ガンダムビルドダイバーズ 〜お狐メイド長のGBNライフ〜   作:真莉藻

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お世話になっております。
ようやく十話までいけました…。
今回もよろしくお願いいたします。


第十話

ミッション途中での乱入騒ぎから数日後のある日ー

 

「せぇぇいっ!」

 

私は本体から分離し、目の前に飛来したデストロイガンダムの腕部"シュトゥルムファウスト"にバスタードメイスを叩きつける。

咄嗟に陽電子リフレクターが展開されるがすでに手遅れで、発生器ごと盛大にひしゃげて爆散した。

 

「ふぅ…、これで邪魔は無くなりましたわね。

ユウくん、最後の一撃は任せましたわ!」

「は、はい…っ!

ディランザ、行くよ…!」

 

両腕を失ったデストロイに引導を渡すべく、ユウくんのディランザがまっすぐ突っ込んでいく。

私たち3人は先日あった迷惑チートダイバー、リリムの乱入で失敗扱いになってしまったミッション「オルドリン自治区防衛」を絶賛やり直しており、今まさに破壊目標であるデストロイガンダムを攻略中だった。

直掩のウィンダムと105ダガーも全滅し残るは自身だけになったデストロイは、ディランザを近づけまいと口部と胸部に装備されているビーム砲"ツォーンMk2"と"スーパースキュラ"で迎撃しようとする。

 

「させないよ〜!」

 

ビームを発射しようとしたデストロイの頭部に、ハルのライノグレイズが放った大口径グレネード弾が直撃する。

デストロイは着弾の衝撃で後ろへ仰け反ってしまい、放たれたビームもユウくんのディランザに当たることなく上方向に逸れた。

 

「ユウちゃん、行って!

カッコ良いところ、お姉ちゃんに見せて〜!」

「…わ、わかった…!

ありがとう、ハル姉ちゃん…!」

 

ハルの援護を受け、デストロイの眼前まで辿り着いたユウくんはその勢いのまま、ディランザの3倍近くはあるであろう破壊の名を冠する巨大なガンダムの懐へと飛び込む。

 

「いっけえぇぇぇ…!!」

 

そしてデストロイの胴体ブロック目掛けて、思いっきり大型ヒートアックスを振り下ろす。

しかしEランク帯とはいえ、流石はボス機体といったところか、素組みのヒートアックスでは決定打にはならず胸部ブロックを損傷しながらもデストロイはまだ健在だった。

 

「そんな…、ここまで来たのに…!」

 

倒しきれなかった動揺でユウくんの動きが一瞬止まってしまった。

その隙を逃すまいと、デストロイの残された胸部スーパースキュラの砲口に光が宿る。

 

「ユウくん、胸のビーム砲の発射口ですわ!

そこを攻撃するのです!!」

「…!

は、はいっ…!これでっ…!!」

 

私が叫んだことで我に帰ったユウくんは、ディランザの肩のウェポンドックからビームトーチを引き抜くと、今にもビームが発射されようとしていたスーパースキュラの砲口に突き刺した。

 

「ええぃっ…!!」

 

バックパックのスラスターも全開にして無理矢理ビームトーチを捩じ込み、ダメ押しとばかりに胸部のビームバルカンも連射する。

 

「ユウちゃん、もう十分だよ!

早く離脱して!!」

 

ハルにそう言われ、ユウくんは慌ててデストロイから離れようとしたが、ビームトーチを持っている右腕ごと強引に捩じ込んだため、肘から下が装甲に入り込んでしまい抜けなくなっていた。

このままではデストロイの爆発に巻き込まれ、撃墜扱いになってしまう。

 

「ダメ、抜けない…!

こうなったら…、ごめん、ディランザ…!」

 

ユウくんは自身の愛機に一言謝罪すると、抜けなくなっている右腕を肩関節からパージし、即座にデストロイの懐から離れる。

直後、デストロイは砲口を潰されて行き場を失ったスーパースキュラのエネルギーが暴走し、機体各所を爆発させながら崩れ落ちる。

そして、そのままテクスチャの塵になって消えていった。

私たちのコクピットのコンソールには、ミッション達成を表す【Mission Success!】のウィンドウがそれぞれ表示されていた。

 

ーーーーーー

 

「オルドリン自治区防衛」を無事クリアした私たちは、セントラルエリアのロビーへと戻って来ていた。

そして、戻ってくるなりハルがユウくんにハグ攻撃を仕掛ける。

 

「やったね〜、ユウちゃ〜ん!

最後デストロイを倒したところ、すっごくカッコ良かったよ〜!」

「ええ。あの状況でパニックにならず、きっちり倒して離脱までできたのですから大したものですわ。

本当、これからの成長が楽しみです。(くっ、これ見よがしにユウくんにベタベタと…!私だって、よしよししてあげたいのに…!)」

「ハ、ハル姉ちゃん、嬉しいけどあんまり強く抱き付かないで…。苦しいよ…。

マリモお姉さんも、ありがとうございます…!」

 

ハルにこねくり回されて揉みくちゃになりながらもユウくんは嬉しそうに応える。

私が頑張ったユウくんをよしよししてあげたいという気持ちを我慢しながら、ユウくんの成長の早さに感心していると、そういえばとハルが本題を切り出す。

 

「ユウちゃん、ダイバーランクはちゃんと上がった〜?

さっきのミッションでポイントは足りてるはずだけど。」

「うん…、帰ってきたときに見たらDランクになってたよ…。」

 

ユウくんはそう言いながらハルと私にプロフィールのウィンドウを見せる。

 

「やったね、ユウちゃん!

これでやっとお姉ちゃんと一緒にフォースが組めるね〜!」

「ちょっと、姉ちゃん…!

なんでまた抱きつくのさ…!?」

 

ハルはまた抱きつこうとするが、ユウくんも流石にたまらないと抵抗する。

ハルのユウくんに対する溺愛っぷりから考えると、フォースを組んで一緒にGBNをプレイするのを心待ちにしていたに違いない。

 

「ユウくん、Dランク昇格おめでとうございます。

さぁ、2人とも。フォース結成の申請ならあっちの受付カウンターですわよ?」

 

私は2人にフォース結成の申請に行くように促す。

すると、ハルをやっとの思いで引き剥がしたユウくんが私に何か言いたそうにこちらを見ていた。

 

「…?

ユウくん、どうしたのかしら?」

「…あ、あの…!

マリモお姉さんも、僕たちのフォースに入ってくれませんか…!?」

「…えっ?」

 

ユウくんからの突然のお誘いに、私は気の抜けた声が出てしまった。

確かにユウくんと初めて会った日から、こんな子とGBNが出来たら楽しいだろうなとは考えていたが、まさか本当に誘われるとは思っていなかった。

 

「…お誘いは嬉しいのですけど、私なんかで良いのですか?

ハルさんと違って、どこの誰だかわからないような人間ですのに…。」

「確かに、お姉さんのことはGBNの中でしか知りません…。

でも、あの日初心者狩りの人たちに襲われていた時にお姉さんが助けてくれたから、お姉さんみたいに強くなりたいって思ったから僕はGBNを続けられてるんです…。

だから、ハル姉ちゃんだけじゃなくてお姉さんとも一緒にGBNをやりたいんです…!」

「ユウくん…。」

 

ユウくんは少しもじもじとしながらも、真っ直ぐに私を見ながらそう言った。

ユウくんに憧れられていたなんて、嬉しいやら小っ恥ずかしいやらでどうにかなってしまいそうである。

こちらとしては願ったり叶ったりなので二つ返事で受けたいのは山々なのだが、仲の良い幼馴染2人の間にぽっと出の私が入るのは如何なものだろうか。

どうしたものかと悩んでいると、ハルが見かねたように口を開いた。

 

「…私はユウちゃんと2人だけでフォースを組むつもりだったんですけど、この前マリモさんも誘いたい!って言われちゃって〜。

ユウちゃんが私以外の誰かにこんなに懐くなんて初めてなので、マリモさんさえ良ければ入ってくれませんか〜?」

 

どうやらハルもユウくんにお願いされていたらしい。

2人がこう言ってくれているのだから、ここで断るのは無作法というものである。

ハルの「自分以外の人にこんなに懐くのは初めて」という言葉に舞い上がる気持ちを抑えながら、私は2人の言葉に甘えることにした。

 

「ふふ、2人にそう言ってもらえて嬉しいですわ。

わかりました。フォースへのお誘い、受けさせていただきます。」

「…良いんですか…!?

やった…!ありがとうございます、お姉さん…!」

「よ〜し。

そうと決まれば、受付カウンターへ行きましょ〜!」

 

さっきまで不安そうにしていたユウくんの表情がぱーっと明るくなった。

こんな可愛い子と一緒にミッションができただけでも嬉しかったのに、フォースにまで入れてもらえるなんて夢でも見ているんじゃないだろうかという気になってくる。

そんなことを考えているうちに、私たちは受付カウンターの前までやってきた。

 

「それじゃ、申請しちゃいますね〜。」

 

ハルはそう言いながら、コンソールに必要事項を入力していく。

やがて【congratulations!】の表示が出てきて次の画面に移ったのだが、そこでハルの手が止まってしまった。

 

「う〜ん…。」

「ハルさん?」

「…姉ちゃん、どうしたの…?」

 

何やら難しい顔をしながら唸っているハルの手元を覗くと、フォース名を入力する画面が出ていた。

 

「姉ちゃん、もしかして名前考えてなかったの…?」

「…てへ☆」

 

やっちまったぜ、とでも言いたそうな顔をして誤魔化そうとするハルを、ユウくんはジト目で見ていた。

 

「…わーん!

フォースを組むことばっかり考えてて、名前考えてなかったよ〜!

2人とも助けてぇ〜!」

「えっ…、そんな、急に言われても…。」

「フォース名ですか…、そうですわね…。」

 

堪らずユウくんと私に泣きつくハル。

私は少し考え、ふと頭に思い浮かんだものを言ってみた。

 

「…"リコリス"、なんて如何かしら…?」

「リコリス?

えっと…、確かお花でしたっけ〜?」

「ええ、彼岸花のことですわね。

別名"狐花"や"狐の松明"ともいうらしいんですの。

完全に私の趣味の狐関係で申し訳ないのですが、もし良ければどうかしら?」

「なるほど〜!

彼岸花のままだとちょっと仰々しいですけど、リコリスにすると可愛くて良いですね〜!

ユウちゃんはどう思う〜?」

「…綺麗だし、お姉さんの考えてくれた名前なら僕は良いよ…?」

「おっけ〜!

マリモさん、ありがとうございます〜!」

 

私の個人的な趣味全開の提案だったが、2人は気に入ってくれた。

名前も無事決定し、私たちのフォースはここに結成完了となった。

 

「これでよしっと。

それじゃ、今日から私たちはフォース"リコリス"ってことで〜!」

 

GBNをサービス開始当初からプレイし始めて数年が経ったこの日、私は初めてフォース所属のダイバーになった。




やっとフォース結成出来ました…。
十話書くのに2年近くかかってしまいましたが、このお話を手にとって下さった方々、本当にありがとうございます。
お話自体はまだまだこれからなので、これからもお付き合いいただけると幸いです。
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