NIKKE ―ガメラ超決戦― 作:ヒモトラマン・ロープダーク
「―――指揮官、ご無事ですか!?」
―――ああ、大丈夫だラピ。
少し気を失っていたか。ネオギャオス撃破の余波をまともに受けたあたりにで記憶が途切れている……
痛む頭を抱えながらもラピに助け起こされた指揮官。辺りを見回すと何処にも生きているギャオスや変異体の姿はない……在るのは何処も悍ましい肉塊や残骸ばかりだ。
―――ラピ、状況は?
「はい、あの『ガメラ』と呼ばれた怪獣がアーク内に侵入したギャオスや準ずるとおぼしき生物群と交戦……単騎で敵対するその大半を殲滅しました…信じられません。」
―――そうか。皆は無事か?
「アニスとネオン…並びにメティスとリサも動けます。シュエンは気絶していますが、生命維持には問題なくむしろ好都ご……いえ、なんでもありません。ティアとナガ…そして、彼女たちが避難誘導していた民間人も多少は怪我がありますがこちらも歩くことは可能です。」
―――よし。なら、この場は早く離れるべきだろう。
これ以上、巻き込まれたりしたらたまったものではない……
ガシャァァァァン!!
『グルァァ!!』
『グガッ!? ンギャァ!?!?』
――!!
遅かったようだ。既に眼前ではガメラとジーダスが取っ組み合いをしている。ガメラは自身の身の丈以上はあるジーダスにヘッドロックをかけながらハープン舌を無理矢理ひっこ抜いて、悲鳴をあげる顎をこじ開け無慈悲に火炎放射。ハラワタから焼き尽くして蘇生の余地を残さない。そして、息の根を止めるや骸を投げ捨て勝利の咆哮をあげる。
『グルァァァァァァ!!!』
―――なんてヤツだ……
ギャオスの超音波メスすらものともしない外皮にあの火炎はアークの技術で創り上げた如何なる装甲だろうと蒸発してしまうだろう。リサ曰く、味方らしいが万が一でも満身創痍のこちらに矛先が向けば一溜りも……
「ガメラ〜! おーい!」
『――!』
なっ!? 心配をよそになんと手を振るリサ。すると、ガメラも気がついたのかズシン…ズシン…と音を立てながら歩いてくる。咄嗟に武器を構えるカウンターズだったが、手をあげ『待って。』と制止したのはティアだった。
「大丈夫、襲ってこないよ。優しい目をしてるもん。」
や、優しい…? 亀の表情なんて判るわけもないが、爬虫類が好きな彼女が言うなら間違いないのだろうか?ナガも『ティアがそう言うなら』と笑顔…不安は拭いきれないが、カウンターズに銃火器を下げさせる。
ラピは悩みながらも銃口を足元に向け…アニスとネオンも指揮官の正気を疑うような顔をしながらも続く。
『…』
眼前まで来る見下ろす巨体… ロード級ラプチャーかそれ以上はあるかもしれない。こんな生命体は神話やファンタジー、映画やコミックの中にいるべきだろうが……自分たちの直面する現実にガメラは聳え立つ。
すると、ガメラはゆっくりとこちらへ顔を近づけた。まるで自分より小さい者たちの様子を窺うように。
『……』
―――攻撃…してこない?
「! ああ!? 誰か! うちの子が息してない!?」
!? その時、誰かが金切り声をあげる。振り向けばまだ年端のいかぬ我が子を抱きかかえる女性が右往左往しており、周りにいた男が『おい、よせ!』と制するも冷静さを失う母親はガメラの注意を惹くには充分だった。
正気を失う母と彼女が抱く血を流しこときれる幼子に眼を細め……すると、暖かく力強い吐息を消えゆく小さな命に向けた。
『グルルァ……』
ギャオスとは違う、生命を慈しむ息吹。その熱が人々を通り過ぎていくと『奇跡』が起こる。
幼子の滴る血は止まり、肌に色が戻り『うっ…』息を吹き返すと眼を開けた。医療などという次元ではない……最早、魔法といっても他言ではない。
「―――指揮官…!」
―――まさか、ガメラが治したのか?
指揮官の問いに応えるようにガメラは上半身を起こした。その顔は心なしか満足げに見えるような気もする……
母親は『ありがとう、ありがとう!』と泣きじゃくりながら感謝を連ね、他の面々は超常現象に驚くばかり。本当にこの怪獣は人間の味方なのだろうか……………
「下がれ、三流!!」
ズドォォォン!!!!
『――!?!?』
その時、死角からの狙撃がガメラの顔面に直撃。
不意をつく攻撃に悲鳴をあげる怪獣の瞳に映ったのは鬼気迫る顔で向かってくるアブソルート部隊だった。