今日から私が、ベリアル(♀)だっ!! 作:Tkmraeua2341
女体化ベリアル見ったいっ人ー!
はーい!!
誰か書いてー!
私なんかが書いても面白くないからー!
誰かー!
転生した。
…ああ待ってくれ、私の話を聞いてくれ。
もはや使い回しすぎてこの一言である程度の事情が分かるようになってしまい、本来の宗教的な意味の転生の方が珍しいまである魔法の言葉、それが転生。
それを作品として見てきた者は数多いだろうが、私のように体感してるものなどそうは居ないはず。
そう、私は転生したんだ。
きっかけは私の過失が生んだ山道での事故だった。
故郷見たさに都会から帰り実家に辿り着くまでは良かった。
せっかくだから昔遊び回った山の中でも見て回ろうと思ったのがいけなかった。
路肩の崩れた細い片道、急に飛び出す野生動物、申し訳程度にある離合箇所…精神がゴリゴリ削られる行き道に吐き気すら感じ始めた。
そしてとどめに通行止めの看板、こんなとこなんで工事してるんだ、土砂崩れでもあったのか?
なれない山道でのバックに辟易しながら下山する。
踏んだ石が出す不快な音に耳鳴りを感じそう。
あーあ、まさかこんなことになるなんて、後悔先に立たずだ。
そうして20分、やっと広い道路に出たと思ったら目の前に鹿の親子、しかも今俺は気の緩みから急停車出来ないほどのスピードを出しちまってた。
不味いと思い必死にハンドルを回す。
車の向いた先は、崖。
あ…てなったね。
確かこういう事故って案外助かるんじゃなかったっけ、なんて思い浮かべた時には車は滑り落ち、横回転まで始めた。
そして俺の意識が消えた。
これが「俺」の最期、こっから俺の転生話。
意識が消えてしばらく。
何となく目の前がぼんやり見える…ような感覚を感じた時、本能的に俺は肉体が死んで、魂だけの状態になったと理解した。
そんな俺がいたのは…木で出来たザルの上だった。
そんで俺を含めた沢山の魂達を昔話に出てきそうなばあちゃんが水で洗い始めた。
ぐわぁぁなんて言ってた気がする、口無くなってたけど。
それから魂1人づつベルトコンベアに載せられていった。
いや世界観!なんで米研ぎ感覚で洗われた後に出荷されるように乗せられたの?!文明開化し過ぎてるよ!!
そんで先の方ではなんかピタゴラスイッチ並にごちゃごちゃしてるし、末端に沢山ある穴の上に看板あるし、え、そういうこと?!そうやって転生先決められてんの?!
てわぁぁああ弾かれたー!!
数十回ピンボールにされながら着いた穴の看板は【ウルトラマン】だった。
…は?だよね、ホント困惑した。
困惑してる間に後ろから来てた魂に押される形でその穴に入った俺。
そして辺り一面真っ暗になった後、唐突な息苦しさと圧迫感が俺を襲った。
それらには直ぐに解放された。
代わりに今度は泣き声を止められなくなった。
あれって意図せずに出るもんなんだなってぼんやり思ってたら男の声が聞こえてきた。
「頑張ったなリリス…はじめましてだ、ベリアル…我が娘よ」
…うん、情報の暴力ぅ。
まあね、ウルトラ世界ってなんか平行世界いっぱいあるみたいな話聞いたことあるよ。
でもさ、人間の男の魂をインストールした女体化ベリアルの世界線なんて何処にあるよ…。
転生したと同時にどうしようもない自体になったと絶望した瞬間からかなりの月日が経つこの頃。
一人称が俺から「私」になって違和感すら感じない程度には生きてきた。
まだあの赤黒な猫背野郎な面影は無い、せいぜいウーマンなのに男寄りな容姿に作中でもあったツリ目が割と目立っていたように思う。
あとあれだ、髪っぽいのを必死に伸ばしてた。
鍾乳石並のじんわりさにヤキモキしながらウルトラ念力で前髪ありのポニテのようにしている。
ウルトラ族では類を見ないだろう、この平成ヒロイン並の意味不な前髪、これを整えるために念力を強化させてしまうという事故のような成果も上げている。
体術だって鍛えてる、かなり必死。
確かベリアル(本物)ってすげー強かったんでしょ?
もしかしたら私も(性別が違うが)ベリアルだから強くなるかもって思うじゃん?
そんで父に修行してもらったらあら不思議、ガキの時点で圧勝し始めてしまった。
あぁーこれあれだわー無双で「俺Tuee」できるわーハッハッハー…はぁ。
そんな邪心を見抜かれたのか戦闘センスに脱帽したのか、父は私をあるとこに弟子入りさせた。
そこで私は地獄を見たよ、死ぬ寸前まで鍛えられた。
セブンがジープでレオ追い回す修行、この頃から似たのあったんかい。
そんなレオも真っ青な修行時代を終え、立派な大人になった私は今、大戦の真っ只中にいた。
確かにウルトラの星ってよく侵略受ける印象あるけどこんな時から侵略されてたのかよ!
そんな悪態をつきながらも目の前のベムスターを爪で切り裂く。
もう何体倒したか分からないのに目の前にはまだ怪獣がうようよ居やがる。
はは、絶対絶命って奴かね、クソ。
そう思ってたら背後からいくつもの光線が飛んできて怪獣達を倒していく。
まじかよ、援軍のタイミングドンピシャじゃねぇの?
後ろを振り向くと想像通り、銀に赤のいかした奴らがいた。
「君!大丈夫か!」
そう言って走りよる1人のウルトラ族、私は恐らく知っている。
私の記憶より幾分か小さいが、あの大きな角を私は知っている。
ああ、成程、彼とベリアルの出会いはこんなだったんだな。
「私の名はケン。よく、頑張ったな」
崩れ落ちそうな私を抱えながら彼はそう言った。
その日から私はケン…つまり将来のウルトラの父と共闘することが増えた。
流石と言うかなんというか、ケンはホントに強かった。
怪獣をちぎっては投げちぎっては投げ、そんなあいつに負けてられんと私も殴って蹴って切り裂いた。
気がつけばお互いに戦友と呼べるほどの仲になっていてかなり鼻が高かった。
そんな私達だが、今喧嘩をしている。
「だからな?こいつらを今見逃したからってもう襲ってこない確証にはならないんだぞ」
「それでも、無抵抗なものに乱暴を働くなどと」
「甘いぞ、私達は今…戦争をしてるんだ。その甘えで誰かが傷つくことになりかねん」
ほんとこのニチアサ良い子ちゃん集団がよぉ、相手は卑劣で卑怯な悪の軍団なんだぞ。
もしこれでこいつらが逃げる振りして攻撃してきてもまた同じことしそうだなこの甘ちゃんどもめ。
「徹底的に消すべきだ、もしもがあってからでは遅いんだよ」
「ではなぜ君の手は震えている!君だって本当はやりたくないのだろう!」
ああもう!だからさっさとやっちまいたかったんだ!
そりゃそうだよこれじゃ戦闘じゃねえ、ただの私刑だ!
今まで戦闘の余韻で誤魔化してた「命を奪う」行為にちょっと対面しただけでこれだ!
だから尋問の後は直ぐにやっちまうつもりだったのに!
「私は知ってるんだぞ!君は言動が男勝りで荒々しいが何処までも優しい女性だと、毎晩寝る時はうなされ怪獣達に謝罪しながら眠ると!」
いやなんで知ってんだよ!
お前いつの間にストーカーになったんだよ!
私やだよ!ウルトラの父がストーカーになってたとか知りたくなかったよ!
「もしここで彼らを殺せば、君は自責の念で潰れてしまう!どうか考え直してくれ!」
「…だぁああ!!」
「ベリアル!!」
「「ぎゃぁぁぁあああ!!!!」」
何が原因か知らんがケンがストーカーになったというストレスと鬱憤を込めて捕まった2人の敵にぶつける。
半殺しを超えて八殺しってくらいか。
「…ベリアル」
「こんだけ痛めつけりゃもう二度とここには来ねぇだろ、さっさと宇宙に放り出しちまえ」
くそ、結局私も甘ちゃんかよ、反吐が出るぜ。
「なあベリアル、少し休まないか?」
「あ?何言ってんだ、今私は抜けれんだろ、今だって怪獣達が攻めてきてるって言うのに」
「そうしてまた倒した彼らを背負うのか?」
「…」
ああ、やはり彼女は強くて弱い。
初めてあった時から戦っていた彼女。
ベリアルなんて物々しい名前なのに、誰よりも殺しを重く受け止めている。
そんな姿が痛々しくて、見ていられなくなりそうだ。
たまに無理やり作った休暇を彼女に与えても、この戦いで殺し、死んでいった怪獣のための慰霊碑に祈っているばかり。
本人はメンタルケアも含めた効率のいい休み方だと言っていたが、そんな女性を戦わせているという事実が私を蝕む。
だから相談した。
同じ女性同士なら私には解決出来ないことも、苦しんでいる彼女を助けることが出来るのではと思った。
「無理やりだが君に休暇を取れるようにした」
「つまりまた私の担当区域まで掃討活動したのか、むちゃしやがって」
そう文句を言いながら私を見る目は心配で満ちていた。
どうしてこんな優しい女性が戦わなくてはならないんだ…!
「ああ、だから今日は休んでもらって構わない」
「そうかい、じゃあお言葉に甘えて「まあ待て」…あ?」
「会って欲しい人が居る、来てくれマリー」
「は?」
「こんにちは、ベリアルさん。ずっとあなたに会いたかったの」
「は?」
そういうとマリーはベリアルを抱きしめ、ベリアルはずっと呆気にとられていた。
「…は?」
ふふ、続くとでも思っていたのか!!