JKタツマキ 作:タツマキちゃん15才
「お姉ちゃん! 雄英高校からの手紙が来てるわよ!」
妹のフブキが手紙をブンブンと振り回しながら声を掛けて来る。
「雄英……ああこの前受験しに行ったところね」
「忘れてたの!?」
勿論忘れていた訳じゃない、咄嗟に思い出せなかっただけだ。
サイコキネシスで手紙の封を開けると中からオールマイトのホログラムが浮かび出した。
『私が! 投影された!!』
暑苦しいわね! 何か良い事っぽいのを喋ってるけど、ポージングの圧が凄すぎて全然頭に入ってこない。
たぶんリアルタイムじゃなくて録画なんだろうけど、毎回このポージングしてるのかしら。
これがヒーローの義務だとしたら、ちょっと……うん、かなり本気で辞退したくなってくるのだけど。
妹がはしゃぎながら揺らしてくるのを流しながら、タツマキは自身のマッスルポーズを思い浮かべていた。
◇ ◆ ◇
「めんどくさいわねぇ……」
入学式初日、タツマキは自宅のベットに寝転がりながらゴロゴロしていた。
昨日はもうちょっとやる気があったのだけれど、今日はちょっと寒いしやる気が出ないのだ。
思えば根気良く3年も高校に通うなんて、そんなメンドクサイ事出来る訳がないのよ。
主席合格で妹にも沢山褒めて貰ったし、もう良いんじゃないかしら……。
「ダメに決まってるでしょ!?」
ダメらしい。
私的にはフブキさえ無事なら後はどうでも良いのだけど、彼女は世間体を気にするきらいがあるのだ、高校中退を良く思わないのは同然だった。
「仕方ないわね……行ってくるわ」
超能力で身なりをパパっと整えて、教室に直接テレポートする。
公共の場での個性無断使用は違法だけど、私有地to私有地なら合法な事を賢い私は知っているのだ。
「おわっ!? いきなり現れた!?」
「まさか……ワープ個性!? いや、透明になる能力か?」
「小学生……?」
小学生とか言ってるやつを壁にめり込ませながら、私の席を探す。
「私の席はどこなのよ……」
初日なんだし、普通は席に名前とか受験番号とかが貼ってある筈だけど、教室の机はどれもピカピカのツルツルで何も書かれてはいなかった。
……ああなるほど、自由席ね!
流石雄英高校、自由な校風が売りなだけあるわね。
私は近くにあった適当な椅子に腰を下ろし、千里眼で自宅のフブキ鑑賞を始める。
「あの……そこ僕の席です……」
「君! 決められた席に座りたまえ!」
「5000ポイントクソ女はどいつだ……?」
雄英はもう入学式だけど、自宅で寛いでるフブキの学校はまだ春休みなのだ。
学校なら雑魚でもヒーローが常駐してるけれど、自宅のマンションにヒーローはいない。
だからこうやって千里眼で妹の安全を守る必要があるのだ。
まったく、姉も楽じゃないわね。
◇ ◆ ◇
いつの間にか体育テストが始まっていた。
意味が分からない、入学式はどこにいったのよ。
担任っぽい小汚い男が何か言ってた気がするけど、フブキに集中し過ぎて聞き流してしまった。
なんとなくみんなの流れについて行ってるけど、なんで今更テストなんて受けてるのかしら。
まあペーパーテスト以外なら文句は無いわ、適当に済ませちゃいましょ。
第1種目 50メートル走
「ヨーイ、スタート」
用意する必要もないわね、はいテレポ。
「タツマキ、0.00秒」
「やっぱワープだとこうなるか」
「発動にラグがないのか……?」
第2種目 握力
「んっ!」
念力で握力計のレバーを強めに押し込む。
「タツマキ、測定不能……999トンで良いか」
「握力……なのか?」
「手使ってないけどありなの……?」
第3種目 立ち幅跳び
飛べる人間に立ち幅跳びは意味無いでしょ。
「∞だな」
「うわ、ついに出た!」
「うわぁ……」
第4種目 反復横跳び
これはどうしようか迷ったけど、短距離の連続テレポートにしたわ。
「残像しか見えねぇ」
「連続ワープか……回数に上限が無いのか……?」
「タツマキ、65535回」
「カンストしてね?」
第5種目 ソフトボール投げ
「ん゛っ!」
ボールを太陽に向けて一直線に飛ばす、実際にそこまで飛ぶわけじゃないけど、こういうのは気分が大事なのよ。
「タツマキ ∞メートル」
「2人目の∞だ!」
「宇宙まで飛ばしてるのか……?」
第6種目 持久走
「テレポートはダメなの?」
「ダメだ」
「あっそ、じゃあ飛ぶわ」
同じところをグルグル回っていると空しくなってくる。
何でこんな事しなきゃいけないのよ、こんな事してる暇があるならもう帰らせなさいよ。
「タツマキ、0.01秒」
「はぁ、はぁ……5000ポイント女子、やべーな……」
「クソが……!」
第7種目 長座体前屈
「箱を動かせば良いのよね?」
ソフトボール投げと何が違うのよ、測定用の箱を地平線の彼方に吹き飛ばしておしまいよ。
「タツマキ ∞センチ」
「えぇ……」
「マジか、それありなのか……」
第8種目 上体起こし
「寝た状態から浮いたら起き上がった判定にならない……?」
「ならない」
これはちょっと難しいわね……無理矢理念力で動かすと腰や脳がやられそうだし、念力で関節や内臓を細胞単位で保護しながら動かす必要がある……?
出来ない事はないけども……これは流石に……。
「……めんどくさいわ」
「タツマキ 16回」
「普通だ」
「普通だ」
「最後は意外と普通だった……」
◇ ◆ ◇
テストが終わったし、フブキウォッチングに戻るわよ。
「ちなみに除籍処分は嘘な」
周囲にヴィランっぽい奴の姿はいない、よしっ!
安心して意識を戻すと、何か周囲が盛り上がっていた。
また何か聞き逃したらしい、まぁ大丈夫でしょ、たぶん。
内心の不安を水に流し、とりあえず周りに合わせてタツマキはふわふわと浮きながら更衣室へと足を進めた。
タツマキの強さはどれだけ盛っても良い