NIKKE ―ガメラ超決戦―   作:ヒモトラマン・ロープダーク

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邪神 Ⅱ

 

 

「このバケモンがぁ!!!」

 

 

 ウンファの怒号の勢いが如く、アブソルート部隊からの大火力がガメラへと牙を剥く!

 堅牢な甲羅ではなく比較的に柔らかい頭への攻撃のせいか緑色の体液が飛び散り、呻きをあげながら巨体はよろめいた。なんとかビルにもたれかかり転倒は免れたものの弾丸と苛烈な砲撃による追撃は止むことはない。

 

 

『…グルルァ!』

 

 

「ガメラ!? お願い、やめて! ガメラは敵じゃない!!」

 

 ――いけない、巻き込まれるぞ! 他の皆は一般人の誘導を!

 

 

 アブソルートを制止しようとするリサだが、流れ弾を受けかねないと彼女を引っ張る指揮官。カウンターズとメティスふたりも少し悩んだが致し方なしと逃げ遅れた人々を保護すべく動き出す。

 一方のガメラ、アブソルートの攻撃を受けながら甲羅で自身を庇いつつ歩いて逃げ出そうとする………しかし、その方向がまずかった。

 

 

 部下を引き連れたプリパティ率いるトライアングル部隊が集結していたのだ。

 

 

「これ以上、アークでの暴虐を許すわけにはいきません!総員、攻撃開始!」

 

 

『!?』

 

 

 正面からの弾幕に退路は塞がれ、なんとか屈んで甲羅で受け流す………そんな動けないところへバイクのエンジン音が轟く。

 

 

「ミルク、しっかり掴まっていて。滑り込むわよ。」

 

「よっしゃあ、ばっちりキメてやるぜぇ!」

 

 

 愛車ブラックタイフーン駆るシュガーがミルクと相乗りしながらガメラの足元へ火花を散らしドリフトを決めながらショットガンを放つ。脚を集中的に、更にダメ押しとミルクからのスナイパーライフルの弾丸が叩きこまれとうとうバランスを崩したガメラは悲鳴をあげてアスファルトの地面へと倒れていく。

 いくら堅牢な甲羅を持つ大怪獣であろうと、タイラント級ラプチャーすら穿つ弾丸をともなればただでは済まないのだ。

 

『……グゥゥゥゥ』

 

 

 それでも反撃はしない。怪鳥が積み上げた憎悪を乗せた弾丸や砲撃を一身に受けながら彼は蹲りながら耐え忍ぶ。歯を食いしばり、嵐を過ぎ去るのを待つように……

 

 このままではガメラが…! 半ば狂乱するように指揮官にすがりつくリサ。

 

 

「指揮官さん、お願い! ガメラを助けて!」

 

 

 ―――し、しかし…

 

 

 どうすれば良い? あの怒りで煮え滾る彼女たちになんて説明する? 言葉も通じない大怪獣を人類の味方だとどうすれば信じてもらえるのだろう…… 

 

 

「指揮官、アブソルートは私が!」

 

 ―――ラピ!

 

 

 見かねたラピがアブソルートへ向け飛び出す。ガメラ攻撃への皮切りとなった彼女たち…まず最初に止められれば他の部隊もやめるかもしれない。

 しかし、割り込んできたラピに対してウンファは凄まじい形相を見せる。

 

 

「どけ、ラピ! 死にたいのか!」

 

「ウンファ、聞いて。この怪獣は敵ではないわ。」

 

「デカいバケモンに敵も味方もあるか! 散々、好き放題してくれたんだ…怪鳥ともどもミンチにしてやる!」

 

 

 ウンファや他のニケたちにとってもガメラはギャオスと同一性の存在でしかない…人に仇なす害獣、駆除対象。必死にラピが説得しようとするも取り付く島もない有様。

 そして、カウンターズとアブソルートが対立する構図に混乱が起こり、僅かに弾丸の勢いが弱まった………この僅かな隙を逃さない。

 

 

『グルルァアア!!!』

 

 

 ――! 飛んだ!?

 

 

 すかさず四肢と尾を引っ込め、ジェット噴射を起こしてガメラは舞い上がる。

 風圧はニケたちを怯ませるには充分で、あとは回転しながら追撃の弾丸を弾いて侵入してきたエターナルスカイの大穴を目指す。地上に逃げてしまえばニケたちは追ってこれない……

 

 

 

 

 

 

 

   

 

 

 

 

 

 こうなる瞬間を『彼女』は虎視眈々と待っていた……

 

 

 

 

【D-WAVE反応増大! 『イリス』、来ます!!】

  

 

 ―――何っ!?

 

 

 

 シフティーからの通信。それとほぼ同時にエターナルスカイの大穴から幾本もの強力な超音波メスが放たれ、浮遊したガメラに直撃。無防備だった巨体は緑色の体液を散らし、不様に落下していくのだった。

 

 

 

 

 ★ ★ ★ ★ ★ ★

 

 

 

 

『待っていた……この時を!』

 

 

 歓喜の歌に震えるように再来する災いの影……エターナルスカイの大穴より飛来するイリス。灰色のハイパー種や白のアルビノ種のギャオスを引き連れながら落下しもがくガメラへ飛翔し、甲羅に鋭い触手を突き立てる。

 

 

 ―――何をする気だ?

 

 

『我らの同胞の怨み…お前の血肉で贖って貰うぞ!はははははは!!』

 

『グルルァァァァ…!』

 

 

 引き連れていたギャオスたちにニケへの牽制を任せ、彼女はガメラから体液を吸い上げはじめ…肉体が凄まじいエネルギーに満ち始める。そして、竜巻を起こしながら死んだギャオスや準ずる変異体…ニケの遺体を巻き上げながら自分の存在を再構築していく。……より大きく、より強大に、何よりも邪悪に。

 

 数秒後にはイリスは人型の面影を残しつつも、身体のサイズも醜悪さも全てが『怪獣』の領域へと達していた。

 

 

 頭はギャオスのフォルムがありつつも、鋭い甲殻に不気味な黄色い単眼が輝く異形の兜…肩も鋭角に張り出し、オーロラのように半透明の美しい翼が禍々しい祝福を謳うが如くはためく様は神話の1ページのよう。

 

 

『グルル…!』

 

 

 蹂躙されるガメラが眼に映したのはかつて自分を追い詰めた『邪神』の姿。ギャオス種の至る究極系にしてアルファ……人類が後退への道を歩みはじめる元凶となった存在。――邪神イリス。

 圧倒的な神秘性と禍々しさ……それは人類とニケたちに銃口の向きを変えさせるには充分すぎた。

 

 

 

 ――総員、あの怪獣を狙え!

 

 

『…!』

 

 

 指揮官の声が響くや牽制のギャオスを掻い潜ったニケたちの攻撃がイリスに当たる。しかし、ろくな効果は見られずニケ形態から遥かに巨大かつ強靭になった触手で小さな者たちを薙ぎ払うと、そのままガメラを雁字搦めに絡めとりバサッと空中へ力強く羽ばたく。

 

 

「ああ、ガメラが…!」

 

 

 そのまま、ガメラを吊るし空へ攫うイリス。リサが手を伸ばし、ニケたちが弾丸を浴びせようとするも届くことなく邪神と付き従う怪鳥たちは悠々と嘲笑うようにエターナルスカイの大穴へと消えた……

 

 

 

 

 

 厄災に奪われし『最後の希望』………アークに残された者たちはただ呆然と虚空を仰ぐことしか出来なかった。

 

 

 

 

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