ガンダムビルドダイバーズ 〜お狐メイド長のGBNライフ〜   作:真莉藻

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長らくお待たせしてしまい、申し訳ありません。
久しぶりの投稿となりますが、よろしくお願いいたします。


第十四話

「ガンダムベース」。

それは全国各地にあるB社直営のガンプラ専門店であり、ガンプラであればほぼ何でも揃っている上に製作のためのスペースも併設されているので、購入したガンプラをその場で組み立てることができる。

また、GBNの筐体も設置されており、家庭用の筐体を持っていない人もGBNをプレイできる場所になっている。

私たち3人はその本店、ユニコーンガンダムの等身大立像でお馴染みの、お台場にある複合商業施設の中に入っている店舗の製作スペースの一角に陣取っていた。

 

「それで、これがユウくんのディランザですのね。」

「は、はい…。

ハル姉ちゃんと一緒にここまでは作り直したんですけど…。」

 

ユウくんが持ってきたのは、両肩と背中に何も装備していない、頭部のブレードアンテナがラウダ機仕様のディランザだった。

どうやらGBNでいつも使っていたディランザを、一度バラして手を加えた上で組み直したらしい。

 

「見たところ、合わせ目消し等は済んでいますわね。

ハルさんに教えてもらったのかしら?」

「そうなんですよー!

それはもう、手取り足取りじっくりと…」

「ちょ、ちょっと姉ちゃん…!

変な言い方しないでよ…!」

「てへぺろ☆

でも、間違ったことは言ってないんだから良いじゃーん。」

「…ハルさんの言い方はともかく、とても綺麗に出来ていますわ。良く頑張りましたわね。」

 

私もユウくんに、手取り足取りしっぽりとヤスリがけを教えたかったという気持ちが口から漏れ出そうになるのを飲み込みつつ、私はユウくんを労う。

合わせ目消しやゲート跡の処理などの作業は、細かくて地味な上に時間がかかる。

おそらくプラモデル初心者であろうユウくんにとっては大変だっただろう。

ディランザ本体に関しては現状これ以上手を加えなくても良さそうだが、問題はここからいかに「ユウくんのディランザ」にしていくかである。

 

「さて、兎にも角にもまずは機体のコンセプトを考えなくてはなりませんわね。」

「…機体のコンセプト…?」

「ええ。

そのガンプラでどんなふうに戦いたいか、みたいなものがわかりやすいかしら。」

 

自分がどんな機体を使いたいのかはっきりと決まっていなくても、バトルをする上でどんな立ち回りがしたいのか、どんな距離で戦いたいのかがわかればそれに合わせて作っていけるので、まずはそこから決めることにした。

 

「ユウくんは、このディランザと一緒にどんなふうにバトルがしたいですか?」

「えっと…。

こんなことを言うのはまだ早いって、思われるかもしれないんですけど、僕も、マリモお姉さんとハル姉ちゃんを守れるようになりたいんです…。

今までずっと、守ってもらってばっかりだったから…。」

「まぁ…!」

「ユウちゃん…!」

 

本当になんて可愛い子なのだろうか。

守られているばかりではなく、自分も誰かを守れるようになりたいという、ユウくんの純粋な気持ちがこの上なく愛おしい。

ハルも同じことを考えているのか、心底嬉しそうな顔をして今にもユウくんに抱きつこうとしている。

 

「あ〜ん!

もう、ユウちゃんたらかわい…」

「…ユウくん、私とっても嬉しいですわ!

ああ、本当なんて良い子なんでしょう!」

「お姉さ…、むぐっ…!?」

 

ユウくんに飛びつこうとしたハルを遮り、私はユウくんを抱き寄せて頭を撫でる。

製作スペースには私たち3人の他にも何人かの人が作業をしていたが、皆手元に集中しているのでこちらには気づいていない。

まぁ、もし誰かに見られていたとして減るものでもない。

ユウくんへの抱きつき攻撃を邪魔され、不満そうな顔でハルが私を見ていた。

 

「ぶー。マリモさん、リアルでのスキンシップは流石にまだ早いんじゃないんですか〜?

何回も言ってますけど、あくまでユウちゃんはわ・た・しの弟なんですからね〜?」

「よしよ〜し、ですわ〜。

ふふふ。これはこれは、失礼いたしました♪

ユウくんが可愛すぎて、身体が勝手に動いていましたわ。

気を取り直して、そろそろ作業を始めましょうか。」

「…はふぅ…。は、はい…。」

「ユウちゃんが可愛すぎるのは認めますけどー…。」

 

本当はもっとスキンシップをしていたいが、今日はユウくんのガンプラ作りを手伝いに来たのだからそういうわけにはいかない。

ユウくんを解放すると、私は持ってきた風呂敷包みを解く。

私が荷物を開けている間に、ハルがユウくんに抱きつき攻撃をしていたが、この先もまだチャンスはあるので今くらいは良いだろう。

 

「…さぁ、準備できましたわ。

この中から使えそうなパーツを見繕って、ユウくんが作ってきたディランザに色々くっ付けていってみましょうか。」

「すごーい!マリモさん、こんなに持ってきてくれたんですかー!?」

「はぅぅ…、姉ちゃん、力強すぎだよ…。

…ほんとだ、色んなパーツがいっぱいある…!」

 

風呂敷包みの中身は、私が家のマウンテンサイクルからかき集めてきた、標準的なHGサイズのガンプラ3箱分のジャンクパーツである。

ハルにこねくり回されて今にも煙を噴き出しそうになっていたユウくんも、大量のジャンクパーツを見て少し元気になってくれた。

まるでブロックのおもちゃを目の前にした、小さな子のようでなんとも微笑ましい。

 

「…これ、僕が使っちゃっても良いんですか…?」

「ふふ、もちろんですわ。ユウくんのために持ってきたんですもの。

まぁこれでも、お店の子たちにあげたりしているので随分と減ったのですけれど。」

「お姉さん、ありがとうございます…!」

「どういたしまして。

ハルさんも、何か必要なパーツがあれば持って行っても大丈夫ですのよ?」

「ほんとですか!?ありがとうございますー!」

「ユウくん。気に入ったパーツがあったら、このマスキングテープを使ってとりあえず取り付けていってみましょう。

今は細かいことは気にしなくて大丈夫ですわ。」

「はいっ…!」

 

ユウくん専用のディランザを作るべく、私たちはHGガンプラの箱3つ分のジャンクパーツを漁り始めた。

 

ーーーーーー

 

「…出来た…!」

 

作業を始めて2時間ほどが経った頃、ユウくんがいつものように控えめな、しかし嬉しそうな声をあげる。

ユウくんの目の前には、さっきまでの両肩と背中に何も装備していない、少し寂しい姿から様変わりしたディランザが佇んでいた。

 

「ユウちゃんお疲れー!なんとか形になったね!」

「お疲れ様です、ユウくん。

とりあえずはひと段落、ですわね。

それにしても、ハルさんが持ってきていたディランザ・ソルが役に立つとは思いませんでしたけど…。」

「マリモお姉さん、せっかく持ってきてくれたパーツ、あんまり使わなくてごめんなさい…。

ハル姉ちゃん、ディランザ・ソルありがとね…。」

 

ユウくんは、申し訳なさそうに私たちにそう言った。

私が持ってきたジャンクパーツより、ハルがパーツ破損や紛失等のもしもの時のために持ってきていたディランザ・ソルの方がユウくんの役に立ったことに思うところがないかと言われれば嘘になるが、ユウくんのディランザが無事形になったことの方が何より大切である。

 

「いえいえ、気にしないで下さいな。

ジョイントパーツ含め、細かいパーツが役に立ったので何よりですわ。」

「私がもしもの時のためにって、勝手に持って来てただけだから全然大丈夫だよー?

それよりも、ユウちゃんに使ってもらえてお姉ちゃん嬉しいなー!」

 

色々と考えた結果、ユウくんにはフォース戦において所謂「タンク役」を担ってもらうことになったので、防御力と機動性の強化に重点をおいたカスタムを施すことになった。

両肩部シールドの大型化と、バックパックへのディランザ・ソルの膝から下をそのまま流用したフレキシブルブースターの装備、スラスター付きリアアーマーへの換装が主な変更点となっている。

武装面では、主武装を大型ヒートアックスからヒートハルバートに変更。

重量が少し軽くなって扱いやすくなり、先端に取り付けられたビームトーチによりリーチも長くなっている。

それ以外の部分はユウくんの希望でラウダ機のままだが、シールドとバックパックが変更されたことで随分と印象が変わった。

 

「まさしく、専用カスタム機の装いになってきましたわね。ディランザの脚を追加ブースターにするとは恐れ入りましたわ。」

「本当だよ、よく思いついたねー!」

「えへへ…。

前に姉ちゃんが見てた、えっと…、じーくあくす?に出てきた、ディランザみたいな紫色のおっきなMSが、背中にもう一本脚を背負ってたのを思い出したんです…。」

「えっ、それで思いついたのー!?」

「あらあら、そうだったんですのね…。」

 

なんと、背中のブースターはジークアクス版のリック・ドムから着想を得ていたらしい。

こんなに可愛らしいのに、もしかしたらユウくんはゴツい重MSが好きなのかもしれない。

 

「さて、一旦形にはなりましたが、まだまだこれからですわ。新しく取り付けたパーツの合わせ目消しなどの処理がありますが、時間も時間なのでこの辺りでお昼にしましょうか。」

 

これからもやることはたくさんあるのだが、もうお昼の12時を過ぎているので一度作業を切り上げ、私たちは昼食にすることにした。

 

「わーい、お昼だー!

もうお腹ぺこぺこだったんですよー!」

「ちょっと、姉ちゃん…。」

「ふふ、それでは参りましょうか。もちろん、私がご馳走しますわ。」

「ほんとですか!?やったー!」

「…もう、姉ちゃんたら…。

お姉さん、ごめんなさい…。」

「あらあら、気にしなくて良いんですのよ?

ユウくんも遠慮しなくて大丈夫ですからね♪」

「…お姉さん、ありがとうございます…!」

 

私たちは製作スペースを出るため、広げていた道具やらパーツやらを片付け始める。

ユウくんも絶賛生まれ変わっている最中のディランザを、愛おしそうにタッパーにしまう。

 

「ハルさん。おそらく今日はサフ吹きまで行けないと思いますので、帰ってからの続きをお願いしても良いかしら?」

「もちろん、大丈夫ですよー!

来週の日曜日までに、本塗装できる状態にしておけば良いですかー?」

「そうですわね、そうしていただけると助かりますわ。」

 

2人を暗くなる前に家に帰さなければならないため、今日の作業はサフ吹きの前まで進めることにして、あとの本塗装までの工程はハルに任せることにした。

本当は付きっきりで見ていたいし私が教えたいのだが、こればかりは仕方がない。

 

「わかりましたー!

ユウちゃん、来週の日曜日までまたお姉ちゃんと頑張ろうねー!」

「…?どういうこと…?」

「ユウくん。今日は途中までしか出来ないので、来週の日曜日にディランザに色を塗れるように、ハルさんに教えてもらいながら準備をしておいて欲しいのですわ。

よろしくて?」

「は、はい…!僕頑張ります…!」

「良いお返事です♪

さぁ、午後からに備えてまずはお昼ご飯ですわ。」

 

片付けが終わった私たちは、ランチタイムと洒落込むため一度ガンダムベースの店舗を後にした。




ユウくんが初めて見たガンダム作品がジークアクスだったら、初めてのガンプラはリック・ドムだったかもしれない…。
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