ゼロが幻想郷から帰るまで   作:エグゼ4のエアホッケー

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アドコレ発売に沸く中でゼロの小説です。
熱斗くんが行っても面白いけどそれ以上にゼロさんに行ってほしかったから。

時系列的には虹龍洞と闇市場の間です。

ということで、ゼロが幻想郷から帰るまでのお話です。どうぞ、


プロローグ

 ゼロが最後に見た景色は何だったであろうか。

 

 燃え尽きるラグナロクの姿だったろうか。

 走馬灯の先に見えたレジスタンスベースだろうか。

 それとも、先に旅立ったエックスの姿だったろうか。

 

 彼がどうなったかは誰もわからない。

 

 だが、もし彼に奇跡が起こったとしたら、

 誰かの思惑が働いて生かされていたとしたら、彼はどんな道程を歩んだであろう。

 

 これは、彼の「もしも」の更に奥にある非現実的な物語。

 

 

~ゼロが幻想郷から帰るまで~

 

 

 ゼロの眼前には切り立った崖が広がっていた。背を反らさなければ崖の上が見えないほどに急な崖だった。

 

 数分前に再起動したゼロにとってあり得ない景色だった。

 人が住めるわけがない世界。アネクメーネしかないのが自身の知っている世界だったはずだ。だが、眼の前は豊かな自然と清涼な空気が視界の大半を占めている。

 

 余りに想定外過ぎて理解が追いついていなかった。

 

 先刻までラグナロクの墜落を阻止し、大気圏突入と共に燃え尽きてしまった筈の自身がまだ地に足ついて生きていることにも、記憶にない豊かで清涼な緑の風景が存在することにも、理解が出来ない位には混乱していた。

 

 突如、一陣の風が吹く。

 金糸の髪が靡く。

 木の葉が巻き上がる。

 視界が塞がれる。

 

 晴れた視界ゼロの前に一人の少女が現れた。

 迷彩柄の衣装を纏い、

 大きな茶色のアタッシュケースを背負い、

 胸元に鍵を括り付けた少女が、舞い上がる木の葉が落ち着くとともに視界に入ってきた。

 

 少女はゼロを一瞥すると一言投げかけた。

 

「おー、本当に機械の人間だぁ」

 

 脳天から足の先までゼロをじっくりと睨め回すと、少女はゼロの一歩先に着地した。

 そして、ゼロに一歩近づくと知的好奇心と訝しみを込めた目で見詰めた。

 

「仲間から聞いた時は、聞き間違えかと思ったが…。うん、」

 

 ゼロに口を開く間を与えないほどに観察を続ける少女は、鞄から手帳とペンを取り出すと何か一心不乱に手を動かし始めた。

 

「………おい、」

 

 ゼロが耐えかねて声をかけると、動かしていた手を止めてゼロに視線を寄越した。

 そして、真剣な眼差しを寄越していた顔を真面目な顔に移し、手帳をパタムと閉じると口を開いた。

 

「あぁ、悪いね。ここ秘天崖は我々山童のアジトだ、外の人間。」

 

 目を見開いた。

 秘天崖という聞いたことのない地名もそうだが、自身を外の人間と言い表した少女の言葉に戸惑いを隠せなかった。

 そして、レジスタンスベースやネオ・アルカディアがある場所とは全く違う所に堕ちた事にも目が渇くまで閉じることが出来なかった。

 

「山童の山城たかねだよ。山童達のリーダーを務めている。」

 

山城 たかね

~山奥のビジネス妖怪~

 

 たかねがそう放ったことで、ゼロは現実に脳を戻した。

 

「オレはゼロだ

レジスタンスベースに所属している。」

 

ゼロ

~太古の伝説の英雄~

 

 二人は自己紹介を交わすと、辺りは自然の音に包まれた。たかねは再び手帳を開き、ゼロは現状理解に脳を割いた。

 

 理解し難かった。余りにも眩しい空気感と山童と冠詞を付けた少女。そして、争いの痕跡が無い原風景。どれをとってもゼロの記憶領域には無いモノだった。

 どうすればいいのかわからない。それが弾き出した答えだった。争いと無縁の景色、無心で自身を観察しペンを動かす少女、鳥の囀り。

 自身の存在意義とかけ離れた環境に目的を定められなかった。

 

「取り敢えず、私にはどうにもできないから。博麗神社まで案内するね。」

 

 たかねの案内についていくことにしたゼロは、レジスタンスベースにどうすれば帰れるか考えていた。

 聞いたことのない場所、レジスタンスベース周辺で見たことがない景色。エリアゼロとも異なった雰囲気を放つこの場所から帰るには…。

 考えを巡らすゼロを後目にたかねは歩みを進めた。

 

 

~ここは幻想郷、忘れ去られた者たちの楽園~

 

 

 たかねの説明によりゼロは大体の現状を把握し始めていた。

 ここが幻想郷と呼ばれる場所だということ、たかねが人間でもレプリロイドでもない妖怪という存在であるということ、そしてシエル達がいる場所とは違う世界だということ。

 大雑把にではあるが頭の中で自身の現状をまとめたゼロは元の世界に帰るために、博麗神社へ向かうたかねの案内に素直についていった。

 

 気づけば崖をぬけ、森をぬけ、長い階段の前まで来ていた。

 

「ここを登れば、博麗神社だ。もう案内はいらないだろ?」

 

 たかねは口角を少しだけ上げて、そう告げると踵を返し山の方へ帰った。

 その後ろ姿にゼロが感謝の言葉を投げるとたかねは腕を振りながら去っていった。

 

 ほんの少しの時間ではあったが世話になったたかねに感謝を感じつつ、一抹の不安を覚えながら階段を一段ずつ上った。

 

 シエルは無理していないか、レジスタンスベースの皆は元気にしているだろうか。そんな事を考えながら博麗神社に向かっていた。

 

 階段の頂上にまで来ると、そこには箒で参道を掃除をする巫女がいた。彼女はこちらに振り向くと、

 

「素敵な賽銭箱はそこ。そして、貴方の目的地はここよ。」

 

 そう告げて、笑顔で社の薄汚れた賽銭箱に指を指した。

 

「私は博麗神社の巫女、博麗霊夢よ。そして…、幻想郷の外から来た人間を帰す役目を担っている。」

 

博麗 霊夢

~永遠の巫女~

~楽園の素敵な巫女~

 

 ようやく一つ息を吐いた。帰り道もわからない現状に光が見えた。帰る方法が分かるというのは何よりも安心するものだ。

 しかし、霊夢は賽銭箱に向かう様子がないことを悟ると、直ぐに真面目な顔になった。

 どうやら、直ぐに帰れる程現実は甘くはないようだ。

 

「残念だけど、私に貴方を帰すことはできないの。止められているからね。」

 

 一瞬の思考の停止。そして、静寂。

 

「まあ、今すぐに出来ないだけだから。少しの間だけ待ってちょうだい。」

 

 新たに芽生えた不安をよそに、霊夢は土間に向かった。そして、水の入ったやかんを火にかけた。

 

 ゼロは今後どうすればいいのかを決めかねていた。今すぐに帰れない。だが、雨風を凌ぐ場所もない。

 こんなにも争いと無縁の場所では果たすべき責務もなかった。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 霊夢は、お茶筒と湯呑みと急須を取り出しながら、幻想郷の基本的なルールについて説明した。

 

 曰く、ここではスペルカードルールで戦うのが基本だと。

 曰く、異変を解決するのは人間だと。

 曰く、人里に人外が立ち入るべからずと。

 

 そして、最後に霊夢は博麗の巫女の立場で言い放った。

 曰く、幻想郷においてゼロは人外にあたると―

 

 是と返す事しか許されなかった。

 

 霊夢の方に目を向けると落ち着き払った姿で、湯呑みに注いだお茶を啜り日向ぼっこしていた。

 だが、目だけは余計な異変を起こしたらぶっ飛ばすという視線でこちらを見ていた。

 

「ここまで来たのなら、案内した奴がいるでしょ?そいつの世話になりなさい。神社に人を泊まらせる空きも、分け与える食料もないの。」

 

 そうお茶請けを齧りながらゼロに言うと、興味なさげに手を払ってさっさと帰れという態度を示した。

 

 仕方なくゼロは博麗神社を後にすると、最初に目を覚ました崖を目指した。

 階建を下る。段々と下がっていく。

 

 どうにもできない現状に、止まることを知らない心配。

 

 ゼロを言い表し難い不安が覆った。昔、経験したモノとは明らかに違う問題は、今までの態度を崩すほどの力を持っていた。

 

 そうして全てを下りきった先にいたのは、動物の耳を生やした少女だった。

 

「お兄さん、良いカードあるよー。買っていかないかい?」

 

プロローグ 第一話 完




山城たかね(初出:東方虹龍洞)
山童達のリーダーだが、勝負に強いわけではない。
ただ、商売上手で利益を生むのが一番上手いからだ。
得られる利益があるなら戦闘するが、一銭の価値もないなら素直に降参する。だが、魔理沙は許してくれない。

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次回分はあるが投稿はまたいつか、今度…。
理由としては作者はゼロ、エグゼ、流星は詳しいつもりですが間違いがあるかもしれないので、東方を布教させたい友人監修の下、投稿しているからです。
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