ガンダムビルドダイバーズ 〜お狐メイド長のGBNライフ〜   作:真莉藻

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フォースバトル開始です。
よろしくお願いいたします。


第十二話

【Battle Start!】

『機動戦士ガンダム水星の魔女』の舞台となるアスティカシア高等専門学園近くの宙域を再現したフィールドに、バトル開始を告げるシステム音声が響く。

私たちリコリスの初めてのフォースバトルの幕を開いたのは、相手フォース"トライジュエル"のガンプラから放たれた高出力ビームだった。

 

「先手で仕掛けてくるなんて、良い性格してるね〜!

じゃあこっちも遠慮なくやっちゃおっか〜!」

 

ハルは、お返しとばかりにライノグレイズの両肩に装備されている大口径グレネードキャノンと対艦ミサイルを斉射する。

もとより当てるつもりで撃たれたものではないものの、榴弾とミサイルの爆炎を掻い潜って3機のガンプラが突っ込んでくる。

いずれも『水星の魔女』に登場するMSであるデミトレーナー、ザウォート、ベギルペンデをベースとし、それぞれ3人のパーソナルカラーに塗り替えられたものだった。

 

「ヒカリ!私とサヨコでマリモさんとハルさんを抑えるから、ユウくんをお願い!」

「りょーかーい☆ 」

「サヨコ、行くよ!」

「ええ!援護は任せてちょうだい!」

 

おそらくヒカリのガンプラであろう黄色いザウォートが、ビームライフルを撃ちながらユウくんのディランザへと迫る。

どうやらトライジュエルの3人はユウくんを先に墜とすつもりらしい。

 

「ユウくん、私とハルさんで2人の相手をします。

ヒカリさんは任せましたわよ?」

「はい…! 僕、頑張ります…!」

「ふふ、良いお返事ですわ♪

ハルさん、参りますわよ!」

「わかりました〜!」

 

ユウくんはディランザの両肩のシールドを前に突き出してザウォートの攻撃を防ぎつつ、ディランザのスラスターに火を入れる。

 

「マリモお姉さんとハル姉ちゃんに任せられたんだ…!

僕だって…!」

「おー? 顔合わせの時は大人しそうな子だなって思ってたけど、結構根性あるじゃん。

これなら楽しめそうだねー!」

 

ディランザを加速させ、一気にザウォートとの距離を詰めると、その勢いを乗せたまま大型ヒートアックスを袈裟斬りに振るう。

 

「やあぁぁぁ…!!」

「おっと…!

そんな大振りの攻撃じゃ、あーしは捕まんないよー?」

 

ユウくんのディランザが振り下ろしたヒートアックスを、ヒカリは難なく横に逸れるように回避する。

そのまま隙を晒したディランザを攻撃しようとしたが…。

 

「まだです…!」

「げっ、マジ…!?」

 

ユウくんは空振りしたヒートアックスの向きを変えると、そのまま強引にヒカリのザウォートの回避した方向へ横薙ぎに振り抜いた。

ヒカリもこれは避けきれないと判断し、右腕部に格納されているビームサーベルを左手で抜き放って受け止める。

 

「止められた…!?

でも、パワーならディランザの方が…!」

「…ユウくん、って言ったっけ? 結構やるねぇ。

でも、あーしもそう簡単にはやられてあげられないんだよねー!」

 

そう言うと、ヒカリはヒートアックスをビームサーベルで受け止めたままディランザを蹴り飛ばし、鍔迫り合いを解除する。

 

「ぐぅっ…!」

「今度はこっちの番だよー!」

 

後ろへ吹き飛んでしまったユウくんのディランザに追撃をかけるべくヒカリは距離を詰め、体勢を崩してしまっているディランザへビームサーベルを振り下ろす。

 

「いただき!」

「させません…!」

 

ギリギリで体勢を立て直したユウくんは、ディランザの左肩のシールドでザウォートのビームサーベルを防ぐ。

しかし、素組みのシールドで防ぎきれるはずもなく、裏側のウェポンドックに格納していたビームトーチごと真っ二つに斬られてしまう。

 

「…!?シールドが…!」

「ざんねーん。腕ごと斬っちゃうつもりだったけど、ちょっと浅かったかぁ〜。

でも、これは防げないっしょ!」

 

今度は振り下ろしたビームサーベルを、シールドを斬られて一瞬怯んでしまったディランザのボディを目掛けて返す刀で下から斬り上げる。

流石に反応出来ないと思ったヒカリだったが、ユウくんは右手のヒートアックスでなんとか防いでみせた。

 

「へぇ、やるじゃん。見た感じそのディランザ素組みっぽいけど、良く動くねー!」

「…お姉さんもとっても強いです…!

でも、僕はまだ負けるわけにはいかないんです…!」

「やーん!何それ、めっちゃ可愛いじゃん!

でもユウくんのガンプラ、もう限界みたいだよ?」

「え…?」

 

ユウくんがヒカリの言葉に慌てて自身のディランザの状況を確認すると、ヒートアックスの刀身に、打ち合っているザウォートのビームサーベルが食い込んでいた。

どうやら、ビーム刃の出力に素組みのヒートアックスが耐えられなくなってしまったらしい。

 

「そんな…、ヒートアックスが…!」

「悪いけど、このまま行かせてもらうよっと!」

 

ヒカリはビームサーベルを振り抜き、ヒートアックスの刀身の上半分を斬り飛ばしてしまった。

 

「うわぁっ…!」

「残念だけど、これで終わりだよー!」

 

ヒカリはビームサーベルを逆手に持ち変え、ヒートアックスを取り落としてしまったディランザのコクピットに突き立てようとする。

 

「させませんわ!!」

「しまった…!ヒカリ!!」

「えっ…?」

 

アヤのデミトレーナーを振り切った私は、ヒカリのザウォートのビームサーベルを持っている方の腕へ、マルコシアスの左腕に装備した有線式徹甲爪(ワイヤーアンカー)を射出する。

ワイヤーに絡め取られたザウォートの腕は、ユウくんのディランザのコクピットにビームサーベルを突き刺す寸前で止まった。

 

「ちょっ、何これ…!?」

「ユウくん、今ですわ!」

「マリモお姉さん…!?は、はい…!」

 

ユウくんは右肩のウェポンドックに残っていたビームライフルを取り出すと、動けなくなったヒカリのザウォートのコクピットに突きつける。

 

「…お姉さん、ごめんなさい…!」

「ウソ、ちょっと待っ…」

 

至近距離でコクピットを撃ち抜かれたヒカリのザウォートは撃墜となり、テクスチャの塵に帰っていった。

 

ーーーーーー

 

G・G(グッドゲーム)、ありがとうございました〜!」

G・G(グッドゲーム)。こちらこそ、ありがとうございました…!」

 

バトルを終え、セントラルエリアのロビーへ帰還してきた私たちは、トライジュエルの3人とお互いの健闘を称え合っていた。

 

「ちょっと2人とも〜!

あーしが落ちてから何あっという間にやられちゃってるのさー?」

「ごめん、ごめん…。

だってマリモさん、めちゃくちゃ強かったんだもん。

プロフ見た時から若干わかってたことだけど…。」

「ええ…。ハルさんも、タンク型の機体であそこまで動けるなんて…。」

 

お互いに初めてとなったフォースバトルは、ユウくんがヒカリを撃墜した後、アヤとサヨコを私とハルが立て続けに撃墜して私たちリコリスの勝利となった。

ここ最近、対人戦といえば初心者狩りやチート使いなど、真っ当な相手とやっていなかったので久しぶりに楽しいバトルだったと私自身満足していた。

 

「いや〜、それほどでも〜。

でもサヨコさんも、昨日Dランクに上がったなんて思えない動きでしたよ〜?」

「ふふふ、3人ともとても良いモノをお持ちですわよ?

これからが楽しみですわ。」

「あ、ありがとうございます…!

SSランクのダイバーさんにそう言ってもらえて嬉しいです!」

 

私とハル、アヤとサヨコがそんな話をしている中で、ふとヒカリが視界から消えていることに気づいた。

 

「あら?そういえばヒカリさんはどちらへ?」

「えっ、あれ? 今さっきまで隣にいたのに…」

「…えいっ!」

「う、うわっ…!?」

「ユウくん!?」

 

ユウくんの悲鳴が聞こえたので何事かと思ったが、なんとヒカリがいつのまにかユウくんに後ろから抱きついていた。

 

「ふふーん。

ねぇ、ユウくん。あーし、ユウくんのこと気に入っちゃった〜☆

もし良かったらぁ、こっち(トライジュエル)に来ない?」

「…え、その…、僕はリコリスのメンバーだから…。

あわわわ…。」

「ちょっ、ヒカリさん!引き抜きはダメですよ〜!」

「そうだよ!いきなり何やってるのさ!?」

「ヒカリ、失礼だから離れなさい…!」

「あらあら、大胆ですわねぇ…。」

「ごめ〜ん☆

ジョーダンだよ、ジョーダン。

でも、気に入ったっていうのはマジだよ?」

 

ヒカリはイタズラっぽく笑いながらそう言うと、ユウくんから離れてアヤの隣に戻る。

ユウくんはというと、顔を真っ赤にしてあわあわとしていた。

 

「またバトルできるの、楽しみにしてるからね〜☆」

「もうっ、ほんとマイペースなんだから…。

色々とすみませんでした…!また再戦出来る時まで頑張ります!」

「本日はありがとうございました。

では、失礼いたします。」

「は〜い!

おんなじ日に結成したフォース同士、頑張りましょ〜!」

「…あ、ありがとうございました…!」

「ふふ、またお会い出来るのを楽しみにしていますわ。」

 

お互いに挨拶を交わした後、私たちはトライジュエルの3人と別れた。

あの3人を見ていると、昔自分がガンプラバトルを始めたばかりの頃を思い出して少し懐かしくなった。

思えば、こんなにわちゃわちゃとしたバトルをしたのはいつぶりだっただろうか。

 

「さて、ユウくん。

私が割って入るまで、格上のダイバー相手によく頑張りましたわね。

今日もカッコ良かったですわ♪」

「そうそう!1人でよく持ち堪えたね〜!

やっぱり、ユウちゃんは自慢の弟だよ〜!」

「えへへ…、ありがとうございます…!」

 

今日のフォースバトルで、押されていたとはいえユウくんは格上であるCランクのヒカリを相手に持ち堪えられられていた。

ただ、ガンプラに関してはこれからフォースバトル等の対人戦や難易度の高いミッションをやっていこうと思うと、もう素組みのディランザでは厳しいだろう。

そろそろ、"ユウくん専用のガンプラ"を考えなければならない。

 

「さぁ、フォースバトルの前の約束どおり、頑張ったユウくんにご褒美ですわ。

ぎゅーって、して差し上げますね♪」

 

私はそう言うと、ユウくんを胸元へ抱き寄せる。

周囲にいるダイバーの視線をこれでもかと感じるが、そんなことがどうでも良くなるくらい、ユウくんが可愛いのだから仕方ない。

 

「わっ…、マリモお姉さん…!? はふぅ…。」

「しまった、先越されちゃった〜!!

マリモさん!後でちゃんと代わってくださいね!?」

「ふふふ♪ まぁ、そう焦らないでくださいな。」

 

私はそのまましばらく、ユウくんをハグしていた。




画面外で撃墜されちゃったアヤさんとサヨコさん、申し訳ない…。

Tips:
・デミルビー
アヤの使用するガンプラ。ベースはアスティカシア高専で使われているブリオン社製の教習用MS、デミトレーナー。
下半身がデミバーディングの物に換装され、背中にはガンダムエアリアル用のフライトユニットを装備している。
機体カラーはレッドとホワイト。
武装はディランザソル用のビームライフル、ビームサーベル×4、シールド。

・ザウォートアンバー
ヒカリの使用するガンプラ。
ベースはペイル社製量産型MSのザウォートで、背中のブースターユニットが4基に増設されている。
機体カラーはイエロー。
武装はビームライフル、ビームサーベル×2

・ベギルサファイア
サヨコの使用するガンプラで、ベースはグラスレー社製の対GUNDーARM用MS、ベギルペンデ。
手持ち武装がガンダムルブリスソーンのビームディフューズガンに変更され、バックパックもハインドリーシュトルムの物に換装されている。
機体カラーはブルー。
武装はビームディフューズガン、ビームキャノン、ビームサーベル、フットユニット、大型シールド。
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