様にジンがそう言うとベルモットは微笑む。
「だから言ったのよ……あの子は必ず財宝を見つけるって……」
「ふん……単なる偶然だ……あちこちから名探偵をかき集めて解かせた所を見つけただけにすぎねぇさ……」
ジンはそう言ってくだらないとばかりに言って煙草を吸うとキールは館の黄金を触りながら言う。
「でも、これをどうやって運ぶの?いくらなんでもこれだけの金を全て運ぶのは不可能よ?」
「それは心配いらないわ……あの子は仕事の仕上げとして金を安全に回収する為の工作をしてくれてるわ……」
「工作?」
キールは首を傾げるとジンは不敵に笑った。
「いくら日本警察でも人様の土地のもんにケチを付けられやしないからな……」
ジンはそう言い、ベルモットとウォッカも笑った。
「人様の土地って?」
「ん?わかんねぇかキール……権利書だ、権利書。シンフォニーは死んだ大上って探偵の親族とこの館の権利書の事で交渉中だ。まぁ、彼奴がまたもな条件で飲ませるなんて事はしねぇだろうけどな」
「ハッキリ言って滅茶苦茶だけど……金を回収するのには良い時間稼ぎになるわね……捜査するにも土地の持ち主に正式な礼状を持ってこないといけないんだから……」
「その礼状取るのによぉ……俺達が取れない様にしたらどうなると思う?」
「ッ!?……捜査すら出来ない」
組織の影響力は一部を除いて幹部達でも把握されきっていない所が多い。
政界に強い影響力を持つだけでなく、政治家に組織の一員を紛れ込ませれる程には強い……礼状の得る為に申請する裁判所に組織の手が広がっていないこと事態おかしくない。
キールは額に静かに汗を流した。
恐ろしい程に勢力が強大な組織に恐れや不安を持つと同時に何としても壊滅に追いやりたいと考えた。
「殺人事件の捜査も終わってこの金に関しては殺人事件の証拠にするにもデカすぎた……だから土地の持ち主に残される形でサツは捜査を終えて帰っちまった」
「だからこそ……この館の権利書を手にした者がこの黄昏の金脈を手に入れる事が出来るのよ?」
二人の説明が終わりキールは改めて組織の強大さと露骨さを見た事で何時の日か組織の終わりは来るのだろうかと考えたのだった……。
~side終了~
黄昏の館の事件から数日後、私はシンフォニーとして大上さんの自宅にお邪魔していた。
美味しい紅茶……後ろから聞こえる男達の声と女性の悲鳴……目の前で対面する形で座ってガタガタと震えて縮こまってる中年の女性、大上夫人……うん、いつも通りの仕事の光景だね。
「そろそろさぁ……出してくれないと困るよ奥さん……権利書あるでしょ?」
「そ、そんなの……分かりません!お……夫が勝手に!」
「あっははは!そんなの……言い訳にしかならないわよ!」
私はそう言って大上夫人の頭を掴んで目の前にあるテーブルに顔を叩きつけると小さな悲鳴が上がった。
「もう一度聞く……権利書は何処?黄昏の館……烏丸蓮耶の別荘のよ?」
「本当に知らないんです!!信じてください!!む、娘だけは……どうか娘だけには酷い事をしないでください……お願いします……」
そう言って大上夫人は泣き出した。
大上夫人が言う娘さんは私の後ろで連れてきた組織の下っ端の男連中と一緒に楽しんでいる所だよ。
可愛そうに……大上さんが余計な欲をかいたせいで家は滅茶苦茶、私達に押し入られ、大上さんの娘は美人でしかも素敵な婚約者がいたのに見ず知らずの男達のお相手になって純潔を散らして今も抱かれている始末……あぁ、素敵な光景だね。
近所に聞こえる?。
残念でした!。
此処って都心から離れた位置にある邸宅で近所はおろか、近くに人すら通らないんだよね~。
いやぁ、ツイてるよね。
「ねぇ……だったら大上さんが大事な物を隠しそうな場所くらい教えてよ?それくらいなら分かる?」
「うぅ……そ、そう言えば書斎で……後から板が付けられた様な跡がありました……」
「そう……なら、さっさと言えよゴミが……早く書斎に案内して。貴方達は権利書が見つかるまでその人の相手をしてあげなさい。見張りは怠らないで。交代でやるようにね」
私はそう指示した後、大上夫人の襟を引っ付かんで書斎まで案内させた。
そしてその板がある場所まで案内させたけど……確かに真新しい板が貼り付けられてる……。
「剥がせ」
「え……で、でも……道具が……」
「後から取り出すつもりがあったなら簡単に剥がれる。それとも……今更此処には無いなんて言わないよね?」
私がそう聞くと大上夫人は泣きながら真新しい板を無理に剥がし始めた。
最初は手こずってたけど血だらけになりながらも爪を使って剥がした。
ありゃー……板を外した勢いで爪剥がれちゃったよ……まぁ、良いか……。
私は大上夫人を押し退けて剥がされた板の奥を見ると……あった。
「ようやく見つけたよ権利書。うん……確かに。奥さん。確かに貰ったよ。良かったね。これで終わりだよ」
私がそれを言うと安心しちゃったのか子供みたいに泣きわめいた。
うるさいなぁ……良い大人なんだから泣かないでよね。
私はまた大上夫人の襟を掴んで娘さんがいる所へ来ると行為に飽きたのか男達がへばって床に座って寛いでるし、その中心に酷い状態の素っ裸の娘さんがいた。
「仕事は終わりだよ!ほら、服着て!帰るよ!」
「は、はい!」
さっきまで抱いていた下っ端達は急いで服を身に付け始めた。
私が呆れながら近くに置いてあったアタッシュケースを手に取ると泣きながら抱き合ってる大上夫人と娘さんの目の前に置いた。
「権利書代ね。それと迷惑料込みだよ。私は優しいからねぇ……これくらいで済ませてあげる」
「こ、この……悪魔……!」
大上夫人はそう言って酷い臭いを放つ放心状態の娘さんを抱き締めながら私に憎しみの視線をぶつけてきた。
「そうだよ……私は悪魔だよ……それがどうしたの?殺したいの?まぁ……チャンスは二度と訪れないけどねぇ……」
私はそう言って笑いながらその場から去ると私の愛車であるシェルビーGT500に乗って下っ端達が乗る車を引率しながら暫く走った後……大きな爆発音が後ろから響いた。
私は上手くいって機嫌良く携帯を取り出すと報告する。
「もしもし?うん、私だよ。権利書だけどちょーと手こずったけど手に入れたよ。うん、そのまま持っていくよ。大丈夫だよ……え、権利書を渡し終えたら話がしたい?良いけど……うん、分かった……それじゃあね……私も愛してるよ……ベルモット……」
私はそう言って携帯を切った。
~別視点side~
大上邸で悲劇の交響曲が流れたその頃、一台の車が一目を避けて止まっていた。
中には探偵の槍田……そして……安友子の姿があった。
「これがDNA鑑定の結果よ……知り合いの伝を使って照合した結果……黒よ……エミリーは夜空ユメだったわ……」
「……そうですか……外れて欲しかったです……」
安友子はそう言って鑑定結果の書かれた紙を握り潰した。
槍田と安友子は単なる顔見知りではなかった。
知り合いの中では親しい仲だった。
槍田は安友子の父である平泉刑事の仕事を信頼し、検視官としての誇りと腕を十分に震わせてくれる刑事として常に第一線で共に事件に挑んできた。
安友子とも顔見知りではなく、よく父の忘れ物や仕事で忙しいであろう父とその同僚達の為に差し入れを持って来る安友子と何度も会い、信頼する刑事の娘として親しい関係だった。
槍田が検視官……警察を止めた理由はカミキヒカル事件が原因だった。
いつもの様に事件が起きた……平泉刑事の捜査能力と自分の検視官の腕があればすぐに犯人は捕まる……そう思っていた……平泉刑事が自責の念に駆られて自殺したなど聞かなければ。
冤罪で追い詰め過ぎた事で焼身自殺した夜空ユメ。
槍田は現場のおかしな点や焼けた死体が本当に夜空ユメのものなのか調べる為に双子の妹と判明した星野アイとDNA鑑定すべきだと訴えたが聞き入れられず非難の嵐と共に捜査は終わった……。
槍田は更なる非難を恐れて捜査を止めた警察に怒りを露にし、警察の職を辞し、探偵として事件に関わる様になった。
組織では追えないなら組織から抜けて追うまで……槍田はかつての相棒であった平泉刑事の無念を晴らさんとしていたのだ。
「安友子ちゃん。気をしっかり持って。彼女を訴え様にも身元の偽造は兎も角、殺人の証拠は何処にも存在しない以上、すぐに仕掛けるのは無謀よ」
「分かってます……私も少し踏み込み過ぎたした……暫くは彼女との接触は控えます……ですが信じたくありませんでした……アイさんから相談を受けてまさかと思いましたが……」
安友子がエミリーを疑ったのはアイからの相談が原因だった。
二人で会い、少し話した後、アイから泣きながらエミリーがユメである可能性と犯罪者である可能性を聞いたのだ。
安友子としては信じられない思いだったが黄昏の館の招待を受け、槍田も同じく招待を受けた事を知るとエミリーも同じく参加するのを見越して参加したのだ。
なかなか尻尾を見せないエミリーに安友子は少し強引に別の目的があると推理して見せるもそれでも煙草を吹かして余裕を見せるエミリーの姿しかみせなかった。
安友子は少し踏み込み過ぎたと考え、退こうした時、槍田の機転によってエミリーが落としてしまった携帯灰皿に入れられた煙草に付着していた唾液を採取する事に成功したのだ。
流石に煙草を丸ごと取るのはエミリーから疑いを持たれる可能性があり、槍田は唾液のみを採取し、携帯灰皿を返す事で疑いを回避したのだ。
そして……事件から暫くしてDNA鑑定でエミリーとユメは同一人物だと探り当てたのだ。
「ようやくです……ようやく……貴方に会えましたよ……夜空ユメさん……!」
安友子は辿り着いた真相を知る者である夜空ユメを見つけられた事に嬉しさもあれば悲しみもあった……。
~side終了~