マサラタウンを旅立った無口な少年がロケット団を壊滅し、ポケモンリーグを制覇した後、シロガネ山に籠もり、ワカバタウンを旅立った少年とバトルしてから、時が流れた。 

その間、ホウエン、シンオウ、イッシュ、カロス、アローラ、ガラル、パルデアでは、世界が滅ぶかどうかの瀬戸際に陥りながらも、少年少女とポケモン達の絆によって、危機は回避されていった。

これは、そんな世界の危機とは無関係な1人の少年の旅立ちの一コマ。

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最近、ハーメルンのポケモン小説を読むのがマイブームで、ふと自分がポケモンをやってた頃に思ったことを思い出したので、小説にしてみました。


そうだ。ジョウト、行こう

「いけ!ゼニガメ!『あわ』!」

 

「フシギダネ、合わせて!『つるのムチ』よ!」

 

「ああ!?ピカチュウ!」

 

「っ!ヒトカゲ!」

 

ゼニガメが勢いよく吐き出した泡を受けたヒトカゲが、フシギダネが全力で振るった蔓を受けたピカチュウが倒れ伏した。

 

こうして、初めてのポケモンを貰った子供達が必ず行う記念すべき最初のポケモンバトルは、ゼニガメとフシギダネを貰った少年と少女のコンビの勝利に終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここはカントー地方にあるマサラタウン。

 

かつて、オーキド博士から最初のポケモンとポケモン図鑑を貰い、セキエイ高原のポケモンリーグの制覇と、カントー地方に生息していた全てのポケモンの記録という偉業を成し遂げた無口な少年に倣い、この町に住む子供達は、希望すれば、研究所から最初のポケモンを貰えることになっている。

 

草タイプのフシギダネ、炎タイプのヒトカゲ、水タイプのゼニガメ、電気タイプのピカチュウ、ノーマルタイプのイーブイ。

 

この5種の中から、好きなポケモンを選べるのだ。

 

こうして、ポケモンを貰った子供達の行動は、たいてい決まっている。

 

町を出て、旅に出るのだ。

 

彼ら、幼馴染の4人組も、例に漏れず、最初のポケモンを貰った後、旅に出ることになっていた。

 

「よし!ポケモンも回復したし、行くか!」

 

ゼニガメを貰ったリーダー格の少年がそう言うと、フシギダネを貰ったサブリーダー格の少女が続いた。

 

「そうね。今から行けば、夜までには隣のトキワシティに着けると思うし」

 

「みんなで旅なんて、ワクワクしちゃうね!」

 

「俺は必ず、あの伝説の無口なトレーナーや、世界を危機から救ってきたトレーナー達みたいな伝説に残る活躍をするんだ!」

 

ピカチュウを貰ったムードメーカー的な役割の少女が明るくそう話すと、その横でゼニガメの少年が熱く己の決意を語る。

 

「じゃあ、行きましょうか」

 

フシギダネのその少女の言葉を合図に、ゼニガメの少年、フシギダネの少女、ピカチュウの少女の3人はトキワシティに向かって、そこまで一言も喋らなかったヒトカゲを貰った少年は反対方向のトージョウの滝に向かって歩き出した。

 

「「「……え?」」」

 

「……ん?」

 

驚きの反応をする他の3人に対して、不思議そうに3人を見返すヒトカゲの少年。

 

互いに沈黙すること、数分。ゼニガメの少年が口火を切った。

 

「いやいや!何してんの!?トキワシティはあっちだぞ!」

 

「あんたが方向音痴なのは知ってるけど、今から旅に出るってタイミングでそんなボケかまさないでよ!」

 

「も〜う!ほら、こっちだよ?」

 

そうやって、3人から声を掛けられたヒトカゲの少年は、少し考え込んだ後、何かに気付いたかの様に手を打った。そして、その口を開いた。

 

「ごめん。言うの忘れてた。俺、ジョウト地方を旅するわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もうすぐ始まる旅に向けて、荷物の準備と同時に、挑戦する各地のジムについての情報を集めていたヒトカゲの少年。

 

彼は情報を集める程に、カントー地方を炎タイプのヒトカゲで旅する事の困難さを痛感してしまっていた。

 

最初に挑戦するであろうニビジムは岩タイプのジムだし、次に挑戦するはずのハナダジムは水タイプのジムだ。

 

これらのタイプに対して、炎タイプのヒトカゲは相性が悪い。いや、悪すぎる。トレーナーとしての実力も格上なジムリーダーを相手にするというのに、タイプの相性まで最悪というのは自殺行為である。

 

とはいえ、最初に貰うポケモンを変えるという選択肢は、彼には無い。テレビで初めて観たチャンピオン ワタルと、彼に従うリザードンの勇姿。

 

自分もあんな風になりたいと、リザードンと共に在りたいという夢は捨てられない。

 

ならば、どうするべきか。

 

ヒトカゲでダメなら、他のポケモンを捕まえるのが正攻法である。しかし、ニビジム、そして、ハナダジムに辿り着くまでに、岩タイプと水タイプに強いタイプのポケモンを捕らえて、ジムリーダーに勝てるまでに鍛えるというのは、なかなかに手間だ。

 

それに、やはり、最初に仲間になったヒトカゲを活躍させたい。

 

頭を抱えて悩む彼は、ふと壁に掛けられた世界地図に目を向けた。

 

これから旅するであろうカントー地方の他に、ジョウト地方、ホウエン地方、シンオウ地方、イッシュ地方、カロス地方、アローラ地方、ガラル地方、パルデア地方が載っている。

 

「………そういえば、ホウエン、シンオウ、イッシュ、カロス、アローラ、ガラル、パルデアでは、世界が滅ぶかどうかの事件が起きてんだよな………」

 

そんな世界崩壊レベルの事件の数々を解決しているのが、自分と同じ年頃の少年少女達というのは、改めて考えると、恐ろしい話しである。 

 

まぁ、もう全て解決しているから、自分には関係無いのだが………。

 

「あっ!」

 

ぼんやりと地図を眺めていた彼に、あるアイデアが浮かんだ。

 

「そうだ。ジョウト、行こう」

 

彼は、思い浮かんだそのアイデアが実現可能か否かを確かめる為に、町へと飛び出すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おう!来たか!」

 

幼馴染達と別れ、トージョウの滝へとやって来たヒトカゲの少年。

 

そんな彼に声をかけたのは、つりびと風な中年の男性であった。彼の背後には、出航準備を終えたボートがある。

 

「友達とはちゃんとお別れして来たか?」

 

「いや〜」

 

ヒトカゲの少年は、幼馴染達との別れの顛末を語った。

 

自分がカントー地方ではなく、ジョウト地方を旅することを伝え忘れていたこと。

 

いつも4人一緒だったのに、どうしてという彼らに、彼らに甘えることなく、1人の男として、立派に独り立ちしたいと決意を語り、セキエイ高原での再会を約束したこと。

 

上記の決意は建前で、本当はヒトカゲを活躍させやすいジョウト地方に行きたかっただけというのは秘密にしたこと。

 

それらを聞いたつりびと風な男性は大笑いした。

 

「ガハハハハ!そいつは言わなくて正解だ!単純に、ただのわがままみたいに聞こえるからな!」

 

「自分でも、わがままだとは思いますよ。あとは、カントーから逃げ出したとも……」

 

「まぁ、良いじゃねぇか。よく言うだろ?逃げるは恥だが役に立つってな!」

 

つりびと風な男性と話しながら、ボートに乗り込むヒトカゲの少年。彼の表情は少し暗かった。これから旅立つにしては、辛気臭いと思ったつりびと風な男性は、ヒトカゲの少年を元気づけようとある提案をした。

 

「そんなに気になるなら、ジョウトのジムを回って、セキエイ高原のポケモンリーグに挑んだ後、カントーのジムに挑戦すれば良いじゃねぇか!」

 

「え?そんなこと、出来るんですか?」

 

「おうよ!ジムリーダー達は、挑戦者にポケモンリーグに挑む資格があるかどうかを判断するのが仕事だから、普通に挑戦しても本気の全力では相手してもらえないもんなんだよ。でも、ポケモンリーグに挑んだ後なら、その必要は無いから、本気の全力を出してくれる様になるぜ?」

 

「本気の全力のジムリーダーか……」

 

それも良いかもしれない。ジョウトで経験を積んで、ヒトカゲを鍛え抜いて、ポケモンリーグに挑んだ後、改めてカントー地方を旅する。

 

想像するだけで、何だか胸が高鳴ってくるのを感じる。

 

「おっ!良い顔するようになったじゃねぇか!それじゃ、ワカバタウンに向けて、出航!」

 

こうして、1人の少年と1匹のポケモンがカントーのマサラタウンから、ジョウトのワカバタウンへと旅立っていった。

 

彼の旅路がどうなるか、それはアルセウスのみが知っているのかもしれない。




ちなみに、自分は赤緑青ピ金銀ク世代。つまり、ゲームボーイ全盛期世代。

歳がバレる(笑)

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