ガンダムビルドダイバーズ 〜お狐メイド長のGBNライフ〜   作:真莉藻

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初めまして、真莉藻と申します。
自分の欲望やらなんやらで書いていますが、お付き合い頂けると幸いです。


本編
第壱話


 

GBNの楽しみ方は人それぞれ。

ガンプラバトルに没頭する者、ミッション攻略に励む者、アイテム収集に勤しむ者、気の合う仲間とフォースを組む者、ディメンション巡りを楽しむ者など様々なプレイヤーがいる。

 

 

GBN内、広大な森林の中に湖があるエリア。

その湖畔に私、マリモは自身のガンプラを着地させ、地面に両膝をついた体勢にする。

 

「んー、やっぱりここの景色は最高ですわね!」

 

コクピットハッチを開くと、少しひんやりとした清々しい空気に乗って木と土が混じったような匂いが入ってくる。

毎度のことながら本当に恐ろしいまでの再現度で、自分がゲームの世界にいることを忘れそうになる。

コクピットの前にもってきたマニピュレーターの上に出て軽く伸びをする。

 

「今日は久しぶりのお休みですし、楽しみませんとね。」

 

そんな独り言を言うと私は自分が乗っているマニピュレーターを地面まで下ろし、ガンプラを降りる。

ここのところリアルでの仕事が忙しく、GBNにログインするのもほぼひと月ぶりになる。

たまには思いっきり羽を伸ばしても誰も文句は言わないだろう。

私はアイテム欄から敷物を取り出すと、駐機している自分のガンプラの前に広げて座る。

目の前には湖と森が広がっている。

私はここの景色が好きで、いつもついつい立ち寄ってしまう。

もう何年も遠出出来ていないので、こうして気軽に旅行気分を味わえるのは素直に嬉しかった。

 

「さぁ、そろそろ始めましょうか。時間ももったいないですし。」

 

私はまたアイテム欄を開くと、徳利とお猪口、そしていなり寿司を取り出した。

さっきロビーの寿司屋でテイクアウトしたものだ。

GBNのロビーにはカフェの他にも色々なお店があるので面白い。

自分もいつかGBNの中にお店を持つのも悪くない、なんて考えがよぎったが流石にGBNの中でまで仕事はしたくないので、それ以上は考えないことにした。

 

「いただきます。

…んー!たまりませんわ〜!」

 

たった一人のささやかな宴会だが、綺麗な景色を眺めながらお酒を呑み、美味しいものを味わうというのはやはり最高である。

もちろん、ゲームの中なので本当に酔っ払ったりお腹が一杯になるわけではないが、リアルで食事をする感覚とほぼ大差ないのだからGBNの五感のフィードバックは本当に凄い。

しかも後ろには自分の作ったガンプラがリアルサイズで佇んでいる。楽しくないわけがない。

 

「しばらく放ったらかしにしてごめんなさいね、マルコシアス。今日は久しぶりに付き合って下さいましね?」

 

私は自分のガンプラに話しかけた。まぁ、当然返事は返ってこないのだが。

ガンダムマルコシアスツヴァイ。『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ ウルズハント』に登場するMS、ガンダムマルコシアスをベースに自分なりのカスタムを施したガンプラだ。

GBN以前のGPDの時から修理と改造を繰り返して使っているので、もう随分と長い付き合いになる。

綺麗な景色と自分のガンプラを眺めるのが楽しくてついつい興がのってしまい、持ってきたお酒といなり寿司もいつの間にか無くなっていた。

 

「ふぅ〜、ご馳走様でした。

後は溜まってるミッションの消化でもやりましょうか。しばらくポイント稼ぎもサボっていましたし…」

 

そんなことを考えながら、食後の一服を楽しもうとアイテム欄からキセルを取り出そうとしたその時、いきなりアラートが鳴った。

 

「救難信号…?」

 

どうやらこの近くのエリアからのようだった。

おそらくは初心者狩りか何かだろう。

天下のGBNとはいえ、これはオンラインゲーム。残念ながら、初心者狩りなどの迷惑行為を働く輩は少なからず存在している。

運営側でも対処はしているが、流石にこの広大なディメンションの隅から隅まで目を光らせ続けるのは不可能なので、対策の一環として初心者狩りなどに襲われたダイバーから近くにいるダイバーに救難信号が出せるようになっている。

 

「これは見過ごせませんわね…。マルコシアス、参りますわよ!」

 

そう言って私は敷物を片付けてマルコシアスに飛び乗った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

マリモのいたエリアの隣、廃墟の市街地が広がるエリア。

僕は廃ビルの影に隠れていた。

 

「はぁ、はぁ…、どうしてこんなことに…。」

 

呼吸を整えようとするが、恐怖でうまくいかない。

僕は今日、初めてGBNをプレイした。

本当は一足先にプレイしている友達と一緒に遊ぶ予定だったが急用ができたらしく、1人になってしまった。

とりあえず少しでもやれることはやっておこうと思い、初心者用のチュートリアルミッションをやっていたのだが、ミッションの途中でいきなり乱入してきた3人のダイバーに襲われた。

相手は確実に自分より強いダイバーで人数は3人、対して僕は今日GBNを始めたばかりの初心者なうえに1人。まず敵うはずがなかったのでミッション中断かログアウトをしようとしたのだが何故か出来ず、逃げ回るしかなかった。

無我夢中で逃げ回り、やっと隠れることが出来たが相手は僕を探して周りをうろうろしている。

見つかるのは時間の問題だろう。

 

「ごめんね、ディランザ…。初めてのミッションなのにこんなになっちゃって…。」

 

僕は自分のガンプラ、ディランザ(ラウダ専用機)に謝った。

左腕は肩口から取れてしまい、右腕も肩のシールドが無くなっている。

自慢のブレードアンテナは左半分が折れて、武器もビームライフルとビームトーチは腕とシールドごと壊れてしまったので、最初から持っているヒートアックスが残っているだけ。

その他にも全身ボロボロだが、重装甲なのが幸いしてなんとかまだ動けていた。

ガンダムを知らなかった僕が友達に勧められて初めて観たガンダム作品、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』。

そのお話の中でガンダムファラクト相手に、もう一歩のところまで戦ったディランザ(ラウダ専用機)に僕は一目惚れしてしまった。

そんな大好きなディランザと、誘ってくれた友達とで初めてのGBNを楽しく遊ぶつもりだったのだが、その友達はあいにく急用でこれなくなってしまい、挙げ句の果てに乱入してきた怖そうな3人のダイバーに襲われている。

 

「…なんで僕がこんな目に遭わなきゃいけないんだよ…。ミッション中断もログアウトも出来ないし…。 怖いよ…。」

 

どうしようもなくてダメージによるアラートが鳴り響くコクピットの中で泣きそうになっていると、近くにビームが飛んできた。

見つかってしまったのだ。

 

「やっと見つけたぞ、このガキ!

おーい!こっちにいたぞ!」

 

僕を見つけた1人が他の仲間を呼ぶ。

 

「しまった…!早く逃げなきゃ…うわっ!?」

 

急いでその場から離れようとしたが、片足に被弾してしまいその場に前のめりに転んでしまった。

 

「全く、手こずらせやがって。

素人のザコは大人しく狩られれば良いんだよ!」

 

そう言いながら赤い大柄なガンプラにのったダイバーが近づいてきた。他の2人も追いついたらしく、こっちに近づいてくる。

 

「このままじゃやられちゃう…!お願いだから動いてよ、ディランザ…!」

 

なんとか逃げようと必死に操縦桿を動かすが、さっきのダメージで限界になったのかディランザは起き上がってくれない。

コンソールの警告も黄色から赤に変わっていた。

 

「俺たちのダイバーポイントになれるんだ、光栄に思いなァ!」

 

僕のディランザの側まで来ると赤いガンプラは持っていたビームサーベルを振りかぶった。

 

「…ひぃっ!!」

 

僕は目を瞑った。

こんなことになるのなら今日はやらなきゃ良かった、そもそもGBNなんてやらなきゃ良かった、そんなことを思ったその時だった。

 

 

「そこまでですわー!!!」

「へ?」

 

赤いガンプラは、空から勢いよく降ってきた"何か"に吹き飛ばされた。

 




お目汚し失礼致しました。
ちゃんと続けられるかどうかわかりませんが、ゆっくりでも頑張りたいと思います。
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