JKタツマキ 作:タツマキちゃん15才
何日も同じクラスで過ごしていると嫌でもクラスメイトについて詳しくなる。
日本最高峰の学校なだけはあってそこそこ見どころがありそうな奴ばかりだけど、その中でも緑谷とかいう奴は異常だった。
まず、個性のエネルギーパターンがオールマイトと酷似している、完全に同一では無いにしろ、差異はほぼ誤差レベルだ。
増強系っぽいし同系統の個性かと思ったけど、それだけでは説明が付かない程に内包する力が大きすぎる。
オールマイトが1だとすれば、緑谷のそれは優に100を超える。
しかもオールマイトの力は日に日に減っているのに対して、緑谷の力はほんの少しずつだけど増加すらしている。
「つまりオールマイトの上位互換……な筈なのだけど」
緑谷は爆豪とかいう毎回私に突っかかってくる雑魚相手に苦戦する程度の実力しか持っていない。
しかも内包するエネルギーの制御がまるで出来ていない、だから毎回腕を壊して自滅しているのだ、頭おかしいんじゃないかしら。
……いや、冷静に考えてみると何よそれ!? 私にすら届きかねない力を持っているのだからちゃんと制御しなさいよ!
教室でいきなり暴発したら私以外全員死にかねないのよ!? というか下手したらマンションにいるフブキにまで届きかねないのよ!?
なんでこんないつ爆発するか分からない核兵器みたいな奴と一緒に授業受けなきゃいけないのよ!
雄英も緑谷も馬鹿じゃないの!? こんなどうでも良い座学をやる前に個性の制御を覚えさせなさいよ!
……ああもう! 何が日本最高峰よ、何の役にも立たないじゃない!!
「緑谷、顔貸しなさい!」
「えっ!? あ、あのタツマキさん、今授業中……」
「君! 授業中は静かにしたまえ! 誇りあるヒーロー科の名を汚す行為は慎みたまえ!」
「うるっさいわね! こんな何の役にも立たない授業なんてどうでも良いのよ! 体育館に行くわよ!」
困惑している緑谷ごと体育館に無理矢理テレポートする。
こんな爆発物を放置する方がよっぽどヒーロー科を汚しているわよ! まったく!
「あ、あの……」
「個性を使いなさい! ……早くしないと中のエネルギーを全部暴発させて殺すわよ!?」
脅す為に内側のエネルギーを少し揺らしてやると、私の脅しが本気だと分かったのか緑谷が青い顔で頷いて空に向けて個性を発動する。
緑谷の中で渦巻いていたエネルギーが一気に指向性を持って指先に流れ……ここ!
超能力で流れを無理矢理止めて鎮静化させる。
「指先が耐えられるギリギリでエネルギーを塞き止めたわ、どう、分かる?」
「うっぷ、これ、は……分かる! 凄く気持ち悪いけど分かる!」
「指先はエネルギー許容量が小さすぎるわ、腕全体を使いなさい、とりあえず私が制御してあげるから体で覚えるのよ」
「う、うん! あ、あの、タツマキさんはこの個性の事どこまで……」
「うるっさいわね、この爆発物! さっさと制御を覚えないとホントにぶっ殺すわよ!?」
「ご、ごめん!」
◇ ◆ ◇
「で、なんでこんな事したんだ?」
放課後、私と緑谷は教員のイレイザーヘッドに呼び出されて職員室に来ていた。
「あんた達がいつまで経ってもこの爆発物を放置しているからよ! 教室で爆発してみなさいよ!? 私以外みんな死ぬわよ!? A組も隣のB組も、なんだったら他の校舎の奴らも近隣住民だって死にかねないのよ!?」
「……っ!」
「そ、それは……すまない、私の責任だ」
隣で聞き耳を立てていたオールマイトが私達の間に割り込んでくる。
「ホントにそうよ! アンタの個性は下位互換だけどほぼ同系統なんだからちゃんと面倒見なさいよ!」
何が平和の象徴よ! 何がビルボートチャート1位よ! 馬っ鹿じゃないの!?
「……つまり、お前は緑谷の危うさに気が付いて最速で対策をしたという事か」
「そうよ! さっきから言ってるじゃない! それよりアンタも謝りなさいよ! 担任の癖に生徒を爆弾の前に晒して恥ずかしいと思わないの!?」
「まぁまぁタツマキ少女……そ、それで個性の制御は出来るようになったのかい?」
「まだ全部は無理ですけど、暴発寸前の力を爆発する前に散らす事は出来るようになりました」
「おおっ! それが出来るならあとは少しずつアクセルの踏み方を覚えるだけだね! ありがとうタツマキ少女! よくやった緑谷少年!」
「は、はい!」
「ふ、ふんっ! 何よ、調子良いんだから……」
こうもストレートに感謝されると調子が狂う、もっとクレームを付けるつもりだったのにどうでもよくなって来ちゃったじゃない!
「今回の件は我々の落ち度でもある、緑谷誘拐の件は不問にするが……次からは問題を見つけても周りと連携を取れ、最低でも俺に一報いれろ」
「はいはい……まぁ、こんな激ヤバ案件はもうないでしょ」
「そうであるように努めるのが俺達ヒーローの仕事だ」
「あっそ、精々頑張んなさい」
タツマキは職員室に差し込む、落ちかけている夕焼けに一度顔を顰めてから忽然と姿を消した。