NIKKE ―ガメラ超決戦―   作:ヒモトラマン・ロープダーク

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怪鳥Ⅳ

 

「火力集中!」

 

 ラピのアサルトライフルが激しく火を吹く!

 

 鋼鉄のラプチャーでさえ、その威力に鉄屑へ早変わりする……はずなのだが…

 

「? 弾が…通らない?」

 

 怪鳥の表皮を多少なりとも抉りはすれど、致命傷には至らない。アサルトライフルは相手を選ばないバランス型の性能といえど、仮にも有機生命体をバラバラにすることくらい本来なら造作もないのだ。

 

「さっきのビームと言い、この耐久性といい…やっぱり普通の生き物じゃない!」

 

「分かりきったこと言わないでよ!」

 

 隣でアニスの怒号。ランチャーを撃ちまくる彼女だが、砲弾は素早く飛び回る怪鳥に当てることが叶わずすり抜けて廃墟に炸裂するばかり。如何せん、相性が悪すぎる。

 

「ああ、もうこのっ!イライラする!」

 

「アニス、闇雲に撃っても弾丸を浪費するだけですよ!」

 

 一方のネオンはショットガン故の射程の短さはあるものの、接近を試みる怪鳥に当てることで牽制を行っていた。ある程度の範囲で拡散し、近距離ほど威力が高くなるショットガンには流石の化け物たちでも強引に突破することは難しいらしい。

 

 両者ともに譲らず…… ならばと、怪鳥の一羽が離れて優美に空で孤を描くと大口を開ける…

 

『ギャァァァ…!!』

 

  ―――キィィィィィンン!!!

 

「「「!」」」

 

 再びあの高周波… 再びあの切断ビームを放つつもりだろう。あれがまともに当たれば一溜りもないが、カウンターズと指揮官も頭が破裂しそうな高音に耐えられず怯んでしまう。

 

 そこへ、すかさずフォローに入ったのはマクスウェル。

 

「やらせるか!」

 

 ズドン!と彼女のスナイパーライフルは発射寸前の怪鳥の翼を撃ち抜いた。

 穿かれた怪鳥はバランスを崩し、情けない鳴き声をあげながらビルに向かって突っ込んで見えなくなる。まずは1羽…

 

「ふぅ、これラプラスが居たほうが良かったんじゃない?」

 

「同感だ。どの口が言うという話だが…」

 

 先の言葉を棚に上げるマクスウェル。まあ隣にはでフォローするドレイクも同意せざらえない…もし、ラプラスがいたなら強力なビーム砲で薙ぎ払うくらい容易だったろう。最も、無い物ねだりで嘆いても今更仕方ないのだが…

 

 戦況は芳しくない。高耐久・高速飛行・ニケすら怯ませる高周波を伴う謎切断ビームを行う上に数の暴力で攻めたててくる怪鳥に『どうしたら…』と指揮官も焦りを覚えていた。このままでは護衛対象を守り切るどころか、全員仲良く怪鳥のエサ……それを見兼ねてかリサが声をあげた。

 

「1体に火力を集中して!それで隙を作れる!」

 

 確信に満ちた提言。指揮官は一瞬だけ戸惑うも、すぐにニケたちへ指示をだす。

 

「了解。」

 

 呼応して素早く頭上の1体に狙いをつけるラビ。彼女のアサルトライフルは距離を選ばないバランス型、決定打は打てずとも当てるくらいなら造作もない。そして、よろめいた怪鳥を確認すると次にバトンを繋ぐ…

 

「マクスウェル!」

 

「任された!」

 

 ガチャン!とスナイパーライフルで再び狙うマクスウェル…次の瞬間には下半身を穿かれた怪鳥が殺虫剤をかけられた蝿のように落ちていく。機動性が失われれば、あとはただの大きい的…鬱憤を晴らしたいアニスとトドメを刺すべくネオンとドレイクが銃口を向ける。

 

「とっとと、くたばれ!」

 

「火力ッ!!」

 

「喰らえッ!!」

 

『ギャァア!?!?』

 

 ランチャーとショットガンによる一斉攻撃。表皮は抉れ吹き飛び、爆風が肉体を焼く…ラプチャーだってこれなら爆発四散待ったなしの集中放火だが……

 

『ギャァア!? ギャァア!!』

 

「…ウソでしょ。」

 

 怪鳥はまだ生きていた。身体がグズグズに崩れ目玉が眼孔から溢れて垂れ下がる有様になってもなお醜く足掻いて鳴き叫んでいる。凄まじい生命力に基本は冷静であるラピでさえ絶句する始末……しかし、この生物の本当のおぞましさはここからである。

 

『ギャァア!!ギャァ!』

 

『ギャァ!!ギャァ!』

 

 激痛に悶える仲間の叫びに反応をしたのか集まりはじめる怪鳥たち。ニケたちには目もくれず、怪我した仲間の周りに降り立つ……庇っているわけではない。バタバタする崩れた頭を一羽が脚で抑えつけると……

 

『ギャァアアア!!!』

 

『!?』

 

 そのまま、喰らいついた。

 

 他の怪鳥たちも悲鳴をあげる仲間をお構いなしに続いて噛みつくと肉を引き千切り、丸呑みにしはじめる。

 共食いの鳥葬。生きたまま行われるこの凶行にメティスのふたりですら言葉を失う。一体、この生物はなんなのだ?知性はあるが理性は無い。狂気に呆気をとられそうになる中、リサは声をあげた。

 

「今のうちに離れるよ!」

 

 …確かに隙ではあるのだが。

 見るに堪えない光景に目を逸らしつつ、一行は急いで離脱すべく走りだす。とにかく、離れなくては…ボヤボヤしていれば次は怪鳥たちの胃袋に収まるのは自分たちなのだから。

 倒壊したビルを迂回する形で廃墟と瓦礫を抜け…すると、装甲輸送車が見えてくる。

 

「よし、あと少しだ! 急げ!!」

 

 ドレイクが奮い立たせようと叫ぶ…だが、同時に広報でバサバサと怪鳥が飛び立つ羽音が響く。鳥葬が終わったということだろう。狂気と飢えが赴くまま、怪鳥たちはついさっき取り置きしていた新鮮な獲物へと再びターゲットを移す。

 相手は飛行できる…あっという間に追いつくのは明白。装甲輸送車にまで辿りつけるかは怪しい……

 

「私が… 私が囮に… 」

 

「馬鹿なこと言ってんじゃないの!」

 

 アニスに背負われている傷ついた量産型ニケが自らを囮をかって出るが、背負っているアニスがそれを許さない。

 されど、怪鳥たちはもうすぐそこまで迫っている。加え、極めつけにと装甲輸送車の前に立ち塞がるが如く一羽が着地して雄叫びをあげた。

 

『ギャァア!!』

 

 ―――まさか、我々が輸送車に乗ろうとしているのを理解しているのか?

 

 戦慄する指揮官。この怪鳥、残虐な行動と外見に反して間違いなく知能もある。恐らくは人間の意図な文明の産物などをある程度は理解出来るくらいには…… 

 

「この、どきなさい!」

 

 立ち塞がる怪鳥に対し、ショットガンを構えたネオン。再び一斉攻撃で退ければ……

 ――……などという考えなど見透かしたように異形の口に光とまたもつんざく高音が襲いかかる。しかも、今度は他の個体たちも一斉にビームを放とうとしている分、倍である。

 

「くっ…ううう!?!?」

 

「あ、頭が…本当に割れるッ!?」

 

「し、師匠…っ!」

 

「…あ、…これは流石にヤバいかも…!」

 

「がっ…は…!? 最高のヴィランの私がこんなところで…!?!?」

 

 ニケたちはもう動けない。指揮官ももう意識がとびそうだ…… 駄目だ、ここで自分が諦めたら彼女たちは確実に助からない。来訪者も連れて帰ることも不可能。こんなことになるのなら、幸運のウサギたちに幸運チャージでもしてもらうのだった……『奇跡』でも起きなきゃこんな状況は覆えらない。

 

『ギャァアアアアア!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――これより、正義を証明するッ!!」

 

 

 

 

 

 そう、そして『奇跡』は起きた。

 

 居るはずがない『最後のメティスのメンバー』の声と共に図太い金色のビームが怪鳥たちを薙ぎ払う! 今までとは比較にならない火力に殺虫剤をかけられた羽虫のように次々と落ちていき、ものの数秒で群れの大半は壊滅してしまったのだ…

 

 

「バードボーイ、待たせたな… 

 

   ―――私が来た!」

 

 指揮官の前にヒーロー着地を決めるはミシリスの最強のニケ…アークを護るヒーロー。ああ、知っているとも…待ちわびていたとも…

 

「さて、あとはヒーローに任せろ。」

 

 ラプラス。しかし、彼女は留守番をしていたはず……

 

『ギャァア……』

 

 ――!

 後ろでまだ息がある怪鳥がラプラスを狙って…

 

 

「うるさいわね。パートナーの声が聞こえないじゃない。」

 

 …いたが、またも聞き覚えがある声と同時に銃声がパァン!と轟き頭蓋が吹き飛ぶ。ショットガンによる至近距離射撃…黒いスーツのニケが返り血を浴び立っている。

 

「大丈夫かしら、パートナー? ラプラスを送り届けるだけのつもりだけだったけど…それどころじゃないかしら?」

 

 …シュガー。ミシリスのメティス同様にテトラにおいて、最強格の一角たるニケ。元より交流がある彼女だが、どうしてこんなところに? 

 

 一方、倒れて動けないラピにも新たなニケの姿があった。

 

「ラピ、しっかりなさい!そんなていたらくで私のライバルのつもりですか…!! カウンターズである貴女が指揮官を率先して守れなくてどうするんです!?」

 

「プリパティ…」

 

 ラピのライバル(自称)…プリパティ。アサルトライフルを撃ちまくり、残る怪鳥たちを次々と片付けていく。いや、彼女もこんなところに居る理由なんて無いはずなのだが…

 とにかく、思わぬ援軍によるカウンターで怪鳥たちはあっという間に散り散りになっていた。命拾いしたということには変わりあるまい。

 

 

 

 

 ★ ★ ★ ★ ★

 

 

 

 

 さて、突然だがここからは暫しプリパティの視点からのお話である。

 

 

 

「私は元々、そこの彼女(シュガー)の駐禁をきっていたんですよ。そういった仕事は本来なら警察がやるべきだったんですが…なんせ場所が場所だったもので我々が出張る羽目になったんです。」

 

 ――場所が場所、アークの政治家とかに関連がある場所だろうか。

 

「で、取り敢えず事情聴取をと思ったのですが、何かと要領をえずのらりくらりといった有様で…そうこうしているうちにメティスの彼女(ラプラス)がやってきて……」

 

 ――おお、ちょうど良かった!急ぎで地上まで頼む!! 請求書はミシリス宛でな!

 

「そして、私を無視して地上に向かおうとしたんですよ!無論、実力行使でしがみついて止めようとしたんですが…」

 

 ――君も来ると良い!旅の道連れとは言ったものだしな!

 

 ――は?

 

「そして、バイクに引きずりまわされていたと思ったら今に至るわけです。何かこうもうワケがわからないです。このあと、有給とってたのに……」

 

 

「…」

 

「…とんだ災難ね。」

 

「なんかこう、すごく可哀想です。」

 

 カウンターズに同情されるプリパティ。本当にここに来たのは事故でしかない…あと、シュガーは特に反省する素振りもなく怪鳥の肉片をショットガンで興味津々に突いている。

 

 一方のラプラス。他のメティスと共に指揮官と話をしていた。

 

「すまない、バードボーイ。こんな事態になるなら、最初からついてくるべきだったな。ヒーローセンサーが発動した時は本当に今までにない悪寒を感じたぞ。」

 

 ヒーローセンサー…まあ、勘のことだ。いつもは手を焼かされるヒーロー衝動だが、今回はそれに助けられたといつも苦言を呈すマクスウェルも苦笑い。ただひとつ気になることがあった…

 

「助かったけど…よくシュエンが許したね。」

 

「…ああ。ヒーローセンサーに反応があってソワソワしていたら行くのを許してくれた!」

 

 あー、危機を勘づいたラプラスが鬱陶しかったのか…納得。衝動に駆られたラプラスが制御は出来ないと造った本人が誰よりも知っているのだろうから。

 取り敢えず、眼前の危機は落ち着いただろう。リサと傷ついた量産型ニケのふたりをアークに連れて帰らなくては…

 

 指揮官は装甲輸送車に既に乗りこんでいるふたりに声をかける。

 

 ――これから、アークに向かう。

 

「話は聞いてます。 ……あの、他のニケの生き残りは?」

 

 ――君達以外、確認出来ていない。

 

「……そう…ですか。 皆、『ギャオス』に…私なんかを助けるために…」

 

 ギャオス……?もしかして、あの怪鳥たちのことだろうか? そういえば、戦いの中でも彼女は異様に落ち着いていた…まるで、怪鳥の存在を元々知っていたように。

 もっと踏み込もうとした矢先、ラピが叫ぶ。

 

「指揮官、こちらへラプチャーの大群が!」

 

 なに!? 振り返ると、地平線の向こうに禍々しい赤いコアの光が大挙として押し寄せてくることが確認できた。まさか、あれが全てラプチャーだと…?

 

「し、師匠!ゲートキーパーが…!」

 

 更にネオンの悲鳴。廃墟郡の中心に座するゲートキーパーが稼働し…次々と怪鳥を召喚をしはじめている。今まで襲ってきた赤銅色の個体から更に大きい青色の個体までどんどん空へと羽ばたいていく。

 右にラプチャー、左に怪鳥…もうこんなところに長居は出来ない。

 

 

 ――退却だ! 

 

 

 指揮官の一声にすぐさまニケたちは装甲輸送車に乗り込み、シュガーはバイでその場を一目散であとにする。

 

 

 

 

 巻き起こる未知なる事態。しかし、これもまだはじまりに過ぎない。

 

 

 

 

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